Trademark Appeal Case
アグリサポートの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−22948(T2006−22948/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「アグリサポート」の片仮名文字を標準文字で書してなり、第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務とし、平成17年12月19日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同18年7月4日付け手続補正書により、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入あっせん」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『アグリサポート』の文字を標準文字で書してなるものであるが、該文字は、近年、全国各地において、地元農協や諸団体等が、地域農業の再生・発展のために、農家の労働力不足を補うための支援策を講じたり、農業経営に必要な資金の貸出しなどの事業内容を表す語として広く採択・使用されている実情にある。そうすると、本願商標をその指定役務について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、『農業支援を目的とした役務』であることを認識するにとどまり、単に役務の質を表したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」と認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「アグリサポート」の文字を書してなるところ、その構成中の「アグリ」の文字は、「『土地の、農業の』の意で複合語をつくる」の意味、「サポート」の文字は、「支持、援助すること」(いずれも「コンサイスカタカナ語辞典」第2版、株式会社三省堂発行)の意味を有する語であり、それらを結合したものと容易に認識されるものである。
そして、次のような新聞記事情報及びインターネットのサイトの情報によれば、本願の指定役務の取引の実際において、「アグリサポート」の語が、「資金の貸付け」等について、「農業支援」の意味合いで使用されていることを窺い知ることができる。
(a)1996.09.22 日本農業新聞 ブロック版/東海
「学校給食に生野菜を、15市町村に早期再開要請、JAひだ」の見出しの下、「同JAではこれらの状況に対応する資金的バックアップとして、農業経営に必要な資金に対応する貸付金『アグリサポート』の融資要項を一部改正、O157による影響を間接的に受けた農業者へも対応できる資金としている。」の記載。
(b)1996.12.14 中日新聞 朝刊 19頁 岐阜総合版
「O157特別融資は計4億6千230万円に 県信連まとめる」の見出しの下、「県信連の農業関連融資制度『アグリサポート』の年二・三%の金利をさらに引き下げ、年一・三%(変動金利)で特別融資した。」の記載。
(c)2005.07.20 日本農業新聞 3頁 総合3面12版
「[追跡]金融機関/農業法人向け融資拡充 JAバンク体制整備」の見出しの下、「信連段階では、JA長野信連では、担い手向け低利融資『アグリサポートローン』を創設した。」の記載。
(d)2005.07.29 金融専門誌ニッキン 9頁
「茨城県信農連、農業金融センターを新設、農協の特別資金は4億円実行」の見出しの下、「農業法人への直接融資に対応する『アグリサポートローン』も創設。」の記載。
(e)2006.04.01 読売新聞 西部朝刊 29頁
「宮崎銀、農業従事者向け無担保ローン開始=宮崎」の見出しの下、「宮崎銀行は3日から、農業従事者向けの無担保ローン「アグリサポートローン『豊年万作(ほうねんまんさく)』」の取り扱いを始める。」の記載。
(f)2006.07.14 金融専門誌ニッキン 15頁
「記者手帳 小林・福岡県信農連推進統括部長 巻渕・柏崎農協組合長」の見出しの下、「今春、大口の農業法人向け資金として『福岡アグリサポートローン』を開始。」の記載。
(g)2006.11.03 日本経済新聞 地方経済面 (東北B) 24頁
「農家向けローン、大東銀が開始。」の見出しの下、「大東銀行は二日、農業に必要な運転資金や設備投資資金を貸し付ける『だいとうアグリサポートローン』の取り扱いを、六日から始めると発表した。」の記載。
(h)2007.04.07 北海道新聞 朝刊地方 29頁
「『すみ分け』やめ顧客取り込み*網走管内の信金や銀行*農家向け融資に力*強み持つ農協側は静観」の見出しの下、「網走管内の金融機関が、農家向けの融資に力を入れている。・・(略)・・北見信用金庫は四月から『きたしんアグリサポート』の取り扱いを始めた。二千万円を限度額に、肥料や資材などの運転資金や農機具などの設備資金を貸し付ける。」の記載。
(i)2007.04.20 金融専門誌ニッキン 8頁
「大分信金、農業向けなど2種のローン」の見出しの下、「【福岡】大分信用金庫(山上博資理事長)は4月2日、農業向けの『アグリサポートローン』とスピード回答の『ビジネスオーナーローン』の取り扱いを始めた。」の記載。
(j)2007.05.30 日本経済新聞 朝刊 4頁
「農林中金、経常益17%増、前期、最終利益は5.1%減。」の見出しの下、「企業の社会的責任(CSR)の観点から農業向けの低利融資など『アグリサポート事業』を今年夏にも始める考え。」の記載。
(k)2007.11.07 日経金融新聞 4頁
「旭川信金、農林公庫と提携、運転資金を融資。」の見出しの下、「同信金は今年四月、農業法人や農家向けに運転資金を融資する商品『アグリサポート』の取り扱いを開始。」の記載。
(l)http://www.ja-ishinomaki.or.jp/topics/1497.html
JAいしのまきのサイトにおいて、「トピックス」の見出しの下に、「農業経営にかかる設備投資などの資金に『アグリサポートローン』をご利用ください」の記載。
(m)http://www.ja-kakamigahara.or.jp/jaronn.html
JAかかみがはらのサイトにおいて、「金融商品(主なローンの種類)」の見出しの下、「アグリサポート」の項目の「資金の使いみち」の欄に、「農業経営に必要とする一切の資金」の記載。
(n)http://www.itoigawa.shinkumi.jp/anke.pdf
糸魚川信用組合のサイトにおいて、「『お客様満足度調査』結果のお知らせ」の見出しの下、「お客様の声を基に取組んだ改善事項」の項目に、「3.いとしん独自新商品、農業者向け融資商品『アグリサポート』を開発、推進しています。」の記載。
(o)http://www.shinkin.co.jp/sawara/loan/jigyousya/agri_support.htm
佐原信用金庫のサイトにおいて、「アグリサポートローン」の見出しの下、「農業関連資金のニーズをすばやくサポート」及び「営農資金(運転・設備)はもちろん、農業関連の食品加工業者の方まで幅広い農業関連資金のニーズをサポートします。」の記載。
上記のような取引の実情からすれば、本願商標の「アグリサポート」の語は、本願商標に係る指定役務中「資金の貸し付け」について、取引の実際において「農業支援」の意味合いで広く使用されているものであるから、これを本願指定役務中「農業支援のための資金の貸し付け」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、役務の質(内容)を表示したものとして把握するにとどまり、自他役務を識別するための標識とは、認識し得ないものと判断するのが相当である。
そうとすると、本願商標は、これを本願指定役務中「農業支援のための資金の貸し付け」に使用するときは、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものというのが相当であり、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあると判断するのが相当である。
なお、請求人は、請求人自身が平成17年(2005年)12月19日に農家向けローン「アグリサポート」の取り扱いを開始し、これが、最も早い「アグリサポート」の「農家向けローン」への使用であり、本願商標の出願時においては、他者において、「アグリサポート」の文字は、「農業向けローン」を意味するものとは認識されていなかったのみならず、そのような意味では全く使用されていなかった旨主張している。
しかしながら、上記新聞記事情報によれば、請求人よりも早く、他者が「アグリサポート」の語を「資金の貸し付け」について「農業支援のための資金の貸し付け」の意味合いで使用していた事実があるから、該語が請求人により創造された語であるとはいい難いものである上に、出願された商標が、商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品又は役務等の取引の実情等を考慮し、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務に基づき、個別具体的に判断されるものであるところ、本願については前記のとおり判断するのが相当であるから、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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