結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−300144(T2007−300144/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4463099号商標(以下「本件商標」という。)は、「Effaron」及び「エファロン」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成12年3月29日に登録出願、第1類「化学品,植物成長調整剤類,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),高級脂肪酸,非鉄金属,非金属鉱物,原料プラスチック,パルプ,工業用粉類,肥料,写真材料,試験紙,人工甘味料,陶磁器用釉薬」を指定商品として、平成13年3月30日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、同19年2月28日にされたものである。
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、商標権者もしくは使用権者の何れによっても、指定商品中「植物成長調整剤類」について少なくとも過去3年以上使用された事実は存しない。
よって、その登録は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきものである。
(2)弁駁
ア 商品「エファロンリキッド」は「植物成長調整剤類」でないこと
乙第1号証によれば、商品「エファロンリキッド」は、室内におけるホルムアルデヒドの吸着除去、消臭、抗菌を目的として使用される商品である。他の乙号証には具体的な商品を把握し得る記載は全く存在しない。
してみれば、乙第4号証及び乙第5号証が化学吸着剤利用の家庭用空気清浄機の汚染物質除去性能を示す資料であることとも相俟って、上記商品は、ホルムアルデヒド吸着剤、室内用消臭剤、抗菌剤、あるいはそれらの複合商品としての空気清浄剤であり、植物そのものや土壌に使用される「植物成長調整剤類」でない。
イ 標章「エファロンリキッド」は本件商標と同一でないこと
乙第1号証及び乙第6号証に表記されている標章は、片仮名文字「エファロンリキッド」を同書・同大・同間隔にて一体不可分に左横書して構成されるものであるから、本件商標の欧文字「Effaron」を欠き、しかも本件商標には存在しない片仮名文字「リキッド」を一体不可分に結合しているものである。
なお、乙第2号証ないし乙第5号証には商品に関連して使用されている標章は存在しない。
してみれば、乙第1号証及び乙第6号証に表記されている標章と本件商標は同一でない。
ウ 乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第6号証は被請求人による商標の使用事実を示すものでないこと
乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第6号証には、(株)オルグ又は株式会社オルグなる表記はあるが、被請求人の表記は全く存在しない。そうすると、当該(株)オルグ及び株式会社オルグと被請求人が同一人でないことは極めて明らかであり、自ずと乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第6号証は何ら被請求人による商標の使用事実を示すものでない。
エ 乙第1号証が商取引上真正に配布されたものとは認められないこと
乙第1号証はパンフレットとされているが、住所や電話番号等の連絡先が明記されていないので注文すらできないと共に、具体的な商品の成分や使用方法が明記されていないので一般消費者は具体的な商品形態をイメージすることすらできず、そもそも商品パンフレットとして体をなしていない。しかも、乙第2号証及び乙第3号証はパンフレット3枚のデザイン代に関する資料に過ぎず、配布証明はもとより、相当部数を印刷したことを示す資料すら存在しない。
してみれば、乙第1号証は、パンフレットとして商取引上真正に配布されたものとは到底認められず、むしろ乙第6号証の注文書に対応する納品受領書が提出されていないことに徴すれば、商品「エファロンリキッド」そのものが存在していない疑義すら生じる。
オ 以上説述した如く、乙第1号証ないし乙第6号証によれば、本件商標が商標権者又はその使用権者によって商品「植物成長調整剤類」に使用された事実のないことはむしろ極めて明らかである。
(1)被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証、及び第2回答弁において、乙第7号証を提出した。
(2)乙第1号証に示すパンフレットのとおり、平成18年5月の時点において、「植物の環境対策 エファロンリキッドのご提案」として開発し販売開始したものであり、その日付を特定するものとして、デザイン会社「有限会社オーバルアイ」よりの、本パンフレットデザイン見積書(平成18年4月7日)及び請求書(平成18年5月31日)を乙第2号証及び乙第3号証により示す。
