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Trademark Appeal Case

地名と一般名称の結合の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2005−90658(T2005−90658/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4897431号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4897431号商標(以下「本件商標」という。)は、「大阪プチバナナ」の文字を標準文字で表してなり、平成17年3月7日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同年9月30日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第36号証を提出している。

(1)申立人が引用する商標

申立人は、以下の3件の登録商標を引用している。

ア 登録第4239432号商標(以下「引用商標1」という。)は、「東京ばな奈」の文字を標準文字で表してなり、平成9年7月30日に登録出願され、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同11年2月12日に設定登録されたものである。

イ 登録第4442542号商標(以下「引用商標2」という。)は、「大阪ばな奈」の文字を標準文字で表してなり、平成12年1月25日に登録出願され、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同年12月22日に設定登録されたものである。

ウ 登録第4365652号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成10年12月8日に登録出願され、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同12年3月3日に設定登録されたものである。

(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本件商標は、その構成中の「大阪」が、我が国の主要都市として知られた都市名であり、「バナナ」は広く流通する果物の名前である。「プチ」もまた、「小さい」又は「かわいい」を意味する外来語として、すでに広く知られ、使用されている。これらの語を普通に表示するにすぎない商標であるから、その指定商品「菓子及びパン」に使用するときは、「大阪で販売又は生産されるバナナ風味の小さな菓子」として、販売地、品質・原材料を示すものにすぎず、自他商品識別標識として機能を果たし得ない。また、該指定商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。

(3)商標法第4条第1項第11号について

本件商標の出願前に、申立人の所有する登録商標である引用商標2が存在する。本件商標は9音であり、そのうち7音は引用商標と同一であるから、両商標は明らかに称呼上類似する。また観念において、本件商標と引用商標2は、「プチ」の有無のみの相違であって、大阪の地名が同一であり、「バナナ」と「ばな奈」は発音が共通であって、共に果物バナナを表すから、観念上類似する。外観において、両商標は語頭部の「大阪」を共通とし、共に横書き標準文字商標であって2語のみが相違するにすぎないから、外観上も類似する。したがって、両商標は類似する商標である。

(4)商標法第4条第1項第15号について

申立人の所有する引用商標1は、平成4年5月より東京駅、羽田空港を販売拠点として販売を開始し、東京の主要デパートにも販売コーナーを広げ、東京の土産物の代表として全国各地に広く知れわたり、東京土産のランキングNo.1とされている。「日本有名商標集」(第3版)にも掲載され、テレビ、新聞、雑誌等にも数多く紹介され、日本全国に広く知られた商標であり、東京を代表する菓子の一つとなっている。本件商標は、この広く知られた引用商標1と類似する商標であり、しかも同一の商品に使用するものであり、販売場所も大阪駅・関西空港・伊丹空港等に土産物として販売している。この結果、出所の混同を生じ、引用商標1の希釈化を招くものとなっている。

(5)商標法第4条第1項第7号及び同法第4条第1項第19号について

本件商標は、引用商標1と指定商品が同一であり、同じ土産物に使用して、販売拠点も空港・主要駅と共通している。その上、全国的に広く知られた引用商標1の「東京」を「大阪」に、「ばな奈」を「バナナ」に替えて、「プチ」を付け加えるという、児戯に類した変更を案出して、引用商標1の周知性、名声にただ乗りしようとする意図をあらわにして、販売を行っている。特に、本件商標出願人は、「大阪プチバナナ もーらった ! ! 」という商標を、包装紙等に広く使用している。これは明らかに、引用商標3と類似であって、その露骨な言い換えであり、不正使用の意図を明確に示している。また、引用商標1、3の名声を傷つけ、信用に不当にただ乗りし、信義に反し、公序良俗に反するものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本件商標は、前記1のとおり、「大阪プチバナナ」の文字を同じ書体、同じ大きさにより一連に表されてなるところ、外観上まとまりよく一体的に把握し得るものであり、しかも、全体をもって称呼しても無理なく一連に称呼し得るものである。

そして、本件商標は、その構成中の「大阪」の文字が近畿地方の中心都市として知られた都市名であり、「バナナ」の文字が果物の名前として知られており、また、「プチ」の文字も、「小さい」又は「かわいい」などの意の語として、広く知られているものであることから、申立人が主張するような「大阪で販売又は生産されるバナナ風味の小さな菓子」程の意味合いを暗示させることがあるとしても、かかる構成にあっては、商品の特定の品質等を直接的ないし具体的に表示するものとして直ちに理解させるともいい難く、その構成全体をもって一体的に把握される一種の造語であると認識されるとみるのが自然である。

そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の品質を表示する商標とはいえず、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当するものではない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標2との類否について、以下検討する。

ア 外観の対比

本件商標は、「大阪プチバナナ」の文字よりなるものであるのに対して、引用商標2は、「大阪ばな奈」の文字よりなるものである。したがって、両者は、「大阪」と漢字で記載した部分を有する点では全く同じであるが、それに続く文字が、本件商標では、「プチバナナ」と片仮名文字で記載したものであるのに対し、引用商標は、「ばな奈」と平仮名文字及び漢字で記載したものであって、この点において外観が異なる。

そうすると、本件商標と引用商標2は、外観において類似しないというべきである。

イ 観念の対比

本件商標は、「大阪プチバナナ」の文字よりなるものであるところ、このうち、「プチ」の文字は、「小さい、かわいらしい」の意味を有するフランス語(petit)の表音であって、「菓子及びパン」について「小さい」又は「かわいらしい」の意味合いで使用されている事例が多くみられるから、本件商標の指定商品「菓子及びパン」の分野においては、商品の形状、品質等を表示する語として普通に使用されている外来語であると認められる。そして、「バナナ」の文字は、バショウ科の多年草で果実の芳香美味な果物の名称を表す語と認められる。してみれば、本件商標は、構成中「プチ」の文字部分が、上記のとおり、「小さい」又は「かわいらしい」の意味を有する商品の形状、品質等を表示する語として理解され、「大阪の小さな(かわいらしい)バナナ」という観念が生ずるものと認められる。

これに対し、引用商標2は、「大阪ばな奈」の文字よりなるものであるところ、「ばな奈」の文字は、「奈」という漢字を含み、バショウ科の果実(banana)の日本語による通常の表記である「バナナ」又は「ばなな」とはやや異なるものの、表記の類似性からして,バショウ科の果実である「バナナ」を連想させるということもできるから、「大阪のバナナ」の観念を生ずるものと認められる。

そうすると,本件商標と引用商標2とは、観念においては、商品の形状・品質等を表示する語として理解される「プチ」の部分が異なるのみで、ある程度類似するということができる。

ウ 称呼の対比

本件商標の称呼は「オオサカプチバナナ」であり、引用商標2の称呼は「オオサカバナナ」であるから、前半部の「オオサカ」と後半部の「バナナ」の音を同じくするものである。しかし、本件商標と引用商標2は、中間部において「プチ」の音の有無に差異がある。「プチ」は、はっきり識別できる音であって特徴的な響きを有するものであるから、本件商標と引用商標2は、称呼において共通する点があるものの、異なる点もあるということができる。

エ 取引の実情

(ア)申立人提出に係る証拠(甲第31号証、同第32号証、同第35号証)及び本登録異議の申立てにつき当庁が平成19年4月19日付けで行った決定に対する取消訴訟(平成19年(行ケ)第10205号)において、原告(商標権者)が提出した証拠(甲第11号証,同第12号証の1〜3,同第13号証ないし同第15号証の各1・2)等によれば、商標権者は、平成16年10月1日から、JR西日本の新大阪駅構内において、「大阪プチバナナ」という名称の焼き菓子の販売を始め、以後、本件商標を使用した焼き菓子の販売を行っていること、商標権者が使用している商標は、「大阪」と「バナナ」の部分を青色で記載し「プチ」の部分を白色で記載したもの、又は「大阪」と「バナナ」の部分を黄色で記載し「プチ」の部分を灰色若しくは白色で記載したものであることが認められる。

したがって,本件商標登録の登録査定時(平成17年8月23日)には、本件商標には一定の信用が形成されていたものと認められる。

(イ)一方、商標権者が「引用商標2は、使用している事実がないので、不使用取消審判を請求した。」旨述べているところ、引用商標2に係る商標登録については、その商標登録原簿によれば、平成19年2月8日付けで取消審判請求(2007−300137)がなされ、その予告登録が同年2月28日付けでされたものである。そして、当該審判請求については、同年6月19日付けで「登録第4442542号商標の商標登録は取り消す。」旨の審決がなされ、同審決は同年7月30日に確定し、その商標登録は同年8月23日付けで抹消の登録がされたものである。

