結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−300530(T2007−300530/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2137697号商標(以下「本件商標」という。)は、「EMPORIO ARMANI」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年12月3日に登録出願、第23類「時計、眼鏡、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成1年5月30日に設定登録されたものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、「時計、これらの部品および付属品」の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標の指定商品中、「時計、これらの部品および附属品」については、過去3年以上に亘り日本国内において、商標権者又は使用権者のいずれもが、当該指定商品について使用されたとする事実が発見できず、不使用の事実が明らかである。また、その不使用について正当事由が有るとは、到底認められないものである。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、前記指定商品についてその登録は、取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているか否かであるが、本件商標の構成態様は、欧文字のみで「EMPORIO ARMANI」と書してなる構成態様である。被請求人が使用商標として提出の乙第1ないし同第12号証に記載の商標(以下「使用商標乙1ないし乙12」という。)を観るに、欧文字で「EMPORIO」と「図形」と欧文字で「ARMANI」とを横一連に記載して成る外観構成態様である。
そこで、使用商標乙1ないし乙12が本件商標と社会通念上同一の商標と認められるか否かであるが、使用商標乙1ないし乙12は、前記のとおり、文字と図形の結合であり、一連一体の構成態様として全体1個の商標登録と認められ、その構成文字部分や図形部分がそれぞれ個別に1個全体を表示するとは言い難く、従前認められている文字商標の語句を平仮名・片仮名・欧文字等の重複態様の登録商標でその内1個の使用において「社会通念上の同一」と認められるものとは、本件はその構成態様が全く異なり、被請求人が主張は全く論外である。
被請求人の使用商標乙1ないし乙12の主張根拠として、「構成が比較的冗長である。」とするが、社会通念上同一か否かの判断として「構成の冗長」はその根拠とはなり得ない。被請求人は本件商標の構成文字の数から冗長と判断しているようであるが、その一部の文字部分の使用を以って全体を使用したとされる「社会通念はない。」。また、例えば、図形と文字の結合から成る登録商標は多数認められるが、その一部である文字部分或いは図形部分のみでの使用が、全体を使用したとされる「社会通念はない。」。被請求人は、使用に係る商標の図形を基準にして「分断理解」が考えられると主張しているが、その主張は一商標一出願における概念を無視しての、単に被請求人の希望的見解を述べているに過ぎない。
さらに、被請求人は、本件商標「EMPORIO ARMANI」の文字が「周知著名である。」との主張をしているが、そもそも使用実績のない商標において何を根拠に「周知著名である。」と主張するか、全く不明と言わざるを得ない。
イ 「時計、これらの部品および付属品」へ本件商標が使用されていると認められる乙号証の提示はない。
答弁書に添付の証拠方法における乙号証は、何れも「商品カタログ」と記載されている。精査するに、使用を立証する商標部分が切れていたり(乙第1号、同第3号証)、当該商品である「時計」について具体的に本件商標がその構成態様において同一或いは同一性の認められた態様で使用されているとする、「使用態様」が全く不明である。
そもそも乙号証が何の「資料」か不明で、商品カタログ(商品説明)としては極めて粗雑であり、1頁のみのカタログ(乙第1号、同第2号、同第3号、同第5号証)の存在は否認せざるを得ない。乙第4号証は、不明であり本件とは無関係と認められる。また、当該乙号証の資料は総て印刷物と認められるが、日本国内で何時どのように使用されたものかも不明であり、何等本件商標の使用を立証した資料とは全く認められない。
ウ したがって、本件商標が審判請求予告登録日前3年以内に使用している事実は、被請求人が提示の全乙号証から全く認めることはできない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証を提出した。
(1)本件商標の使用の事実及び使用の証明
被請求人は、わが国において、乙第1号証ないし同第12号証に記載の使用商標乙1ないし乙12を「時計、これらの部品および付属品」について使用している。
使用商標乙1ないし乙12は、欧大文字の「EMPORIO」と鷲図の図形及び「ARMANI」の文字を横一連に記載してなる。
このように構成が比較的冗長であり、中央に鷲の図形が配置されていることも相俟って、図形部分と文字部分が分断され、「EMPORIOARMANI」と理解される。
さらに、本件商標が、時計や被服等をはじめとするファッション関連で周知・著名であることをも考慮すれば、なおさら、使用商標乙1ないし12は、「EMPORIOARMANI」のみで自他商品識別機能を発揮しうることは明らかである。
よって、 本件商標中「EMPORIOARMANI」の文字が要部となり、自他商品識別機能を発揮しているというべきであるから、使用商標乙1ないし12は、本件商標と社会通念上同一の商標である。
(2)まとめ
以上より、本件商標と社会通念上同一性のある商標が付された商品「時計、これらの部品および付属品」が本件審判の請求の予告登録前3年に使用されていたものである。
(1)被請求人は、本件商標は、社会通念上同一の商標を、請求に係る商品「時計、これらの部品および付属品」について、審判請求の予告登録前の3年以内に、使用されていたものである旨主張する。そこで、被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 乙第1号証は、「EMPORIO ARMANI」と題する時計の2006年2007年秋冬カタログと認められるところ、当該表紙の「EMPORIO ARMANI」の末尾の「I」が欠けているものの、当該カタログには時計を着用したモデル及び時計の写真の文字盤中に、「EMPORIO ARMANI」の文字及び「EMPORIO」と「ARMANI」の文字の間に「GA」の文字を含めた鷲と思しき図形が付されている(以下、乙第1号証、同第2号証、同第5号証、同第7号証、同第9号証及び同第12号証に付された「EMPORIO ARMANI」の文字及び「EMPORIO」と「ARMANI」の文字の間に「GA」の文字を含めた鷲と思しき図形からなる商標をまとめて「使用商標」(別掲)という。)。
