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Trademark Appeal Case

商標の周知著名性判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第90566号
審判種別異議
結論other

結論テキスト

登録第4225487号商標の登録を取消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4225487号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年5月21日に登録出願され、別紙(1)に表示したとおりの構成よりなり、商品の区分第14類に属する商標原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成10年12月25日に設定登録されているものである。

2 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の異議理由

(1)本件申立人「ミラノ・ピエロ」社は、イタリアにおいて1953年に「ミラノ・ピエロ(Milano Piero)」及び「ルイジ・ベンツィ(Luigi Benzi)」なる二名のイタリア人金細工商人によって設立された会社で、当初から、宝石入り貴金属製の指輪、ブレスレット、ネックレス、ペンダント、首飾り、イヤリング、ブローチ等の高級身飾品を製造し、「MILANO PIERO」及び「PIERO MILANO」の商標の下に販売を始めて現在に至っているもので、イタリア国内での販売はもとより、アメリカを始めとしてブラジル、アルゼンチン、カナダ、英国、フランス、日本等多くの国々にも輸出され、近年においては年間1300万ドル(約16億9000万円)の売上げに達するまで成長し、その結果、前記商標「MILANO PIERO」及び「PIERO MILANO」は申立人会社の商品を表示するものとして、この業界及び一般消費者間において周知著名なものである(甲第2号証の1法定宣言書及び甲第2号証の2同宣言書の翻訳文)。

(2)申立人会社が1953年以来同社の商品について使用してきた商標は次のようなものである。まず、甲第2号証の1法定宣言書の別表(2)に記載の如きローマ字「M」と「P」を大文字で書してなる「Milano Piero」を筆記体で表したもの、同法定宣言書別表(4)に記載の如きローマ字「P」と「M」を大文字で書してなる「Piero Milano」の「Piero」と「Milano」の中間に「GIOIELLI」(イタリア語で宝石を貴金属にちりばめた装身具の意。)の語を縦に配してなるもの、並びに、同法定宣言書別表(5)に記載のようなゴシック体のローマ字大文字をもって「PIERO MILANO」と横書きしてなるものである(以下、「申立人商標」という。)。

因みに、「MILANO PIERO」なる語は、申立人会社の創設者の一人の姓名に由来するもので(甲第2号証、甲第3号証)、申立人会社の商号の主要部である。これらの申立人商標は、甲第3号証乃至甲第6号証販売促進用リーフレット及びパンフレット並びに甲第7号証及び甲第8号証店頭用ディスプレイに記載されているように表示されて使用されているものであり、同リーフレット、パンフレット、ディスプレイは世界各国の顧客、即ち卸売業者及び小売販売店等に無料で提供されているものである。

(3)わが国の身飾品(ジュエリー)業界において、イタリア製の宝石入り高級身飾品(ジュエリー)が高く評価されるようになった要因の一つとして、1984年以来、継続して毎年わが国において開催されている「イタリアン・ジュエリー・コレクション」なる商品展示会を挙げることができる。この展示会は、イタリアローマに本部をおくイタリア貿易省直轄の機関であるイタリア貿易振興会によってイタリア製品の輸出・技術提携の促進、海外市場へのイタリア製品の浸透を図るためのプロモーション等の一環として毎年開催されている。前記「イタリアン・ジュエリー・コレクション」はイタリア貿易振興会によって選ばれたイタリア優良企業30社乃至60社が各年参加出展しており、本申立人会社も選ばれて、1994年以降、日本において開催されている「イタリアン・ジュエリー・コレクション」に参加出展している。1994年以降わが国で開催され、申立人会社が参加出展した「イタリアン・ジュエリー・コレクション」に関する開催日、開催場所、出展イタリア企業数、参会日本企業(入場者)数等は甲第9号証イタリア貿易振興会東京事務所長作成に係る書面に記載の通りである。この種の展示会への入場は限られた招待者、即ち、この種商品の卸売業者及び小売業者のみで、業者・小売業者の保護及び展示商品からのデザイン盗用等を防止するために招待者以外は立ち入りできないものであるが、各年の展示会には毎回、有に1、000社以上の業界に関与する日本企業(業者)が招待され、入場しており(甲第9号証)、この数からしても、いかにこの「イタリアン・ジュエリー・コレクション」がこの種の業界において重要視されているイベントの一つであるかを窺い知ることができる。

