sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類否と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2007−890098(T2007−890098/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5006992号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5006992号商標(以下「本件商標」という。)は、「数独メイト」の文字を標準文字で表してなり、平成18年5月29日に登録出願、第16類「雑誌,新聞」を指定商品として、同年12月1日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりである。

(1)登録第3327502号商標(以下「引用商標1」という。)は、「数独」の文字を書してなり、平成6年9月29日に登録出願、第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」を指定商品として、同9年7月4日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

(2)登録第4936155号商標(以下「引用商標2」という。)は、「数独」と「Sudoku」の文字を二段に横書きしてなり、平成17年8月19日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,電子出版物」を指定商品として、同18年3月10日に設定登録されたものである。

(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否

本件商標「数独メイト」からは、以下の理由により、「スウドク」単独の称呼を生じるものである。すなわち、

ア 本件商標「数独メイト」を構成する漢字「数独」と片仮名文字「メイト」とは、文字の種類(漢字と片仮名文字)を異にするものであることから、視覚上、「数独」の文字部分と「メイト」の文字部分に分離して把握されるものである。

イ また、本件商標の全体から生じる一連の称呼「スウドクメイト」は、7音構成であって一連に称呼するには冗長であると共に、「スウドク」と「メイト」の間には段落差を生じることから、簡易迅速を旨とする取引場裡においては、前半の文字部分「数独」から生じる「スウドク」の称呼をもって取引に資することも多いとみるのが自然である。

ウ さらに、本件商標を構成する「数独メイト」の文字全体で特定の熟語的意味合いを生じさせるものではないことから、観念上においても、前半の文字部分「数独」と、後半の文字部分「メイト」とは別個独立して把握されるものである。

エ なお、特許庁の審判事件においても、漢字と片仮名文字とを結合して構成した商標に関して、文字の種類(漢字と片仮名文字)を異にすること等を理由として、漢字の部分と片仮名文字の部分とが別個独立して把握され、その結果、漢字の部分及び/又は片仮名文字の部分から、それぞれ独立した称呼が生じるとの認定された例がある(甲第4号証ないし甲第13号証)。

以上のとおり、本件商標は、視覚上、称呼上、観念上の何れの観点からも、前半の文字部分「数独」と後半の文字部分「メイト」とが分離独立して認識把握されるものであることから、前半の文字部分「数独」に対応して単に「スウドク」の称呼をも生ずるものと判断すべきものである。

一方、引用商標1「数独」及び引用商標2「数独/Sudoku」からは、「スウドク」の称呼を生じることは明らかであることから、本件商標「数独メイト」と引用商標1「数独」及び引用商標2「数独/Sudoku」とは、「スウドク」の称呼を共通にする類似商標である。

(2)本件商標の指定商品と引用商標1及び引用商標2の指定商品との類否

ア 本件商標の第16類の指定商品「雑誌,新聞」は、引用商標1「数独」の第16類の指定商品中の「印刷物」と類似するものである。

イ また、本件商標の第16類の指定商品「雑誌,新聞」は、引用商標2「数独/Sudoku」の第9類の指定商品中の「電子出版物」と類似するものである。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標「数独メイト」と引用商標1「数独」及び引用商標2「数独/Sudoku」とは、「スウドク」の称呼を共通にする類似商標であり、かつ、指定商品も抵触するものであることから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は無効とされるべきである。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)請求人の商標「数独」、「SUDOKU」の著名性

請求人(株式会社ニコリ)は、1984年に「数独」(英文名=SUDOKU)なる名称の「パズルゲーム」を開発し、それ以降継続的に「雑誌、ゲームソフト」等に関して商標「数独」、「SUDOKU」を使用している。その結果、商標「数独」、「SUDOKU」は、請求人である「株式会社ニコリ」の業務に係る商品であることを示す商標として著名となっている。

