結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2007−890016(T2007−890016/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4917157号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成16年12月24日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類」を指定商品として、同17年12月22日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の無効の理由に引用している商標は、以下の6件の商標である(これらの商標をまとめていうときは、単に「引用商標」という。)。
(1)登録第1966497号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ドクターベルツ」の文字を横書きしてなり、昭和59年11月2日に登録出願、第4類「せつけん類、歯みがき、香料類」を指定商品として、同62年7月23日に設定登録されたものである。
(2)登録第2315839号商標(以下「引用商標2」という。)は、「株式会社ドクターベルツ」の文字を横書きしてなり、昭和62年10月28日に登録出願、第4類「化粧品」を指定商品として、平成3年6月28日に設定登録、その後、指定商品については、同14年6月12日に、第3類「化粧品」に書換登録がなされているものである。
(3)登録第2715551号商標(以下「引用商標3」という。)は、「Dr.BAELTZ」の文字を横書きしてなり、昭和62年10月6日に登録出願、第4類「せつけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、平成8年8月30日に設定登録、その後、指定商品については、同19年4月25日に、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」に書換登録がなされているものである。
(4)登録第2721731号商標(以下「引用商標4」という。)は、「Dr.Baeltz from the creators of beautiful skin」の文字を横書きしてなり、昭和62年10月8日に登録出願、第4類「せつけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、平成9年5月23日に設定登録がなされているものである。
(5)登録第4376446号商標(以下「引用商標5」という。)は、「ドクターベルツ」の文字と「生きている素肌を創る」の文字を二段に横書きした構成よりなり、平成11年1月20日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」及び第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、同12年4月14日に設定登録がなされているものである。
(6)登録第4398521号商標(以下「引用商標6」という。)は、「ドクターベルツ」の文字と「活肌」の文字を二段に横書きした構成よりなり、平成10年4月23日に登録出願、第3類「肌用化粧品」を指定商品として、同12年7月7日に設定登録がなされているものである。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第405号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、ローマ字「Dr.Verti」から「ドクターベルチ」の称呼を生じ、一方、引用商標は、いずれも「ドクターベルツ」又は「Dr.BAELTZ」の文字を含む商標であり、該文字部分を要部とする商標であるから、この要部から「ドクターベルツ」の称呼を生ずる。
この両称呼を対比するに、それぞれ6音から構成され、その称呼上の差異は、末尾の「チ」と「ツ」のみである。そして、この「チ」と「ツ」の音は、ともにタ行に属する破擦音の無声子音と狭母音からなることから、非常に近似した音であり、しかも、最も聴別しづらい末尾に位置することから、商標全体として類似して聞こえるものである。加えて、本件商標も引用商標も、「ド」・「べ」と濁音が二度繰り返されることから、その濁音の印象が強烈に残り、ただでさえ印象に残りにくい末尾音の印象はさらに弱くなる。そのため、本件商標と引用商標とは、称呼上互いに紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
そして、本件商標の指定商品「化粧品、せっけん類」が引用商標の指定商品と抵触することは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
(ア)請求人及び「ドクターベルツ」「Dr.BEALTZ」商標について
請求人は、1985年に創立され、化粧品、医薬部外品、サプリメントの製造販売を行っており(甲第8号証及び同第9号証)、「ドクターベルツ」「Dr.BEALTZ」は、社名であるとともに、請求人の製造販売する商品の商標である。
