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Trademark Appeal Case

不使用取消と商標同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300292(T2007−300292/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2724384号商標(以下「本件商標」という。)は、平成3年8月13日登録出願、「Hyper」の欧文字と「ハイパー」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、第24類「運動具、その部品および附属品」を指定商品として、同15年1月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判請求費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。と申し立て、その理由を次のように述べた。

(取消理由)

本件商標はその指定商品「運動具、その部品および附属品」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁し、その理由を次のように述べ証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。

(答弁の理由)

1.審判請求の理由の認否

「請求の理由」(1)「本件商標」に記載された、被請求人の所有に係る登録第2724384号商標の特許庁における登録に関する事実については、認める。

「請求の理由」(2)「取消理由」については争う。本件商標についての通常使用権者は、下記に示すように、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、取消に係る指定商品について、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において使用している。

2.通常使用権者による本件商標の使用

(1)事実認定

請求人は、本件商標取消の理由について、「本件商標はその指定商品『運動具、その部品および附属品』について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しない」と主張している。

しかし、これは請求人の不充分な調査に基づく誤認であり事実に反する。

以下、本件商標についての通常使用権者が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、取消に係る指定商品について、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において使用していることを証拠とともに説明する。

(2)本件商標

本件商標は被請求人であるヤマハ株式会社の所有に係るもので欧文字「Hyper」と片仮名文字「ハイパー」を併記してなり、取消請求に係る指定商品と同一の商品区分第24類に属する「運動具、その部品および附属品」を指定商品として現在有効に存続していることは請求人主張の通りである。

(3)本件商標についての通常使用権者による使用

被請求人であるヤマハ株式会社は、米国ブラボー・スポーツ並びにその子会社のXERO WHEELS S.r.l.に対し本件商標についての通常使用権を許諾している。よって、米国ブラボー・スポーツ並びにXERO WHEELS S.r.l.は本件商標についての通常使用権者である。なお、本件商標と類似の登録第2724341号商標については、商標権者であるヤマハ株式会社は、米国ブラボー・スポーツへの通常実施権を商標原簿に登録しているものの、本件商標については米国ブラボー・スポーツ及びXERO WHEELS S.r.l.への通常実施権については登録していないが、商標法第50条第1項にいう「通常実施権者」は登録されていることを要しない。なお、XERO WHEELS S.r.l.がブラボー・スポーツの子会社であることについては、乙第1号証として示すブラボー・スポーツ発行のカタログ「HYPER WHEELS CATALOG 2004」の裏表紙下部において、発行者を表すブラボー・スポーツのロゴの右側に、「Bravo European subsidiary:/XERO WHEELS S.R.L.」とあることから明らかである。

(4)本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用

乙第1号証として示すブラボー・スポーツ発行のカタログ「HYPER WHEELS CATALOG 2004」には、例えば「PRO 250」なる商品が掲載されており、その商品写真として色違いの3つのインラインスケート用ホイールが掲載されている。これらのホイールにはそれぞれ側面に「HYPER」の文字が表示されている。

ここで、上記表示「HYPER」と本件商標とが商標法第50条第1項に定める「社会通念上同一と認められる商標」であることについて説明する。

特許庁発行の商標審判便覧53−01(乙第2号証として添付する)によれば、「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用」は社会通念上同一な商標の使用と認められる。すなわち、上記カタログ中の表示「HYPER」は、審判便覧に定める「観念を同一とする上下二段併記の構成からなる本件商標中その一方の使用」に該当する。

よって、上記表示「HYPER」と本件商標とは商標法第50条第1項に定める「社会通念上同一と認められる商標」である。

(5)取消に係る指定商品についての使用

上記使用商標「HYPER」を表示したホイールは、乙第1号証の商品写真上下に英文で「HOCKEY WHEEL」と記載されている通り、ホッケーに使用されるインラインスケート用のホイール(タイヤ)部品であり、ホッケーに使用されるインラインスケートは運動具である。よって、当該商品は運動具の部品であるから、取消に係る指定商品「運動具、その部品および附属品」に含まれる。

(6)本件審判の請求の登録前三年以内の使用

伊国XERO WHEELS S.r.l.から日本ASICS CORPORATIONへの納品に伴い発行された2005年4月29日付け納品書を乙第4号証に示す。

2005年4月29日は本件審判請求の登録日(2007年4月3日)の約2年前であり、「請求の登録前三年以内」である。なお、乙第4号証左上において「XERO WHEELS S.r.l.」との記載の下側に「Societa soggetta all’attivita di coodinamento e controllo della Bravo Sports Inc.California−U.S.A」とあり、これは日本語に訳せば「ブラボー・スポーツの指示・支配により従属的に活動する子会社」といった意味である。