イ 乙第2号証は、「EMPORIO ARMANI」と題する時計の2006年2007年秋冬カタログと認められるところ、標題に使用商標が付されている。また、時計の写真の文字盤中にも使用商標が付されている。
ウ 乙第5号証は、「EMPORIO ARMANI」と題する時計の2007年春夏カタログと認められるところ、標題に使用商標が付されている。なお、時計の写真の文字盤中に文字等が付されているが、極めて小さいため判読できない。
エ 乙第7号証は、「EMPORIO ARMANI」と題する時計の2007年春夏カタログと認められるところ、標題及び末尾から2頁目に使用商標が付されている。なお、時計の写真の文字盤中に文字等が付されているが、極めて小さいため判読できない。
末尾から2頁目には、「掲載商品の価格及び、仕様は2007年4月現在のもので、予告なしに変更する場合がございます。」、「株式会社フォッシルジャパン」及びその住所、電話番号等の記載がある。
オ 乙第9号証は、「EMPORIO ARMANI」と題する時計の2004年秋冬カタログと認められるところ、標題及び末尾の頁に使用商標が付されている。
末尾の頁には、「掲載商品の価格および仕様は2004年7月現在のもので、予告なしに変更する場合がございます。」、「株式会社フォッシルジャパン」及びその住所、電話番号等の記載がある。
カ 乙第12号証は、「EMPORIO ARMANI」と題する時計の2007年春夏カタログと認められるところ、当該表紙及び2頁目に使用商標が付されている(ただし、表紙の前記文字及び図形は白抜きで表示されている。)。
2頁目には、「掲載商品の価格及び、仕様は2007年4月現在のもので、予告なしに変更する場合がございます。」、「株式会社フォッシルジャパン」及びその住所、電話番号等の記載がある。また、時計の写真の文字盤中に、使用商標が付されている。
キ なお、乙第3号証のカタログは、表紙の「EMPORIO ARMA」以降の文字が欠け、乙第4号証のカタログは、他の商標に関するカタログであり、乙第6号証及び同第11号証のカタログは、審判請求の予告登録後のものであり、乙第8号証のカタログは、英文のみのカタログである。
(2)上記において認定した事実によれば、株式会社フォッシルジャパンは、「EMPORIO ARMANI」と題する時計の2004年秋冬版のカタログ以降、同2007年春夏版のカタログに使用商標を付し、また、掲載中の時計の写真の文字盤中にも使用商標を付した同カタログを前記期間中(2004年秋冬以降、同2007年春夏)に展示又は頒布したものと推認することができる。
被請求人は、通常使用権の許諾に関する証拠を提出していないが、被請求人が日本国内で時計について使用していることを証明するための証拠として自ら提出した株式会社フォッシルジャパン発行のカタログであることに照らせば、株式会社フォッシルジャパンは、本件商標の通常使用権を被請求人から許諾された通常使用権者であると推認することが不自然ではないというべきである。
(3)つぎに、使用商標が本件商標と商標法第50条第1項に規定する社会通念上同一と認められるかについてみるに、使用商標は、本件商標である「EMPORIO ARMANI」の文字中、「EMPORIO」と「ARMANI」の文字の間に「GA」の文字を含めた鷲と思しき図形(以下「図形部分」という。)が介在されているものである。
そして、「EMPORIO」と「ARMANI」の文字と図形部分とは文字と図形という表現の態様を異にすることから、文字部分の「EMPORIO ARMANI」と図形部分からなるものとしてそれぞれが視覚上分離して認識されるものである上に、図形部分が特定の称呼、観念を生じることによって前記文字部分と一体になり、そのことにより全体で新たな称呼、観念として認識されるという格別の事情は見いだし難いものである。
また、一般に、商取引の実際において登録商標を使用する場合、登録商標の文字の周辺に他の図形を配置して使用されることがしばしば行われているのが実情である。
そうすると、使用商標は、その構成中の文字部分である「EMPORIO ARMANI」が、独立して自他商品の識別機能を有していると認めることができ、使用商標の文字部分と本件商標とは「EMPORIO ARMANI」の構成文字を同じくするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というのが相当である。
(4)請求人の主な反論に対して
請求人は、乙号証は、使用を立証する商標部分が切れていたり、1頁のみのカタログ(乙第1号、同第2号、同第3号、同第5号証)の存在は否認せざるを得ないと主張する。
しかしながら、商標部分が切れている点については、確かに、乙第3号証は、上記(1)キで認定したとおり、表紙の「EMPORIOARMA」以降の文字が欠けており、それをもって、本件商標を使用していたとはいえないが、乙第1号証は、当該表紙の「EMPORIO ARMANI」の末尾の「I」が欠けているものの、当該カタログには時計の文字盤中に、使用商標が付されていることが確認できるものであるから、時計について本件商標を使用していたと認めることができる。
次に、1頁のみのカタログについては、確かに、乙号証の全てについて、表紙や裏表紙等が提出されてはいないが、乙第7号証、同第9号証及び同第12号証のように、表紙や裏表紙、各種時計の写真や価格表、発行者及びその住所や電話番号、さらには「掲載商品の価格及び、仕様は2007年4月現在のもので、予告なしに変更する場合がございます。」などの注意書きも掲載されており、通常発行されるカタログとしての体裁を整えていると認められ、これを否定する不自然さを見いだすことができない。
そうすると、請求人の上記主張は、採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者と認められる者によって、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる時計について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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