結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−300329(T2007−300329/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4222522号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成9年10月8日に登録出願され、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,和服,エプロン,ネクタイ,スカーフ,ヘルメット,帽子,ガーター,ベルト,運動靴,婦人靴,内底,かかと,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く。),乗馬靴」を指定商品として平成10年12月18日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1及び第2号証を提出している。
請求人の調査によれば、本件商標は、その指定商品中「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く。)」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がなく、また、それについての正当事由も存在しない。
したがって、本件商標は、その指定商品中上記商品について、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消されるべきものである。
(1)被請求人は、本件商標を「運動用特殊衣服」に使用しているとして、乙第3号証の1ないし3(写真)を証拠として提出している。
しかし、乙第3号証の商品は、商標法上の商品とはいえない。
乙第3号証の3をみると、ジャケットの背面に「The Love Rocks」の文字の他に「半生試聴隊」の文字がある。
請求人の調査によれば、「The Love Rocks」は、人気グループ「DREAMS COME TRUE」が2006年2月に発売した音楽CDであり、「半生試聴隊」は、グループのメンバー中村正人氏が中心となって、その当時行ったCD販売キャンペーンの名称である(甲第1号証)。
すなわち、乙第3号証の商品は、販売キャンペーン運動の販促員が着用するユニフォームにすぎず、一般消費者が着用する用のものではない。したがって、乙第3号証の商品は、一般市場で取引に供されるものではなく、そもそも商標法上の商品に該当しない。
なお、被請求人は、全国29ヶ所で「使用」を行ったとしているが、請求人の調査では、これは上記キャンペーンがその29ヶ所で行われたにすぎないことが確認されている。また、役目を終えた「半生試聴隊」は、その直後、2006年9月に解散している(甲第2号証)。
(2)被請求人は、乙第3号証の商品を「グランドコート」と呼び、これを「運動用特殊衣服」に属するとしている。しかし、該商品は、運動競技用のものでなく「運動用特殊衣服」ではない。
乙第3号証の商品は、上記(1)で述べたとおり、そもそも商標法上の商品に該当しないが、ただ、最近の消費者は、そのような商品であっても、いわゆる「レア物」としてこれを珍重することがあり、他方で、それを見越して、一定数販売に供されることもあり得るから、その場合には、例外的に商標法上の商品と認められる可能性がある。
しかし、その場合でも、乙第3号証の商品は、CD販売キャンペーン運動の販促員が着用するユニフォームにすぎず、運動競技用の商品とはいえない。したがって、これが第25類の「運動用特殊衣服」に属するものでないのは明らかである。
(3)最後に、乙第3号証は、その商品の存在を証明するものではあっても、これが商品として実際に市場において取引されたことを証明するものではない。
上記(2)で述べたとおり、乙第3号証の商品は、そもそも商標法上の商品に該当するものでなく、市場において実際に取引されたとも思われないものである。百歩譲って、これが商標法上の商品であるとしても、市場において実際に取引されたことを示す証拠がない以上、被請求人が、本件商標を「使用」したとする主張は認められるものではない。
いずれにせよ、請求人は、乙第3号証の商品の存在を認めるのにやぶさかではないが、これが市場で取引されたことを示すものは何もない以上、本件商標が使用されたとする被請求人の主張は成り立たないものである。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第11号証(枝番を含む。)を提出している。
被請求人は、請求人が認めるとおり、本件商標の商標権者である(乙第1号証)。
また、被請求人の業務は、「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」(乙第2号証)に記載のとおりである。
付言すると、被請求人は、著名なアーティスト「DREAMS COME TRUE」等が所属する、芸能プロダクションであり、コンサートの企画・運営・開催などと共に、衣料品やスポーツ用品等の商品の販売を行っている。
被請求人は、本件商標と同一と認められる商標を、指定商品「運動用特殊衣服(グランドコート等)」について、本件審判請求の予告登録日(平成19年4月6日)前3年以内に、すなわち平成16年4月5日から平成19年4月5日の間に、日本国内において使用している。この使用の事実は、以下のとおりであり、これを乙第3ないし第11号証(枝番を含む。)により示す。
使用者 商標権者
商標の使用に係る商品 運動用特殊衣服(例えば、グランドコート)
商標の使用期間 2006年4月10日〜同年9月16日
使用場所 日本国内29都市
被請求人は、乙第3号証の1のラベルを乙第3号証の2及び3の運動用特殊衣服(グランドコート)に関して使用している。
