Trademark Appeal Case
商標の類否と品質誤認
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90622(T2006−90622/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4987462号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成17年9月30日に登録出願、第5類「蚊取線香,殺虫剤,その他の薬剤」を指定商品として、同18年8月23日に登録査定、同年9月15日に設定登録されたものである。その後、放棄による本商標権の登録の抹消が同19年11月13日になされているものである。
2 登録異議申立ての理由の要点
本件商標は、これに接した需要者にとっては、「ライオン」の称呼及び観念が強く印象付けられるものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標と同一の分野にいくつもの登録商標を有しており、登録第50769号商標、同第344289号商標、同第355684号商標、同第579313号商標、同第579314号商標、同第2624815号商標、同第4521758号商標及び同第4892930号商標(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)は、いずれも「ライオン」の称呼を生ずるものである。
してみれば、本件商標は、全指定商品において、商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、本件商標は、その下段に表示される「ライオンかとり」の中の「かとり」とは、「蚊取線香」を略した「蚊取(かとり)」であると容易に認識し、本件商標をその指定商品である「蚊取線香」以外の「殺虫剤,その他の薬剤」に使用した場合は、品質の誤認のおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に該当するものであるから、商標登録を受けることができない。
3 引用商標
(1)登録商標第50769号(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲(2)のとおり
登録出願日:明治45年1月4日
設定登録日:明治45年2月23日
書換登録日:平成15年2月12日
指定商品 :第5類「駆虫剤,殺虫剤,殺虫線香,殺虫液,蚊燻粉」
(2)登録商標第344289号(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲(3)のとおり
登録出願日:昭和15年3月16日
設定登録日:昭和16年6月24日
書換登録日:平成13年10月31日
指定商品 :第5類「渦巻蚊除線香」
(3)登録商標第355684号(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:ライオン(縦書き)
登録出願日:昭和16年9月9日
設定登録日:昭和17年12月14日
書換登録日:平成16年6月16日
指定商品 :第5類「薬剤(蚊取線香その他の蚊駆除用の薫料・日本薬局方の薬用せっけん・薬用酒・駆虫剤・殺虫剤・殺虫液・水薬・煉薬・打粉・口中防臭剤・口中清潔剤・口中清涼剤・膏薬を除く。),ほか」、第1類ないし第4類、第10類、第16類、第29類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(4)登録商標第579313号(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲(4)のとおり
登録出願日:昭和32年12月30日
設定登録日:昭和36年8月19日
書換登録日:平成14年2月20日
指定商品 :第5類「蚊取線香」
(5)登録商標第579314号(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲(5)のとおり
登録出願日:昭和32年12月30日
設定登録日:昭和36年8月19日
書換登録日:平成13年5月23日
指定商品 :第5類「蚊除線香,蚊除しゅ香,蚊除粉末香」
(6)登録商標第2624815号(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲(6)のとおり
登録出願日:平成3年12月27日
設定登録日:平成6年2月28日
書換登録日:平成16年2月4日
指定商品 :第5類「薬剤,ほか」、第1類ないし第4類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(7)登録商標第4521758号(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:LION
登録出願日:平成12年9月22日
設定登録日:平成13年11月16日
指定商品 :第5類「薬剤,ほか」に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(8)登録商標第4892930号(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:別掲(7)のとおり
登録出願日:平成16年8月20日
設定登録日:平成17年9月9日
指定商品 :第5類「薬剤,ほか」、第1類、第3類、第16類及び第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
4 本件商標に対する取消理由の要旨
(1)本件商標と引用商標の類否について検討するに、本件商標は、別掲(1)のとおり、上段に「創業明治18年」の文字、中段に円輪郭中にネコ科のほ乳類である「ライオン」の図形(以下、単に「ライオン」という。)、下段にリボン状の輪郭図形中に「ライオンかとり」の文字を表してなるところ、その構成中、「創業明治18年」の文字部分は、一般に商標を所有する者の創業時の表示と理解されるものであり、また、「ライオンかとり」の文字中の「かとり」の文字部分は、本件の指定商品である「蚊取線香」の略称と認められるから、本件商標中、自他商品識別標識としての機能を果たし得るのは、「ライオン」の文字部分及び「ライオン」の図形部分にあるといえる。