(7)日本国内における使用

上記乙第4号証の2005年4月29日付け納品書によれば、伊国のXERO WHEELS S.r.l.から、我が国のASICS CORPORATIONへ、 品番(ITEM CODE)「RH3126318−I」及び「RH3126320−I」の商品が納入されている。ここで、上記2つの品番に対応する商品は、乙第1号証を参照すれば、上記(4)(5)において記述した商品「PR0 250」であることがわかる。

よって、伊国XERO WHEELS S.r.l.は日本国内のASICS CORPORATIONへ、上記商品「インラインスケート用のホイール」に上記商標「HYPER」を付したものを輸入し、譲渡しており、すなわち日本国内において商標を使用している。

(8)補足資料

以上のように、乙第1号証及び乙第4号証から、本件商標についての通常使用権者が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、取消に係る指定商品について、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において使用していることが明らかであるが、さらに、乙第5号証ないし乙第10号証を提出して、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が取消に係る指定商品に付されて日本国内において継続的に流通し、また取消に係る指定商品に関する広告・取引書類に付されて展示・頒布されている事実を挙証する。

(8−1)乙第5号証は、伊国XERO WHEELS S.r.l.から日本ASICS CORPORATIONへの納品に伴い発行された2006年2月28日付け納品書であり、品番「RH4C769U34YQ」及び「RH4C729U34YQ」の商品が納入されたことが示されている。ここで、上記品番の商品は、乙第1号証を参照すれば商品「PRO 150」であることがわかり、この商品にも「HYPER」の表記が付されている。よって、ブラボー・スポーツが継続的に使用をしていることがわかる。

(8−2)乙第6号証は、ブラボー・スポーツの販売促進用カタログであり、日本ASICS社等に提供されているものである。このうちの商品「Superlite」の写真を乙第7号証に示す。乙第7号証からわかるように、当該商品は実際には4個パックで販売されており、そのパッケージには「HYPER」の表記がなされ、その右肩に登録商標であることを示すR(マルアール)のマークが記されている。また、商品のホイールにも太字で「HYPER」の表記が付されている。さらに、パッケージ裏面にはアシックス社における品番として「KHF57X」の表記が付されている。

ここでさらに、株式会社アシックスからヴィクトリア社への納品に伴い発行された2007年3月14日付け納品書を乙第8号証として提出する。

この納品書には、品番「KHF57X」の商品が株式会社アシックスからヴィクトリア社へ納入されたことが示されており、この商品が日本国内において流通していることがわかる。

(8−3)乙第9号証に示すブラボー・スポーツ発行の2005年版カタログ及び乙第10号証に示すブラボー・スポーツ発行の2006年版カタログには、上記(4)(5)において検討した商品「PR0 250」及び(8−2)において検討した「Superlite」をはじめ「HYPER」の表記が付された多くの商品が掲載されており、表紙にも「HYPER」の文字が大きく記されている。さらに乙第9号証において「Dealers」、乙第10号証において「Bravo Sports Dealers」と題されたページには、日本における代理店としてASICS CORPORATION及びDAISHO BUSSAN CO.LTDが掲載されている。これらは、先に検討した事実に加えて、ブラボー・スポーツが2005年から2006年にわたりこれらの会社を通じて上記商品を日本に納入し、また広告に標章を付して頒布していたということを裏付けるものである。

以上のように、乙第5号証ないし乙第10号証からも、本件商標についての通常使用権者が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、取消に係る指定商品について、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において使用していることが明らかである。

3.結論

以上により、本件商標についての通常使用権者が、本件審判の取消請求に係る商品中「インラインスケート用のホイール」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において使用していた事実が充分明らかとなったものと考える。

してみると、請求人の主張は、不充分な調査に基づくものであって、到底容認されるべきではない。したがって、本件商標は商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録が取消されるべきものではない。

4.請求人は、上記3の答弁に対し、弁駁していない。

5.当審の判断

被請求人は、本件商標を通常使用権者が使用していると主張しているので、その点について検討する。

(1)通常使用権者について

通常使用権は、商標権者が他人にその商標権について登録商標の使用許諾をすることにより発生するものであり、その使用許諾は、商標権者と使用権者の意思表示の合意によって成立し、契約自由の原則により何らの方式も必要とせず、口頭による使用許諾によっても成立するものと解される。

これを、本件についてみるに、本件審判において被請求人より提出された乙第1号証は、本件商標についての通常使用権者と認め得る「米国ブラボー・スポーツ」(以下「ブラボー・スポーツ」という。なお、本件商標の商標権者であるヤマハ株式会社は、本件商標と類似し指定商品も同一の登録第2724341号商標について、米国ブラボー・スポーツへの通常実施権を商標原簿に登録している。)並びに乙第4号証及び乙第5号証から「XERO WHEELS S.r.l.」はブラボー・スポーツの子会社と認められ、かつ、「ASICS CORPORATION」は、ブラボー・スポーツの一員として日本におけるインラインスケートの販売を担当している会社であることが認められる。