また、本製品を開発、製造、販売するに当たり根拠とした、「平成17年度空気調和・衛生学会大会」において共著論文発表を行った「家庭用空気清浄機の汚染物質除去性能と室内濃度予測法に関する研究(第3報)」を乙第4号証として、またその日付を特定するプログラム資料(平成17年8月11日B会場[G104教室]9:00〜10:00B−27)を乙第5号証とし、「株式会社ユニップ」よりの本製品に対する「注文書」(平成18年7月3日)を乙第6号証として提示する。なお、本注文はサンプルしての取引であるためパンフレットに示した金額とは異なる。
(3)第2回答弁
商品「エファロンリキッド」は、「植物成長調整剤類」である。該商品は植物に対する有害ガスの減少効果を有するものであり、親水基が多量に含まれ、植物を乾燥から守る効果も大きい、従来の一般的な植物成長調整剤類とは、販売戦略の異なるものである。
また、パンフレットで使用している「エファロンリキッド」商標は、商品エファロンには、液状、粉体、固形、布形など様々な形態があり、「エファロン」に一般名称である「リキッド」を付加し、その形状を表現したものであることは明らかである。
そして、乙第7号証から、株式会社オルグは、被請求人が代表取締役を努める会社法人であることが確認できる。両者間の使用契約は、別途、締結されているが、他社との機密保持契約により、開示しない。
さらに、パンフレットに連絡先の記載がないのは、本商品は、代理店や販売店を経由し、間接的に販売される商品であるから、その代理店自の連絡先のみを示す必要からである。直接の顧客対象としては、主に薬剤、農薬メーカー、種苗、グリーンメンテナンス関連業者であるから、本パンフレットは、論文等のアカデミックな検証試験等とあわせて、専門家には、十分、パンフレットの体をなしている。
以上、本商品は「ホルムアルデヒド吸着材、室内用消臭剤、抗菌剤、あるいは複合剤」の効果を持ち、水分保持作用などにより、「植物成長調整剤類」の新たなマーケット開発を行い、商品開発、販売していることは明白である。
(1)通常使用権者による使用について
被請求人提出の乙第1号証におけるパンフレットのタイトル「植物の環境対策 エファロンリキッドのご提案」、乙第2号証及び乙第3号証における「植物の環境対策エファロン」の記載、乙第6号証における「植物の環境対策エファロンリキッドのご提案」の記載、乙第7号証における「株式会社オルグ」の登記簿謄本の本店の欄に記載された「東京都国立市西一丁目8番55号」の記載及び代表取締役として「東京都国立市西一丁目8番55号ビーグルマンション203 半田晋也」の記載が認められる。
上記証拠より、乙第1号証及び乙第3号証に記載された「(株)オルグ」及び「株式会社オルグ」は、上記登記簿謄本に記載された「株式会社オルグ」と推認されるものであり、被請求人は、「株式会社オルグ」の代表取締役であって、当該会社との密接な関連性を有するものである。
そうすると、「株式会社オルグ」は、通常使用権者として本件商標の使用を、明示的にせよ、黙示的にせよ許諾され得る者であるとみて差し支えないものといえる。
(2)使用に係る商品について
本件審判において商標登録の取消請求に係る指定商品は、「植物成長調整剤類」である。
そして、被請求人提出の証拠によれば、パンフレット(乙第1号証)には、表紙に「植物の環境対策 エファロンリキッドのご提案」とし、「植物が室内の空気に負けないように」と題し「エファロンリキッドはホルムアルデヒドを吸着無害化し、植物の成長を促進します。」との記載がある。
さらに、「商品特長」として、「実環境下の室内で、植物成長、発育にも有害なシックハウス原因物質であるホルムアルデヒドや有害化学物質もカットします。消臭効果にも優れ、お部屋の悪臭(特にアンモニア、タバコ)も除去、更に抗菌効果もあります。」との記載のほか、容量、卸売価格の記載が認められる。
ただし、商品の組成・形状・形態等、商品を具体的に把握できることを示す記載は認められない。
そうすると、上記の本件商標の使用に係る商品(以下「使用商品」という。)は、パンフレットの「商品特長」の記載等からすれば、室内において植物の成長を阻害する有害化学物質(ホルムアルデヒド等)を除去・吸着し、室内消臭や抗菌効果もある商品と認められるものであるから、防臭剤、殺菌剤、空気清浄剤等が属する公衆衛生用薬剤の一と判断するのが相当であって、発芽抑制、発根・発芽促進、開花促進、着果促進、落果防止などの農業技術的に利用される、専ら植物の生長(発育)に関わる「植物成長調整剤類」に属すべき商品ではないといわざるを得ないものである。
なお、被請求人は、乙第4号証及び乙第5号証を提出して、これを「本件使用商品の開発・製造・販売するに当たり根拠とした」と述べているが、これらの証拠は、「平成17年度 空気調和・衛生学会大会」における研究報告書であって、使用商品が「植物成長調整剤類」であることを示すものとは認められない。
(3)本件商標の使用の事実について