請求人は、化粧品、せっけん類など約86アイテムを(甲第10号証)、全国51店舗の直営店における直接販売(甲第11号証)、インターネット、雑誌などによる通信販売、また訪問販売により営業をしており、その売上高は約8億5千万円であり、訪問販売実施企業中全国201位、また、増収率に限ったランキングでは全国30位に位置する優良企業である(甲第12号証)。
請求人は、自社商品に関する情報発信のため、1992年より「BAELTZ NEWS」を、2004年より「ENJOY BAELTZ」を発行し、顧客向けに配布している(甲第13号証ないし同第32号証)。この冊子は、1号あたり約25000冊が配布される(甲第32号証の1)。
さらに、「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」ブランドの商品は、多くの雑誌、新聞等に広告を掲載するとともに、その品質の良さから、多くの雑誌・新聞に何度も取り上げられている(甲第33号証ないし同第274号証)。また、通信販売専門のテレビチャンネル「ショップチャンネル」においても取り上げられ、大反響を呼んでいる(甲第275号証及び同第276号証)。
上記のとおり、請求人の広告努力や掲載記事の多さから、請求人ブランド「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」が化粧品、せっけん類についてその取引者・需要者の間で著名であり、顧客吸引力を有する著名商標であることは明らかである。
(イ)本件商標と引用商標との混同のおそれについて
請求人の調査によると、本件商標を使用した商品は主に薬局などにおいて陳列販売されており、その際に商品の使用方法などを説明したビデオテープを流している。このビデオテープにおいては、「ドクターベルチ」と連呼しており、このビデオテープをみた需要者から、被請求人あてに、被請求人の「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」ブランド商品と混同したという報告があった。
本件商標と引用商標とが、称呼上非類似であるとしても、上記から明らかなとおり、「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」ブランドが著名であることから、本件商標に接する取引者・需要者は、「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」ブランドを認識し、「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」ブランドと混同する。
このことは、インターネットにおいて、「ドクターベルチ」と検索すると、「ドクターベルツではありませんか?」との表示がされることからも、十分に首肯できるものである(甲第277号証)。
(ウ)商品の関連性について
請求人の「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」ブランドは、化粧品、せっけん類について著名である。
一方、本件商標の指定商品も「化粧品、せっけん類」であり、被請求人が本件商標の早期審査請求時に提出した資料及び請求人の調査によると、本件商標は実際にも、ジェル状美容液(化粧品)に使用されているものである。
そのため、本件商標の指定商品と著名な請求人ブランドに係る商品とは同一である。
(エ)取引業界の実情について
化粧品業界においては、他の業界と違わず、商品の発注を電話にて行うことは一般的に行われている。そして、本件商標は、その商標を称呼するビデオテープを流す方法によって、需要者の注目を集め、販売している。
商標の称呼は、商標を認識し、区別する際に最も着目するものである。そのため、仮に、本件商標が引用商標の称呼と非類似であるとしても、請求人の「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」ブランドが著名であることから、本件商標の称呼を耳にした取引者・需要者が請求人ブランドと混同することは容易に想像できる。
また、本件商標の外観は、引用商標及び請求人の「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」ブランドのパッケージとは異なるものであることは、請求人も異論がない。しかし、化粧品のパッケージは、しばしばリニューアルされるものであり、また、販売チャネルによってパッケージデザインを変更することも有り得る。特に、本件商標を使用した商品は、請求人においては、これまでほとんど販売していなかった未着手の流通ルートであるドラッグストア(薬局・薬店)における販売であり、比較的廉価な商品であることから、需要者が「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」ブランドの廉価版であると誤認する可能性が非常に高い。また、実際にそのような誤解が生じた事例がある。
さらに、請求人の「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」商品の品質評価と相俟って、有力女性誌、有力新聞他マスコミ媒体で頻繁に記事紹介をされたり、消費者の関心も高く急伸長しているTV通販における高い反響等もあり、市場での強い商品力・ブランド力が評価されたことにより、最近では有力ドラッグストア(薬局・薬店)、有力バラエティストアにも請求人商品の取扱いが拡大している。
