Trademark Appeal Case
ジョニー商標の類似と周知性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900275(T2007−900275/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5042762号商標(以下「本件商標」という。)は、「ジョニー」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成18年8月9日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年3月20日に登録査定、同年4月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要点
(1)登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人伊藤信吾(以下「申立人」という。)は、下記の2件の商標を引用している。
(a)商標法第4条第1項第11号及び同第15号の取消理由に該当するものとして引用している商標は、「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」の文字を縦書きしてなり、平成16年5月21日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年1月21日に設定登録された登録第4833751号商標(以下「引用商標1」という。)である。
(b)商標法第4条第1項第10号の取消理由に該当するものとして引用している商標は、申立人が代表する男前豆腐店株式会社の業務に係る商品「豆腐」に使用しているとする「ジョニー」の文字からなる商標(以下「引用商標2」という。)である。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成文字から「ジョニー」の称呼、「ジョニー(Johnの愛称)、男、少年」の観念を生ずるものである。
他方、引用商標1は、申立人が商品「豆腐」に付した独創的なネーミングであり、「ジョニー」の文字部分は、その構成の一部とはいえ、要部であり特徴的な部分であるから、引用商標1からも「ジョニー」の称呼、「ジョニー(Johnの愛称)、男、少年」の観念を生ずるものである。
そうとすれば、需要者は、「ジョニー」部分の同一性に基づく印象、記憶、連想等から、両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれが高いといえるから、本件商標と引用商標1とは、称呼、観念及び外観のいずれにおいても類似の商標であり、かつ、互いの指定商品も同一又は類似のものである。
このことは、平成18年(行ケ)第10497号事件(MAGICALSHOESOURCE事件)及び平成18年(行ケ)第10532号事件(つつみのおひなっこや事件)の判決に照らしても首肯し得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。
(3)商標法第4条第1項第10号について
(ア)申立人は、平成17年3月に、男前豆腐店株式会社を設立以来、引用商標1及びその他の商標を指定商品「豆腐」に付して使用し今日に至っている。
添付の伝票(甲第67号証)に示すとおり、申立人が代表する男前豆腐店株式会社は、2005年から2007年にかけて、引用商標1及びその他の商標を付した「豆腐」を京都、大阪、岡山、福岡、沖縄、金沢、横浜、川越、柏、津田沼、新潟、盛岡、北海道等で販売してきた。それと共に、申立人は、自称・他称ともに「ジョニー」の愛称で呼ばれ、申立人が製造する「豆腐」あるいは男前豆腐店株式会社が販売する「豆腐」は、総称して「ジョニー」の名で呼ばれているものである(甲第68号証ないし甲第77号証)。
これらのことは、ラジオ・テレビや雑誌・新聞にも多数取り上げられ報道されているところであり(甲第78号証、甲第81号証ないし甲第109号証)、また、Googleで「ジョニー」を検索すると、男前豆腐店株式会社が上位にヒットし(甲第79号証)、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」において「男前豆腐店株式会社」を検索すると、冒頭に「ジョニーとは代表取締役社長である伊藤信吾の愛称であり」と記載されている(甲第80号証)。さらに、男前豆腐店株式会社のヒット商品は、(株)バンダイより、豆腐をボールチェーン付きのミニフィギュアにした自販機専用カプセル商品(ガシャポン)として販売されている(甲第113号証)。
以上のことから、豆腐業界においては、「ジョニー」といえば、申立人が製造する「豆腐」あるいは申立人が代表する男前豆腐店株式会社が製造・販売する「豆腐」を指すものとして周知なものとなっている。
(イ)本件商標は、申立人が代表する男前豆腐店株式会社の業務に係る商品「豆腐」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標「ジョニー」(引用商標2)と同一であり、本件商標の指定商品は、引用商標2の指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものである。
(4)商標法第4条第1項第15号について
上述のとおり、引用商標1は、申立人が製造し、申立人が代表する男前豆腐店株式会社の販売に係る「豆腐」の商標として、広く一般に知られているものであるから、引用商標1と紛らわしい本件商標が引用商標1と同一の指定商品「豆腐」に使用された場合には、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
前記したとおり、本件商標は「ジョニー」の文字を横書きしてなり、引用商標1は「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」の文字を縦書きしてなるものであるところ、引用商標1は、その構成各文字が同書、同大、同間隔をもって外観上まとまりよく一体的に表現されており、「風に吹かれて豆腐屋」の文字部分と「ジョニー」の文字部分との間に特に軽重の差は認められない。そして、これより生ずる「カゼニフカレテトーフヤジョニー」の称呼は、些か冗長ではあるが、申立人提出の甲各号証にも記載されているように、引用商標1は、ネーミングの奇抜さ面白さに特徴があり、例えば、甲第9号証には「ネーミングについてはすべてにおいてストーリー性を持たせて・・・」と記載されていることからみても、これを単に「ジョニー」と称呼・観念したのでは、むしろ、申立人における引用商標1を採択した意図が喪失してしまうものというべきである。また、他に構成中の「ジョニー」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情も見い出せない。
そうとすれば、引用商標1は、その構成全体をもって不可分一体の商標として認識し把握されるとみるのが自然であり、該構成文字全体に相応して「カゼニフカレテトーフヤジョニー」の称呼のみを生ずるものであって、単に「ジョニー」の称呼・観念が生ずることはないものといわなければならない。
してみれば、引用商標1から単に「ジョニー」の称呼・観念をも生ずるものとし、そのうえで、本件商標と引用商標1とが該称呼・観念において類似するものとする申立人の主張は採用できない。
その他、本件商標と引用商標1とを類似するものとすべき理由は見出せない。
したがって、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
申立人は、引用商標1及びその他の商標を指定商品「豆腐」に付して使用し需要者間に広く知られている旨主張して、甲各号証を提出しているが、引用商標1及び「男前豆腐」、「喧嘩上等やっこ野郎」、「厚揚げ番長」、「お嬢」、「がんも番長」等の商標が豆腐等の商品について使用され、テレビや雑誌・新聞等において盛んに取り上げられている事実は認められるとしても、申立人が引用商標2として主張している「ジョニー」の文字のみからなる商標が個別の豆腐等の商品に使用されている事実は認められないし、豆腐等の商品の総括的(ハウスマーク的)な商標として使用されている事実も認められない。
そして確かに、甲各号証によれば、申立人である伊藤信吾が「ジョニー」の愛称で呼ばれており、また、申立人が製造し、男前豆腐店株式会社が販売する「豆腐」を総称して「ジョニー」と称されている場合のあることを否定するものではないが、それはあくまでも、「ジョニー(伊藤信吾)が造った豆腐」の如き意味合いのもとに「ジョニー」と称されているものというべきであって、「ジョニー」の語(文字)が申立人の業務に係る「豆腐」等の商品の商標として理解・認識されているものとはいえない。
そうとすれば、これらの証拠のみをもってしては、本件商標の登録出願時において、「ジョニー」の文字のみからなる引用商標2が申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
してみれば、「ジョニー」の文字のみからなる引用商標2の周知・著名性が認められない以上、その余の要件について検討するまでもなく、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するものとする申立人の主張は採用できない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、引用商標1との関係において、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張しているが、前記したとおり、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない別異の商標というべきものであるから、この点についても、その余の要件について検討するまでもなく、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものとする申立人の主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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