一般に、商品の生産、販売を業とする事業者は、予め一定の生産ライン、販売計画のもとに、生産、流通を確保し、広告、宣伝のためにカタログ、パンフレット類を製作、頒布し、商品の在庫管理がなされ、その受注、発注を経て納品等の商活動が行われたとみるのが、取引の実情に照らして相当である。
しかして、被請求人は、「直接の顧客対象は、主として薬剤、農薬メーカー、種苗、グリーンメンテナンス関連業者などで、営業活動を行い販売をしている。」と述べるとともに、パンフレット(乙第1号証)について、上記需要者に対して、アカデミックな検証試験、成分表示とあわせて専門家には十分にパンフレットの体をなしていると述べているが、商品の取引書類と認められるものは、乙第6号証「注文書」の提出が認められるにとどまり、その他の取引書類、販売促進のために作成されるカタログ等の展示及び頒布にかかわる事実を裏付ける他の証拠の明示はないものである。
また、乙第2号証及び乙第3号証は、その「パンフ・デザイン一式」の記載、「単価 50,000」及び「数量 3枚」の記載からして、前記パンフレットのデザイン作成に関する見積書及び請求書であるとみるのが自然である。
なお、乙第2号証及び乙第3号証における「植物環境対策エファロン」の使用は、あくまでも、それはパンフレット作成の役務の提供の用に供するものを特定の者に対し請求等依頼していることを示しているに止まるから、それら見積書及び請求書をもって本件商標が指定商品に使用されているものと認めることはできない。
したがって、上記証拠を総合的に判断するに、被請求人による本件商標の使用の事実を裏付けるに足りる資料(たとえば、納品書、領収書、商標権者等による新聞、雑誌への掲載及び製品カタログ等の頒布での広告、宣伝の事実等)の提出はなく、被請求人提出の顧客からの上記注文書では、その使用を客観的に把握できないといわなければならない。
(4)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
被請求人は、本件商標の使用事実を示すものとして、乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第6号証を提出している。
そして、本件商標は、前記1のとおり、「Effaron」及び「エファロン」の文字を上下二段に横書きしてなるものである。
一方、被請求人提出の乙第1号証(パンフレット)及び乙6号証(注文書)によれば、使用商品について陰を配した青色文字の別掲に示すとおりの「エファロンリキッド」(以下「使用商標1」という。)及び「植物環境対策エファロンリキッド」の標章が記載されていることが認められる。
そして、「植物環境対策エファロンリキッド」の文字は、その構成中「植物環境対策」の文字部分から「植物の環境についての対策」程の意味合いを看取するものであり、化学品や薬剤等との関係において、品質等を表示するものとして認識されるとみるのが相当であるから、該文字部分は、自他商品の識別力がないか、極めて弱いものであるというべきであって、その要部は「エファロンリキッド」(以下「使用商標2」という。)とみるべきである。
なお、乙第2号証及び乙第3号証をもって、本件商標を指定商品に使用されたものと認めることはできないこと、上記(3)で述べたとおりである。
そこで、本件商標と使用商標1及び使用商標2の社会通念上の同一性について判断するに、使用商標(以下「使用商標1」及び「使用商標2」をまとめて「使用商標」という。)を構成する「エファロンリキッド」の文字は、構成文字全体を通し、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔(及び、同じデザイン)で表されていて、外観上一体的に表されているから、使用商標は、その全体をもって一体不可分のものとして認識されるというべきであって、使用商標の構成態様からは「エファロン」の文字部分のみが、殊更に分離、抽出されて、これをもって商品を識別することはないとみるのが相当である。
そうすると、使用商標は、本件商標とはその構成、態様を著しく異にするものであって、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることはできない。
(5)結論
したがって、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第7号証のみによっては、本件商標について通常使用権者が使用していることを、本件審判の取消請求に係る指定商品について証明されない。その他前記認定を覆すに足りる証拠はないから、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品「植物成長調整剤類」について使用されていたものといえず、また、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があるものとも認められないから、結局、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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