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Trademark Appeal Case

不使用取消審判の使用要件

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2006−31477(T2006−31477/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4685551号商標(以下「本件商標」という。)は、「エステ」の片仮名文字と「ESTHE」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成13年8月20日に登録出願、別掲に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として同15年6月27日に設定登録され、その後、指定商品及び指定役務については、商標登録の取消の審判により、その指定商品及び指定役務中、第17類「プラスチック基礎製品以外の商品」について取り消すべき旨の審決がされ、その審判の確定登録が同19年8月13日にされ、さらに、第9類、第19類、第21類及び第37類に属する指定商品及び指定役務の全部について、一部放棄により消滅し、同19年11月21日に一部抹消の登録がされているものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、第4685551号商標登録を第37類の指定役務について取消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、被請求人の会社概要及び取扱商品を示すウエブサイトのプリント等を提出した。

なお、請求人は、請求の趣旨において、「第465551号商標登録を第37類の指定役務について取消す」旨記載しているところ、事件の表示の項、請求の理由の項には、いずれも第4685551号商標登録と記載されており、添付書類として提出されている商標登録原簿の写しも第4685551号商標登録に係るものであるから、請求の趣旨に記載されている登録番号は、第4685551号商標登録の誤記と認められるので、請求の趣旨についての記載ではあるが、その補正を認めた。

(1)請求の理由

被請求人は、そのウエブサイトによれば、ガラスとガラス用フイルムの販売及び施工・修理等を行う企業である。そして、「エステフイルム」なる商標を「自動車のガラス被膜フイルム」に使用していることが判明した。また、請求人の調査したところでは、本件商標は過去3年以上に亘り当該商品以外には使用されていないことが判明した。請求人が本件登録に対して過去に不使用取消審判を請求したところ、被請求人は、本件商標を「フイルム貼り」という役務に使用していると主張して書証を提出しているが、それらは「エステ」という商標の「フイルム」を貼るという役務を示す資料であって、「フイルム貼り」という役務に商標「エステ」を使用している証拠となる書証ではない。

よって、本件登録は、第37類の指定役務については、商標法第50条の規定により取消を免れないものである。

(2)弁駁の理由

被請求人は、乙第1号証ないし同第4号証の書証の各1頁に表示されている「エステフイルム貼り」という表示を根拠に、自動車のガラスへ「フイルムを貼る」という役務に「エステ」という商標を使用している旨主張している。

しかし、請求書でも指摘したように、「エステ」という商標を使用した「フイルム」、すなわち「エステフイルム」を自動車のガラスへ貼るという役務を示すに過ぎず、「フイルム貼り」に「エステ」を使用しているものではない。被請求人は、「特殊フイルム・特殊施工・・・」の文言を捉えて、「被請求人が登録商標を特殊フイルムや特殊施工」に関しても使用していると主張している。しかし、「特殊フイルム」があるということは、正に、乙第1号証ないし同第4号証の書証の各1頁に表示されている「エステフイルム貼り」という表示は、「エステ」という商標を使用している「フイルム」以外の「フイルム」が存在するということを示す記述である。被請求人は「エステフイルム」という商品はない旨主張しているが、被請求人のウエブサイトの最後から3頁目のプリントには、はっきりと「総商がお奨めする断熱フイルム(エステフイルム)は、ガラスに貼っても透過率が70%以上になる法基準クリアのカーフイルムです。」と記載されている。したがって、被請求人の主張は採用されるべきではない。

被請求人のウエブサイトによれば、被請求人は、ガラスとガラス用フイルムの販売及び施工・修理等を行う企業であり、飛散防止・防犯・紫外線カット用のフイルムをガラスに貼り付け施工することを主たる業務とするが、特定の商標をこれらの業務に使用している事実は見当たらない。

また、被請求人は、「エステフイルム貼り」が本件商標の使用であると主張しているが、本件商標は「エステ」と「ESTHE」の二段併記の商標であり、「エステフイルム貼り」は本件商標ではない。