さらに、観念については、本件商標から「ベルチ博士」、引用商標から「ベルツ博士」との観念が生じる。「ベルツ博士」は、「ベルツ水」という化粧水の考案者として知られているが(甲第278号証)、「ベルチ博士」からは特定の人物を認識しない。そのため、「ベルチ博士」という観念は強く残らず、観念による差異をもって、本件商標と引用商標を区別することは非常に困難である。また、「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」ブランドが著名なことに加え、「ベルツ博士」が知られている一方、「ベルチ博士」という特定の人物が知られていないことから、本件商標に接した取引者・需要者が請求人ブランド又は「ベルツ博士」を認識すると考えるのが自然である。
以上のとおり、本件商標と引用商標に外観・観念上の相違があるとしても、それをもって、本件商標と引用商標とが混同しないとは言えず、本件商標と引用商標とは、その称呼の類似性及び「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」の著名性から混同を生じるおそれがあるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
過去の審決例に照らしてみれば、7音という比較的冗長な構成音数においては、本件商標と引用商標の語尾における相違が必ずしも明確に聴別されるとは到底言い難く、さらに、差異音の「チ」と「ツ」の音の調音方法・音感・音質などが非常に類似していることとも相挨って、本件商標と引用商標の要部とを聴別し難いものとしていることは明らかである(甲第279号証ないし同第292号証)。
(2)商標法第4条第1項第15号について
(ア)被請求人は、大多数の需要者は請求人の商品を直接、店舗において手にする機会はなく、また実際に目にする機会もない旨主張しているが、請求人のホームページに掲載している店舗は、請求人が定める一定基準をクリアする店舗のみであり、これら店舗以外にも、請求人ブランドの専門店舗は70店舗以上存在する(甲第293号証)。この他にも、東急ハンズやイトーヨーカドー(甲第294号証)など、請求人ブランドの商品を取り扱う店舗は全国各地に多数存在する。また、商標が著名になっていくためには、多くの需要者が必ずしも実店舗において商品を手にとって眺めることが必要な訳ではない。雑誌などへの掲載、広告、インターネットなどでの掲載によってその認知度を高め、著名性を獲得していくのが一般的である。
(イ)請求人の2005年度の売上高が8億5千万円ということが「僅か」と表現される数字とは考えられない。請求人と同じく販売方法が「訪問販売」の化粧品会社は、僅か12社に過ぎない。請求人は、訪問販売を主たる販売方法とする化粧品会社の中では、2005年度の売り上げが全国で13位に位置する会社であり、そのメインブランドである「Dr.BAELTZ」「ドクターベルツ」は十分に周知である。
(ウ)被請求人は、最近の雑誌掲載の数が極めて少ない旨主張しているので、2005年ないし2007年の雑誌掲載のコピーの一部を追加証拠として提出する(甲第296号証ないし同第402号証)。これらの追加証拠から、請求人ブランドが最近においても変わらず多数の雑誌に取り上げられていることがわかる。
(エ)被請求人は、本件商標と引用商標の商品パッケージは全く異なるものであるから、請求人商品と見誤るおそれはない旨主張しているが、商品のパッケージは、しばしばリニューアルされるものであり、そのため、現在の請求人の商品パッケージと被請求人の商品パッケージが異なるからといって、混同が生じるおそれがないとは言い切れない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は「ドクターベルチ」の称呼を生じ、引用商標は「ドクターベルツ」の称呼を生ずるところ、その差異音である「チ」と「ツ」は、いずれも破裂音であって、称呼上明確に発音される音であり、加えて、その母音は、本件商標が「イ」、引用商標が「ウ」と異なっているため、音質が全く異なっている。さらに、両商標は7音という格別冗長でもない音構成であるから、両者の差異は、たとえ語尾であろうとも、明瞭に称呼されるものであって、容易に聴別可能である。
また、請求人は、両商標は濁音が二度繰り返されることから、その濁音の印象が強烈に残り、末尾音の印象は一層弱くなる旨主張しているが、濁音が二度繰り返されるということは、そこで一度軽く一区切りされるということであるから、むしろ逆に、本件商標であれば「ドクター」「ベルチ」という3音がそれぞれ一つの塊として称呼され、3音という非常に短い音数を2回称呼するということであるから、いずれの音もはっきりと称呼されると解するのが自然である。このことは、引用商標の称呼についても同様であり、「ドクター」「ベルツ」がそれぞれはっきりと称呼されるものである。
加えて、本件商標の観念は「ベルチ先生、ベルチ博士」の如き意味合いであり、引用商標の観念は「ベルツ先生、ベルツ博士」の如き意味合いである。つまり、「ドクター」部分は、いわゆる人の名称に対する敬称であるから、後半部分がより明瞭に称呼されるのは明らかであり、この点からも、後半部分の「ベルツ」と「ベルチ」は明瞭に称呼されるというべきである。
