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Trademark Appeal Case

飲食物の「商品」該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2006−30369(T2006−30369/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4508733号商標(以下「本件商標」という。)は、「キャラメルブールサレ」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成12年5月30日に登録出願され、第30類「クレープ風総菜,クレープ」及び第42類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同13年9月21日に設定登録されたものである。

また、本件審判の請求の登録は、平成18年4月17日になされている。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標は、その指定商品中、第30類『クレープ風総菜,クレープ』についてこれを取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁及び上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。)を提出している。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品中、「クレープ風総菜,クレープ」について、3年以上使用されていない。

したがって、本件商標は、その指定商品中、第30類「クレープ風総菜,クレープ」について、その登録を取り消されるべきである。

2 第1答弁に対する弁駁

(1)乙第1号証ないし乙第3号証からは、本件商標と同一の文字からなる「キャラメルブールサレ」が店舗内で飲食されるクレープの名称として使用された事実を窺うことはできても、本件商標が指定商品に使用されている事実を見いだすことはできない。

(2)乙第1号証について

乙第1号証は、被請求人の店舗内を撮影した写真であるとされているが、当該写真が、いつ、どこで撮影されたものであるのか不明である。

仮に、乙第1号証が、被請求人の主張通りの写真であるとしても、そこに示されているのは飲食店の内部に置かれている、その日のメニューを記載した黒板であって、手書きされた「塩バターキャラメルのクレープ(キャラメルブールサレ)」が店舗内で飲食されることを前提にしたものであることは明らかである。

乙第1号証の写真中の黒板には「辛口シードル」及び「シードルはこちらで開栓(させて)いただきますが、お(持ち帰りは)ご自由です。」と表示されていることから、食べ残したクレープを持ち帰りすることも認めていたかも知れないが、そのことをもって初めから持帰り(テイクアウト)用に販売する商品と同視することはできない。

判例でも「店舗において飲食した顧客からの注文で例外的に一人前ないし数人前の和食料理を折り箱に詰めて持帰り用として有償で提供する場合の料理物の折詰や、右顧客が料理の残り物を折り箱に入れて持帰る場合の右残り物を入れた折詰は、店頭に置いて料理物の折詰を継続的又は反復的に販売し営業する場合と異なり、いわばその場で消費されるものに準ずるものであって、一般市場で流通に供されることを目的として生産された有体物ということはできないから、商標法における商品には当たらないというべきである」(東京高判昭63.3.29〔天一事件〕)とされている。

したがって、被請求人の「持ち帰り用商品のクレープとしても販売されている」との主張は何の根拠もなく、誤りというほかない。

(3)乙第2号証について

乙第2号証は、右下に記載された印刷日が2006年5月17日と本件審判請求の予告登録日より後であるばかりか、被請求人が指摘する「caramel beurre sale」の写真が掲載(upload)された日が同年5月7日となっているからやはり予告登録日よりも後である。

「表参道店で連休直前に同じもの食べた!」との書き込みも、予告登録日より後の出来事であることは確実である。

結局、乙第2号証は予告登録前の使用とは無関係であって、そもそも証拠としての価値がないものである。

また、この点を措くとしても、乙第2号証に示されているのは、明らかに店舗内で飲食される料理であって持ち帰り用ではないし、その料理名も「Galette caramel beurre sale」であり、被請求人の主張する「caramel beurre sale」ではない。

さらに、一般の日本人に馴染みの薄い「caramel beurre sale」の欧文字を「キャラメルブールサレ」と同一と見ることは無理がある。

このように乙第2号証は、本件商標の指定商品についての使用とは無関係な資料である。

(4)乙第3号証について

乙第3号証(1/2ページ、左下)には、被請求人の営業に係る飲食店「カフェ クレープリール ブルターニュ」の表参道店が、平成16年8月からテイクアウトを休止している旨が記載されている。

そして、被請求人は当該記載を根拠に、平成16年7月以前は、表参道店においても上記幕張店と同様に持ち帰り用の「クレープ」が販売されていたと主張している。

しかしながら、幕張店で持ち帰り用商品の販売がなされていた事実について何ら証明されていないことは上述のとおりである。

また、この点を措くとしても、乙第1号証の撮影日は、平成16年12月初旬とされているところ、表参道店でテイクアウトを休止したのはそれより前の同年8月である。

したがって、「キャラメルブールサレ」の名称を用いた料理が登場したのが平成16年12月初旬とすれば、テイクアウトはその前に休止されていたのであるから、テイクアウト用の商品中に「キャラメルブールサレ」を付したクレープは存在していなかったことになる。

