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Trademark Appeal Case

慣用名称の識別力と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−13599(T2006−13599/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第29類「鶏肉を主材料とする肉製品,その他の肉製品」を指定商品として、平成17年6月20日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において本願の拒絶の理由に引用した登録第428847号商標(以下「引用商標1」という。)は、「マルナカ」の片仮名文字を縦書きしてなるものであり、昭和26年2月21日登録出願、第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同28年7月30日に設定登録、その後、同49年3月8日、同58年11月28日、平成5年10月28日、同15年8月5日に商標権の存続期間の更新登録がされ、同16年11月24日に、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),卵,かつお節,とろろ昆布,干し魚,するめ,干しあわび」及び第31類「昆布,食用魚介類(生きているものに限る。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。

同じく、登録第4825930号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ヒメポン」の片仮名文字と「ひめぽん」の平仮名文字を二段に横書きしてなり、平成16年4月20日に登録出願、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」及び第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として、同年12月17日に設定登録されたものである。

3 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は、別掲の構成のとおり、中央に大きく「ひねぽん」の文字を筆文字風に書し、その中段部分に赤地に白抜きの「手づくり」の文字を、そして右側部分には少し小さく「まるなかの」の文字を同じく筆文字風に配してなるものである。そして、「手づくり」の文字は、「手作り」を認識させるものであり、その「手作り」の文字は「手ずから作ること。また、その物。手製。」(「広辞苑」岩波書店)等を意味する語であることから、本願指定商品との関係では商品の品質を表したものと理解される文字部分である。また、中央に大きく書された「ひねぽん」の文字部分は、構成中の「ひね(陳・老成)」の文字に「おとなびていること。老成していること。」等の意味があり、本願指定商品と関連深い鶏肉においては、「ひねどり(老成鶏)」という語が、「産卵を終えた雌鶏、また、その食肉。肉や皮が固く、主に挽肉やだし汁に用いる。」(「広辞苑」岩波書店)等の意味を有する語であり、鶏、あるいは鶏肉の種類を表す語として知られているものである。そして、その「ひねどり」をポン酢だれにつけた鶏料理を特に播州(現在の兵庫県西南部)地方の名物料理「ひねぽん」と称していることが、例えば、以下のインターネットのウェブサイトでも確認し得るものである。

ア 播州名物ひねぽん 拈屋(兵庫県高砂市)http://www.hinepon.com/

「播州名物ひねぽん」昔懐かしい拈鶏(ひねとり)を厳選し、秘伝のたれに一昼夜漬け込んだ後、備長炭でじっくり焼き上げ、薄くスライスした「ひねぽん」、との記載。

イ 神戸のグルメな焼鳥屋 とり梅(兵庫県神戸市)http://www.toriume.com/menu/photo.php?lid=56「ひねぽん」ひねぽんレシピ ひねどりポン酢和え とり梅看板メニュー 昔懐かしい味わいのひねどりを特製のたれに漬け込み炭火焼きし薄切りにし、さっぱりとポン酢で和えたもの。との記載。

ウ よしずや(兵庫県西宮市)http://www.yoshizuya.jp/

よしずやの「ひねぽん」味わい深い親鳥(いなか鳥)を秘伝の一昼夜漬け込み炭火でじっくりつけ焼きしております。薄くスライスしてポン酢と煎りゴマで和えれば、さっぱりあっさりと頂けます。との記載。

エ おだいどこ はなれ 自由が丘店(東京都)http://r.gnavi.co.jp/a332600/menu2.htm「播州名物ひねぽん」『ひねぽん』とは、ヒネ鳥をタレに漬け込み焼いて薄くスライスしたものです。「ヒネ鳥」とは玉子産み終わった鳥のことです。一般に売られている鶏肉とは違い、脂がのって歯ごたえがあります。との記載。

オ 味菜酒家 おたべ(兵庫県明石市)http://gourmet.yahoo.co.jp/0002498328/U0003022984/ 主なメニュー「自家製ひねぽん酢」噛めば噛むほど味が出るひね鶏をポン酢に漬け、との記載。

また、メニューとして「ひねぽん」と記載のある店が、例えば、以下のインターネットのウェブサイトで確認し得るものである。

ア 本格 炭火焼鳥 こうちゃん(兵庫県神戸市)http://72.14.235.104/search?q=cache:02RGFgi3na0J:www.e-kochan.com/menu_food.html+%E3%81%B2%E3%81%AD%E3%81%BD%E3%82%93&hl=ja&ct=clnk&cd=97&gl=jp&lr=lang_ja&inlang=ja「ひねぽん」

イ 和食ダイニング ごちそう村(兵庫県神戸市 明石市 姫路市) http://gochi.irifunet.com/「市場かしわ屋のひねぽん」

ウ 炭焼居酒屋 わっさ(兵庫県神戸市)http://wassa.irifunet.com/top/menu-b.html「市場かしわ屋のひねぽん」

エ 焼鳥 大勝(兵庫県姫路市)http://a-himeji.com/osusume/15920menu2607853.html「ひねぽん」

オ SoundBar maru(東京都)http://sb-maru.com/food/index.html「藩州名物 ひねぽん」

カ 料理居酒屋 太郎庵(兵庫県姫路市)http://a-himeji.com/osusume/13626menu2599677.html「鳥ひねぽん酢」

キ 和風ダイニング まごころや 高砂店(兵庫県高砂市)http://gourmet.yahoa.co.jp/0002563883/U0003012417/「地鶏ひねぽん」

