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Trademark Appeal Case

商標使用の証拠能力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300345(T2007−300345/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4666172号商標(以下「本件商標」という。)は、「SST」の文字を標準文字により表してなり、平成13年6月28日に登録出願、第36類、第38類、第39類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として同15年4月25日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定役務中、第41類「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授」についての登録を取消す、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

(1)請求の理由

請求人の調査によれば、少なくとも本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件商標をその指定役務中、第41類「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授」について使用していない。

したがって、商標法第50条第1項の規定により、本件商標は、その指定役務中、上記役務についての登録を取り消されるべきである。

(2)被請求人の答弁に対する弁駁

(ア)被請求人は、本件審判請求に係る指定役務である第41類「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授,及びこれらの類似役務」について、本件商標を使用している事実を立証するために乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

しかしながら、これらの証拠は、いずれも本件審判請求に係る上記役務について、本件商標の使用事実を何ら立証するものでなく、本件商標についての使用の客観的、合理的、かつ実質的な要件を全く欠いたものであって、その証拠価値において、脆弱かつ不備なものであるといわざるを得ない。

(イ)ところで、「商標は、商品又は役務に使用され、商標法第1条に係る目的を達成するためのものであるとされていることからすれば、業として、商取引において、標章を付されることにより自他の商品又は役務の識別機能を有し、出所表示機能、品質保証機能を果たし得るものでなければならないのであるから、商標法にいう『役務』とは他人のためにする労務又は便益であって、付随的でなく独立して市場において取引の対象となり得るものと解すべき」(東京高裁平成11年(行ケ)390号審決取消請求事件、平成12年8月29日民事6部判決)であるところ、本件審判請求に係る指定役務である「電子計算機端末を用いて行う知識の教授」とは、教育機関(塾・学校)等が有料にて電子計算機端末を用いて講義等を行うことであり、また「教育に関する情報の提供」とは、教育機関(塾・学校)等が、有料にて講義内容・受講料等に関する情報の提供を行うことであると解すべきである。

しかして、被請求人提出の各証拠からは、本件審判請求に係る指定役務を独立して商取引の目的として提供している事実を客観的に窺うことはできず、被請求人の主張は、失当といわざるを得ない。

ましてや、被請求人主張のように、各種サービスを極めて漠然とした根拠・理由をもって羅列し、あたかも全てのサービスが本件審判請求に係る指定役務及びこれに類似する役務に該当するかの如く主張することは、牽強付会に等しい。

したがって、被請求人提出の各証拠は、いずれも本件審判において、使用事実を立証する証拠として採用される余地のないものであることは明白である。

以下、念のため、被請求人提出の各証拠について詳細に検討し、それらが使用事実を立証する証拠として適切でない点について詳述する。

(ウ)乙第1号証及び乙第2号証

乙第1号証は、被請求人の「SST for“Lモード”ドキュメントサービス」のカタログであり、乙第2号証は、「SST for“Lモード”ドキュメントサービス」の概要を紹介したホームページである。

被請求人は、これらの証拠を提示し、2003年頃から現在に至るまで、本件商標を「種々の教育に関する情報の提供及び様々な知識の教授の役務を提供している」旨主張する。

しかしながら、以下の(a)ないし(g)で述べるとおり、これらの証拠のいずれからも、本件商標が第41類「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授,及びこれらの類似役務」に使用されている事実を証明し得る具体的かつ客観的な記載は、見受けられないばかりでなく、正確なサービスの提供の時期も不明確であって、本件審判請求の登録前3年以内に、被請求人が本件商標を取消請求に係る役務に使用した事実を証明するに足る具体的かつ客観的な記載もない。

また、乙第1号証では、各種サービスについて、「一部」情報料が必要とされているが、被請求人が提示するどのサービスが有料であるかは、具体的に証明されておらず、その点からしても、証拠価値として脆弱といわざるを得ない。

(a)被請求人は、乙第1号証の「SSTミュージック」が「『音楽教育』と密接に関係する楽譜の情報を提供する役務であることから、『教育に関する情報の提供』に類似する役務である」と主張するが、当該「SSTミュージック」の内容は、実質的に「楽譜」(第16類:26A01)の提供あるいは「音楽に関する情報の提供」(第41類:41E03)の範疇に含まれるものであって、決して「教育に関する情報の提供」(第41類:41A01)には含まれないものである(甲第3号証)。