そうとすれば、被請求人の主張とは逆に、乙第3号証は、むしろ、本件商標を付した指定商品が存在しなかったことを推測させるものである。

3 第2答弁に対する弁駁

(1)乙第1号証について

被請求人は、乙第1号証が、本件審判請求の予告登録前に撮影されたものである旨主張するばかりで、結局そのことを証明していないので、乙第1号証は、証拠としての価値がないといわざるを得ない。

また、店舗内で飲食される料理についての写真であることが明らかな、乙第1号証をもって、指定商品「クレープ風総菜、クレープ」についても本件商標を使用していると強弁するところに無理がある。

乙第1号証は、指定商品「クレープ風総菜、クレープ」についての使用とは無関係である。

(2)乙第2号証について

被請求人は、乙第2号証が「間接的な証拠」になるというが、それは「店舗内で提供される料理は必ず持ち帰り用に販売もされる」という前提があって初めて成り立つ議論である。

しかし、そのような事実がないことは一般に明らかである。

仮に、本件商標が持ち帰り用のクレープにも使用されていたのであれば、直接的な証拠があって然るべきであるが、ここに至っても提出されていないのであるから、そのような証拠はないものと考えざるを得ない。

(3)乙第3号証について

乙第3号証には、本件商標が示されていないから、この点に関する被請求人の主張は意味不明である。

そもそも、乙第1号証と乙第3号証とを結びつけて、3年以内の使用を主張したのは被請求人に外ならないから、「無理に結びつけ」というのは自己矛盾である。

(4)乙第6号証について

乙第6号証によれば、被請求人が、「カルフール幕張ショッピングモール」に、「クレープを扱うフランス料理店」を出店した事実を窺うことはできるものの、本件商標が指定商品に使用された事実の証明とは無関係である。

被請求人によれば、乙第6号証のフランス料理店で撮影された写真が、乙第1号証とのことであるが、既に主張したとおり、乙第1号証は店舗内で提供される料理に関して「キャラメルブールサレ」の名称が表示されたことを示すだけであって、本件商標の第42類に属する指定役務とは関係するとしても、第30類に属する指定商品に関する使用を示すものではあり得ない。

4 被請求人提出の上申書に対する弁駁

(1)被請求人が、本件商標を使用したと主張する「フランス 秋の味覚企画」なるイベントは、日仏会館フランス事務所のホームページに記録がない。

同ホームページには1996年以降の各種イベントの記録が保存されており(甲第4号証)、2005年10月に開催された「飲むことと食べること」をテーマとするイベント(東京日仏会館との共催)が開催されたことは記録されているものの、被請求人のいうイベントは見当たらず、当該イベントが真に開催されたものかどうか不明である。

(2)「フランス 秋の味覚企画」なるイベントが、現に開催されたと仮定しても、乙第16号証及び乙第17号証をもって本件商標の使用が証明されたとすることは、次の理由によりできない。

(ア)乙第17号証では、商標「caramel burre sale」を付した商品クレープを「販売した」と記載されているが、イベント会場内に設けられたテーブルで飲食する形態であったと考えるべきである。

けだし、乙第16号証第2頁の「地方料理」に対応する原語「plat」は「(皿に盛った)料理」を意味する(甲第5号証の1及び2)だけでなく、「caramel burre sale」の右に記載された「glace vanille」は「バニラのソース」といったほどの意味合いになるが、このようなソースのかかったクレープを、日仏会館まで足を運ぶような食にこだわりのある客に「販売」(テイクアウト)形態で提供することは考えられないからである。

(イ)乙第16号証第2頁に「予定される地方料理及び期間」なる欄があり(被請求人は「期間」を「時間」と主張しているが、同欄の記載及び「date」とあることから「期間」とするのが正しい)、そこに2種類の料理名と思しき表示があるけれども、「期間」に関する記載はなく代わりに金額が表示されている。

上記イベントが、10月1日から同31日まで開催されていたのであれば、いつ出品されるかは重要な事項であり、その点を記載しないまま送信して受理されたとは考えられない。

なお、末行に表示された「caramel burre sale」は、「caramel」と「burre sale」の間に明らかに不自然な間隔があり、信憑性を疑わせるに十分である。

