Trademark Appeal Case
著名商標と一般名称の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900020(T2007−900020/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第4995522号商標(以下「本件商標」という。)は、「ビートルズ大学」の文字を標準文字で表してなり、平成18年2月3日に登録出願、第41類「当せん金付証票の発売,通信教育,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,ライブショーの企画・演出,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」を指定役務として、同年10月13日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要点)
1 引用商標
登録異議申立人アップル コープス リミテツド(以下「申立人」という。)は、下記の13件の登録商標を引用している(以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という。)。
(1)登録第4748452号商標(以下「引用商標1という。」)は、「BEATLES」の欧文字を標準文字で表してなり、平成11年9月8日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同16年2月20日に設定登録されたものである。
(2)登録第2139388号商標(以下「引用商標2という。」)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年1月5日に登録出願(パリ条約による優先権主張 1986年7月2日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年5月30日に設定登録され、その後同11年6月15日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第2188746号商標(以下「引用商標3という。」)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年1月5日に登録出願(パリ条約による優先権主張 1986年7月2日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年11月28日に設定登録され、その後同11年12月14日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(4)登録第2233979号商標(以下「引用商標4という。」)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年1月5日に登録出願(パリ条約による優先権主張 1986年7月2日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年5月31日に設定登録され、その後同12年6月6日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(5)登録第2250233号商標(以下「引用商標5という。」)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年1月5日に登録出願(パリ条約による優先権主張 1986年7月2日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)、第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録され、その後同12年8月8日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(6)登録第2275583号商標(以下「引用商標6という。」)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年1月5日に登録出願(パリ条約による優先権主張 1986年7月2日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)、第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年10月31日に設定登録され、その後同12年11月21日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに同14年10月30日に第6類、第14類、第16類、第20類、第21類、第24類、及び第27類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(7)登録第2603890号商標(以下「引用商標7という。」)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年1月5日に登録出願(パリ条約による優先権主張 1986年7月2日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年11月30日に設定登録され、その後同15年12月9日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに同16年11月10日に第3類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(8)登録第2603891号商標(以下「引用商標8という。」)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年1月5日に登録出願(パリ条約による優先権主張 1986年7月2日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年11月30日に設定登録され、その後同15年12月9日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに同16年7月28日に第6類、第14類、第18類、第21類、第25類、及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(9)登録第2603892号商標(以下「引用商標9という。」)