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Trademark Appeal Case

周知商標の不正登録

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2007−900196(T2007−900196/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5020931号商標の指定商品中、第5類「薬剤」、第42類 「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,建築又は都市計画に関する試験又は研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5020931号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成18年6月4日に登録出願、第5類「薬剤,医療用油紙,医療用腕環,衛生マスク,ガーゼ,オブラート,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパット,歯科用材料,失禁用おしめ,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,人工受精用精液」を指定商品、第42類「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,建築又は都市計画に関する試験又は研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,ウエブサイトの作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,社会保険に関する手続の代理,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,建築物の設計,測量,地質の調査,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法に関する紹介及び説明,気象情報の提供,計測器の貸与,製図用具の貸与,電子計算機の貸与,理化学機械器具の貸与」を指定役務として、同19年1月26日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由の要旨

本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「本件商標は、商標法第4条第1項第7号若しくは同第19号又は同第15号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。」と主張し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第37号証を提出した。

本件商標は、本来の権利者がその商標を出願、登録していないことを奇貨として出願、登録し、登録後の本来の権利者に対する妨害行為を行っているので、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものであって、登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものであり到底容認することができない。

また、本件商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合、申立人の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある。

第3 本件商標に対する取消理由

当審において、商標権者に対して、平成19年10月31日付けで通知した取消理由は以下のとおりである。

1 商標法第4条第1項第7号について

(1)商標の構成(文字や図形等)それ自体において公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標はもとより商標法第4条第1項第7号に該当するが、その構成自体においてはそうでなくても、当該商標の登録出願がその経緯において適正な商道徳に反し、社会通念に照らしてみれば、社会的妥当性を欠くものがあり、その登録を認めることが商標法の目的に反することになる場合には、商標法第4条第1項第7号に該当することがあると解されるものである(東京高裁平成14年(行ケ)第616号判決、平成15年5月8日判決言渡、同高裁平成17年(行ケ)第10028号判決、平成18年12月26日判決言渡 参照)。

(2)申立人の提出した証拠(甲第1号証ないし同第3号証、甲第6号証ないし同第20号証)によれば、申立人は、平成12年4月以来、その商号を「株式会社トランスジェニック」(英語表記:「Trans Genic Inc.」)とし、「医薬品、試薬品の開発、製造、販売。実験動物の開発、販売。」を主な業務として現在に至るまで業務を継続している法人であること(甲第1号証ないし同第3号証)、平成13年に申立人が「創業・ベンチャー国民フォーラム顕彰」の中小企業庁賞を受賞したこと(甲第6号証ないし同第8号証)、同年、「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン」の優れた起業家表彰で、申立人の社長が最優秀賞を受賞したこと(甲第9号証)、平成14年、同社長が「新事業挑戦者表彰」(総理大臣の表彰)を受けたこと(甲第10号証及び同第11号証)が認められる。そして、これらの受賞等については、日本経済新聞や読売新聞等の全国紙をはじめ各種新聞において、申立人を「トランスジェニック」の名称をもって報道がされたこと(甲第7号証ないし同第9号証)が認められる。

また、平成13年、申立人は、山内製薬及び住友化学工業との間で遺伝子破壊マウスの遺伝子情報提供事業の契約を締結したのをはじめ、平成15年に協和発酵工業、塩野義製薬、三共、参天製薬といった国内の製薬会社との間で「遺伝子破壊マウス」に関する業務委託契約を締結したこと(甲第14号証ないし同第18号証)、これらがいずれも新聞で報道されたこと(甲第14号証及び同第19号証)が認められる。

さらに、申立人が、ベンチャー企業の勇の一として、また、バイオ技術の企業として「トランスジェニック」の名称をもって、平成12年から平成18年にかけて、各種新聞や雑誌等で頻繁に取り上げられたこと(甲第19号証及び同第20号証)が認められる。

しかして、申立人に係る標章「トランスジェニック」(以下「引用標章」という。)は、申立人の名称(略称)として、新聞の報道や雑誌の記事を通じて、本件商標の出願前に、一般にも相当に知られていたものと認められる。

