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Trademark Appeal Case

著名商標と一音相違の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2007−890118(T2007−890118/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4870344号商標(以下「本件商標」という。)は、「クリアップ」の文字を標準文字で表してなり、平成16年11月15日に登録出願、第40類「浄水処理」を指定役務として、平成17年4月20日に登録査定がなされ、同年6月10日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その請求の理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第47号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、下記のとおり、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条の規定により無効とされるべきである。

(1)本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録された理由について

請求人は、昭和35年に流し台のブランドとして「クリナップ」の採択を決め、昭和36年に実際の使用を開始し、それ以来流し台を中心とする厨房家具、浴槽類、洗面化粧台等の取扱商品全て及びそれ以降に製造販売をした商品、サービスの全てについて「クリナップ」商標を使用してきた。

そこで、実際に使用頻度の高いハウスマークともいうべき、矩形輪郭内に「クリナップ」を白抜きで表した登録第1730084号商標(第11類「加熱器、調理台、流し台、浴槽類」)を原商標として、ほとんど全ての商品又は役務について防護標章登録を受けている(甲第3号証及び甲第4号証)。

このことは「クリナップ」商標を、他人が請求人の取り扱っていない商品、役務について商標として使用すると、請求人の商標が著名であることから、請求人の業務にかかわるものと出所の混同を惹起すると認定されていることを示すものといえる。

また、ピアスアライズ株式会社が昭和58年に「クリナップ」商標を旧第4類「はみがき、化粧品、香料類」を指定商品として出願したところ、拒絶査定不服審判でも、請求人の著名な略称で、承諾を得ていないので商標法第4条第1項第8号に該当するとして拒絶審決を受けている(甲第5号証)。

請求人のコーポレートデザインマニュアル(1990.4.1)に基づいて請求人は社名にかかわるロゴを統一した仕様で表示し、視覚的コミュニケーションにおいて顧客に正しいイメージで捉えてもらうようにしている(甲第6号証)。

請求人の著名商標「クリナップ」と本件商標「クリアップ」は、称呼としては全体として5音からなるもので、第2音までの「クリ」と第4音以降の「ップ」を共通にし、中間の「ナ」と「ア」のみが相違するものであるところ、相違する音は母音を共通にし、称呼上聴取し難い中間に位置する音であることから全体を一連に称呼すると、その差異は聴取し難く、彼此誤認混同するおそれが高いものといえる。

また、片仮名の字形からすると外観において類似するものと判断される。すなわち、相違する「ナ」と「ア」は上部の横線「―」と上部中央から傾斜線「ノ」との組合せにおいて共通するもので、「ナ」は傾斜線が横線を貫くようにするものであるのに対して、「ア」は横線の右端から左下に短く続け、傾斜線は横線の下から表すようにしてなる点において相違するものである。

「クリナップ」の著名性及び全体としての字形の近似から「クリアップ」の「ア」を「ナ」と誤読誤認することが起こりがちであると認められる。

ちなみに、無効2003−35454では、片仮名文字の商標の類否判断で「イブオール」と「イブオーレ」について「ル」と「レ」は近似した構成態様で外観上類似するとしており(甲第7号証)、異議2002−90909では、「セレブコール」と「セレブロール」について中間の1文字を除いて同じ文字で外観において彼此見誤るとした判断例がある(甲第8号証)。

また、平成17年(行ケ)第10840号では、本件商標「マジカルウエスト」は、引用商標「マジカルクエスト」とは語頭4文字と語尾3文字が共通で中間部の「ウ」と「ク」のみ相違するので全体の外観が近似した紛らわしいもので、外観において類似する、と判示されている(最高裁判所ホームページ又は「企業と知的財産権」No.423 参照)。