乙第3号証の1のラベルの左側には、本件商標が記載され、一方、その右側には3段にて「DREAMS COME TRUE」の文字が併書されている。該「DREAMS COME TRUE」は、被請求人に所属する著名なアーティストの名称であるから、ラベル中、左側に位置する本件商標とは、明らかに別個独立の文字商標と認められる。
したがって、乙第3号証の1のラベルに記載されている図形商標と本件商標は同一である。
(1)請求人は、「乙第3号証の写真の商品は、一般市場で取引に供されるものではなく、そもそも商標法上の商品に該当しない」と主張しているが、乙第3号証の商品は、商標法上の商品である。
まず、商法上、商行為の概念に関しては、主体面と行為面の両方から、それぞれ規定(商法第502及び503条)されている。
次に、被請求人は、乙第2号証に記載しているように、主たる業務と共に、該業務に附帯する一切の行為(例えば、販売促進のキャンペーン)を行うことを目的としており、乙第9及び第10号証に記載してあるように、被請求人の主たる業務、あるいは主たる業務に附帯する行為として、例えば、自己の商品に関する販売促進のキャンペーンを実施し、そのキャンペーン中やキャンペーンの終了後に、乙第3号証の商品を、特にファン層の第三者へ譲渡したのであるから、該譲渡事実を商法第502及び503条等の要件事実を当てはめると、被請求人は、商行為(商取引)を行ったものといえる。
ところで、請求人の主張する「一般市場」の意味合いが不明であるが、仮に、一般市場の意義が、スーパー、デパートメント等の店舗を介して販売されることを言っているのであれば、不当である。
けだし、商取引を行う際に、自己の商品と他人の商品とを識別できる標識を、例えば、乙第3号証の商品に付して譲渡した場合には、商法上の商行為であると共に、「該譲渡の客体(動産)」は、商標法上の商品に該当するというべきである。けだし、判例では、「商取引の対象とする有体物であって、かつ、対価性のあるものは、商標法上の商品である」と認定している。
(2)請求人は、「乙第3号証の商品は、第25類の運動用特殊衣服に属するものではない。」と主張しているが、乙第3号証の商品は、運動用特殊衣服である。
けだし、「グランドコート」、「アノラック」等は、スポーツ競技者や一般の需要者が、運動競技又は運動を行う際に着用することから、その用途性(運動との密着性)に鑑みて、運動用特殊衣服として取り扱われていると考えられるところ、乙第3号証の商品は、普通一般に運動の際にも着用されるものであるから、該商品の特性に鑑みて、運動用特殊衣服と同様に取り扱われるべきである。(類推適用)
(3)また、請求人は、「乙第3ないし第9号証は、キャンペーン用の自己使用目的のための単なるタウンウェアであり、運用用特殊衣服に該当しない」と主張しているが、該商品は、商標法上の商品であり、運動用特殊衣服である。
まず、商標上の商品であることについては、前記(1)で主張したとおりであり、乙第3ないし第9号証の商品が運動用特殊衣服である点については、以下のとおり主張する。
商品の区分あるいは商品の類否判断の基準は、概ね(a)商品の形状、(b)商品の材質、(c)販売店、(d)用途によって判断され、取引上の通念により総合的に判断されれるものである。
これに基づいて分析すると、乙第3号証の商品は、以下のとおりである。
(a)野球等の球技や陸上等のトレーニング又は競技を行う際に着用するグランドコートトレーニングウェアと同様の形状である。
(b)上記グランドコートトレーニングウェアの材質と同様に化繊素材(ポリエステル等)である。
(c)一般の被服と販売店(被服店)が相違するものの、運動用特殊衣服として、自己の販売網を利用した郵送等の通信手段を用いた販売である。
(d)野球等の球技や陸上等のトレーニング又は競技を行う際に着用するグランドコートトレーニングウェアである。そして、被請求人は、該商品を、請求人のいうところのタウンウェアでなく、運動用特殊衣服として販売し、購入者も、取引の経験則上、そのようなものとして購入している。
次に、乙第7号証の商品は、以下のとおりである。
(a)サッカー等の球技や陸上等のトレーニング又は競技を行う際、及び試合中ベンチ等で着用するベンチコートと同様の形状である。
(b)上記ベンチコートの材質と同様に化繊素材(ポリエステル等)である。
(c)一般の被服と販売店(被服店)が相違するものの、運動用特殊衣服として、自己の販売網を利用した郵送等の通信手段を用いた販売である。
(d)サッカー等の球技や陸上等のトレーニング又は競技を行う際に着用するベンチコートである。そして、被請求人は、該商品を、請求人のいうところのタウンウェアでなく、運動用特殊衣服として販売し、購入者も、取引の経験則上、そのようなものとして購入している。
したがって、乙第3及び第7号証の商品は、普通一般の被服というよりは、運動特殊衣服である。
以上のとおり、本件商標は、少なくともその指定商品中の「運動用特殊衣服」については取消されるものではないから、本件審判の請求は成り立たない。
被請求人は、本件商標を指定商品「運動用特殊衣服(グランドコート等)」について使用しているとして、証拠を提出しているので、該証拠について検討する。
(1)乙第3号証の1ないし3及び乙第7号証の1ないし4は、被請求人がグランドコートと称する商品を撮影した写真と認められるところ、乙第3号証の1ないし3に示された商品(以下「本件商品A」という。)は、一般にグランドコートと称される商品とは異なるものであって、裾と袖口のしまった前開きの軽快でゆったりした上着で、被服の範疇に属する、いわゆるジャンパーと称される商品というべきであり、運動用特殊衣服の範疇には属しない商品とみるのが相当である。
他方、乙第7号証の1ないし4に示された商品(以下「本件商品B」という。)は、フード付きの厚手のロングコート風のものであって、いわゆるグランドコートと称される商品というべきであり、商標法施行規則別表に例示されているとおり、運動用特殊衣服の範疇に属する商品といえる。