そして、引用標章は、本件商標の出願時において既に、少なくとも、医薬品を取り扱う企業等の間においては、申立人の略称として相当程度知られ、申立人の提供する役務「遺伝子破壊マウスの作製等」を表す商標として広く認識されるに至っていたものということができる。

(3)ところで、申立人の主な業務「遺伝子破壊マウスの作製」等の需要者、取引相手は、医薬品の製造会社など専門的な業種の企業等ということができる(甲第15号証ないし同第18号証)。そして、それらの者は一般消費者とは異なり限られた範囲の者であり、その取り扱う対象(医薬品等)の性格からすると、商品開発への影響をも考慮し、極めて慎重な態度で委託先(役務の提供者)を調査し選定するものというのが相当である。

本件商標の権利者は、甲第21号証をみると、「・・当該商標の使用継続は私共の今後の事業展開(医薬品製造販売業)に甚大な影響を及ぼす可能性が大きいものと考えます。・・」と記しており、この記述を前提にしてみれば、同権利者は、医薬品製造販売業者であるとのことであるから、本件商標の出願以前に頻繁になされた申立人に関する新聞の報道等(甲第19号証及び同第20号証)を通じて、申立人の主な業務や引用標章及びその使用を知っていたか、知りうる立場にあったと優に推認し得るものである。

(4)しかして、本件商標は、引用標章が申立人により継続的に使用されて一定の実績があり、引用標章が取引者や需要者の間で申立人に係る標章として相当に認識されているのを知りつつ、それが商標登録されていないことを奇貨として、当該標章とは無関係の者(出願人)が、これと極めて酷似した商標を出願し登録を得たというべきものであるから、斯かる出願の経緯には社会的妥当性を欠くものがあるといわざるを得ないものである。

したがって、本件商標は、上記(1)に照らせば、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)申立人提出の証拠(甲第6号証ないし同第20号証)によれば、申立人に係る標章「トランスジェニック」が、前記(2)のとおり、同人の略称として、あるいはその業務に係る役務を表示する商標として、本件商標の出願時よりも以前から使用され、その出願時には既に、需要者の間に広く認識されるに至っていたと認められるものである。

(2)本件商標は、その構成中に申立人に係る前記標章と同一の文字「トランスジェニック」を含み、その称呼「トランスジェニック」を共通にするものであるから、本件商標と引用標章とは、極めて類似性が高いというべきものである。

そして、本件商標の指定商品は「医薬品」を含む薬剤等であり、指定役務は「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」を含む試験・検査又は研究等であるから、引用標章が使用される申立人の業務(役務)とは極めて関連性の高いものである。また、その需要者を共通にすることが多いといえるものである。

(3)したがって、上記(1)及び(2)からすれば、本件商標の登録時はもとよりその出願時において、本件商標を指定商品・指定商役務に使用するときには、取引者・需要者が引用標章あるいは申立人を想起し連想して、当該商品や役務を、申立人の業務に係る商品や役務、あるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品や役務であるかの如く誤信し、その出所について混同するおそれがあったと判断されるものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第4 商標権者の意見

商標権者は、上記第3の取消理由通知に対して、意見を次のように述べている。

1 出願の経緯

私共は当地に於いて医薬品の製造販売業を営むべく志を持ち、当初は資金の関係から医薬品の一般販売業から開始することを考え、友人、知人より出資者を募るべく出資説明会を開催した。その席で、会社名については、出席者が個々に匿秘で会社名を記入し、投票箱に入れ、抽選で選ばれた者が投票箱から一票を選択し、選択されたものを会社名とすることになった。その手順を踏んで選択された会社名が「TRANS GENIC」である。出資説明会の出席者20名のうちの誰が投票したものかは、現在も不明のままである。私が提案したものは「雪国薬品」でしたが、残念ながら選択されなかった。当時(現在も)は法人化前だったので、法人代表者を予定していた私の名儀で出願し、法人化後に法人名儀にすることになった。同時に、ネットショップも開業したいという意向のもとに、私の名儀で複数の商標名を出願している。また、折角提案を受けた会社名なのだから、廃棄するのは如何なものかということになり、私名儀で順次、商標名を登録出願することになり、結果として私名儀で多数の商標名を登録出願している。