すなわち、甲第14号証ないし甲第16号証に示すとおり、「数独」(英文名=SUDOKU英)という言葉は、請求人の代表者である「鍛治真起」による創造語(数字は独身に限るに由来)であり、商標「数独」、「SUDOKU」を使用した「パズルゲーム」が世界的に大ヒットすると共に、我が国の主要新聞(読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日経流通新聞、The Japan Times)や雑誌(週間東洋経済、文塾春秋)等において大きく取り上げられたこととも相俟って、商標「数独」、「SUDOKU」は、請求人(株式会社ニコリ)の業務に係る商品を指称するものとして取引・需用者間において著名となっているものである(甲第14号証ないし甲第20号証)。

そして、本件商標の登録出願時(平成18年5月29日)に、請求人(株式会社ニコリ)の商標「数独」、「SUDOKU」が既に著名となっていたことは、甲第14号証に係る「読売新聞の掲載記事(平成17年10月15日付け)」、甲第15号証に係る「朝日新聞の掲載記事(平成18年3月12日付け)」、甲第16号証に係る「毎日新聞の掲載記事(平成18年4月5日付け)」等より明らかである。

なお、商標「数独」が請求人(株式会社ニコリ)の業務に係る商品であることを示す商標として著名となっている事実は、特許庁の商標審査及び異議決定において認定されている例として、商願2005−78011号及び異議2006−90418号がある(第21号証及び甲第22号証)。

以上のとおり、本件商標の登録出願時(平成18年5月29日)において、商標「数独」、「SUDOKU」は、請求人(株式会社ニコリ)の商標として著名となっていたことから、「数独」の文字を含む本件商標「数独メイト」がその指定商品に使用された場合、一般の取引・需用者は、当該商品が請求人(株式会社ニコリ)の業務に係る商品であるかの如く誤認し、商品の出所について混同を生じるものである。

さらに、本件商標「数独メイト」をその指定商品に使用することは、請求人(株式会社ニコリ)が1984年以降長年にわたって培ってきた「数独」、「SUDOKU」ブランドの名声にただ乗りすると共に、そのブランド価値を希釈化させる行為であり、公正な取引秩序を乱す行為であるといわざるを得ない。

(2)まとめ

以上、商標「数独」、「SUDOKU」は請求人(株式会社ニコリ)の商標として著名であることから、「数独」の文字を含む本件商標「数独メイト」がその指定商品に使用された場合、請求人(株式会社ニコリ)の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生じるおそれがある。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は無効とされるべきである。

3 むすび

以上に述べたとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号に該当し、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁していない。

第5 当審の判断

請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張しているので、この点について判断する。

1 引用商標の著名性について

(1)甲各号証(甲第14号証ないし甲第19号証)よりすると、以下の事実が認められる。

(ア)2005年(平成17)10月15日付け「読売新聞」によると、「日本名パズル『数独』」「欧米で大ブーム」「新聞掲載/書籍も人気『単純さ病みつき』」の見出しの下、「『SUDOKU(数独)』という日本名の数字パズルが、欧米で大ブームを巻き起こしている。...日本のパズル会社『ニコリ』が84年に『数独』の名前を日本に紹介した...『数字は独身に限る(1ケタの数字しか使えない)』というルールを短縮したのが名前の由来。...」旨の記事(甲第14号証)。

(イ)2006年(平成18)3月12日付け「朝日新聞」によると、「天声人語」の欄に、「いま欧米でジグソーやクロスワード以来の流行と言われているのは『数独』とい日本ゆかりのパズルだ。...世界的な流行は東京都台東区の小さな出版社から始まった。...1から9までの一桁の数、言わば独身しか使わないパズルだから、数独と名付けた...」旨の記事(甲第15号証)。

(ウ)2006年(平成18)4月5日付け「毎日新聞」によると、「『数独/SUDOKU』」の見出しの下、「ここ数年、世界中でブームを巻き起こしている日本育ちのパズル『数独/すうどく』。縦横9列の空いているマスに1から9までの数字を埋めていくシンプルなゲームだ。子どもも大人も引きつけ、脳を活性化する働きもあるとされる数独の魅力を探った。...」旨の記事(甲第16号証)。