(b)被請求人は、乙第1号証の「SST作って遊ぼ」が「子供の情操教育に関連するおもちゃ情報を提供する役務であることから、『子供の教育に関する情報の提供』に類似する役務である」と主張するが、該「SST作って遊ぼ」は、実質的に「ぬり絵」(第28類:24A01)の提供であって、決して「子供の教育に関する情報の提供」(第41類:41A01)には含まれないものである(甲第4号証)。

(c)被請求人は、乙第1号証の「SST技あり!メニュー」が「『料理の教授』又は『料理に関する知識の教授』に該当する」と主張するが、該「SST技あり!メニュー」は、実質的に「レシピブック」(第16類:26A01)の提供あるいは「料理のレシピに関する情報の提供」(第43類:42B01)の範疇に含まれるものであって、決して「料理に関する知識の教授」(第41類:41A01)には含まれないものである(甲第5号証)。

(d)被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証の「SSTおいしい『Lモード』生活」が「種々の知識の教授にあたり、第41類『教育に関する情報の提供と電子計算機端末を用いて行う知識の教授に類似する役務』に該当する」と主張するが、該「SSTおいしい『Lモード』生活」は、実質的には「料理のレシピに関する情報の提供」(第43類:42B01)、「健康に関する相談・助言・指導又はこれらに関する情報の提供」(第44類:42V02)、「洗濯及び被服のプレスに関する情報の提供」(第37類:37F02)、「被服及び被服の組み合わせに関するファッション情報の提供」(第45類:42G03)等の範疇に含まれるものであって、決して「教育に関する情報の提供、電子計算機端末を用いて行う知識の教授」(第41類:41A01)には含まれないものである(甲第6号証)。

(e)被請求人は、乙第1号証の「SSTトクトク情報」が「飲食店やレジャーランドに関する知識の教授にあたり、第41類『教育に関する情報の提供と電子計算機端末を用いて行う知識の教授に類似する役務』に該当する」と主張するが、該「SSTトクトク情報」は、実質的に「商品の販売促進・役務の提供促進のためのクーポン券又はトレーディングスタンプの発行及びこれらに関する情報の提供」(第35類:35A02)の範疇に含まれるものであって、決して「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授」(第41類:41A01)には含まれないものである(甲第7号証)。

(f)被請求人は、乙第1号証の「SST占いの紙」が「占星術による運勢に関する情報の提供にあたり、第41類『教育に関する情報の提供と電子計算機端末を用いて行う知識の教授に類似する役務』に該当する」と主張するが、該「SST占いの紙」は、実質的に「星座早見盤」(第16類:25B01)あるいは「占い及びこれに関する情報の提供」(第45類:42U02)の範疇に含まれるものであって、決して「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授」(第41類:41A01)には含まれないものである(甲第8号証)。

(g)被請求人は、乙第1号証の「SSTパズルの宝箱」が「パズルに関する情報の提供にあたり、第41類『教育に関する情報の提供と電子計算機端末を用いて行う知識の教授に類似する役務』に該当する」と主張するが、該「SSTパズルの宝箱」は、「パズルおもちゃ」(第28類:24A01)あるいは「おもちゃを使った競技会の企画・運営又は開催に関する情報の提供」(第41類:41F06)の範疇に含まれるものであって、決して「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授」(第41類:41A01)には含まれないものである(甲第9号証)。

(エ)乙第3号証及び乙第4号証

乙第3号証及び乙第4号証は、被請求人の「SST@通信」の案内ないし「SST@通信」のプリントアウトの抜粋である。

被請求人は、これらの証拠を提示し、「定期的に各種情報を提供している」旨主張する。

しかしながら、以下のとおり、当該証拠のいずれからも、本件商標を第41類「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授,及びこれらの類似役務」に使用している事実を証明し得る具体的かつ客観的な記載は見受けられないばかりでなく、そもそも、「SST@通信」は、実質的に、商取引の対象となる独立したサービスとはいえないものであり、付随的なサービスにすぎず、商標法上の「役務」に該当しないとするのが相当であって、主張自体失当といわざるを得ない。