そうすると、引用商標2は、申立人が引用商標の使用をしていることを証明せず使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしないことを理由として、これを取り消す旨の審決がされ、この審決は確定したのであるから、申立人は、商標権者による商標法第50条第1項による不使用取消審判請求の登録(平成19年2月28日)前3年以内に、引用商標2を使用していなかったものと認められる。したがって、申立人は、本件商標登録の登録査定時(平成17年8月23日)はもとより、その以前から引用商標を使用していなかったものと認められるから、本件商標登録の登録査定時に、引用商標2に何らかの信用が形成されていたとは認めることはできない。

オ 類否の有無

以上アないしエを総合すると、本件商標と引用商標2は、外観は類似せず、観念はある程度類似し、称呼は共通する点があるものの異なる点もある程度であり、これらの諸要素に、取引の実情として、本件商標登録の登録査定時(平成17年8月23日)に本件商標には一定の信用が形成されていたものの引用商標2に何らかの信用が形成されていたとはいえないという事実があることを総合勘案すると、本件商標登録の登録査定時たる平成17年8月23日の時点において商品の出所を誤認混同するおそれがあったとは認められないというべきであり,本件商標と引用商標2が類似するということはできない。

カ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものと認められない。

(3)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、前記1のとおり、「大阪プチバナナ」の文字よりなるところ、その構成文字より「オオサカプチバナナ」の称呼を生じ、「大阪の小さい(かわいらしい)バナナ」又は「大阪のバナナ」の観念を生ずるものと認められる。

他方、引用商標1は、前記2(1)アのとおり、「東京ばな奈」の文字よりなるところ、その構成文字より「トウキョウバナナ」の称呼を生ずるものと認められる。また、観念については、上記(2)イにおいて引用商標2について認定したと同様に「東京のバナナ」の観念を生ずるものと認められる。

そこで、本件商標と引用商標1を比較するに、称呼においては、本件商標より生ずる「オオサカプチバナナ」の称呼と、引用商標1より生ずる「トウキョウバナナ」の称呼は、構成音数、音調等、全く相違することから、称呼において紛れることはないものと認められる。また、観念及び外観においても、判然と区別し得る差異を有するものである。

そうすると、本件商標と引用商標1は、類似する商標とはいえない。

申立人の提出に係る証拠によれば、引用商標1は、「菓子」について使用され、取引者、需要者間に相当程度広く認識されているものといえる。

しかしながら、本件商標は、上述のとおり、引用商標1とは非類似の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標1ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(4)商標法第4条第1項第7号及び同法第4条第1項第19号について

本件商標の称呼、観念及び外観については、上述のとおりである。

そして、引用商標3は、別掲のとおり、「東京ばな奈」(「奈」の文字にはふりがな「な」が付いている。)の文字と「「見ぃつけたっ」」の文字及び記号を2列に縦書きしてなるものであるところ、これより、「トウキョウバナナミィツケタッ」の称呼を生ずるほか、「トウキョウバナナ」又は「ミィツケタッ」の称呼をも生ずるものと認められる。また、観念については、「東京のバナナを見つけた。」程の意味合いを生ずるものと認められる。

してみれば、本件商標と引用商標3は、称呼において紛れることはなく、観念及び外観においても、判然と区別し得る差異を有するものである。

そうすると、本件商標と引用商標3は、類似する商標とはいえない。

また、本件商標と引用商標1についても、先に述べたとおり、類似する商標とはいえない。

申立人は、「本件商標は、引用商標1と指定商品が同一であり、その販売場所も共通している。そして、本件商標と引用商標1とは、共通する点もあり、引用商標1の周知性、名声にただ乗りしようとする意図をあらわにして、販売を行っている。特に、本件商標出願人(商標権者)は、『大阪プチバナナ もーらった!!』という商標を、包装紙等に広く使用している。これは明らかに、引用商標3と類似であって、その露骨な言い換えであり、不正使用の意図を明確に示している。また、引用商標1、3の名声を傷つけ、信用に不当にただ乗りし、信義に反し、公序良俗に反するものである。」旨述べている。

しかし、本件商標と引用商標1及び3は、先に述べたとおり類似するものではなく、その出所について混同するものともいえないから、引用商標1の周知性、名声にただ乗りしようとする意図があるものとはいい難い。さらに、本件商標について、引用商標1及び3の、名声を傷つけ、信用に不当にただ乗りし、信義に反し、公序良俗に反するものであるともいえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当するものではない。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号並びに同法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号、同第16号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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