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年1月5日に登録出願(パリ条約による優先権主張 1986年7月2日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年11月30日に設定登録され、その後同15年12月9日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに同18年7月19日に第9類、第15類、第25類、及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(10)登録第2603893号商標(以下「引用商標10という。」)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年1月5日に登録出願(パリ条約による優先権主張 1986年7月2日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年11月30日に設定登録され、その後同15年12月9日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに同16年7月28日に第16類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(11)登録第2603894号商標(以下「引用商標11という。」)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年1月5日に登録出願(パリ条約による優先権主張 1986年7月2日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年11月30日に設定登録され、その後同15年12月9日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに同18年5月31日に第6類、第9類、第16類、第19類、第20類、及び第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(12)登録第2712798号商標(以下「引用商標12という。」)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年1月5日に登録出願(パリ条約による優先権主張 1986年7月2日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成8年3月29日に設定登録され、その後同18年4月4日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに同年5月17日に第20類、第24類、及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(13)登録第4474287号商標(以下「引用商標13という。」)は、「BEATLES」の欧文字を標準文字で表してなり、平成9年12月4日に登録出願、第6類、第23類、及び第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年5月11日に設定登録されたものである。
2 申立人の「THE BEATLES」の周知・著名性について
(1)世界的著名バンド「THE BEATLES」
「THE BEATLES(以下、単に「ビートルズ」という。)」は、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人で編成された、世界中で最も広く知られ成功したロックバンドの一つであると言われている。イギリスのリヴァプールで結成され、1962年にレコードデビューし、1970年に解散している(甲第15号証、甲第16号証の1、甲第16号証の9)。
世界的アイドルとして成功を収める一方、1960年代以降のロック・ポップスシーンに与えた影響も含め、その楽曲の普遍性、革新性もまた高く評価されており、現代音楽の金字塔として揺ぎない地位を保っている。なお、ギネスワールドレコーズには最も成功を収めたロック・グループと認定されている。
ロックバンドとしての「ビートルズ」の周知・著名性についてはもはや
説明不要と思われるが、以下にその実績を説明する。
(2)ビートルズの歴史
1962年10月に「ラブ・ミー・ドゥ」でデビューし、翌年にリリースされた2枚目のシングル「プリーズ・プリーズ・ミー」が英国でチャート1位を記録し、続いてリリースされたファーストアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」も1位を記録した(甲第15号証、甲第16号証の1、甲第16号証の2)。3枚目のシングル「フロム・ミー・トゥー・ユー」は6週間の間チャート1位を継続し、その後、1967年2月に発売された14枚目のシングル「ペニー・レイン」が惜しくも2位に終わるまですべて1位を獲得しており、デビュー後わずか1年でその人気を不動のものにしている(甲第16号証の2)。
1964年1月には「I Wanna Hold Your Hand」がオーストラリアや米国「キャッシュボックス」誌や「ビルボード」誌のチャートでも1位を記録した(甲第15号証、甲第16号証の3)。この頃から「ビートルズ」の人気は英国国内を越えて全世界へ広がり始めた。同年2月にアメリカのテレビ番組「エド・サリバン・ショー」に出演した時の視聴率は72%と驚異的な数字を記録している(甲第15号証)。この年の4月には、全米チャートを1位から5位まで独占しTOP100内に14曲をチャートインさせるという前人未踏の記録を打ち立てた(甲第15号証、第17号証)。また同年3月にはメンバー初の主演映画「A Hard Days Night(ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ! )」 の撮影が始まり8月に米国で大々的に公開される(甲第16号証の3)。ビートルズの活動はもはや音楽活動の枠にとどまらないものとなり、ファン層の拡大につながっていることがわかる。
1966年6月30日〜7月2日にはついに日本武道館にて公演を行った(甲第15号証、甲第16号証の5)。この公演により、日本においても「ビートルズ」は社会現象にまでなった。米レコード産業組合の調査によると、1966年度のゴールド・ディスク獲得番付でビートルズが6個のゴールド・ディスクを獲得し、第1位となる(甲第16号証の6)。