すなわち、被請求人は、乙第3号証及び乙第4号証の「SST@通信」が第41類「教育に関する情報の提供と電子計算機端末を用いて行う知識の教授に類似する役務,料理方法の情報の提供,料理に関する知識の教授,英語の教授」に該当し、「知識の教授及びこれに関する情報の提供」(第41類:41A01)の範疇に含まれるが如く主張するが、該「SST@通信」は、実質的に、「商品の販売促進又は役務の提供促進のための懸賞若しくはプレゼントの応募に関する情報の提供,商品の販売に関する情報の提供」(第35類:35B01)、「コンピュータプログラムの設計・作成又は保守に関する助言・指導及び情報の提供」(第42類:42P02)、「雑誌又は書籍の記事情報の提供」(第45類:42G99)等の範疇に含まれるものであって、決して「知識の教授及びこれに関する情報の提供」(第41類:41A01)には含まれないものである(甲第10号証)。

(オ)乙第5号証及び乙第6号証

乙第5号証は、「Sharp Space Town for Zaurus」サービス案内終了のプリントアウトであり、乙第6号証は、2000年11月現在の「Telios/テリオス」のカタログ、テリオスで利用できるコンテンツ部分の抜粋、及び「モバイルレッスン for テリオス」の販売終了案内のプリントアウトである。

被請求人は、当該証拠を提示し、第41類「電子計算機端末を用いて行う知識の教授及びこれらの類似役務」に本件商標を使用している旨主張する。

しかしながら、乙第5号証には、そもそも本件商標の記載がなく、また、乙第6号証には、「SST」の語が使用されているとしても、第41類「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授,及びこれらの類似役務」について使用されている事実を証明し得る具体的かつ客観的な記載は見受けられないので、当該証拠は、証拠価値として極めて低いといわざるを得ない。

(カ)以上のとおり、被請求人は、本件審判請求に係る指定役務である第41類「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授,及びこれらの類似役務」について、本件商標を日本国内において、使用している客観的かつ実質的な証拠資料を一切提出していない。

したがって、被請求人提出の上記各証拠は、いずれも本件審判において、使用を立証する証拠として採用される余地がないことは明白であり、本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用していないことは明らかである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

(1)上記乙各号証が示すとおり、被請求人は、本件商標を本件審判請求に係る役務について、本件審判請求の登録前3年以内に使用した事実があるので、以下、本件商標の使用事実の詳細について述べる。

(ア)被請求人は、ファクシミリを通じて種々の情報を提供する「Lモード」を利用したサービスとして、2003年頃から「SST for“Lモード”ドキュメントサービス」という名称の下で、種々の教育に関する情報の提供及び種々の知識の教授の役務を提供し、現在に至っている。

「SST for“Lモード”ドキュメントサービス」は、以下に記載するとおり、種々のコンテンツを有し、様々な教育に関する情報の提供、様々な知識の教授の役務を提供している(乙第1号証及び乙第2号証)。

(a)「SSTミュージック」は、最新のヒット曲から、なつかしの名曲まで、500曲以上の楽譜をファクシミリで取り出すことができる役務である。

当該役務は、「音楽教育」と密接に関係する楽譜の情報を提供する役務であることから、「教育に関する情報の提供」に類似する役務である。

(b)「SST作って遊ぼ」は、需要者が子供の遊ぶ道具として求めているぬりえやペーパークラフトなどの紙のおもちゃの情報を、ファクシミリを通じて取り出すことができる役務である。

当該役務は、上記のとおり、子供の情操教育に関連するおもちゃの情報を提供する役務であることから、「子供の教育に関する情報の提供」に類似する役務である。

(c)「SST技あり!メニュー」では、テレビなどの情報媒体によって著名となっている料理評論家の服部幸應氏のレシピから電子レンジの活用レシピに至るまで種々の料理のレシピ情報を提供している。