2 弁理士への相談

上記経緯を経て決定した「TRANS GENIC」について当地の弁理士に商標登録出願の相談をしたところ

(1)先願がなければ登録は可能(2)「TRANS GENIC」という英単語そのままでは、自己の業務内容を示唆する恐れのある場合には、商標登録されない場合があるから、何かしらの工夫をすべきである旨の助言を頂いた。当該助言を基に私共は、「TRANS GENIC」という商標とし、「かたかな、ひらがな」も添えることとした。

3 transgenicの意味

電子辞書で「transgenic」を検索すると「遺伝子形質を転換した。遺伝子導入した。」という表示がなされる。一方「trans genic」(途中一字空け)を検索すると「該当なし」という表示がなされる。従って、「transgenic」は申立人の業務そのものを指し、私共の登録商標「TRANS GENIC」(途中一字空け)は英単語としては全く意味のないものであることになる。言い換えれば、「transgenic」と「TRANS GENIC」(途中一字空け)とは似て異なものであるということになる。申立人の「商標」である「株式会社トランスジェニック」は英単語「transgenic」をそのまま「かたかな」表記したものと考えられる。

4 内容証明郵便

「TRANS GENIC」が商標登録された後に、申立人宛てに2回、内容証明郵便を送付し、使用を止めて頂くように請求致したが、聞き入れて頂けなかった。そればかりか、本異議申立書に「反社会的行為」である旨、記述されてしまった。私が黙って指をくわえて見ていたならば、他の出資者から「背任罪」で告訴されていたのではないかと思う。

5 登録を受けることのできない商標

(1)その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

(2)その商品の産地、販売地、品質、原料材、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、様態、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標については登録を受けることのできない商標とされている。私共は医薬品の一般販売業であるから、上記規定には当たらないが、申立人の場合には、遺伝子改変動物を取り扱われておられる訳であるから、上記規定に該当し、申立人は商標登録を受けることが出来ない。従って、たとえ私共の商標が取り消されたとしても、申立人には何の利益もない訳であるから、何の為の異議申立請求か分からない。業務内容から、自社(申立人)の商標が登録を受けることのできない商標であると理解していたが故に、敢えて商標登録をしないでいたところ、第三者が商標登録を出願し、登録査定を受けたために、慌てて、商標登録を出願し、異議申立てをしたというのが真相なのではないだろうか。

6 申立人のなすべきこと

申立人は私をして極悪非の人非人の様に主張しているが、同人のなすべきことは、前記説明会に出席し「TRANS GENIC」という社名の提案をした人間を捜し出し、提案者が「トランスジェニック社」の存在を知っていたことを立証することなのではないだろうか。何の証拠もなく、憶測だけで「雪国薬品」の社名を提案した私を反社会的人間と断定することは如何なものであろうか。場合によっては、名誉毀損での告発も考えない訳ではない。推定、憶測だけで、被疑者を有罪にできるならば、警察の鑑識課の人間は不要となるのではないか。商標登録不能の商標を振りかざして、真面に登録された商標を推定憶測で登録抹消しようというのは、真に卑劣な行為である。申立人の虚構を鵜呑みにされた3回目の審判を行なわれた3人の審判官の猛省を求める。

7 申立人の行なったこと

申立人は「トランスジェニック社」の数々の輝かしい業績を挙げて「トランスジェニック社」が如何に著名な会社であり、何人も知らない者はいなかった旨主張されているが、それらはすべて「トランスジェニック社」の社名が業務内容と同一であり、商標登録を受けることができないことを立証したに過ぎない(証拠1)。「トランスジェニック社」がそれ程迄に著名な会社であるならば、審査時に「トランスジェニック社」は兵庫県に存在する旨の連絡がある筈であるのに対して、2回の審判請求を却下された最近になって漸く、「トランスジェニック社」は熊本県に存在する旨の虚偽記載された拒絶理由通知が届いた(証拠2)。この事は如何に「トランスジェニック社」が無名な企業であり、新潟県の片田舎に在住する田舎親父達には「トランスジェニック社」の存在を知ることが出来ないことを物語る証左ではないだろうか。