1968年5月には、ジョン・レノンとポール・マッカートニーにより、申立人にもなっている「アップル・コープス・リミテッド」が設立され、「アップル・ブティック」等の事業が展開される(甲第16号証の7)。また、その年8月に発表された18枚目のシングル「Hey Jude/Revolution」は全世界で大ヒットし、ビートルズのシングルの中で最も売れた作品となった(甲第16号証の7)。
続いてリリースされたアルバム「The Beatles」(通称、「ホワイト・アルバム」)も世界中でかつてないほどの大ヒットとなり、全米だけでも2002年4月19日の時点で1900万枚を売り上げている(甲第16号証の7、甲第17号証)。
(3)ビートルズの記録
ビートルズがリリースしたシングル計22枚のうち、トップテン入りしなかったのは、デビューシングルの「ラブ・ミー・ドゥ」のみである。ビルボードの記録でも、チャートNo.1シングル&アルバム最多獲得アーティストでいずれもトップに君臨している(甲第17号証)。なお、最も多くカバーされた曲として「ビートルズ」の「Yesterday」はギネスブックにも認定されている(甲第17号証)ことから、世界中のアーティストに愛され、尊敬されていることが分かる。
(4)ビートルズの解散後
解散後もその人気が衰えることはなく、2006年11月には、アルバム「LOVE」が発表された(甲第18号証)。日本国内のチャートで3位に初登場し、これでビートルズのアルバムTOP10獲得数は17作目となり洋楽アーティスト歴代単独1位になった(甲第19号証)。
したがって、現在でもその周知・著名性が失われていないことは言うまでもない。
以上より、「ビートルズ」が日本国内はもとより、世界中で広く知られた著名なアーティストであることは明確である。
(5)申立人の引用商標「The Beatles」の周知・著名性
商標としての「The Beatles」の標章は多種多様な商品及び役務に使用され、かかる商標を付した商品及び役務等は世界的に著名なアーティストであるビートルズに関連した商品等である、という一定の出所を表示し、その偉大なアーティストのブランドイメージを汚さぬよう一定の品質ないし役務の質が保証されているものである。
そして、その取り扱い商品は多岐にわたり、例えば、Tシャツ、帽子、ピンバッジ、フィギュア、ステッカー、マウスパッド、カレンダー、ポスター、ライター、携帯電話用ストラップ等である(甲第20号証)。甲第20号証に掲げた指定商品は一例であるが、商標「The Beatles」が需要者・取引者の間に広く認識されていることはいうまでもない。
3 本件商標と引用商標の類否判断について
(1)本件商標
「ビートルズ」が世界的に著名なロックバンド「The Beatles」の呼び名として日本のみならず世界でも通用している事情より、本件商標「ビートルズ大学」からは「ビートルズダイガク」の称呼の他、略称による「ビートルズ」の称呼が生ずるものといえる。
(2)引用商標
上記より、引用商標1と引用商標13とはその構成を標準文字「BEATLES」で同一にしており、「ビートルズ」の称呼が生ずることは言うまでもない。また、引用商標2ないし12は、いずれも「THE」の欧文字を上段に「BEATLES」の欧文字を下段に配してなる構成でほぼ同一ないし相似形をなしており、「ザビートルズ」の称呼の他、通常、日本において冠詞「The」を称呼しないことが多いという事情に鑑みても「ビートルズ」の称呼をも生ずるものである。
4 商標法第4条第1項第8号について
上述のとおり、「The Beatles」は世界的に著名な団体(ロックバンド)名であり、「ビートルズ」の称呼はその著名な名称(芸名)の著名な略称であって特定人を表示するものとして世間一般に広く知られているものである。
よって、商標法第4条第1項第8号にいう「著名な略称」にあたるといえる。本件商標「ビートルズ大学」は商標法第4条第1項第8号でいう「他人の著名な名称(芸名)」の「著名な略称」である「ビートルズ」を含む商標であり、当該「他人」である「The Beatles」の承諾を受けているものとは認められないから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
5 商標法第4条第1項第10号について
上述のとおり、本件商標「ビートルズ大学」からは「ビートルズ」の称呼が生じ、他方、周知・著名な引用商標1からも「ビートルズ」の称呼が生ずることから、両商標は互いに類似する。なお、仮に本件商標から「ビートルズダイガク」の称呼しか生じないとしても、本件商標は需要者の間に広く認識された他人の未登録商標「ビートルズ」と他の文字とを結合した商標に当たるから、その外観構成上まとまりよく一体に表されているとしても、未登録商標「ビートルズ」と類似するものといえる。
また、本件商標は、その指定役務について、引用商標1に係る指定役務と同一又は類似する。
以上より、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その役務に同一又は類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
6 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は「ビートルズ」の称呼を生じることは明らかであるので、引用商標1と類似し、本件商標は、指定役務について引用商標にかかる指定役務と同一又は類似する。なお、仮に本件商標から「ビートルズダイガク」の称呼しか生じないとしても、本件商標は需要者の間に広く認識された他人の登録商標「The Beatles」を日本語読みした「ビートルズ」と他の文字とを結合した商標に当たるから、その外観構成上まとまりよく一体に表されているとしても、登録商標「The Beatles」と類似するものといえる。
以上より、本件商標は、本件商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標に類似する商標であって、その商標登録に係る指定役務に同一又は類似する役務について使用するものであるから商標法第4条第1項第11号に該当する。
7 商標法第4条第1項第15号について
「The Beatles(ビートルズ)」は上記のように、解散から40年近く経った現在でも根強い人気を誇り、その標章の知名度は、日本国内はもちろん世界中に広く知れ渡っている。そして、「The Beatles 」、「Beatles」といった商標も多種多様な商品又は役務について広く使用されており、引用商標1〜13で指定する商品・役務に鑑みても、「The Beatles」の版権を管理する申立人「アツプル コープス リミテツド」は多角経営の可能性が高いものといえる(甲第21号証)。