そこで、本件商標「クリアップ」は、著名商標「クリナップ」に称呼及び外観において類似する商標であるといわざるを得ない。

(2)過去の審査において「クリナップ」と「クリアップ」が類似する商標と判断され、連合商標として登録されている例が存在する(甲第9号証ないし甲第16号証)。

(3)過去の商標の称呼の類否に関する審決例では、「ナ」と「ア」の一音相違に関して類似と判断されている。

まず、本件商標と引用著名商標のように、称呼の中間で「ナ」と「ア」のみが相違する商標について類似と判断されている審決がある(甲第17号証ないし甲第22号証)。

次に「ナ」と「ア」の一音のみが相違するもので相違するのが語頭に位置するものであっても「ナネット」と「アネット」は類似すると判断されている(甲第23号証)。

更に、語尾において、称呼「ナ」と「ア」が相違するのみであっても類似するとされている(甲第24号証ないし甲第27号証)。

(4)最近の商標法第4条第1項第15号に関する異議決定及び審決例として、まず、著名商標と類似又は連想・想起する商標について出所誤認混同が生じると判断されているものを提示する(甲第28号証ないし甲第31号証)。

次に、著名商標と商標が同一で、著名商標の商標権者と関係のある者の商品・役務と出所の混同が生じると認定されているものを提示する(甲第32号証)。

(5)平成4年東京都と社団法人発明協会東京支部が主催した商品商標・役務商標(サービスマーク)パネル展示出品目録の写し(甲第33号証)、日本商標名鑑’94(商標調査会編)(甲第34号証)、1998年発行されたAIPPI・JAPANの日本有名商標集(甲第35号証)によって、引用商標が過去から現在まで同一態様で使われていることを明らかにする。

また、上記甲第33号証ないし甲第35号証には、その時点での取扱商品(現在では製造販売を止めたものも含まれている)も掲載されている。

請求人は、ホームページに掲載されているように、主たる商品は、キッチン、バスルーム、洗面化粧台ではあるものの、その他に業務用厨房設備機器、ステンレス発色製品、WEBロッカー等を取り扱っている。また、子会社11社を擁し関連する様々な商品・サービスを提供している。

子会社としては、クリナップ調理機工業株式会社、クリナップ岡山工業株式会社、株式会社クリナップステンレス加工センター、クリナップロジスティクス株式会社、クリナップ運輸株式会社、クリナップキャリアサービス株式会社、クリナップテクノサービス株式会社、クリナップデザイン株式会社等がある。

ステンレス加工センターでは、ステンレスに発色させる技術を駆使して多様で様々な素材に発色させている。野球場の防護ネット、動物園の鳥舎、化粧品や薬品の保管庫としてのステンレス容器、車のマフラー、屋根等のステンレス建材等である。

クリナップキャリアサービスでは、住宅型有料老人ホーム、介護付有料老人ホームを提供している。

クリナップテクノサービスでは、請求人の主力商品である流し台等の施工、アフターサービス、点検、メインテナンス等のサービスを提供している。

クリナップデザインは、クリナップグループのリフォーム専門会社である。

このように現在でも様々な商品、役務を提供しているので、本件商標「クリアップ」を指定役務「浄水処理」について使用すると、「クリアップ」が請求人の著名商標「クリナップ」と称呼において類似するので、あたかも請求人がその役務をしているか、少なくとも請求人と関連のある会社の役務と取引者、需要者に誤認され、役務主体の混同が生じることは避けられないといえる。

ちなみに、請求人は、ディスポーザーを用いて適量の水とともに排出される粉砕厨芥排水の浄化処理に関して研究を進めているところである(甲第36号証ないし甲第38号証)。

(6)結論

以上述べたように、本件商標の登録は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたもので、無効とされるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)請求人商標「クリナップ」の著名性について

被請求人は「請求人商標『クリナップ』が著名の域に至っているか否かは不知である。」と述べているので、商標審査便覧42.119.01「需要者の間に広く認識されている商標」を提出する(甲第39号証)。請求人商標が日本有名商標集に掲載されていることは、甲第35号証のとおりである。

(2)本件商標と請求人商標の類似について

被請求人は、審査例として「ナ」と「ア」の一音相違する併存登録例を挙げるが、審査における判断を再審理する審判での審理判断例が当然重んじられるべきである。また、1965年ないし2004年の称呼類否審決についてまとめた「最近の商標の類否判断研修会資料編」(甲第40号証)中で、「ア」と「ナ」音の相違の場合、類似との判断は11件、非類似との判断は2件のみである。