(ウ)本件商標は「キャラメルプールサレ」の片仮名文字からなるところ、乙第16号証及び乙第17号証に表示されているのは「caramel burre sale」なる欧文字である。

「キャラメル」は我が国で慣れ親しまれた言葉であり、英語の「caramel」に通じるものと理解されるが、「プールサレ」が何を意味するものか、本件商標の指定商品に係る需要者(一般消費者)にはおよそ理解できないであろう。

また逆に、「burre sale」が何を意味しどのように発音されるものかを、一般消費者が理解することもできない。

したがって、乙第16号証及び乙第17号証に表された「caramel burre sale」を本件商標と同一性の範囲内のものとすることなど到底できない。

(エ)乙第16号証の第1頁には「レストランのお名前」「ご住所」「最寄りの駅」「電話番号」等の欄があるが、そこに記載された住所と電話番号等は被請求人の「表参道店」のものと推測されるところ、「最寄りの駅」が「飯田橋駅B3出口」とされている。

しかしながら、神宮前の店舗の最寄り駅が飯田橋駅ということは考えられない。

被請求人は「神楽坂店」も営んでおり、そちらの最寄り駅は飯田橋駅と思われるが、出店申込書という重要な書類を、このような誤記があるまま送ったというのは余りに不自然である。

(3)乙第7号証は、作成日が平成13年で最終更新日が同14年である(乙第8号証)とされている。

アイスクリームなどの季節商品も扱っており、その後、5年間にも亘り、更新されずに同じものが利用されていることは通常考えられない。

乙第7号証の「販売メニュー表」は、仮に真に存在したとしても、最終更新日から間をおかずに利用されなくなったと見るのが合理的であり、同号証記載のクレープが仮に一時期販売されたことがあったとしても、本件審判の予告登録前3年以上前に販売が中止されたと考えるべきである。

少なくとも、乙第7号証は本件審判の予告登録前3年以内の使用を証するものではない。

なお、乙第7号証ないし乙第10号証のような資料は、本件審判請求後に作成することに何らの困難性もない。

これらの資料が、もともと存在していたのであれば、答弁書で提出できたはずであり、本件が口頭審理に付されることとなってから初めて提出されるというのでは、信態性を疑われてもやむを得ないところである。

乙第11号証ないし乙第13号証及び乙第15号証は、被請求人の主張によれば「表参道店」におけるテイクアウトとケータリングの売上高を示す資料とのことであるが、口頭審理において被請求人は「キャラメル」は菓子の「キャラメル」を表しており、本件商標の略称ではない旨、口頭審理において陳述した。

乙第11号証ないし乙第13号証及び乙第15号証には、本件商標は一切表示されていない。

よって、乙第11号証ないし乙第13号証及び乙第15号証は、本件商標を用いた商品クレープの販売とは無関係な資料にすぎない。

乙第9号証は、被請求人によれば、表参道店における持ち帰り用商品専用の販売メニュー表であって、平成16年1月に作成され、同年5月に最終更新がなされているとのことである。

しかしながら、同メニュー表には多種多様なガレット、クレープが掲載されているにも拘わらず、乙第11号証ないし13号証(平成16年5月、同6月の売上を示すとされる資料)には、これらガレット、クレープのいずれも全く記載されていない。

してみれば、当該期間内にはこれらの販売(持ち帰り販売)が全くなかったことになる。

同じ年の1月に専用のメニュー表を作成し、5月にわざわざ更新までしておきながら、実際の持ち帰り販売が皆無であったというのは不自然きわまりない。

被請求人は口頭審理の場で、乙第7号証につき、当該メニュー表を作成した担当者が退職しているためこれまで把握できなかった旨の弁解をした。

しかしながら、乙第9号証の作成者である「ラーシエゆう子」は、被請求人の代表者(創業者でもある)の配偶者であり、また、従業員(口頭審理調書記載のとおり)であるから、乙第9号証の作成当時から現在に至るまで被請求人会社に在職しているのであって、乙第9号証のメニュー表が、被請求人主張のとおりに作成されたものであるとすれば、その存在を熟知していたはずである。

請求人が2回に亘る弁駁書で持ち帰り販売の事実を否定したにもかかわらず、口頭審理に付されるまで提出しなかったことを勘案すれば、乙第9号証の信愚性には強い疑問を抱かざるを得ない。