(エ)「週間東洋経済」(2006.4.22)によると、「マーケティングの達人にあいたい/第125回」の見出しの下、「『SUDUKU(数独)』と呼ばれるパズルがヨーロッパを中心広まっている。...ニコリは1984年に『パズル通信ニコリ』に数独を初めて載せた。現在は日本の約200の新聞、雑誌のほか、ニンテンドーDSのソフトにも問題を提供している。...」旨の記事(甲第17号証)。

(オ)平成18年6月1日発行「文塾春秋」によると、記事掲載目次の欄に、「数独パズル世界を制す」の見出しの下、「...『数独』が、日本国内を飛び出し、世界中で大人気となっているのをご存じですか。...今ではもう世界七十カ国以上の人々が数独を知っています。」旨の記事(甲第18号証)。

(カ)2006年(平成18)6月21日付け「日経MJ」によると、「2006年上期ヒット商品番付」の下、「東の横綱に『数独』」が掲載されている旨の記事(甲第19号証)。

(2)以上の事実によれば、引用商標は、請求人がパズルゲーム、印刷物、電子出版物等について使用する商標として、日本国内はもとより世界的にも知られ、請求人の商品表示として著名性を獲得し、本件商標の登録出願時には既に一般の取引者、需要者の間に請求人の商品表示として、広く認識されていたものというべきであり、その状態は登録査定時においても継続していたものと認められる。

そして、引用商標が使用されている数学パズルゲーム、及びこれを掲載した印刷物、電子出版物と本件商標の指定商品「雑誌,新聞」は、一緒に掲載・紹介されることが多い密接に関連した商品といえる同一又は類似の商品である。

2 本件商標と引用商標との類似性について

(1)本件商標について

本件商標は、前記のとおり「数独メイト」の漢字と片仮名文字の文字を配した構成よりなるものであるところ、漢字と片仮名という異種文字であるから「数独」と「メイト」とに分離して観察される。また、「数独」と「メイト」は一般には格別の意味を有しない造語ではあるが、「数独」の語は請求人が創作した特異な創造語といえるものであるから、「メイト」の語に比べ、「数独」の語に強い自他識別力があるものというべきである。

(2)引用商標について

本件商標は、前記のとおり「数独」及び「数独/Sudoku」の文字を配した構成よりなるところ、「数独」の語は、パズルの名称として世界的な規模で著名となったのみならず、請求人の事業に係る商品表示として著名になったと認められる。加えて、「数独」の語は、請求人が独自に創作した特異な創造語といえるものである。

(3)商標の類似性について

本件商標の構成にあって、もっぱら自他商品識別力を有する「数独」の文字部分と請求人の事業に係る商品を表示するものとして広く知られ、強い印象力を有する「数独」及び「SUDUKU」の文字部分とを対比するに、両者は共に「数独」の文字を共通にし、「スウドク」の称呼を共通にする類似の商標と認め得る。そうすると、本件商標と引用商標とは観念においては共に造語であるから比較することができないとしても、外観、称呼において類似するものというべきである。

(4)商品の関連性について

本件商標の指定商品が、「雑誌、新聞」であるのに対し、引用商標は、前記のとおり「印刷物,書画,写真,写真立て」及び「電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,電子出版物」の商品に使用されているものであり、特にその指定商品中に「雑誌、新聞」と類似する「印刷物、電子出版物」を含んでいるものである。

してみると、本件商標の指定商品は、引用商標の使用に係る商品と同一叉は類似若しくは印刷物関連商品同士であって、その関連性は相当に高いものというべきであり、しかも、その需要者層を共通にするものである。

(5)出所混同のおそれについて

引用商標の周知・著名性の程度、本件商標と引用商標との類似性の程度、使用に係る両商品の密接な関連性、需要者層の共通性を総合勘案すると、本件商標の登録出願時ないし査定時において、被請求人が本件商標をその指定商品「雑誌、新聞」に使用した場合、これに接する需要者等は、引用商標を想起、連想して、該商品を請求人の取扱に係る商品若しくは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信し、その出所について誤認を生ずるおそれが十分にあるものというべきである。

3 むすび

以上とおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認められるから、請求人の主張するその余の無効理由について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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