また、両商標は、外観及び観念については明らかに非類似である。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれもが全く異なるものであるから、全体としては非類似となり、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
(ア)請求人は、引用商標の著名性を裏付ける証拠として、全国51店舗の直営店における直接販売を行なっていることをあげている。
しかしながら、51店舗のうち8店舗は北海道、12店舗は沖縄県、5店舗は東京都に集中しており、更にいえば、これら直営店舗の規模については甲第11号証においては何ら触れていない。つまり、大多数の需要者は、請求人の商品を直接店舗において手にする機会はなく、また実際に目にする機会も無いといっても過言ではない。
(イ)請求人は、その売上高は約8億5千万円であり、訪問販売実施企業中全国201位であり、増収率に限ったランキングでは全国30位に位置する旨主張している。
しかしながら、甲第12号証によれば、上位100社の売上高(出荷ベース)合計は1兆8491億円にものぼり、1位の会社の売上高は1166億8千万円である。また、主力商品を化粧品とする会社のトップは全体の中では11位に位置し、売上高は373億5千万円にものぼる。これに対し、請求人の売上高は僅か約8億円にすぎない。
また、増収率についても、自社の売り上げが前年度比でいくら上昇したかという問題にすぎず、このことをもって、請求人企業が優良企業であり、請求人ブランドが著名であるとは必ずしもいえない。
(ウ)請求人は、自社商品に関する情報誌を発行し顧客向けに配布しており、1号あたり約25000冊が配布される旨主張している。
確かに、請求人は、年4回のペースで情報誌を発行していることはわかるが、このような情報誌の中には毎月発行されるものも多数あることからすると、年4回のペースでの発行というのは決して多いとは言えない。
加えて、甲第32号証の1からわかるのは、「ENJOY BEALTZ」の第55号(2006年夏の号)が2万5千部印刷されたということだけであり、2万5千部が配布されていることの証明にはならない。通常、こういった冊子は、直営店舗のフリーペーパーとして置かれたり、商品を購入した顧客にサービスとして配られたりするものである。こうした性質を考えれば、印刷された2万5千部全てが需要者に配布されるものではなく、実際にこの冊子を手にする人の人数は、発行部数に比してあまり多くはないと思われる。さらに、この証拠は、第55号について2万5千部印刷されたという事実のみであって、毎回2万5千部が印刷されるということを示すものではない。
(エ)請求人は、雑誌・新聞等に取り上げられたとして、甲第33号証ないし同第274号証を提出している。
しかしながら、甲第247号証ないし同第274号証は、いわゆる業界新聞等への掲載であって、一般需要者が目にする機会の極めて少ないものが多く、これらを著名性の証拠として採用することは適当ではない。そこで、これらを除いた雑誌への掲載についてみてみるに、各年ごとの掲載数でみてみると決して多いものではなく、しかも、2002年以降は0ないし2件と極めて少ない。
また、通信販売専門のテレビチャンネルに取り上げられたとしているが(甲第275号証及び同第276号証)、番組表や商品の販売を行っている画面の資料には、請求人の名称や「Dr.BEALTZ」「ドクターベルツ」なるブランド名は、一切記載されていない。
以上より、請求人が提出している甲第11号証ないし甲第276号証からは、請求人のブランド「DR.BEALTZ」「ドクターベルツ」が著名であるとはいえない。
(オ)請求人は、被請求人のビデオテープをみた需要者から、請求人あてに請求人ブランド「Dr.BEALZ」「ドクターベルツ」と混同したという報告があったと主張しているが、そのような報告が何件あったのかは一切明らかにしていない。
(カ)請求人は、インターネットにおける検索情報について主張しているが、本件商標を付した商品はネット販売を行っていないから、一般の人がブログ等で商品を取り上げてくれない限りは、検索ワードに存在しないことになる。検索エンジンは、「ドクターベルツ」が著名であるから、「ドクターベルツではないですか?」と尋ねてきているのではなく、単に、システムが「ドクターベルチ」という言葉はネット上には存在しないが、一語異なる「ドクターベルツ」という言葉はネット上に存在しているということを検出してきたという非常に機械的な作業の結果にすぎない。
(キ)請求人の商品は、請求人のホームページでのネット販売、直営店による直接販売、訪問販売が主であるから、ドラッグストアにおいて自分の目で商品を確かめて購入する被請求人の商品とは、明らかに販売形態が異なっており、混同を生ずるおそれはない。
(ク)請求人の「Dr.BEALTZ」「ドクターベルツ」ブランドは、大体において白地に「Dr.BEALTZ」「ドクターベルツ」をゴシック体において書した非常にシンプルなデザインである。
これに対して、本件商標のデザインは青リボンに白抜き文字であり、請求人のブランドのイメージとは明らかに異質であって、請求人のブランドが仮に著名であるとすれば、なおのこと、この異質なデザインを請求人のブランドであると混同する可能性は極めて低いといえる。