3 被請求人の主張の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第4号証を提出した。

被請求人である株式会社総商は、商標権者であり、本件商標を継続して日本国内において第37類の指定役務「自動車の修理又は整備」について使用している。

被請求人は、フィルムの施工を実施する際に、施工に関する宣伝・広告の目的として、顧客等に車種毎に施工料金を記載したカタログを配布している。2003年度から2006年度の各施工価格表カタログ一式を乙第1号証ないし同第4号証として提出する。

これらには、それぞれ使用年度が表示され、カタログ表紙部分の最下段部には被請求人の会社名「株式会社総商」が、また、その下方部には、住所、電話番号、FAX番号が記載されている。そして、その表紙部分の中段部には、「エステフィルム貼り」と記載されているように、本件商標である「エステ」を記載し、そのすぐ後ろに「フィルム貼り」としてそのサービス内容を記載しているのであって、本件商標を第37類における「自動車の修理又は整備」に使用していることは明らかである。

また、そのすぐ下方部には「価格表」という文字が記載されており、本冊子がそのサービスにおける料金表であることは明白である。そして、2003年度の施工価格表カタログ一式(乙第1号証)の2頁目には3頁目以降に記載してある各車種毎のフィルム及びフィルム貼りの施工業務にかかる価格表の見方を説明しており、その最下段部には「その他、特殊フィルム・特殊施工に関しては、お問い合わせ下さい。」との文言が記載されているように、被請求人が本件商標を特殊フィルムや特殊施工に関しても使用していることは明らかである。また、3頁目以降には各企業毎の車種及びフィルム施工部分毎、セット又は全体を施工した場合の料金が細かく記載されている。

以上のことから、2003年度から継続して3年以上、日本国内において、商標権者が本件商標の使用を継続していることは明白である。

4 当審の判断

(1)商標法第54条第2項において「第50条第1項の審判により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、商標権は、同項の審判の請求の登録の日に消滅したものとみなす」と規定するところ、商標登録原簿によれば、本件取消審判の予告登録は、平成18年12月18日であり、一方、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類、第19類、第21類及び第37類に属する指定商品及び指定役務の全部について、一部放棄により消滅し、一部抹消の登録が、同19年11月21日であるから、本件取消審判の予告登録より後になされた当該指定商品及び指定役務の放棄によって、本件審判請求の対象がなくなることはないから、以下のとおり判断する。

(2)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。

乙第1号証は、2003年度の施工価格表カタログ一式であり、乙第2号証は、2004年度の施工価格表カタログ一式であり、乙第3号証は、2005年度の施工価格表カタログ一式であり、乙第4号証は、2006年度の施工価格表カタログ一式である。これらのカタログの表紙部分には、いずれも、各年度の表示の下に、「エステフィルム貼り」及び「価格表」の文字が大きく表示され、「環境省により2003年4月以降施工が推奨されました」の文字も比較的大きな文字で表されており、下段部分には、被請求人の会社名「株式会社総商」、住所、電話番号、FAX番号等が記載されている。

各カタログ一式の2頁目には、「フィルム施工」の表示のもとに、各種フィルム施工の説明が記載されており、3頁目以降には、各企業毎の車種及びフィルム施工部分毎の料金が細かく記載されている。

(3)上記において認定した事実によれば、乙第1号証ないし同第4号証の各カタログは、被請求人の業務に係る自動車ガラスにフィルムを貼る「フィルム施工」のためのカタログと認められるものであり、年度の記載からみれば、本件審判の請求の登録(平成18年12月18日)前3年以内に発行されていたものと認められるものであり、2003年度から2006年度まで、毎年更新して発行されていたことからみれば、これらの各カタログは、2003年度以降、継続して取引に供されていたものとみるのが相当である。

しかして、各カタログの表紙には、大きく「エステフィルム貼り」の文字が表示されているところ、各カタログには「フィルム施工」の表示のもとに説明が記載されていることからみれば、この「エステフィルム貼り」の文字中、後半の「フィルム貼り」の文字部分は、「フィルム施工」という役務を表しているものということができる。そして、前半の「エステ」の文字部分は、断熱フィルムの品質やフィルム施工の質を表すものとも認められないから、この部分が自他役務の識別標識としての機能を果たすものとみるのが自然である。