そして、本件商品A及びBは、いずれも、その襟部分には、本件商標と同一といい得る標章とその右横に三段に書された「DREAMS」、「COME」及び「TRUE」の文字とが表示された襟ネームが付されると共に、その背面には、「THE LOVE ROCKS」、「DREAMS COME TRUE」及び「半生試聴隊」の文字が三段に表示されていることが認められる。加えて、本件商品Bは、その前面胸部部分には不鮮明ながら「ドリカム」、「質」、「Heart Quarity」等の文字及び図形が表示されていることが認められる。
(2)乙第4、第5、第8号及び第9号証は、株式会社フライングボートカンパニーが、被請求人の注文により本件商品A及びBを製作し納品したことを示す証明書並びに平成18年4月5日付け及び同年2月10日付けの納品書の写しと認められるところ、上記証明書には「製作内容」として「別紙グランドコート100着」と記載され、別紙として乙第3号証の1ないし3と同一の写真が貼付されていること、上記納品書の「件名」及び「品名・概要」欄には「オリジナルグランドコート1(丸数字)」又は「オリジナルグランドコート2(丸数字)」と記載され、同じく「数量」欄には「100」と記載されていることが認められるから、上記証明書に記載された「別紙グランドコート」と上記納品書に記載された「オリジナルグランドコート1(丸数字)」又は「オリジナルグランドコート2(丸数字)」とはそれぞれ同一の商品を指すものと認めて差し支えなく、上記乙各号証を総合すれば、本件商品Aについては平成18年4月5日に、本件商品Bについては同年2月10日に、それぞれ100着が被請求人に納品されたものと推認される。
(3)乙第6号証の1ないし10は、相沢一也ほか9名の個人による証明書の写しと認められるところ、該証明書は、本件商品Aの1着を平成18年9月16日に被請求人所在地において譲受けたことの証明を求める被請求人作成の定型文に対して上記各個人が記名捺印したものといえる。上記証拠によれば、上記各個人が本件商品Aを同日にかつ同一場所でそれぞれ1着づつ被請求人から譲受けたものと推認される。
乙第11号証の1ないし11は、久保井恵子ほか10名の個人による証明書の写しと認められるところ、該証明書は、本件商品Bの1着を平成18年9月16日に被請求人所在地において譲受けたことの証明を求める被請求人作成の定型文に対して上記各個人が記名捺印したものといえる。上記証拠によれば、上記各個人が本件商品Bを同日にかつ同一場所でそれぞれ1着づつ被請求人から譲受けたものと推認される。
(4)乙第10号証の〈別紙1〉は、「DREAMS COME TRUE "THE LOVE ROCKS"半生試聴会 開催日程」と題する書面であり、〈別紙2〉として添付された「THE LOVE ROCKS DREAMS COME TRUE」と題する書面と併せて見れば、音楽演奏グループの「DREAMS COME TRUE」による音楽CDアルバム「THE LOVE ROCKS」の販売キャンペーンないしはコンサートツアーのために「半生試聴隊」が結成され、該「半生試聴隊」により、「半生試聴会」が、2006年2月19日から同年9月16日にかけて、同号証に掲げる各地において開催されたことを示すものといえる。
以上の証拠を総合すると、本件商品A及びBは、いずれも、その背面に「THE LOVE ROCKS」、「DREAMS COME TRUE」及び「半生試聴隊」の文字が明示されていることから、上記(4)にいう音楽CDアルバムの販売キャンペーンないしはコンサートツアーの際に用いられ、上記半生試聴隊の構成員ないしは販促員が着用するためのものとみるのが自然である。そして、上記半生試聴会の最終日である2006年9月16日と乙第6号証の1ないし10及び乙第11号証の1ないし11に示された各個人の本件商品A及びBの譲受日とが同日であることからすれば、本件商品A及びBは、上記音楽CDアルバムの販売キャンペーンないしはコンサートツアーの期間中は上記半生試聴隊の構成員ないしは販促員が着用して販促活動等を行い、最終日に各構成員ないし販促員に無償で譲渡されたものと推認される。
そうすると、本件商品A及びBは、各個人に譲渡されたと善解したとしても、被請求人から第三者に対する商取引の対象としての一般的な商品の取引書類の提出もないので、本件商品A及びBは、ごく限られた一部の関係者のみが使用する、いわば自家用の商品とでもいうべきものであり、一般の市場で転々流通し、経済取引の対象となる商品とはいい難く、いわゆる商標法上の商品とは認められないものである。
その他、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標が請求に係る指定商品について使用されていたことを示す証拠はない。
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、通常使用権者のいずれかが本件商標を請求に係る指定商品「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く。)」について使用していることを立証したものとは認められないし、また、その使用をしていないことについて正当な理由があることを立証したものとも認められない。
したがって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、請求に係る指定商品「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く。)」について使用されていなかったものというべきであるから、商標法第50条の規定に基づき、その指定商品中の上記商品についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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