また、請求人は、ドラッグストア(薬局・薬店)は未着手の流通ルートであることを認めている。そうすると、商品パッケージの相違と相俟って、本件商標を付した商品との混同は生じようがないといえる。この点について、有力ドラッグストア・有力バラエティストアにも請求人商品の取扱いが拡大していると主張しているが、何の証拠も提出されておらず、単に請求人が主張しているのみであって、この点は認められない。
(ケ)観念の点についても、人の名前というのは、よく似たものがあるから、仮に、請求人の主張どおり「ベルツ博士」が有名だとしても、本件商標の「ベルチ博士」とは異なることは明らかである。
(コ)以上より、本件商標と引用商標が混同を生じるとの請求人の主張は、その理由がいずれも不適切であり、請求人の主張する理由をもって本件商標と引用商標が混同、若しくは混同を生じるおそれがあるとは到底いえない。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(1)商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標は、別掲のとおり、一部が重ね折りされた青色のリボン様の図形の中に、「Dr.Verti」の文字を白抜きで表してなるものであるところ、「Dr.」の文字部分はリボンの左側部分に、また、「Verti」の文字部分はリボンの右側部分に、それぞれの文字がリボンに沿うように書されているものであって、リボンと文字とが不可分一体的に表現されているものである。
そして、構成中の文字部分のみをみるに、上記のとおり、「Dr.」と「Verti」の各文字部分は、横一連に表されているものではないが、「Dr.」の語がこれに続く人名に対する敬称であることとも相俟って、該欧文字部分は、全体として一体のものとして看取されるものであり、該構成文字全体に相応して「ドクターベルチ」の一連の称呼を生じ、「ベルチ先生(博士)」の如き意味合いを生ずるものということができる。
他方、引用商標は、前記したとおり、「ドクターベルツ」「Dr.BAELTZ」又は「Dr.Baeltz」の文字を書してなるか、あるいは、これらの文字を構成中に有するものであるところ、いずれも、「ドクターベルツ」「Dr.BAELTZ」又は「Dr.Baeltz」の文字部分が要部と認められるものであるから、該文字に相応して「ドクターベルツ」の一連の称呼を生じ、「ベルツ先生(博士)」の如き意味合いを生ずるものと認められる。
(イ)そこでまず、本件商標から生ずる「ドクターベルチ」の称呼と引用商標の要部から生ずる「ドクターベルツ」の称呼とを比較するに、両称呼は語尾の音において「チ」と「ツ」の音の差異を有するものである。
しかして、この「チ」の音は、舌尖と上前歯との間で形成される無声破擦音と母音[i]との結合した音節であり、また、「ツ」の音は、舌端を上前歯のもとに密着して破裂摩擦させる無声子音と母音[u]との結合した音節であって(岩波書店発行の広辞苑参照)、いずれも、摩擦を伴った音であることから、それ自体、決して響きの弱い音ではなく、語尾に位置する音とはいえ、明瞭に発音され、聴取され得るものである。
そうとすれば、本件商標から生ずる「ドクターベルチ」の称呼と引用商標の要部から生ずる「ドクターベルツ」の称呼は、冗長にわたるものでもなく、しかも、構成各音が一音一音、歯切れ良く明確に発音・聴取されるものであるから、両称呼の差異音である「チ」と「ツ」の差異音が両称呼の全体に及ぼす影響は決して少なくなく、それぞれを一連に称呼しても、互いに聞き誤るおそれはないものというのが相当である。
ところで、請求人は、弁駁書(4頁)において、「本件商標の指定商品である『化粧品,せっけん類』については、いわゆる『ドクターズコスメ』が人気を博しており、これらの商品の商標には『ドクター』が付いていることが肝要である。そのため、被請求人が主張するように『ドクター』部分が軽く称呼されることはなく、『ベルチ』『ベルツ』部分と同様の比重を持って称呼されるものである。」と述べている。
これについては、例えば、産経新聞2005年7月13日の大阪夕刊においては、「【これが流行 これが人気】ドクターズコスメ 専門医も参加で安心感」の表題のもとに、「女性用化粧品で、皮膚科などの医師が開発に携わった『ドクターズコスメ』が人気だ。さまざまな化粧品を使っているうちに肌荒れする女性が増え、信頼度が高く肌に優しい基礎化粧品の需要が高まっているからだ。爆発的にヒットしてブランド化したものも登場している。・・・医師が開発に携わったこうした化粧品が『ドクターズコスメ』だ。法に基づいた分類名ではないが、広く浸透した呼び名で、インターネットで検索すると約十四万件もヒットする。『メディカル(医療)コスメ』と呼ばれることもある。刺激が少なく、効果を早期に実感できることに力点を置いたものが多い。」旨記載されており、他にも多くの新聞において、「ドクターズコスメ」の記事をみることができる。
これらの実情からみれば、本件商標の指定商品である「化粧品,せっけん類」との関係においては、「Dr.(ドクター)」の文字から「ドクターズコスメ」を理解・認識させることとなり、「Dr.(ドクター)」の文字を冠する商標に接する取引者・需要者は、商品自体を慎重に見極めるとともに、商標の観察においても、「Dr.(ドクター)」に続く名前の部分にも充分な注意を払って取引に当たるものということができるから、その際には、前記した「ベルチ」と「ベルツ」の称呼における「チ」と「ツ」の音の差異はより一層明瞭なものとなるといえる。