そうすると、本件商標からは、これらの文字及び図形から、「ライオン」の称呼及び「ライオン」の観念を生ずると見るのが自然である。
一方、引用商標は、以下の理由により、何れも「ライオン」の称呼及び「ライオン」の観念を生ずると見るのが自然である。
(ア)引用商標1は、別掲(2)のとおり、文字と図形よりなるところ、その構成中の図形は、「ライオン」を表したもの、「ンオイラ」の文字は、引用商標1の出願、登録時に用いられていた文字の表記方法である右横書きにより「ライオン」の文字を表したもの、「獅子印」の文字は、「獅子」という商標であることを理解させるものであり、また、「獅子」の文字が「ライオン」の和名と認められるから、引用商標1は、これらの図形及び文字部分より、「ライオン」の称呼及び「ライオン」の観念を生ずるものといえる。
(イ)引用商標2は、別掲(3)のとおり、黄色の正方形輪郭中に文字と図形を配してなるところ、その構成中、上部に表された「LION」の文字(その文字の左右には、「TRADE」と「MARK」の文字が小さく付記的に表されている。)、中央の円輪郭中に顕著に表された「ライオン」の図形、その輪郭線中に表された「獅子牌」の文字、下部に他の文字より大きく顕著に表された「巻渦ンオイラ」の文字の右横書きの各部分から、商品の形状を示す「渦巻」、中国語で商標の意味を有する「牌」を除いた部分が、独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものといえ、これらより、「ライオン」の称呼及び「ライオン」の観念を生ずるものである。
(ウ)引用商標3、引用商標6及び引用商標7は、「ライオン」又は「LION」の文字よりなるものであるから、これらの構成文字に相応して、「ライオン」の称呼及び「ライオン」の観念を生ずることが明らかである。
(エ)引用商標4は、別掲(4)のとおり、黄色の横型長方形の輪郭図形の中央に、「かとりせんこう」及び「ライオン巴型」の文字を大きく顕著に表してなるところ、その構成中「かとりせんこう」の文字は商品名を、巴型の文字は商品の形状を表したものといえるから、その構成中、自他商品識別標識としての機能を果たし得るのは、「ライオン」の文字部分にあるといえ、これより、「ライオン」の称呼及び「ライオン」の観念を生ずるものである。
(オ)引用商標5は、別掲(5)のとおり、赤色の横型長方形の輪郭図形の中央に“LION”と大きく顕著に表し、その下に「蚊の殺し屋」ほどの意味合いを有する「MOSQUITO KILLER」の文字を配してなるところ、中央に「MOSQUITO KILLER」の文字に比して大きく顕著に表された「LION」の文字部分が、独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものといえるから、これより、「ライオン」の称呼及び「ライオン」の観念を生ずるものである。
(カ)引用商標8は、上部に黒色で「おはようからおやすみまで」の文字と「くらしに夢をひろげる」の文字を二段に表し、その下に緑色で「LION」の文字を大きく顕著に表してなるものであるから、字色を変え、他の文字よりも大きく顕著に表された「LION」の文字部分が、独立して自他商品識別標識としての機能を果たすものといえ、これより、「ライオン」の称呼及び「ライオン」の観念を生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「ライオン」の称呼及び「ライオン」の観念を共通にする類似する商標であって、かつ、本件の指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似するものを含むものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。
5 当審の判断
平成19年2月28日付けで上記4の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたところ、商標権者と申立人との間で、商標権の譲渡等に関する契約を締結する予定である旨の上申書が提出され、その後、両者間での交渉が合意に至らずに終了した旨、及び商標権者は、本件商標を放棄した旨の回答書が提出された。
そして、本件商標が引用商標と商標において類似し、指定商品も同一又は類似するものであることは、商標権者も明らかに争わないところであって、本件商標について商標法第4条第1項第11号に該当するとの理由で本件商標の登録を取り消すべきものとした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
なお、引用商標4及び5の商標権は、登録原簿を徴するに、平成18年8月19日(本件商標の登録査定前)に分割登録料不納を原因として、本権の登録の抹消が同19年5月16日になされているものであるから、これらの登録商標は、引用しない。
さらに、商標権者は、本件商標については商標権を放棄する旨の回答をしているが、登録異議の申立て(商標法第43条の2)は、登録処分の適否について判断を行うものであって、商標登録が商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものであるか否かは、当該商標の登録査定時を基準に判断すべきことであり、他方、商標権の権利放棄の効果は、専ら当該放棄に係る抹消登録以後において発生するものであるから、本件商標の登録後になされた商標権の放棄の事実は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした先の取消理由の認定判断に何ら影響を及ぼすものではない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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