(3)誤認混同について

被請求人は、本件は審決の判断例とは異なるとしているが、相違する音「ナ」と「ア」があっても、審判において慎重に審理された結果、対比する商標が類似する旨のこれらの判断は、先例して尊重されるべきと考える。

(4)被請求人(株式会社上田敷物工場)は、業務内容により組織を再編して、上田グループとして3つの会社(株式会社ユー・イー・エス、株式会社上田ホールディングス)になっている。

株式会社ユー・イー・エスのホームページからすると、様々な商品を製造しているようであるが、その中にアオコを除去して水質を浄化するための商品があり、これに「クリアップ」を商標として使用している(甲第41号証)。

請求人は、株式会社ユー・イー・エスの行為は不正競争防止法に該当する行為ではないかとして商標の変更を求めた書信(甲第42号証)を発したが、その回答(甲第43号証)が見当外れであったので再度書信(甲第44号証)を出している。

甲第43号証の回答では、甲第41号証の商標の使用を本件商標の使用と強弁しているが、これは商品と役務を弁別することもできない言い訳といえる。

一方、被請求人は、商標「コイヤーマン」を第19類「合成繊維・天然繊維又は不織布等からなる植生用又は土壌保全用マットシート〜」を指定商品として商標登録(登録第4634518号、甲第45号証)し、また、株式会社上田ホールディングスは、商標「ココバイオ」を第1類「活性炭、吸着剤」を指定商品として商標登録(登録第4943000号、甲第46号証)を受けている。

商標「クリアップ」を使用しているのは商標「ココバイオ」を使用している商品と同種の商品である。

株式会社イーユー・エスは、甲第41号証中で活力炭R(○の中にR)と複数箇所に表記し、あたかも「活力炭」が脱臭剤、土壌改良材を指定商品として登録を受けているかのようである。

しかし、甲第47号証のとおり、登録第4629101号として被請求人が取得している商標は「カツリョクタン」と片仮名文字からなり、指定商品は第31類の果実に含まれる「ココナッツ」が存在するのみである。

このように被請求人の商標、指定商品、指定役務に関する知識は支離滅裂である。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証を提出した。

1 請求人商標「クリナップ」の著名性について

被請求人としては、現段階において、請求人商標「クリナップ」が著名の域に至っているか否かは不知である。そのため、本件答弁書においてこの事実関係については、答弁を保留する。

2 本件商標と請求人商標の類似について

「ナ」と「ア」の一音相違する商標が全て登録を否定されているわけではない。事実、類似商品又は役務を指定した「ナ」と「ア」の一音相違する商標が数多く登録されている(乙第1号証ないし乙第18号証)。

これらの登録例から、商標中の一文字「ア」と「ナ」のみの相違しかないからといって、一律に類似であると判断されているわけではないことは明らかである。

すなわち、商標の類否は、一件ごとに個別具体的に判断すべきものであり、請求人の列挙する審決例(甲第17号証ないし甲第27号証)は、本件商標と請求人商標が類似であることの証拠にはなり得ない。

したがって、商標中の一文字「ア」と「ナ」のみの相違しかないから本件商標と請求人商標が類似すると判断する請求人の主張は明らかに失当といわざるを得ない。

3 誤認混同について

甲第17号証ないし甲第27号証の審決例で比較された商標を検討すると、両商標における「ア」若しくは「ナ」の一文字が関係する部分のいずれか一方若しくは両方が明確な意味をなしていない造語となっていることが分かる。

これに対して、本件商標「クリアップ」における「アップ」の部分には「上げる(up)」といった明確な観念があり、一方、請求人商標「クリナップ」における「ナップ」の部分からは、「ナプキンやおむつの如き何かをふき取ったり吸収したりするもの(napkin,nappy)」といった観念を生じさせる。