当該役務は「料理の教授」又は「料理に関する知識の教授」に該当する。

(d)「SSTおいしい『Lモード』生活」では、季節に応じた情報、例えば、話題の食材のレシピの情報の提供、健康に関する情報の提供、季節の衣料品のお手入れの情報の提供など、様々な情報の提供を行っている。

これらの役務は、種々の知識の教授にあたり、第41類「教育に関する情報の提供と電子計算機端末を用いて行う知識の教授に類似する役務」に該当する。

(e)「SSTトクトク情報」では、飲食店やレジャーランドに関する情報の提供を行っている。これらの役務も、飲食店やレジャーランドに関する知識の教授にあたり、第41類「教育に関する情報の提供と電子計算機端末を用いて行う知識の教授に類似する役務」に該当する。

(f)「SST占いの紙」では、12星座別に毎日の運勢の情報を提供している。

この役務は、占星術による運勢に関する情報の提供にあたり、第41類「教育に関する情報の提供と電子計算機端末を用いて行う知識の教授に類似する役務」に該当する。

(g)「SSTパズルの宝箱」では、世界文化社提供の人気パズルの情報の提供を行っている。

この役務は、パズルに関する情報の提供にあたり、第41類「教育に関する情報の提供と電子計算機端末を用いて行う知識の教授に類似する役務」に該当する。

なお、「Lモード」は、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社によって運営されており、平成18年11月30日をもって新規申し込みを終了しているが、現在「Lモード」を契約している顧客に対しては、サービスを継続しており、同様に、被請求人も上記「SST for“Lモード”ドキュメントサービス」を現在継続して提供している。

(イ)乙第3号証は、本件審判請求の登録前3年以内である2004年5月20日に配信された「SST@通信」のプリントアウトである。この「SST@通信」により、被請求人は「Sharp Space Town情報サービス会員」の登録をしている需要者に対し、以下のとおり、定期的に各種情報を提供している。

(a)例えば、「シャープスペースタウン新着ニュース」として「ブロードバンドのサービス開始の情報の提供」をしている。特に、需要者がブロードバンドへの移行を考慮する際、必要とされる金額の設定や、ルータの設定等の詳細な情報も提供している。

(b)他にも、「スペースタウンショッピング」として、電化製品のお買い得情報の提供を行っている。

(c)また、「Space Townブックス」として、「L Caf‘e」と題する各種書籍に関する情報の提供も行っている。

(d)他にも、単なる土鍋のプレゼントにとどまらず、その土鍋で白米を炊くレシピ(料理方法)の情報の提供も行っている。

上記(a)ないし(c)は、第41類「教育に関する情報の提供と電子計算機端末を用いて行う知識の教授に類似する役務」に該当する。

上記(d)は、「料理方法の情報の提供」、すなわち「料理に関する知識の教授」に該当する。

なお、上記「SST@通信」は、「Sharp Space Townインターネット情報サービス会員制度」が2006年3月31日をもって終了したことに伴い、配信を停止しているが、本件審判請求の登録前3年以内の時点では、実際に配信が行われていた。

乙第3号証については、上記2004年5月20日のみならず、その後も、引き続き「SST@通信」がSharp Space Townインターネット情報サービスの登録会員に送信されていた。その証拠として、その配信メールの一部を提出した。

(ウ)乙第4号証は、2003年12月26日に配信された「SST@通信」のプリントアウトである。

上記「SST@通信」における「Space Townブックス」欄下では、「週間!聞こえる英語Topics」創刊と題する新しい英語学習ツールの情報を紹介し、引き続き、毎週登録を行った「Sharp Space Town情報サービス会員」に英語学習の情報の提供を続けてきたので、当該役務は、「英語の知識の教授」に該当する。

(エ)上記「SST@通信」と同様の情報提供サービスを電子計算機端末である被請求人が製造販売する「ZAURUS/ザウルス」の購入者にも提供していたが、同サービスは、上記「Sharp Space Townインターネット情報サービス会員制度」が2006年3月31日をもって終了したことに伴い、現在は、情報提供サービスを終了している(乙第5号証)。