そして、自他役務の識別標識と認められる「エステ」の文字部分は、前記した本件商標の片仮名文字部分の使用であって、本件商標の欧文字部分からも「エステ」の称呼を生ずるものであるから、使用に係る「エステ」の商標は、本件商標と社会通念上同一の商標ということができるものである。また、被請求人の業務に係る自動車ガラスにフィルムを貼る「フィルム施工」は、本件取消請求に係る第37類の役務中の「自動車の修理又は整備」の範疇に属する役務と認められるものである。

そうとすれば、乙第1号証ないし同第4号証を総合してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る役務に含まれる「自動車の修理又は整備」について使用していたものということができる。

(4)請求人の主な反論について

(ア)乙各号証に表されている「エステフイルム貼り」という表示は、「エステ」という商標を使用した「フイルム」、すなわち「エステフイルム」を自動車のガラスへ貼るという役務を示すに過ぎず、「フイルム貼り」に「エステ」を使用しているものではない。このことは、被請求人のウエブサイトにおける記載からみても明らかである旨の主張について

確かに、請求書に添付されている被請求人のウエブサイトには、「総商がお奨めする断熱フィルム(エステフィルム)は、ガラスに貼っても透過率が70%以上となる法基準クリアのカーフィルムです。・・・」との記載があることが認められ、この記載からみれば、「断熱フィルム」の商標としても「エステ」の文字が使用されていることを推測させるものである。

しかしながら、そうであるからといって、本件商標が自動車ガラスにフィルムを貼る「フィルム施工」という役務について使用されていないということには繋がらない。

請求人は、「エステフィルム」を「自動車のガラスへ貼る」という役務を示すに過ぎない旨主張しているが、「エステフィルム」の語が「断熱フイルム」の品質等を表す語として用いられているというような事情があれば格別、そのような事情を裏付ける証拠もない。

そうとすれば、取引者・需要者は、「エステフィルム貼り」という表示から、直ちに、「エステフィルム」の文字部分のみを分離抽出するものとはいい難く、むしろ、上記したとおり、該カタログは、「フィルム施工」という役務のためのカタログとして発行されていることからみて、これに接する取引者・需要者は、「エステフィルム貼り」という表示中の「フィルム貼り」の文字部分をひと纏まりの語として理解・認識し、これから「フィルム施工」という役務を認識するものというのが相当である。

ちなみに、インターネットの検索サイトGoogleにより、「フィルム貼り」の文字をキーワードにして検索をすると、「フィルム貼り虎の巻、フィルム貼りは形取りが肝心です、ガラスフィルム貼り」等々、極めて多くの使用例のあることが認められる(重複や不適切な事例があることを考慮しなければならないとしても、65200件の事例が検索される。)。

してみれば、「エステフィルム貼り」なる一連の表示の仕方からみて、この表示に「エステフィルム」をも想起させる働きを持たせたことを一概には否定できないとしても、自動車ガラスにフィルムを貼るという「フィルム施工」という役務との関係においては、「エステ」の文字部分は、「フィルム施工」という役務の商標として機能しているものといわなければならない。

(イ)被請求人のウエブサイトによれば、被請求人はガラスの飛散防止・防犯・紫外線カット用のフィルムをガラスに貼り付け施工することを主たる業務とするが、特定の商標をこれらの業務に使用している事実は見当たらない旨の主張について

一般的にいって、事業者のウエブサイトにおいて、その事業者の事業内容が全て余すことなく掲載されている訳ではないから、請求人の事前調査により、本件商標の使用の事実が見つからなかったとしても、また、被請求人のウエブサイトに本件商標が使用されている事実が見つからなかったとしても、そのことの故に、本件商標が前記した役務について使用されていなかったということはできない。そうであるからこそ、昭和50年の商標法一部改正(昭和50年6月25日法律第46号)により、登録商標の使用に関する挙証責任の転換が図られたものということができる。

(ウ)そうしてみると、請求人の上記主張は、いずれも理由のないものというべきである。

(5)まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る第37類の指定役務中の「自動車の修理又は整備」の範疇に属する「自動車ガラスにフイルムを貼るフイルム施工」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。

したがって、本件商標の指定商品及び指定役務中、請求に係る第37類の指定役務についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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