したがって、本件商標「クリアップ」という商標と、請求人商標「クリナップ」という商標が両立しており、請求人商標「クリナップ」を付した商品を購入したり、役務の提供を受けたりした需要者が、当該商品又は役務を気に入り、次回も商標「クリナップ」を付した商品や役務を要求している場合に、商標「クリナップ」ではなく「クリアップ」を付した商品や役務に接しても、「クリナップ」における「ナップ」の部分、及び「クリアップ」における「アップ」の部分にいずれも特別な観念が生じているため、当該需要者をして「ナップ」の「ナ」を「ア」と看過して誤読し難く、結果として出所の誤認は生じ得ない。

即ち、本件商標「クリアップ」と請求人商標「クリナップ」は、出所の誤認が生じ得ない明らかに非類似の商標である。

4 商標法第4条第1項第15号の適用について

結局、本件商標は、請求人商標に類似するものではなく、また、出所の混同が生じるおそれのあるものでもないことから、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

5 結論

以上、本件商標と請求人商標は明らかに非類似であり、出所の誤認混同を生ずるおそれもないことは明白である。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものではなく、同法第46条の規定によりその登録を無効とすべきものではない。

第4 当審の判断

1 請求人商標「クリナップ」の著名性について

(1)請求書、甲各号証及び請求人のホームページ(http://www.cleanup.co.jp/)情報によれば、以下の事実が認められる。

ア 請求人は、昭和29年10月に会社設立され、システムキッチン、流し台、システムバスルーム、洗面化粧台を主たる商品とする住宅設備機器メーカーであり、平成19年4月19日現在、全国に16の支店(札幌、東北、東京、東関東、北関東、埼玉、横浜、静岡、信越、名古屋、北陸、大阪、京都、中国、四国、九州の各支店)、128の営業所、109のショールーム、11の子会社を擁している(請求人のホームページ(http://www.cleanup.co.jp/))。

イ 請求人は、昭和35年に流し台のブランドとして「クリナップ」の採択を決め、昭和36年に実際の使用を開始し、それ以来流し台を中心とする厨房家具、浴槽類、洗面化粧台等の取扱商品に使用してきた。

ウ 請求人は、矩形輪郭内に「クリナップ」の文字を白抜きで表した商標(以下、これを「請求人商標」という。)をハウスマークとして使用し(甲第33号証ないし甲第35号証)、コーポレートデザインマニュアル(1990.4.1)に基づいて、請求人商標を含む社名にかかわるロゴを統一した仕様で表示し、視覚的コミュニケーションにおいて顧客に正しいイメージで捉えてもらうようにしている(甲第6号証)。

エ 請求人商標と同一態様の登録第1730084号商標(第11類「加熱器、調理台、流し台、浴槽類」。)を原商標として、ほとんど全ての商品及び役務について防護標章登録を受けている(甲第3号証及び甲第4号証)。ただし、第40類「浄水処理」については、防護標章登録を受けていない。

オ ピアスアライズ株式会社が昭和58年に「クリナツプ」商標を旧第4類「はみがき、化粧品、香料類」を指定商品として出願したところ、拒絶査定不服審判において、請求人の著名な略称であるとして、商標法第4条第1項第8号に該当するものとされた(甲第5号証)。

(2)以上の事実によれば、請求人商標「クリナップ」は、本件商標の査定時(平成17年4月20日)及び登録出願時(平成16年11月15日)において、請求人の業務に係る商品「システムキッチン、流し台、システムバスルーム、洗面化粧台」等を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと推認することができる。

2 本件商標と請求人商標の類似性について

本件商標は、「クリアップ」の文字よりなるところ、これよりはその構成文字に相応して「クリアップ」の一連の称呼を生じるものであり、特定の観念を生じない一種の造語とみるのが相当である。

一方、請求人商標は、矩形輪郭内に「クリナップ」の文字を白抜きで表してなるところ、これよりはその構成文字に相応して「クリナップ」の一連の称呼を生じるものであり、特定の観念を生じない一種の造語とみるのが相当である。