8 現況

社名「TRANS GENIC」が商標登録され、出資者もほぼ確定し、発起人集会の日を11月18日と定めていた矢先に、私共の商標が登録抹消となったという連絡があったために、発起人集会、株主総会共に無期延期という事態となり、私は、他の出資者から詐欺師呼ばわりわされている始末である。このままでは、多くの出資者が離れて行き、事業の開始を断念せざるを得ない。事業を開始出来たとしても、私の信用が失墜したために、私が代表者(役員)になる道は閉ざされてしまった。創業準備のために使った資金(借入金:証拠3)も回収不能になる可能性が高くなり、途方に暮れている。発起人集会の代わりに開催された対策会議で「この様な事態になる以前にどのような手を打ったのか、何もしていないのではないか。」という他の出資者からの追求に対して、申立人に対して「内容証明郵便を2回送付した旨、回答したが、納得は得られなかった。

9 多数の商標登録出願をしている理由

ネット上で多くの顧客を囲い込むためには、一業者が多くの別名のサイトを立上げて、そのサイトから一つのサイトに顧客を誘導することが必要である。そのために多くの商標が必要となり、法人化前であったために私一人の名儀で多くの商標登録を行なった為に、今回のようなあらぬ誤解を招くことになった。法人化の後は「世古政弘」名儀の「商標」はすべて「法人名儀」となるので、色眼鏡で見られない様、御理解を賜ることを希望する。

10 公文書の虚偽記載

本商標の出願人は他の類別でも「TRANS GENIC」という商標登録出をしており(「トランスジェニック社」の出願の類別は第31類及び第42類)。11月2日に発送された他の類別の「拒絶理由通知書」(商願2007−15777)には前述の通り、「トランスジェニック社」は熊本県に存在する旨記載されている(証拠2)。

「トランスジェニック社」は11月2日現在、兵庫県神戸市に所在するのであって、当該書類は公文書の虚偽記載そのものであり、公的文書として無効である。担当審査官の猛省を促すものである。

11 結論

本件異議申立ては、申立人の推定、憶測に基づく虚構の域を出ておらず、申立人の推定、憶測を立証する証拠は何一つ提出されていないことから、本商標登録を取り消すことは出来ない。

よって、本件商標登録を存続させることが適法と考える。

第6 当審の判断

本件商標は、「TRANS GENIC」「トランスジェニック」「とらんすじぇにっく」の文字を3段に書してなるものである。

一方、申立人は、その商号を「株式会社トランスジェニック」(英語表記:「Trans Genic Inc.」)とするものである。

そして、申立人の使用標章は、「トランスジェニック」の文字であると認められる。

1 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について

本件商標は、その構成中の「TRANS GENIC」の文字が「遺伝形質を転換した, 遺伝子導入の」(Yahoo!JAPAN辞書検索による)の意味を有する英語「transgenic」と綴り字を同じくし、また、その構成中の「トランスジェニック」「とらんすじぇにっく」の文字が該語の読み(発音表記)と同一であるから、「TRANS GENIC」の文字と「transgenic」の語は社会通念上同一と認められる。

また、「transgenic」の語を冠した用語としては、「transgenic animal」(トランスジェニック動物)(「現代用語の基礎知識2007」による)、「transgenic mouse」、「transgenic organism」(トランスジェニック生物)、「generic recombination technology」(遺伝子組み換え技術)(以上「朝日現代用語「知恵蔵」2007による」等が挙げられる。

したがって、本件商標は、本件の指定商品又は指定役務を取り扱う分野では一般に知られている語であって、商標として採択されやすいものであることからすれば、登録出願の経緯において著しく社会的妥当性を欠くとすべき事情も見出せず、本件商標権者が、申立人の商号が商標登録出願されていないのを奇貨として先取り的に登録出願されたものと断じることはできない、また、本件商標を申立人の営業を妨害するなどの不正の目的をもって使用するものとはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に違反して登録されたものということはできない。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)申立人の提出した証拠によれば、申立人は、平成12年4月に社名を株式会社クマモト抗体研究所から株式会社トランスジェニックへ変更し、平成14年12月に東京証券取引所マザーズ市場に上場していること(甲第3号証)が認められる。平成13年に申立人が「創業・ベンチャー国民フォーラム顕彰」の中小企業庁賞を受賞したこと(甲第6号証ないし同第8号証)、同年、「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン」の優れた起業家表彰で、申立人の社長が最優秀賞を受賞したこと(甲第9号証)、平成14年、同社長が「新事業挑戦者表彰」(総理大臣の表彰)を受けたこと(甲第10号証及び同第11号証)が認められる。

