Trademark Appeal Case
著名商標と結合商標の要部
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第90100号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4191108号商標(以下、「本件商標」という。)は、「GLYCOBAR」の文字と「グリコバー」の文字とを二段に左横書きしてなり、平成8年5月1日に登録出願、第29類「炭水化物・繊維質を主原料とした粉末状の加工食品」を指定商品として、同10年9月25日に設定の登録がされたものである。
2 取消理由の通知
平成11年5月10日付けで、商標権者に下記の取消理由を通知した。
本件商標は、「GLYCOBAR」の文字と「グリコバー」の文字とを併記してなるものである。
ところで、我が国における菓子業界の大手で大阪市所在の江崎グリコ株式会社がその業務に係る「菓子、即席カレー、スープのもと、レトルト食品」等について「グリコ」の文字よりなる商標及び「Glico」の文字よりなる商標を使用してきた結果、当該商標は、本件商標の商標登録出願の時前までには、取引者・需要者間に広く認識され、著名になっていたものと認められる。
そして、本件商標は、前記のとおりその構成中に「GLYCO」、「グリコ」の文字を有してなるものであり、本件商標をその指定商品「炭水化物・繊維質を主原料とした粉末状の加工食品」について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、江崎グリコ株式会社又はその関連会社の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について誤認・混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認められる。
3 商標権者の意見
上記2の取消理由に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べている。
本件商標中の「GLYCO」は、ギリシャ語に由来する造語要素であり、グリコーゲン(glycogen)、グリコール(glycol)、グリコプロテイン(glycoprotein)などの言葉の中に用いられ、造語要素であることが広く知られている。そして、この場合綴りはGLYCOであって、「I」ではなく、「Y」である。
単に「グリコ」と言えば、引用商標と誤認するとしても、「GLYCO」は造語要素であるから、本件商標の如く「GLYCO」のあとに文字が続くと、江崎グリコ株式会社の「グリコ」とは別のものを意味しているものと認識すると考えるのが自然である。
それ故、本件商標中のローマ字「GLYCOBAR」を目にする者が、江崎グリコ株式会社の商標「グリコ」と同じ出所を示すものと認識をもつことはありえないものである。
また、本件商標中の片仮名部分の「グリコバー」を目にするものは、当然、そのローマ字にも注意を向けるので、この場合にも前述の如く江崎グリコ株式会社の「グリコ」と混同ずることにはならないと言わなければならない。
4 当審の判断
そこで判断するに、登録異議申立人江崎グリコ株式会社(以下、「申立人」という。)の提出に係る甲第2号証(商標登録第307367号の特許庁インターネット公開データ)によれば、「グリコ」の文字からなる当該登録商標には、旧第1類、旧第4類、旧第9類、旧第10類、旧第11類、旧第17類、旧第18類、旧第19類、旧第20類、旧第21類、旧第28類及び旧第34類の各類にわたって防護標章登録がなされているところ、該証拠を徴するまでもなく、「グリコ」あるいは「Glico」の文字よりなる商標は、申立人の業務に係る「菓子、即席カレー、スープのもと、レトルト食品」等の各種商品について使用され、本件商標の登録出願時には、既に、取引者・需要者間において広く認識され、著名になっていたものであることを認めることができる。
しかして、本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、グリコーゲン(glycogen)、グリコール(glycol)等の語のように、一連の構成からなる成語とは認められないばかりでなく、その構成中の「BAR/バー」の文字は、例えば、「chocolate bar(棒チョコ)」(株式会社研究社発行「研究社現代英和辞典」)の如く、食品業界においては、棒状の商品を表すものであって、商品の品質表示用語として広く使用されているものである。
そうとすれば、本件商標は、一体的な構成からなるものとはいえ、前半の「GLYCO/グリコ」の文字部分と後半の「BAR/バー」の文字部分とでは、その出所表示機能の把握にあたって、明らかな軽重の差をもって認識されるものといわなければならない。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用した場合、本件商標に接する取引者・需要者は、読みやすい片仮名の「グリコ」の文字部分に注意が向き、容易に申立人の使用に係る著名な商標「グリコ」を想起・連想するばかりでなく、「GLYCO」の欧文字部分にしても、「Glico」とは、必ずしも明瞭に認識し難い中間における「Y」と「i」の差のみであるうえ、片仮名文字と併記されていることとも相俟って、容易に申立人の使用に係る著名な商標「Glico」を想起・連想し、これが申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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