そこで、まず両商標から生ずる称呼を比較するに、両者は、第3音において「ア」と「ナ」の音の差異を有するところ、該差異音のみに着目してみた場合には、いずれも母音(a)を共通にし、称呼上比較的聴取し難い中間に位置する音であるとしても、ともに促音を伴うことから、促音の前音である該差異音の「ア」、「ナ」は強調された発音となって明瞭に聴取されるものであり、そのことに加えて、両称呼がともに僅か4音又は促音を含めても5音という短い音数で構成されていることをも考慮すれば、該差異音の称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものということはできず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、十分に聴別し得るものといえる。

また、両商標はいずれも特定の観念を生じさせない一種の造語と認められるから、両者は、観念上比較し得ないものであり、外観においては互いに区別し得るものである。

したがって、本件商標と請求人商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても、類似するものとはいえない。

この点について請求人は、まず称呼に関し、「中間の『ナ』と『ア』のみが相違するものであるところ、相違する音は母音を共通にし、称呼上聴取し難い中間に位置する音であることから全体を一連に称呼すると、その差異は聴取し難く、彼此誤認混同するおそれが高い」と主張するが、前記説示に照らし、採用することはできない。

また、請求人は、外観に関し、「相違する『ナ』と『ア』は上部の横線『―』と上部中央から傾斜線『ノ』との組合せにおいて共通するもので、『ナ』は傾斜線が横線を貫くようにするものであるのに対して、『ア』は横線の右端から左下に短く続け、傾斜線は横線の下から表すようにしてなる点において相違するものである。『クリナップ』の著名性及び全体としての字形の近似から『クリアップ』の『ア』を『ナ』と誤読誤認する。」と主張する。

しかしながら、「『ナ』は傾斜線が横線を貫くようにするものであるのに対して、『ア』は横線の右端から左下に短く続け、傾斜線は横線の下から表すようにしてなる」との相違点は、いずれも両文字における特徴的な点であって、該相違点をもって両文字は一見して区別し得るものである上に、「ナ」及び「ア」の文字は、見慣れた片仮名文字であるから、請求人商標「クリナップ」の著名性を考慮し、かつ、構成全体についてみても、本件商標と請求人商標とは、通常の注意力をもってすれば、両者の外観を見誤ることはないものというべきであり、請求人の主張を採用することはできない。

3 本件商標の指定役務「浄水処理」と請求人の業務に係る商品等との関連性及び取引者、需要者の共通性について

本件商標の指定役務「浄水処理」と請求人の業務に係る商品「システムキッチン、流し台、システムバスルーム、洗面化粧台」等とは、その属する業種業態(分野)が異なるばかりでなく、商品と役務の用途、商品の販売場所と役務の提供場所等を著しく異にし、関連性が薄いものであって、取引者、需要者も異なるものというのが相当である。

4 その他の請求人の主張について

請求人は、審査よりも審判における審理判断が重んじられるべき旨を述べた上で、甲第17号証ないし甲第27号証として、「ナ」と「ア」の一音相違に関し類似と判断された審決例及び著名商標と類似又は連想・想起する商標について出所の混同を生ずると判断された審決例等を挙げる。

しかしながら、本件商標と請求人商標とが類似するか否か、出所の混同を生ずるおそれがあるか否かは,両商標の構成態様と指定役務等に基づいて,個別具体的に判断すべきものであって,両商標が類似するものでないことは,前記に述べたとおりであり、また両商標が出所の混同を生じるおそれがないことは、後記するとおりであるから,上記審決例等を引用して、両商標が類似し、出所の混同を生ずるおそれがある旨の請求人の主張は、理由がない。

5 まとめ

以上のとおり、請求人商標「クリナップ」が、「システムキッチン、流し台、システムバスルーム、洗面化粧台」等の商品について、請求人に係る商標として需要者の間に広く認識されているとしても、当該商標と本件商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても、類似するものとはいえないものであること、請求人商標の使用に係る商品「システムキッチン、流し台、システムバスルーム、洗面化粧台」等と、本件商標の指定役務「浄水処理」とは、関連性が薄く、その取引者、需要者も異なるものであって、これらを総合的に判断すると、本件商標をその指定役務に使用しても、当該役務が請求人(クリナップ株式会社)又は同人と何らかの関係のある者(子会社等)の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所について混同を生じるおそれがあるものということはできない。

したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできないので、その登録は同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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