被請求人が製造販売する「ZAURUS/ザウルス」は、「電子計算機端末」の一種であり、これを介して、上記の「Sharp Space Townインターネット情報サービス」の提供を行っていたことは、本件審判請求に係る指定役務中の「電子計算機端末を用いて行う知識の教授,及びこれらの類似役務」の提供に該当する。

(オ)乙第6号証は、本件審判請求の登録前3年以内である2005年11月30日をもって、「モバイルレッスン for テリオス」の販売終了を知らせるTopicsをプリントアウトしたものである。

この「モバイルレッスン for テリオス」は、被請求人が製造販売する携帯型電子計算機端末「Telios/テリオス」の購入者であれば、シャープスペースタウン(SST)でコンテンツを入手することにより、「地図を入手する」、「電子書籍を購入する」、「電車等の乗り換え時間の情報の提供を受ける」、あるいは「空き時間に手軽に英語を学ぶモバイルレッスンを受ける」といったサービスの提供が受けられる。

したがって、携帯型電子計算機端末「Telios/テリオス」を介して、「空き時間に手軽に英語を学べるモバイルレッスンが受けられる」という役務の提供は、本件審判請求に係る指定役務中の「電子計算機端末を用いて行う知識の教授」に該当する。

(2)以上のとおり、被請求人は、本件商標を本件取消請求に係る指定役務「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授,及びこれらの類似役務」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、使用していたことが明白であるから、本件審判請求は、事実に反し、不当なものである。

4 当審における請求人に対する審尋

当審において、請求人に対し、「請求人は、本件商標の指定役務中、第41類『教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授,及びこれらの類似役務』についての登録の取り消しを求めて審判請求したが、請求人が取り消すことを求めた指定役務の範囲は、商標法施行規則別表において『技芸・スポーツ又は知識の教授』に含まれるべき役務群として現在取り扱われている『教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授』にとどまらず、『及びこれらの類似役務』を含むという点において、これを明確に把握することが困難である。仮に、請求人の請求をすべて認める登録の一部取消審決が確定した場合、本件商標に係る登録商標の効力の及ぶ指定役務の範囲は、第41類『電子計算機端末による通信を用いて行うゲームの提供,ゲームプログラムを記憶させたゲームカートリッジ・電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・光学式記録媒体の貸与,教育に関する情報の提供,コンピュータ通信によるゲームの提供に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授,ゴルフ・その他のスポーツの興行の企画・運営又は開催に関する情報の提供,セミナーに関する情報の提供,運動施設の提供に関する情報の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設に関する情報の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行に関する情報の提供,演芸・演劇の上演及び音楽の演奏に関する情報の提供,図書・記録の供覧に関する情報の提供,興行場の座席の手配,興行場の座席の手配に関する情報の提供』から『教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授,及びこれらの類似役務』を除外した指定役務となるが、その範囲は、『これらの類似役務』が除かれる結果として、客観的明確性を欠き、法的安定性を害する。したがって、請求人による本件商標に対する登録の一部取消審判の請求に係る指定役務のうち、『これらの類似役務』に係る部分は、審判の対象・範囲が不明確であるとともに、登録の一部取消審決が確定した場合において、登録商標の効力の及ぶ指定役務の範囲を曖昧にするものである。これについて、例えば、知的財産高等裁判所の指摘(平成19年(行ケ)第10158号 平成19年10月31日判決言渡し等)を踏まえると、本件商標の登録の一部取消審判を審理する審判体としては、実質的な審理を開始するに先立って、請求人に対し、『これらの類似役務』が如何なる指定役務を取り消しの対象としているのかについて、客観的、かつ、具体的で、明確な表示とされるよう釈明を求めるものである。」との審尋を発した。

5 審尋に対する請求人の回答等

請求人は、「請求人による本件商標に対する登録の一部取消審判の請求に係る指定役務のうち、『これらの類似役務』に係る部分は、第41類中、類似群コード41A01の範囲であることを表示したものであって、従来の審判実務で採用されていた『これらの類似役務』に係る部分を便宜的に付加したにすぎないものである。しかしながら、審尋に記載の裁判例等に鑑みると、従来の審判実務の表記を改める必要があることは十分理解し、請求人は、第41類『教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授』について、登録の一部取消審判請求に係る指定役務であることを、ここに釈明するものである。」旨回答した。

