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Trademark Appeal Case

不使用取消と使用証拠

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2006−31476(T2006−31476/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4685551号商標(以下「本件商標」という。)は、「エステ」の片仮名文字と「ESTHE」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成13年8月20日に登録出願、別掲に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として同15年6月27日に設定登録され、その後、指定商品及び指定役務については、商標登録の取消の審判により、その指定商品及び指定役務中、第17類「プラスチック基礎製品以外の商品」について取り消すべき旨の審決がされ、その審判の確定登録が同19年8月13日にされ、さらに、第9類、第19類、第21類及び第37類に属する指定商品及び指定役務の全部について、一部放棄により消滅し、同19年11月21日に一部抹消の登録がされているものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を第9類、第19類及び第21類の指定商品について取消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、被請求人の会社概要及び取扱商品を示すウエブサイトのプリント等を提出した。

(1)請求の理由

被請求人は、そのウエブサイトによれば、ガラスとガラス用フイルムの販売及び施工・修理等を行う企業である。そして、「エステフイルム」なる商標を「自動車のガラス被膜フイルム」に使用していることが判明した。また、請求人の調査したところでは、本件商標は過去3年以上に亘り当該商品以外には使用されていないことが判明した。

よって、本件登録は、第9類、第19類及び第21類の指定商品については、商標法第50条の規定により取消を免れないものである。

(2)弁駁の理由

乙第1号証と同第7号証はその存在を否認する。存在するとしても取引において使用されていることの立証とはならない。自動車用ガラスと建築用ガラスは、品質を異にするにも拘わらず、乙第1号証と同第7号証はほぼ同じ内容の書証である点は、全くおかしいと言わざるを得ない。また、乙第1号証ないし同第6号証は、「加工ガラス」についての本件商標の使用であるという主張を裏付ける証拠として提出されているが、それらは「加工ガラス」に関する書証ではない。

乙第8号証ないし同第12号証は、本件権利者の第三者宛ての請求書の写しであるが、本件商標が「建築用ガラス」に使用されていることを立証するものではない。

被請求人は、そのウエブサイトによれば、ガラスとガラス用フイルムの販売及び施工・修理等を行う企業であるが、飛散防止・防犯・紫外線カット用のフイルムをガラスに貼り付け施工することを主たる業務とする。被請求人のウエブサイトには、被請求人が主張している商品は全くみつからない。請求人の事前調査でも、本件商標は過去3年以上に亘り当該取消しを求めた商品には使用されていない。

また、被請求人は、「エステガラス」が本件商標の使用であると主張しているが、本件商標は「エステ」と「ESTHE」の二段併記の商標であるが、「エステガラス」は本件商標ではない。

3 被請求人の主張の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証を提出した。

被請求人である株式会社総商は、商標権者であり、本件商標を継続して日本国内において、第9類の指定商品「加工ガラス」、第19類の指定商品「建築用ガラス」、第21類の指定商品「ガラス基礎製品(建築用のものを除く)」について使用している。

(1)第9類の指定商品「加工ガラス」について

被請求人は、自動車のフロントガラスなどの交換をしている。このため、平成18年度版のパンフレット(乙第1号証)を需要者に配布し、自動車のフロントガラスなどの交換に伴い販売している(乙第2号証ないし同第6号証)。

平成18年度版のパンフレット(乙第1号証)は、平成18年1月に改定している。エステガラスは、高透明性、紫外線カット効果、断熱・省エネ効果に優れることを、3mmフロート板ガラスと比較して強調している。

被請求人は、自動車のフロントガラスなどの交換をしていることから、乙第2号証ないし同第6号証に示す請求書では、ガラス交換とし、ガラス代、工賃込みの金額を請求している。

(2)第19類の指定商品「建築用ガラス」について

被請求人は、住宅の施工などにおいて、建築会社に建築用ガラスを納品し、施工している。このため、平成18年度版のパンフレット(乙第7号証)を需要者に配布し、ガラスを販売している(乙第8号証ないし同第12号証)。

平成18年度版のパンフレット(乙第7号証)は、平成18年1月に改定している。建築用エステガラスは、高透明性、紫外線カット効果、断熱・省エネ効果に優れることを、3mmフロート板ガラスと比較して強調している。

被請求人は、住宅のガラスの施工を行うことから、乙第8号証ないし同第12号証に示す請求書では、ガラス施工代とし、このガラス施工代の中にエステガラスの金額も包含されている。

(3)第21類の指定商品「ガラス基礎製品(建築用のものを除く)」について

被請求人は、自動車のフロントガラスなどの交換をしており、第9類の指定商品「加工ガラス」についての乙第1号証ないし同第6号証は、ガラス基礎製品(建築用のものを除く。)の使用の証明になる。

(4)使用者、使用商標及び使用時期について

パンフレット(乙第1号証及び同第7号証)の最下段部には、被請求人の会社名「株式会社総商」が、またその下方部には住所、電話番号、FAX番号が記載されており、パンフレットの改訂年度が記載されている。また、自動車のフロントガラスなどの交換の請求書(乙第2号証ないし同第6号証)、住宅のガラスの施工の請求書(乙第7号証ないし同第12号証)にも同様に、被請求人の会社名、住所、電話番号、FAX番号が記載されており、請求年月日が記載されている。

そして、パンフレット(乙第1号証及び同第7号証)には、「エステガラス」と記載されており、自動車のフロントガラスなどの交換の請求書(乙第2号証ないし同第6号証)、住宅のガラスの施工の請求書(乙第7号証ないし同第12号証)にも「エステガラス」と記載されており、本件商標を使用していることは明らかである。