(6)被請求人が最初の答弁書で提出した乙第2号証によれば、店舗内で飲食するための料理の名称に「caramel burre sale」を用いていることが窺われる。

そして、被請求人は店舗内で消費されるのと同様な商品を持ち帰り用に販売していたと主張している。

しかしながら、乙第2号証の料理は、「galette」(ガレット、そば粉を用いたクレープの一種)であり、被請求人の店舗はフランス国ブルターニュ地方の料理であるガレットが看板料理である。

他方、乙第7号証や乙第9号証では、「caramel burre sale」は「crepe」(クレープ)とされている。

用語としては「ガレット」は「クレープ」の一種であるとしても、ガレットに強いこだわりを持つ被請求人がこれらを混同することなど考えられない。

しかも、乙第9号証は「ガレット」と「クレープ」の両者を掲載していながら、「caramel burre sale」についてはクレープのみとされており、乙第2号証の店舗内飲食用料理と明らかに齟齬がある。

この点だけを見ても、被請求人の主張は破綻していると言わざるを得ない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書、口頭陳述要領書及び上申書において、その理由を要旨次のように述べるとともに、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第17号証を提出している。

1 第1答弁

(1)乙第1号証について

乙第1号証は、商標権者の従業員が、平成16年(2004年)12月初旬に、商標権者の店舗である「カフェ クレープリー ティ ブレッツ幕張店」で撮影した写真である。

この写真によれば、店舗内で掲示されている黒板に「塩バターキャラメルのクレープ」として、本件商標「キャラメルブールサレ」が使用されている。

本件商標が使用されているクレープは、店舗内での飲食に提供されているほか、持ち帰り用商品のクレープとしても販売されているものである。

したがって、本件請求に係る指定商品中、第30類「クレープ」についての本件商標の使用に該当するものである。

(2)乙第2号証ついて

乙第2号証は、「ヤフー!インコーポレイテッド」が開設するウェブサイト「flickr」である。

「flickr」では、登録した会員に、主として写真を掲載するウェブページ(スペース)が提供されている。

当該ウェブサイトの「mihotic’s photos」と題されたページでは、商標権者が提供する「塩バターキャラメルのガレット」が紹介されており、「caramel beurre sale」として掲載されている。

「caramel beurre sale」については、同ウェブページに他の会員から「表参道店で連休直前に同じもの食べた」というコメントが書き込まれている(乙第2号証、1/2ページ、左下)とおり、商標権者の店舗である表参道店にてこの表記態様の商標が使用されていたことは明らかであるものと思料する。

なお、この「caramel beurre sale」の表記は、フランス語の発音を示した本件商標「キャラメルブールサレ」をローマ字表記(原語表記)したものであり、片仮名表記である本件商標をローマ字使用のフランス語表記とすれば一義的に表される表記態様である。

したがって、「caramel beurre sale」は、商標法第50条第1項かっこ書きにより、本件商標「キャラメルブールサレ」に含まれるものである。

(3)乙第3号証について

商標権者の店舗である表参道店は、現在では、「飲食物の提供」について「caramel beurre sale」の商標を使用しているが、平成16年(2004年)7月までは、持ち帰り用の「クレープ」にも「caramel beurre sale」の商標を使用していた。

乙第3号証は、商標権者が開設するウェブサイトであるが、「最新のお知らせ」欄(1/2ページ、左下)では、2004年(平成16年)8月6日の掲載記事として、「表参道店テイクアウトお休みのお知らせ」が掲載されており、「今月8月よりテイクアウトをしばらくの間、お休みさせていただきます。」との内容が示されている。

よって、同年7月以前は表参道店においても、上記幕張店と同様に持ち帰り用の「クレープ」が販売されており、これに「caramel beurre sale」の商標を使用していたことが理解できるものである。

(4)むすび

上記のとおり、商標権者は、本審判の請求の登録前3年以内に、日本国内においてその請求に係る指定商品について登録商標を使用しているものであるから、本件商標登録は維持されるものである。

2 第2答弁

(1)乙第1号証について

乙第1号証の写真の撮影日・撮影者を客観的に証明する直接的な証拠を提出することは困難である。

しかしながら、第1答弁書に貼付した写真プリントを精査すれば、クリスマス時期であることを示す掲示内容や、プリントそのものの痛み具合から、少なくとも、本件審判の予告登録前に撮影されたものであることは容易に把握できる。

なお、乙第1号証の写真プリントは、当時撮影し、プリントした正本貼付の1枚が存在しているのみであるので、副本に貼付した証拠は、カラーコピーで代用していることを付言する。