(ウ)次に、本件商標と引用商標の外観についてみるに、上記したとおり、本件商標は、リボン様の図形の中に「Dr.Verti」の文字を表したものであるが、このリボン様の図形は単なる装飾的な輪郭図形というよりは、「Dr.Verti」の文字と一体的に表されており、この構成全体が看者に強い印象を与えるものということができる。これに対して、引用商標は、いずれも文字のみからなるものであるから、両者の全体的な外観には顕著な差異が認められるものである。また、互いの文字部分のみを比較してみても、欧文字から構成されている引用商標3及び4と本件商標とを比較するに、本件商標は「Dr.Verti」の文字からなるのに対して、引用商標3は「Dr.BAELTZ」、引用商標4は「Dr.Baeltz」の綴りからなるものであるから、「Dr.」部分を同じくするとしても、名前の部分の綴りを全く異にするものであるから、これらの商標の外観を見誤るおそれはないものというべきである。そして、その他の引用商標1、2、5及び6に含まれている文字は、片仮名文字の「ドクターベルツ」であるから、「Dr.Verti」の欧文字からなる本件商標とは明らかな差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観においても充分に区別し得るものである。
(エ)さらに、両商標の観念についてみるに、前記したとおり、本件商標からは「ベルチ先生(博士)」の観念を生じ、引用商標の「Dr.BAELTZ/Dr.Baeltz」又は「ドクターベルツ」からは「ベルツ先生(博士)」の観念を生ずるものであって、両者は、別異の人物(先生、博士)を想起させるものであるから、互いに識別し得るものというべきである。
(オ)してみれば、本件商標と引用商標とは、外観において顕著な差異を有するとともに、称呼及び観念においても明らかな差異を有するものであるから、互いに紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものということはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
(ア)請求人の提出に係る証拠及び主張によれば、請求人は、1985年創立の化粧品、医薬部外品、サプリメントの製造・販売を行う事業者であり(甲第8号証[請求人ホームページの会社概要抜粋]、同第9号証[請求人の会社案内パンフレット])、「ドクターベルツ/Dr.BEALTZ」の標章は、請求人の社名の略称であるとともに商標としても使用されているものであることが認められる。
そして、請求人は、化粧品、せっけん類など約86アイテムを(甲第10号証[請求人ホームページの商品一覧])、全国51の店舗(甲第11号証[請求人ホームページの店舗一覧])をはじめ、請求人ブランドを扱う専門店舗は70店舗以上存在し(甲第293号証[請求人ブランド専門店一覧表])、この他にも、東急ハンズやイトーヨーカドー等の請求人ブランドの商品を取り扱う店舗において直接販売をするとともに、インターネット、雑誌などによる通信販売を行い、また、訪問販売にも力を入れて営業をしており、その売上高は2005年度において約8億5千万円であり、訪問販売実施企業中全国201位、また、増収率のランキングでは全国30位に位置する企業であることが認められる(甲第12号証[日本流通産業新聞2006年8月10日・17日合併号])。そして、請求人は、自社商品に関する情報発信のため、1992年より「BAELTZ NEWS」(甲第13号証ないし同第23号証)を、2004年より「ENJOY BAELTZ」(甲第24号証ないし同第32号証)を発行しており、「ENJOY BAELTZ」(エンジョイベルツ)の第55号は、25000冊が印刷・納品されていたことが認められる(甲第32号証の1)。
さらに、引用商標に係る商品は、主婦の友社発行の「ef」、小学館発行の「CanCam」、講談社発行の「ViVi」、集英社発行の「LEE」、日経MJ、産経新聞、訪販ニュース、週刊粧業等々、多くの雑誌、新聞等に広告を掲載するとともに、多くの雑誌・新聞に取り上げられており(甲第33号証ないし同第274号証、同第296号証ないし同第402号証)、通信販売専門のテレビチャンネル「ショップチャンネル」においても取り上げられていたことが認められる(甲第275号証、同第276号証)。
上記した甲各号証を総合してみれば、請求人の使用に係る「ドクターベルツ」及び「Dr.BEALTZ」の商標は、本件商標の登録出願時において、請求人の業務に係る化粧品、せっけん類等の商標として、取引者・需要者の間において相当程度広く認識されていたものであるということができる。
(イ)しかしながら、前記したとおり、本件商標と引用商標とは十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、被請求人が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が請求人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものということはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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