それに加えて、請求人は、平成20年1月10日付けの手続補正書をもって、本件審判請求の趣旨を「商標法第50条第1項の規定により、商標登録第4666172号の指定役務中、第41類『教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授』についての登録を取り消す、との審決を求める。」旨、及び本件審判請求書の「6.請求の理由」中、「(2)取消の理由」を「審判請求人の調査したところ、少なくとも本件審判請求前3年以内に、継続して日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定役務中、第41類『教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授』について本件商標を使用していない事実が判明した。したがって、審判請求人は、請求の趣旨のとおりの審決をいただきたく、ここに本件審判を請求する次第である。」と補正したものである。

6 当審の判断

(1)請求人は、本件について、上記5の回答のとおり、「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授」のみについての登録の取消請求である旨釈明するとともに、手続補正書をもって、本件審判請求書における請求の趣旨を明確なものに補正した。そして、本件商標の商標登録原簿には、平成20年1月18日付けで、請求の趣旨についての更正の登録がされたものである。

その結果、本件については、第41類「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授」のみについての登録の取消請求があったと認められる。

(2)そこで、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人が取消請求に係る指定役務「教育に関する情報の提供,電子計算機端末を用いて行う知識の教授」につき本件商標を使用したか否かについて、以下、被請求人提出の乙各号証を検討する。

(ア)乙第1号証及び乙第2号証について

(a)乙第1号証は、2003年3月頃、被請求人が発行した「SST for “Lモード”ドキュメントサービス」(以下「被請求人ドキュメントサービス」という。)と題するカタログ(写)である。

その内容は、被請求人製造販売のファクシミリ機械器具(FAX)を用いて種々の情報をプリントアウトして取り出せることの説明をしたものである。

その説明によれば、被請求人ドキュメントサービスを利用するためには、利用登録が必要とされる。この利用登録自体は無料であるが、利用する際には、「FAX取り出し通信料」と「情報料」が課される。

また、ここでいう「Lモード」自体は、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)及び西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が運営するものであり、その利用に当たっては、NTT東日本又はNTT西日本に申し込む必要がある。

被請求人ドキュメントサービスでは、FAXから取り出す情報の内容に応じて、「SSTミュージック」、「SST作って遊ぼ」、「SST技あり!レシピ」、「SSTおいしい『Lモード』生活」、「SSTトクトク情報」、「SST占いの紙」及び「SSTパズルの宝箱」という各表題下に、それぞれの説明がされている。

しかしながら、これらは、楽譜、ぬりえ、料理レシピ、飲食店・レジャーランドの割引クーポン券、星座占い表、パズルの問題シート、健康に関する説明、衣類の手入れに関する説明等をFAXを通じてプリントアウトし、取り出すことができるというものであって、いずれも教育に関する役務の提供とはいい難く、他に、教育に関する情報の提供と認めるに足るものは見当たらない。

(b)乙第2号証は、被請求人が2003年1月にインターネットで配信した「News」(写)である。

その内容は、被請求人が新メニューを追加・拡充した被請求人ドキュメントサービスをFAXを通じてプリントアウトし、取り出すことができることを告知しているものである。

しかしながら、この追加メニューの中にも、教育に関する役務の提供は見当たらない。

(イ)乙第3号証及び乙第4号証について

乙第3号証及び乙第4号証は、主に被請求人の製造・販売に係る商品の顧客ともいうべき「Sharp Space Town情報サービス会員」を対象とした「SST@通信」と題するインターネットによるメールマガジンのプリントアウト(写)であり、2004年5月20日及び2003年12月26日に配信されたものである。

しかしながら、このメールマガジン自体は、上記情報サービス会員へ無料で配信されるお知らせメールであって、インターネットの接続・情報サービスでの最新情報、お勧めや最新のコンテンツの紹介、被請求人製品の最新情報等の告知にとどまるものであり、教育に関する情報の提供に当たるものではなく、知識の教授に該当するものでもない。