ところで、請求人は、店舗内掲示の黒板の記載内容について、「シードル」に関しての記載内容を挙げ、これを本件請求に係る指定商品「クレープ」についてまで敷衍させて、食べ残したクレープの持ち帰りを認めていたに過ぎないという独自の論理を展開しているが、乙第1号証から把握される事実を曲解しているものといわざるを得ない。

(2)乙第2号証について

乙第2号証は、印刷日が、本件審判請求の予告登録日より後の日付である2006年(平成18年)5月17日となっている。

しかしながら、乙第2号証は、ウェブサイトへの掲載事実を示す証拠としてプリントアウトしたものである。

したがって、日付がいつであるかという点は、乙第2号証の成立性に影響を与えないことは明らかである。

また、乙第2号証は、審判請求の予告登録日以前から現在までの継続的な使用事実を示す間接証拠として提出しているものである。

したがって、単にその掲載日という一時点のみを抽出して論じている請求人の主張は失当である。

仮に、被請求人が、本件審判請求に対抗するためだけに、審判請求の予告登録日以降に名目的に本件登録商標の使用を開始したとするならば、予告登録日の平成18年4月13日から同年5月17日までの極めて短期間のうちに商品として準備し、しかも、複数の顧客から「おいしい」と、乙第2号証に示されているような評価をされる品質の商品を提供できたということとなり不自然である。

さらに、請求人は、乙第2号証の掲載の写真について、「明らかに店舗内で飲食される料理」である旨述べているが、これはウェブサイトに掲載した顧客が店舗内で飲食したために、店舗内で提供された料理を写真に撮影して掲載したと推察できる。

一般的に、店舗内で提供される料理がテイクアウト用の商品としても販売される場合には、その料理と商品との形態は彼此大きく異なることが通常であるものと解されるから、この掲載写真をもってテイクアウト用の商品が販売されていないと把握することは誤りである。

加えて、請求人は、乙第2号証に示されている使用商標に関し、「Galette caramel beurre sale」である旨主張する。 しかしながら、「galette」は、フランス語で「クレープ」の意味を包含する語であり(乙第4号証)、わが国で権威のある国語辞典にも掲載されている語である(乙第5号証)。

したがって、ウェブサイトに掲載した顧客もその意味で使用したものと把握するのが当然であるから、審判請求に係る指定商品「クレープ」との関係において、「Galette」の部分も含めて商標として把握することこそ無理がある。

また、請求人は、使用商標「caramel beurre sale」と登録商標「キャラメルブールサレ」の同一性に関して、「一般の日本人に馴染みの薄い」などと主張している。

しかしながら、商標を観察する際に観察者として想定すべき主体は、商標が使用される商品・役務の需要者・取引者であり、「一般の日本人」などとするのは請求人独自の特異な見解である。

しかして、審判請求に係る指定商品が「クレープ」であることを考慮すれば、その需要者・取引者はフランス語に馴染みがあるとみるのが自然であり、乙第2号証において顧客がウェブサイトの掲載文でフランス語を用いているのはその証左であるものと思料する。

そうであるなら、使用商標「caramel beurre sale」と本件商標「キャラメルブールサレ」とは、指定商品「クレープ」の需要者・取引者において同一の商標と把握されるものと思料する。

以上のとおりであるから、第2号証は、審判請求の予告登録日以前から現在までの継続的な本件商標と実質的に同一の商標の使用事実を示す間接証拠として、その成立性が否定されるものではない。

(3)乙第3号証について

請求人は、乙第3号証について、乙第1号証との関係で、「キャラメルブールサレ」の使用が、平成16年12月初旬に開始されたものと仮定し、独自の論理を構築している。

しかしながら、この論理は、互いに異なる店舗における使用事実を示した両証拠を無理に結びつけ、両証拠から把握される事実を曲解して独自の論理を構築したものと解さざるを得ず、本件証拠の使用証拠としての評価には何ら影響を与えるものではないと思料する。

(4)乙第6号証について

乙第6号証は、被請求人の店舗である「カフェ クレープリー ティ ブレッツ幕張店」の「ショッピングモールへの出店と営業に関する契約書」(以下、単に「契約書」という。)である。

当該店舗は、「カルフール・ジャパン株式会社」が運営する「カルフール幕張ショッピングモール」のフードコート(外食ゾーン)の一店舗として出店されたものであり、また、乙第1号証で、本件商標の使用の事実を述べた店舗である。