ク 和楽ダイニング びりけん 垂水店(兵庫県神戸市)http://r.gnavi.co.jp/k958201/menu2.htm「ひねぽん」

さらに、商品「ひねぽん」を取り扱っている会社が、例えば、以下のインターネットウェブサイトで確認し得るものである。

鳥一姫路鳥卵有限会社(兵庫県姫路市)http://nttbj.itp.ne.jp/0792216225/index.html?Media_cate=populer&svc=1303「ヒネポン」

以上のことから、本願商標構成中の「ひねぽん」の文字部分は「ひねどりをポン酢だれにつけた料理」を表す語として、普通に採択、使用されているものであると認められるから、かかる構成においては、構成中の右側部分に書された「まるなかの」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る部分として認識されるというのが相当である。そして、該文字部分における「の」の文字は所有、所属等を表す「格助詞」であることよりすれば、「まるなか」の文字部分、それ自体が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るというべきである。

そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用したときは、「『まるなか』の手製のひねどりをポン酢だれにつけた料理」なる意味合いを表したものと理解されるものであり、これに接する需要者、取引者は「まるなか」の文字部分が「まるなかの取扱に係るもの」ないし業務主体が「まるなか」であることを表したものと認識し、出所標識部分として、認識、把握されるものとみるのが相当である。

してみれば、本願商標は、「まるなか」の文字部分に相応して、「マルナカ」の称呼をも生じるものといわなければならない。また、該文字部分は、特定の意味合いを想起するものとはいえない造語よりなるものと認められる。

(2)本願商標と引用商標との類否について

まず、引用商標1との類否を検討するに、引用商標1は上記2のとおり、「マルナカ」の片仮名文字よりなるものであるから、これよりは「マルナカ」の称呼が生じ、特定の語義を有しないから、造語と認められるものである。

そうとすれば、本願商標と引用商標1とは、外観において相違し、観念については比較できないとしても、本願商標より「マルナカ」の称呼を生ずることは上記(1)のとおりであるから、「マルナカ」の称呼を同じくする類似の商標であるといわざるを得ない。そして、本願商標の指定商品は、引用商標1の指定商品と同一または類似の商品を含むものである。

したがって、本願商標は、引用商標1に類似する商標であり、かつ、両商標の指定商品も同一または類似であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

次に、引用商標2との類否について検討するに、引用商標2は上記2のとおり「ヒメポン」「ひめぽん」と二段に書してなる構成よりなるものであるが、本願商標構成中の「ひねぽん」の文字部分は上記のとおり、指定商品との関係においては商品の品質を表す文字部分と理解されるところであるから、この文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。

そうとすれば、本願商標より「ヒネポン」の称呼が生ずるとし、そのうえで、本願商標と引用商標2を称呼上類似するものと認定した原査定の拒絶の理由は適当でない。

(3)請求人の主張

請求人は、「本願商標は、『まるなか』の部分は後段部分の『ひねぽん』の部分より小さい文字にて記載されているものの、全体の文字のデザインとしては同様のデザイン化された文字体にて成り、『手作り』の部分は称呼から省略すると考えられるが、他の部分はその前段部分から後段部分にかけて『マルナカノヒネポン』と称呼するのが最も一般的であると考える。」旨主張し、「『マルナカ』という商標は、著名または周知な商標でないと考えられ、もし、『マルナカ』という商標が著名または周知な商標であれば、『マルナカの・・・』という商標が存在した場合、その商標から、直ちに『マルナカ』の部分だけを取り出してそれを代表的出所標識と考えることは妥当である。しかし、一般的な著名または周知な商標において『マルナカ』の商標は存在しないから、本願商標において『ひめぽん』の部分を全く無視して『まるなか』の部分のみにて商標の出所を判断するとは考えにくい。また、“まるなか”の部分が代表的出所標識と理解されたとしても、特に著名または周知の商標でないのであれば、その記載の通り、『まるなか』とひらがなにて記載するのが一般的であり、引用商標1の『マルナカ』とは異なるものと判断されるのが一般的である。また、本願商標は、『まるなかの』より大きなデザイン化された文字にて記載されている『ひねぽん』を有しているから、“マルナカ”が著名または周知の商標でないならば、この部分を全く省略して出所を判断することも考えにくい。以上のことを考え合わせると本願商標と引用商標1とは称呼において出所が混同する場合は極めて少ない。」旨述べている。

しかしながら、本願商標構成中の「ひねぽん」の文字部分は、その指定商品との関係において商品の品質を表示したものと認識、理解されるところであり、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、または弱い部分といえるものであるから、本願商標に接する需要者、取引者は、「まるなか」の文字部分に着目し、これを分離して把握し、認識し、称呼することが充分にあり得るものというのが相当であって、これより「マルナカ」の称呼が生ずるものということは、前記(1)で述べたとおりである。また、本願商標と引用商標1は、平仮名文字と片仮名文字といった構成文字の違いがあるとしても、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、口頭による取引を行うことは少なくないものであり、その取引において使用される商標から生ずる称呼が、商品の識別に際し重要な要素となり得るものである。

そうとすれば、本願商標と引用商標1とは、外観において相違し、かつ、観念については比較することができないとしても、「マルナカ」の称呼を同一にし、これを同一または類似の商品に使用したときには、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標というべきであるから、請求人の主張は採用することができない。

また、請求人は登録例を挙げて述べているが、それらは本願商標の構成では商品の品質などを表す文字部分についての対比であることから、本願とは事案を異にするものであって、本願商標については、上記認定のとおりであり、請求人のこの主張も採用することはできない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標と引用商標1とは、外観において相違し、観念については比較することができない点を考慮しても、なお「マルナカ」の称呼を共通にする類似する商標というべきであり、かつ、その指定商品も同一または類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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