4 当審の判断

(1)商標法第54条第2項において「第50条第1項の審判により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、商標権は、同項の審判の請求の登録の日に消滅したものとみなす」と規定するところ、商標登録原簿によれば、本件取消審判の予告登録は、平成18年12月18日であり、一方、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類、第19類、第21類及び第37類に属する商品及び役務の全部について、一部放棄により消滅し、一部抹消の登録が、同19年11月21日であるから、本件取消審判の予告登録より後になされた当該指定商品及び指定役務の放棄によって、本件審判請求の対象がなくなることはない。

そこで、本案に入って審理する。

(2)被請求人である株式会社総商は、商標権者であり、本件商標を継続して日本国内において、第9類の指定商品「加工ガラス」、第19類の指定商品「建築用ガラス」、第21類の指定商品「ガラス基礎製品(建築用のものを除く)」について使用している旨、主張する。

そして、商標法第50条第2項に規定するように、「請求に係る指定商品又は指定役務のいずれか」について登録商標の使用をしていたことを証明すればよいのであるから、第19類の指定商品「建築用ガラス」について、以下、判断する。

被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。

乙第7号証は、「エステガラス/建築用(「建築用」の文字は「エステガラス」の文字の下に小さく記載されている。)」の商標が付されたパンフレットであり、エステガラスの特徴が3mmフロート板ガラスと比較して記載されている。そして、パンフレットの下部には、被請求人の会社名「株式会社総商」、住所、電話番号、FAX番号等が記載されており、パンフレットの発行日として「平成18年1月発行」と記載されている。

乙第8号証ないし同第12号証は、被請求人が神奈川県川崎市在の大門建設株式会社へ宛てた請求書であり、商品名の欄には、「ガラス施工/材料:エステガラス/寸法」等が記載されており、金額の欄には請求金額が記載されている。そして、日付の欄には、乙第8号証には「18/04/16」、同第9号証には「18/06/28」、同第10号証には「18/07/17」、同第11号証には「18/08/29」、同第12号証には「18/10/19」の各日付が記載されている。

(3)上記のとおり認定した事実によれば、被請求人は、「エステガラス/建築用」の商標を付したパンフレットを本件審判の請求の登録(平成18年12月18日)前3年以内である平成18年1月に発行していたものということができる。

そして、被請求人は、本件審判の要証期間内である平成18年4月16日から同年10月19日当時において、5回にわたって、神奈川県川崎市在の大門建設株式会社に対して、個人住宅のガラス施工という業務を通して、上記パンフレットに紹介されている「エステガラス」を販売したものと推認し得るところである。

そして、使用に係る商標「エステガラス」のうち「ガラス」の文字部分は商品の普通名称であるから、使用に係る商標の要部は「エステ」の文字部分にあり、これは、前記した本件商標の片仮名文字部分の使用であって、本件商標の欧文字部分からも「エステ」の称呼を生ずるものであるから、使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。また、被請求人の業務に係る商品「建築用ガラス」は、本件取消請求に係る第19類「建築用ガラス」の範疇に属する商品と認められるものである。

そうとすれば、乙第7号証ないし同第12号証を総合してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、少なくとも、取消請求に係る商品に含まれる「建築用ガラス」について使用していたものということができる。

(4)請求人の主な反論について

(ア)乙第7号証(パンフレット)の存在を否認する、存在するとしても取引において使用されていることの立証とはならない旨の主張について

乙第7号証のパンフレットは、全体の体裁からみて、積極的に疑念を抱かせる不自然なところは見当たらず、その成立を否定するに足る証拠も提出されていない。そして、現に、乙第8号証ないし同第12号証により、建築用「エステガラス」が取引されていたものと推認されることから、上記パンフレットも取引に供されていたものとみるのが自然である。

また、請求人は、自動車用ガラスと建築用ガラスは品質を異にするにも拘わらず、乙第1号証と同第7号証はほぼ同じ内容の書証である点に疑問を呈しているが、「高透明性、紫外線カット効果、断熱・省エネ効果」を持つように加工されたガラス(エステガラス)について、3mmフロート板ガラスと比較して、その効果を説明する資料としてみれば、自動車用ガラスとして用いるエステガラスであれ、建築用ガラスとして用いるエステガラスであれ、その限りにおいては、ほぼ同じ内容のものであっても、強ち不自然なこととはいえず、そのことの故に、乙第7号証の成立を否定することはできない。

(イ)被請求人のウエブサイトには、被請求人が主張している商品は全くみつからないし、請求人の事前調査でも、本件商標は過去3年以上に亘り当該取消しを求めた商品には使用されていない旨の主張について

一般的にいって、事業者のウエブサイトにおいて、その事業者の事業内容が全て余すことなく掲載されている訳ではなく、また、商品の売上規模が小さい場合には、その宣伝も少なく、パンフレットも簡略なものが使用されているであろうことは容易に推測されることであるから、請求人の事前調査により、本件商標の使用の事実が見つからなかったとしても、また、被請求人のウエブサイトに本件商標が使用されている商品が見つからなかったとしても、そのことの故に、本件商標が前記した商品について使用されていなかったということはできない。そうであるからこそ、昭和50年の商標法一部改正(昭和50年6月25日法律第46号)により、登録商標の使用に関する挙証責任の転換が図られたものということができる。

(ウ)そうしてみると、請求人の上記主張は、いずれも理由のないものというべきである。

(5)まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る第19類「建築用ガラス」の範疇に属する「建築用ガラス」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。

したがって、本件商標の指定商品及び指定役務中、請求に係る第9類、第19類及び第21類の指定商品についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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