「ショッピングモールへの出店と営業に関する契約要項」(乙第6号証、表紙を入れて11枚目ないし13枚目、以下、単に「契約要項」という。)は、「契約書 (特約事項)第30条」(乙第6号証、表紙を入れて10枚目)に基づくものである。

「契約要項」では、出店区画貸与面積が15.90平方メートル(4.81坪)とされており、さらに「カルフール幕張ショッピングモール平面図」(乙第6号証、表紙を入れて13枚目綴じ込み)における被請求人に出店場所として提供された第230区画周辺の状況からも見て取れるとおり、このフードコートでは各店舗独自の飲食スペースを有しておらず、各店共用の飲食スペースを有しているのみである。

多くのショッピングセンターで見られるようなこのような形態の店舗では、共用の飲食スペースにおいて顧客が食事をとることももちろん可能ではあるが、その一方でテイクアウト用の商品も必ず販売されているというのが経験的事実である。

しかも、「契約要項」では、「営業内容(第3条)」の欄には、「取扱商品又はサービス クレープ」、「営業開始日(第4条)」の欄には、「2000年(平成12年)12月8日」、「契約期間(第4条)」の欄には、「6年間」と、それぞれ明記されている。

そうとすれば、乙第6号証は、被請求人が本審判の請求登録前3年以内に指定商品「クレープ」について登録商標を使用していたことの裏付けになるものと思料する。

したがって、幕張店において本件登録商標が使用されているクレープは、店舗内での飲食に提供されているほか、持ち帰り用商品の「クレープ」としても販売されていたことが明らかであると思料する。

3 口頭審理陳述要領書及び口頭審理調書の要旨

(1)乙第7号証について

乙第7号証は、幕張店における「販売メニュー表」である。

そして、「テイクアウトクレープ・セット」と題された持ち帰り用のセットメニュー(乙第7号証、1ページ目、下部)において、顧客の任意で2種選択できる「デザート・クレープ」に本件商標「キャラメルブールサレ」を付したクレープが明示されている。

また、上記「テイクアウトクレープ・セット」に関する電子データファイル「プロパティ 詳細情報」(乙第8号証1枚目上部)では、作成日時が、「2001年(平成13年)6月(Juin)6 日」、更新日時が、「2002年(平成14年)10月(octobre)26日」とされている。

被請求人は、乙第7号証(販売メニュー表)をパウチ加工したものを店内のカウンターにおいて掲示していた。

(2)乙第9号証について

乙第9号証は、表参道店における「テイクアウト商品の販売メニュー表」である。

そして、「デザート・クレープ」のカテゴリーに本件商標「キャラメルブールサレ」を付したクレープが明示されている。

なお、乙第9号証が、「テイクアウト商品限定のメニュー表」であることは、乙第9号証の最下部において「お持ち帰り用のガレット、クレープはロール状です」及び「卵、乳製品等を使用しておりますので、お早めにお召し上がりください」との表記から理解できる。

また、乙第9号証に関する電子データファイル「アラカルトショップ」(乙第10号証)では、作成日時が、「2004年(平成16年)1月(janvier)30日」、更新日時が、「2004年(平成16年)5月(mai)24日」とされている。

乙第10号証の最終保存者は「ラーシェゆう子」となっているが、「ラーシェゆう子」は、被請求人の代表者の妻であり、従業員である。

(3)乙第11号証について

乙第11号証は、被請求人の「ケータリング普通預金口座」に係る2004年(平成16年)の売上表である。

被請求人は、2004年よりケータリング及びテイクアウトの代金について、店舗内で提供する飲食代金とは別個の口座を設けてその売り上げの管理を行っている。

ここにいう「ケータリング」とは、「客先に出向いてその場で調理を行ったり、または店舗で調理してきたものを客先で配膳したりして飲食物を提供する、いわば出張サービス」であり、「テイクアウト」に比し単価が高額となることから、ロ座名としては「ケータリング」を代表させたものである。

乙第11号証中、「ケータリング」の売り上げは、「5月19日付で売掛金として処理されている「ブロックスジャパン5/14料理代金」(乙第11号証、1頁)のみであり、残りはすべて「テイクアウト」での売り上げである。この点については、当該料理代金のみが他の代金に比して高額となっていることから、客観的に類推できる。

また、8月3日付にて処理されている 7月2日の売り上げについては、「テイクアウト売上」と明示されており(乙第11号証、2頁)、テイクアウトが行われていたことはこの点からも明確に把握することができる。