以上を考慮するに、申立人会社はこの「イタリアン・ジュエリー・コレクション」に1994年以来、毎回参加出展し申立人商標を附した同社商品が多数展示され、多数の業者の目に触れ同時に日本企業との商取引が多数成立するに至っている事実及び同展示会に際して入場者に配布される出展イタリア企業の出展情報等(甲第10号証乃至甲第16号証)によって、申立人商標は申立人会社の商品を表示するものとして、わが国における当業者及び需要者の間で広く認識されるに至っているものであることは容易に推認し得るものである。

(4)このように、この種の展示会は出展企業にとって商品を宣伝し、多数の日本企業(顧客)と接することができる千載一遇の機会であり多くの商取引の成立を可能にするものである。申立人会社もまた1994年に参加出展して以来、多数の日本企業と商取引(同社の商品の販売)を成立させることができたのである。即ち、甲第20号証の1以下甲第20号証の65のインボイスの写本は、日本企業と取引を行った際のものであって、日本の一流商社、有名宝飾店が数多く含まれている事実を見ることができる。

▲1▼申立人と本件商標権者との関係

申立人会社は、1996年8月27日から29日に東京ホテルオークラにおいて開催された第13回イタリアン・ジュエリー・コレクション」において本件商標権者である「株式会社フルミヤ」と出会い、1996年9月5日以来、同社の関連子会社である「株式会社ザ・エム・シー」へ「ダイヤ入り指輪、宝石入りブレスレット、宝石入りペンダント、宝石入りネックレス」等の商品を販売してきたものである。甲第2号証の1に添付されているインボイスの写本は、これらの取引の事実を示すものである。同インボイスに記載されている「THE M.C.LTD.(株式会社ザ・エム・シー)」なる会社が本件商標権者である「株式会社フルミヤ」の関連子会社であることは甲第17号証及び甲第18号証並びに社団法人大阪府経営合理化協会の企業情報資料(甲第19号証)によっても極めて明白である。さらに、甲第2号証の1に添付されているインボイス中の1996年9月5日、1997年4月4日、1997年5月5日付のものには宛先社名「THE M.C.CO.LTD.」に加えて「MRS.REIKO FURUMIYA」気付なる記載があり、これが「株式会社フルミヤ」及び「株式会社ザ・エム・シー」の「取締役古宮れい子」(甲第17号証及び甲第18号証)を指名するものであることは容易に理解し得るものであるから、「株式会社フルミヤ」と「株式会社ザ・エム・シー」は上記の如き関係にあることに疑いの余地なきところである。

▲2▼本件商標と申立人商標との類似性

本件商標は、本書第(2)で述べたとおり図形及び文字をもって構成されているものである。一方、申立人商標は、▲1▼で述べたとおりのものである。そこで、本件商標を考慮するに、図形部分について申立人は、これを独創的な図形として認めるとし、また、図形中左右の柱状部分中に白抜きで表示されている「ITALlAN JEWELRY」の文字についても、何ら異議を唱えるものではないが、該図形下部に二段併記してなる「MILANO PIERO」のローマ文字については、申立人会社の二人の創設者のうちの一人である「MILANO PIERO(ミラノ・ピエロ)」氏の姓名に由来する申立人会社の商号の主要部と全く同一の綴り字であり、しかも1953年以来今日まで申立人が継続して製造販売に係る商品「宝石入り貴金属製の指輪、ブレスレット、ネックレス、ペンダント、首飾り、イヤリング、ブローチ等の高級身飾品」について使用してきた申立人商標と同一又は極めて類似するものであり、これより生ずる称呼「ミラノピエロ」についても、申立人会社の二人の創設者のうちの一人である「MILANO PIERO(ミラノ・ピエロ)」氏の姓名に由来する申立人会社の商号の主要部から生ずる称呼と同一であり、また、申立人が半世紀近く自己の商品について綿々と使用してきた結果、当業者及び需要者間で広く認識されるに至っている申立人商標から生ずる称呼と全く同一であるから、本件商標中この「MILANO PIERO」の文字部分については、これを容認することは出来ない。

▲3▼商標法第4条第1項第10号及び同法第4条第1項第15号について

本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者及び需要者の間に広く認識されている申立人商標と同一または極めて類似するものであって、その商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当するものであり、しかも、申立人会社の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