してみると、「ASICS CORPORATION」は、通常使用権者のインラインスケートを日本で販売することを担当している者であって、その販売に係る商品に使用する商標として本件商標の使用許諾がされていることを容易に推認できるものである。

(2)使用している商標と商品について

被請求人の提出に係る乙第1号証は、ブラボー・スポーツ並びにXERO WHEELS S.r.l.の発行するインラインスケートの商品カタログ「HYPER WHEELS CATALOG 2004」と認められるところ、このカタログの中頁には「HYPER HOCKEY OUTDOOR」を見出しとして、右側上段に「PRO 250」と記載され、該商品が掲載されている。その商品写真として色違いの3つのインラインスケート用ホイールがカラーで掲載されていて、これらのホイールにはそれぞれ側面に本件商標と社会通念上同一の商標と認め得る「HYPER」の文字が表示されている。

上記の商標「HYPER」を表示したホイールには、その商品写真の上下に英文で「HOCKEY WHEEL」の文字が記載されていることが認められる。そして該商品は、ホッケーに使用されるインラインスケート用のホイール(タイヤ)部品と認められるものであり、かつ、ホッケーに使用されるインラインスケートは「運動具」に属するものであるから、当該商品は「インラインスケート(運動具)の部品」ということができる。

また、乙第4号証は、ブラボー・スポーツの子会社と認められるイタリア国在の「XERO WHEELS S.r.l.」から日本の「ASICS CORPORATION」へ宛てて発行された2005年4月29日付け送り状(インボイス)と認められるものである。

同じく、乙第5号証も、「XERO WHEELS S.r.l.」から日本の「ASICS CORPORATION」へ宛てて発行された2006年2月28日付け送り状(インボイス)と認められるものである。

そして、上記の2005年4月29日及び2006年2月28日の日付は、本件審判請求の登録日(平成19年4月3日)前三年以内であることが認められるものであり、また、左上の「XERO WHEELS S.r.l.」の記載の下側に「ブラボー・スポーツの指示・支配により従属的に活動する子会社」といった意味の英文が記載されているところからみても、通常使用権者であるブラボー・スポーツとの関係は明らかというべきである。

さらに、上記乙第4号証の2005年4月29日付け送り状によれば、「XERO WHEELS S.r.l.」から、日本国内の「ASICS CORPORATION」へ、例えば、品番(ITEM CODE)「RH3126318−I」及び「RH3126320−I」の商品が納入されおり、この2つの品番に対応する商品は、乙第1号証のカタログに掲載されている商品「PR0 250」の品番と同一であることが認められる。

同じく、乙第5号証の2006年2月28日付け送り状によれば、「XERO WHEELS S.r.l.」から、日本国内の「ASICS CORPORATION」へ、例えば、品番(ITEM CODE)「RH4C769U34YQ」及び「RH4C729U34YQ」の商品が納入されおり、この2つの品番に対応する商品は、乙第1号証のカタログに掲載されている商品「PR0 150」の品番と同一であることが認められる。

また、提出された乙第6号証ないし乙第10号証の証拠の中には、本件審判請求後日付のもの(乙第7号証)が含まれているものの、乙第8号証の納品書等客観性の高いものも含まれているところからこれらの証拠全体からは、2007年3月14日付けで、日本における販売代理店である株式会社アシックス(英語表記は「ASICS CORPORATION」と認められる。)が、品番を「KHF57X」、品名「SUPERLIFE」を「トウキョト チヨダク カンダ オガワマチ3−4−1フィールドクレスビル」所在の「ヴィクトリア ホンシア」に販売したことがみとめられるものである。そして、その納品書に記載された品番「KHF57X」、品名「SUPERLIFE」は、提出されたカタログ(乙第6号証、乙第9号証及び乙第10号証)及び乙第7号証の商品「SUPERLIFE」の写真に掲載されている品番または品名と一致するものであり、かつ、上記カタログ及び乙第7号証には、インラインスケート用のホイール(タイヤ)に「HYPER」「Hyper」が表記されている。

以上のとおり、乙第1号証ないし乙第10号証を総合すれば、通常使用権者であるブラボー・スポーツが、同人の子会社である「XERO WHEELS S.r.l.」を通して日本国内の販売代理店「株式会社アシックス」に対し、本件商標と社会通念上同一と認められる「HYPER」を表示した「インラインスケート用のホイール(タイヤ)」を輸出し、それを「株式会社アシックス」が、請求に係る「運動具、その部品および附属品」に属する該商品を本件審判請求の登録前3年以内である2007年3月14日に、日本国内のトウキョウト所在の「ヴィクトリア ホンシア」に販売したことが認められる。

してみれば、乙第1号ないし乙第10号証の事実を総合すると、本件商標は、通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件取消請求に係る本件商標の指定商品について、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において使用していたものというべきである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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