なお、乙第11号証の表の全項目にわたって、「表参道」の表記が見られることから、本売上がすべて表参道店のものであることは明らかであると思料する。

また、乙第3号証にあるとおり、2004年8月以降は表参道店ではテイクアウトを休止したため、同年7月2日の売り上げをもってデータが終了している。

さらに、表参道店にて「テイクアウト」を行っていた事実については、表参道店の2004年売上レポート(乙第12号証)の表の右端欄外に「Takeout」又は「T・O」の表示をもって売上高が書き加えられていること、及び表参道店スタッフと当時経理担当であった被請求人の従業者との通信記録(乙第13号証)からも把握できる。

なお、乙第12号証の「物販」とは、「テイクアウト」ではなく、レストラン内での使用のものをいい、また、「キャラメル」とは、本件商標の略称ではなく、菓子の「キャラメル」を表している。

4 被請求人提出の上申書

(1)乙第14号証について

乙第14号証は、乙第7号証に係る「幕張店における販売メニュー表デー夕」のプロパティの表示画面である。

乙第14号証の表示画面では、下方の「テイクアウトクレープ・セット」の枠内に、「デザート・クレープ」として任意に選択可能なクレープの一種として、本件商標「キャラメルブールサレ」が明確に表示されている。

また、文書のプロパティ中、文書作成日時・更新日時については、乙第

8号証1枚目上欄の表示画面と一致している。

(2)乙第15号証について

乙第15号証は、被請求人が作成した、被請求人の「ケータリング普通預金ロ座」に係る2004年(平成16年)の売上表であり、乙第11号証に追加して提出するものである。

乙第15号証では、上端部における「ケータリング売上」といったタイトルや、左端部における販売月日表示が明確に現れている。

(3)乙第16号証について

乙第16号証は、被請求人が、2005年(平成17年)6月10日14時2分に、日仏会館フランス事務所へ送信したファクシミリである。

これは、2005年(平成17年)5月31日付けにて、日仏会館フランス事務所より同年秋に開催予定の「フランス 秋の味覚企画」と題されたイベントへの出店予定者に送信された電子メール添付のひな形に、参加予定である被請求人が自身を特定する事項を記載して返信したものである。

この文書では、2枚目下方の「予定される地方料理および時間」の項目に、本件商標をローマ字表記とした「caramel beurre sale」が明確に表示されている。

(4)乙第17号証について

乙第17号証は、日仏会館フランス事務所が発行した本件商標の使用証明書である。

この証明書では、被請求人が本審判事件での要証期間内である平成17年10月1日より同31日までの1ヶ月間、本件商標をローマ字表記とした「caramel beurre sale」を指定商品「クレープ」に付して使用したことが明確に表示されている。

第4 当審の判断

1 商標権者の表参道店における本件商標の使用について

(1)乙第9号証について

乙第9号証は、「販売メニュー表」のコピーと認められる。

そして、中央には、「デザート・クレープ」及び「キャラメルブールサレ」の文字が表示されている。

また、下部には、「◆お持ち帰り用のガレット、クレープはロール状です」、「◆卵、乳製品等を使用しておりますので、お早めにお召し上がりください」の文字及び記号が上下に表示されている。

(2)乙第10号証について

乙第10号証は、乙第9号証の電子データファイルを表示したコンピューターの画面のコピーと認められる。

そして、当該画面中の略正方形の灰色の輪郭中に「アラカルトショップ プロパティ」、「更新日時:lundi 24 mai 2004 19:32:34」の表示がある。

(3)乙第3号証について

乙第3号証は、商標権者のウエブサイトと認められるところ、「最新のお知らせ」欄(1/2ページ、左下)では、2004年(平成16年)8月6日の掲載記事として、「表参道店テイクアウトお休みのお知らせ」が掲載されており、「今月8月よりテイクアウトをしばらくの間、お休みさせていただきます。」との内容が示されている。

(4)乙第12号証、乙第13号証及び乙第15号証について

乙第12号証は、表参道店の2004年売上表と認められるところ、6月1日、同3日及び同6日、5月26日、同26日、同28日、同29日及び同31日の右欄外に「+Takeout」の文字及び記号が表示されている。