▲4▼商標法第4条第1項第7号について

商標権者は、申立人が永年使用している「Milano Piero」なる商標が当業者の間で広く認識されている申立人商標であることを知りながら、これと同一又は極めて類似する本件商標を申立人の同意を得ることなく無断で登録したものであり、1996年当時、即ち本件商標登録出願日以前から商標権者は申立人会社と商取引関係にあり、「MILANO PIERO」なる名称が申立人会社の商号の主要部であること及び申立人の商品に使用されている申立人商標で、これがわが国の当業者間で広く認識されているものであることを既に承知していた筈であるから、これが剽窃による不正行為以外のなにものでないことは明白であり、公正な取り引きを重んじる市場の秩序を徒に乱し、ひいては国際社会における信義に反し公序を害するおそれがあるものであるといわざるを得ない。

▲5▼商標法第4条第1項第19号について

申立人は、1991年以来、わが国の販売業者と多数の取引を行っているもので(甲第20号証の1乃至65)、本件商標権者は、この事実を知りながら申立人の業務に係る商品を表示するものとしてわが国及び諸外国において取引者及び需要者の間に広く認識されている申立人商標と同一又は極めて類似する商標を申立人に無断で登録し独占的に使用をしようとしているものであるから、これが不正の目的をもって使用されるものとして糾弾されてしかるべきものである。

3 当審の取消理由

当審では、申立人の異議理由に基づき、商標権者に対し、本件商標は、平成9年5月21日に登録出願、別紙(1)に示すとおり、その構成中に「MILANO」の文字と「PIERO」の文字とを二段に併記したものであり、第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成10年12月25日に設定の登録がなされたものである。

ところで、イタリア国所在のミラノ・ピエロ・エッセ・エルレ・エッレ(以下、「ミラノ・ピエロ社」という。)は、1953年に会社を設立以来、別紙(2)「m」と「p」のモノグラムと名称の略称である「Milano Piero」の文字を筆記体との結合した商標(3)「Milano Piero」の文字を筆記体にて表した商標(4)「Milano Piero」と「GIOIELLI」の文字を組み合わせた構成よりなる商標(5)「PIERO MILANO」の文字よりなる商標(以下、これらを合わせて「引用商標」という。)を「宝石入り貴金属製の指輪、ブレスレット、ネックレス、ペンダント、首飾り、イヤリング、ブローチ」等に使用し、アメリカを始めブラジル、アルゼンチン、カナダ、英国、フランス等、多くの国々に輸出し、また、我が国との関係においては、1984年以来開催されているイタリア貿易振興協会主催の「イタリアン・ジュエリー・コレクション」(我が国のジュエリーに関係する業者が多数招待されている。)に1994年(平成6年)以降毎年出展し、1998年からは日本ジュエリー協会主催の「JAPAN JEWELLERY FAIR’98」にも出展して来た。その結果、「Milano Piero」の文字よりなる商標は、本件商標出願時に、我が国の取引者、需要者に、「ミラノ・ピエロ社」の業務に係る商標として広く認識されているものと認められる。そして、本件商標は、その構成中にミラノ・ピエロ社に係る引用商標「Milano Piero」と同じ綴りの「MILANO」「PIERO」の文字を有してなり、かつ本件商標の指定商品と引用商標に係る商品とは同一又は類似のものである。

してみれば、商標権者は、上記「ミラノ・ピエロ社」に係る引用商標の存在を知りながら、引用商標が商標登録されていないことを奇貨として、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的。)で登録を受けたものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものといわざるを得ない。

4 上記3の当審の取消理由に対して商標権者は何ら意見を述べていない。

5 当審の判断

よって判断するに、「Milano Piero」の文字よりなる商標は、本件商標出願時に、世界各国のみならず我が国においても、取引者、需要者間にイタリア国所在のミラノ・ピエロ・エッセ・エルレ・エッレ(以下、「ミラノ・ピエロ社」という。)の業務に係る商標として広く認識されていた商標と認められるものである。

そして、本件商標は、その構成中にミラノ・ピエロ社に係る引用商標「Milano Piero」と同じ綴りの「MILANO」「PIERO」の文字を有してなり、かつ本件商標の指定商品と引用商標に係る商品とは同一又は類似のものである。

してみれば、商標権者は、上記「ミラノ・ピエロ社」に係る引用商標の存在を知りながら、引用商標が商標登録されていないことを奇貨として、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的。)で登録を受けたものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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