また、本件商標の引用商標1〜13のいずれとも類似しない上記指定役務についても、引用商標1〜13を有する申立人の業務と関連性を見出すこともできる。
他方、本件商標「ビートルズ大学」は上述のとおり「ビートルズ」の称呼を有し、他人である「アツプル コープス リミテツド」の業務にかかる商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるといえる。すなわち、「ビートルズ大学」を使用することで、「アツプル コープス リミテツド」の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがあるのみならず、「アツプルコープス リミテツド」と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品等であると誤認し、その商品等の出所について混同するおそれがある。
なお、仮に本件商標から「ビートルズダイガク」の称呼しか生じないとしても、本件商標は需要者の間に広く認識された他人の周知・著名商標「ビートルズ」と他の文字とを結合した商標に当たるから、その外観構成上まとまりよく一体に表されているとしても、周知・著名商標「ビートルズ」と類似するものといえる。
以上より、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずる
おそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
8 商標法第4条第1項第19号について
上述より、引用商標1〜13は、申立人の業務である「The Beatles」の関連商品・役務を表示するものとして、日本国内はもとより世界中で広く認識されている周知・著名商標であることは言うまでもない。
商標権者は、すでに本件商標を用いて「ビートルズ」関連の知識の教授や書籍の制作、イベントの興行等を業として広く行っており(甲第22、甲第23号証)、「The Beatles」の著名性を利用してその不正の利益を得るというフリーライドの意思が確認され、不正の目的を現に有しているといえる。
以上より、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
9 商標法第4条第1項第7号について
なお、仮に本件商標の指定役務との関係で上記理由のいずれにも該当しないとした場合や、商標としての「The Beatles」、「Beatles」ないし「ビートルズ」が周知・著名でないと判断される場合であっても、日本国においてその名称又は略称をもって著名な外国の団体と無関係な者が、その承諾を得ずに当該団体の名称又は略称からなる商標に類似した商標の設定登録を受けることは、それが商標法第4条第1項第8号、同第15号等によって商標登録を受けることができない場合に該当しないとしても、当該団体の名声をせん用して不正な利益を得るために使用する目的、その他不正な意図をもってなされたものと認められるため、商取引の秩序を乱すものであり、ひいては国際信義に反するものとして、公序良俗を害する行為というべきである。
以上より、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
10 結び
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
第3 当審の取り消し理由(要旨)
申立人より提出された証拠によれば、「THE BEATLES」(ザ・ビートルズ)は、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人で編成されたロックバンドで、1962年にレコードデビューし、世界的アイドルとして成功を収める一方、1960年代以降のロック・ポップスに与えた影響も含め、その楽曲の普遍性、革新性もまた高く評価されており、最も成功を収めたロック・グループとして、周知・著名であるところ、その人気は1970年の解散後の現在でも衰えることなく、その知名度は、日本国内はもちろん世界中に広く知られている。そして、「The Beatles」、「Beatles」等の商標も、その版権を管理する申立人によって、多種多様な商品及び役務について広く使用されていることが認められる。
しかして、本件商標は、上記のとおり「ビートルズ大学」の文字よりなるところ、これは前記したとおり世界的に著名な団体(ロックバンド)の名称(芸名)の著名な略称と認め得る「ビートルズ」を含む商標であって、その承諾を得ているものとは認められない。
してみれば、本件商標は、他人の名称(芸名)の著名な略称を含む商標といわざるを得ない。
また、本件商標権者は、すでに本件商標を用いて「ビートルズ」関連の知識の教授や書籍の製作、イベントの興行等を業として行っている(甲第22号証、甲第23号証)ことが認められ、かつ、本件商標の指定役務中には、「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,楽器の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与」といった役務が含まれており、これらは主として楽曲・映像等を管理する申立人(アツプル コープス リミテツド)の業務に係る役務と関連性の深いものと認められる。
してみれば、本件商標をその指定役務に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、「ビートルズ」の文字に着目し、著名な「THE BEATLES」(ザ・ビートルズ)を連想、想起し、申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反して登録されたものである。
第4 商標権者の意見
上述した取消理由の通知に対し、商標権者は意見書を提出していない。
第5 当審の判断
当審は前記第4のとおり、商標権者に対し取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
したがって、本件商標の登録は、上述した取消理由により商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反してされたと認められるから、申立人のその余の申立理由について判断するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。