また、5月15日の下欄外には「TakeOut¥18450」の文字及び記号が表示されている。

乙第13号証は、商標権者の表参道店スタッフと当時経理担当であった被請求人の従業者との通信記録と認められるところ、「4月24日」、「テイクアウト」、「テイクアウト代」及び「テイクアウト分」の文字が表示されている。

乙第15号証は、商標権者の「ケータリング普通預金口座」に係る2004年(平成16年)の売上表であると認められる。

そして、当該売上表の8月3日付けにて処理されている 表参道店の7月2日の売り上げについては、「テイクアウト売上」と表示されている(第15号証、2頁)。

(5)上記(1)ないし(4)よりすれば、2004年4月ないし同年7月まで、商標権者の表参道店内において、持ち帰り(テイクアウト)用の「クレープ」が販売されたこと、及び同店内の「販売メニュー表」に、本件商標「キャラメルブールサレ」と社会通念上同一と認められる商標が表示されていたことを推認することができる。

2 商標権者の幕張店における本件商標の使用について

(1)乙第7号証について

乙第7号証は、「販売メニュー表」のコピーと認められる。

そして、1頁目の上部中央には、「ランチセット」の文字が表示されている。

また、同頁下部中央には、「テイクアウトクレープ・セット¥500」、「今なら もう一枚サービス」、「デザート・クレープ+ドリンク」、「(下記の中から2種類お選びください。)」、「・キャラメルブールサレ」、「・チョコレート」、「・ブルーベリージャム」の文字及び記号が上下に表示されている。

さらに、同頁下部左には、クレープと思しき写真が表示され、当該写真の下に「おすすめキャラメルブールサレ」の文字が表示されている。

(2)口頭審理における被請求人の陳述によれば、乙第7号証をパウチ加工したものを、店内のカウンターにおいて展示していたことが認められる。

(3)乙第8号証及び乙第14号証について

乙第8号証及び乙第14号証は、乙第7号証の電子データファイルを表示したコンピューターの画面のコピーと認められる。

そして、当該画面の略正方形の灰色の輪郭中に「これ2002lunch_menuA4 5プロパティ」、「更新日時:samedi 26 octobre 2002 05:25:24」の表示がある。

(4)上記(1)ないし(3)よりすれば、2002年10月(octobre)26日以降に、商標権者の幕張店内において「ランチセット」として、持ち帰り(テイクアウト)用の「クレープ」が販売されたこと、及び同店内のカウンターに展示された当該「ランチセット」用のメニューに、本件商標「キャラメルブールサレ」と社会通念上同一と認められる商標が表示されていたことを推認することができる。

3 日仏会館のイベントへの出店について

(1)乙第16号証について

乙第16号証は、被請求人が、2005年(平成17年)6月10日14時2分に、日仏会館フランス事務所に対して、「日仏会館フランス事務所において2005年秋に開催予定の、『フランス 秋の味覚企画』と題されたイベントに参加予定である」旨を送信したファクシミリであると認められる。

(2)乙第17号証について

乙第17号証は、日仏会館フランス事務所が発行した本件商標の使用証明書である。

乙第17号証では、被請求人が、平成17年10月1日より同年同月31日までの1ヶ月間、日仏会館フランス事務所と東京日仏学院の共同開催のイベントにおいて、商標「caramel beurre sale」を付した商品「クレープ」を販売したことが表示されている。

ところで、乙第17号証に示された商標は、上記のとおり「caramel beurre sale」の欧文字よりなるものであるところ、本件商標は、「キャラメルブールサレ」の片仮名文字からなるものである。

「caramel beurre sale」は、「塩バタ−キャラメル」の意味を有するフランス語であるが、我が国におけるフランス語の普及度よりすれば、当該文字に接した需要者は、当該文字を特定の観念を有さない造語として認識するというのが相当である。

そうとすると、「caramel beurre sale」の表示と本件商標とは、商標法第50条第1項にいう「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」の関係にあるということはできない。

したがって、乙第17号証に示された「caramel beurre sale」の表示は、本件商標と社会通念上同一のものであると認めることはできない。

(3)上記(1)及び(2)よりすれば、商標権者は、平成17年10月1日より同31日まで、日仏会館フランス事務所と東京日仏学院の共同開催のイベントにおいて、「クレープ」を販売したことは認められるが、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したことを認めることはできない。

4結語

以上1及び2を総合勘案すれば、本件商標は、商標権者によって、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の取消請求に係る指定商品中の「クレープ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていたものと推認することができる。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の第30類「クレープ風総菜,クレープ」について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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