そして、これらの受賞等については、日本経済新聞や読売新聞等の全国紙をはじめ各種新聞において、申立人を「トランスジェニック」の名称をもって報道がされたこと(甲第7号証ないし同第9号証)が認められる。

また、平成13年、申立人は、山内製薬及び住友化学工業との間で遺伝子破壊マウスの遺伝子情報提供事業の契約を締結したのをはじめ、平成15年に協和発酵工業、塩野義製薬、三共、参天製薬といった国内の大手製薬会社との間で「遺伝子破壊マウス」に関する業務委託契約を締結したこと(甲第14号証ないし同第18号証)、これらがいずれも新聞で報道されたこと(甲第14号証及び同第19号証)が認められる。

さらに、申立人が、バイオ技術のベンチャー企業として「トランスジェニック」の名称をもって、平成12年から平成18年にかけて、各種新聞や雑誌等で頻繁に取り上げられたこと(甲第19号証及び甲第20号証)が認められる。

また、平成18年末から平成19年初旬にかけても、別掲の新聞記事情報によれば、申立人の名称が記事中で取り上げられていることが認められる。

しかして、申立人に係る引用標章「トランスジェニック」は、申立人の名称が本件商標の出願前から登録査定時までの間、新聞の報道や雑誌の記事に取り上げられていたことが認められる。

(2)本件商標は、その構成中に申立人に係る引用標章と同一の文字「トランスジェニック」を含み、その称呼「トランスジェニック」を共通にするものであるから、本件商標と引用標章とは、極めて類似性が高いというべきものである。

(3)申立人が提出する甲第1号証「定款」の写し及び甲第2号証「履歴事項全部証明書」の写しによれば、申立人は、「1.医薬品、試薬品の開発、製造、販売 2.実験用動物の開発、販売 3.全各号に付帯するコンサルティング業務 4.全各号に付帯する教育、指導、一般労働者派遣業業務及び特定労働者派遣業無 5.全各号に付帯する一切の業務」を業務として設立されたものであることが認められる。

また、甲第17号証及び同第18号証によれば、申立人は、「遺伝子破壊マウスにかかる情報の提供」を業務として行っていたことが認められる。

さらに、申立人のホームページには、「抗体製品」(http://www.transgenic.co.jp/jp/products/antibodies-product/index.html)、「中枢神経系に特化した薬物評価試験」(http://www.transgenic.co.jp/jp/products/other/index.html)、「ノックアウトマウス作成」(http://www.transgenic.co.jp/jp/products/mice-service/index.html)等を業務としていることが記載されている。

そうとすれば、引用標章は、申立人の業務に係る商品「試薬品」及び役務「遺伝子破壊マウスにかかる情報の提供、実験用動物の開発、試薬品の開発、中枢神経系に特化した薬物評価試験」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、需要者の間に広く認識されていたこと、及び、その著名性は、本件商標の登録査定時においても継続していたものと推認することができる。

また、本件商標の指定商品中の第5類「薬剤」、指定役務中の第42類「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」等の依頼に基づき専門知識を活用して行う試験・検査又は研究と申立人が引用標章を使用する業務とは、極めて関連性の高いものである。また、その需要者を共通にすることが多いといえるものである。

(4)したがって、上記(1)ないし(3)の事実からすれば、本件商標を指定商品中、第5類「薬剤」及び指定商役務中、第42類「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,建築又は都市計画に関する試験又は研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」に使用するときには、取引者・需要者が引用標章あるいは申立人を想起し連想して、当該商品や役務を、申立人の業務に係る商品や役務、あるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品や役務であるかの如く誤認し、その出所について混同するおそれがあるものと認められる。

したがって、本件商標は、第5類「薬剤」、指定商役務中第42類「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,建築又は都市計画に関する試験又は研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」についての登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

しかしながら、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務については、前記法条に該当するものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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