もとより、「教授」とは「学術・技芸などを教えること。養護・訓練とならぶ教育上の基本的な作用とされる」(岩波書店発行「広辞苑第5版」参照)ことの意であることに照らすと、上記メールマガジンの配信者たる被請求人及びその受信者である需要者のいずれにも、上記メールマガジンを通じて学術・技芸を教え、また、教わるといった認識はほとんどないものである。

(ウ)乙第5号証について

乙第5号証は、被請求人のインターネットホームページのプリントアウト(写)である。

その内容は、「Sharp Space Town for Zaurus」のサービス終了を告知するものであり、そこには、本件商標の掲載のみならず、具体的な役務についての記述は全く見いだせない。

(エ)乙第6号証について

乙第6号証は、被請求人発行の2000年11月現在の商品「携帯型電子計算機端末」のカタログ(写)及びその携帯型電子計算機端末を通じて利用し得るコンテンツ等を説明した被請求人のインターネットホームページのプリントアウト(写)である。

そして、上記カタログには、「シャープスペースタウン(SST)で、コンテンツを手軽に利用」との表題下に、「空き時間に手軽に英語を学べるモバイルレッスン」との小見出し下の具体的記述として「『TOEIC Testリスニング攻略編』・・・1レッスン/100円(税別)モバイルレッスンをご利用頂くにはSharp Space Townインターネット情報サービスへご入会が必要です。」との説明があり、被請求人のホームページにも、同様の説明がある。

また、上記モバイルレッスンは、2005年11月30日(水)で終了した旨も告知されている。

(3)商標法上の役務について

ところで、商標法上の役務については、「商標は、商品又は役務に使用され、商標法第1条に係る目的を達成するためのものであるとされていることからすれば、業として、商取引において、標章を付されることにより自他の商品又は役務の識別機能を有し、出所表示機能、品質保証機能を果たし得るものでなければならないのであるから、商標法にいう『役務』とは他人のためにする労務又は便益であって、付随的でなく独立して市場において取引の対象となり得るものと解すべきであり、他方で、例えば、商品の譲渡に伴い、付随的に行われるサービスは、それが、それ自体のみに着目すれば、他人のためにする労務又は便益に当たるとしても、市場において独立した取引の対象となっていると認められない限り、商標法にいう『役務』には該当しないものと解するのが相当である」(東京高裁平成11年(行ケ)390号審決取消請求事件、平成12年8月29日民事6部判決)と判示されている。

これに照らすと、上記乙各号証に見られる種々の情報等は、主として被請求人商品を購入した者に限り、提供されるものであり、商品の販売に伴い、付随的に提供されるサービスが多数であるところ、それらの中には、サービスを受けるにあたり、別途、情報料を必要とするものがあり、その限りにおいては、独立した経済取引の対象となっている役務もあるということができる。

例えば、乙第1号証の被請求人ドキュメントサービスは、利用登録自体は無料であるが、利用する際には「情報料」が必要とされ、また、乙第6号証の「モバイルレッスン」は、「1レッスン/100円」と記載されている。

しかしながら、上記のうち、被請求人ドキュメントサービス中には、上記の(2)(ア)のとおり、「教育に関する情報の提供」に該当するものは見当たらない。

これに対し、乙第6号証の「モバイルレッスン」は、被請求人の携帯型電子計算機端末の利用者に限定されるが、電子計算機端末を用いて行う英語のレッスンと解し得るものであり、「電子計算機端末を用いて行う知識の教授」の範囲に属する役務の提供とみて差し支えないものである。

(4)本件商標の使用について

乙第6号証の商品カタログ及び被請求人のホームページには、本件商標と社会通念上同一といい得る「SST」の文字が表示されており、該商品カタログは2000年11月現在とされており、被請求人のホームページで「モバイルレッスンは2005年11月30日(水)で終了した」旨が告知されていることから、乙第6号証の「モバイルレッスン」は、少なくとも2000年11月から2005年11月までは被請求人によって提供されていたとみるのが自然であり、本件商標は、上記「モバイルレッスン」について、本件審判請求の登録(平成19年4月11日)前3年以内に使用され、それは上記2005年11月まで継続していたものというべきである。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件取消請求に係る指定役務「電子計算機端末を用いて行う知識の教授」について、商標権者たる被請求人によって使用されていたものという

べきであるから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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