結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2007−890051(T2007−890051/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
第1.本件商標
本件登録第5009493号商標(以下「本件商標」という。)は、平成18年5月11日に登録出願、別掲(1)に表示するとおりの構成よりなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同18年12月8日に設定登録されたものである。
第2.請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する請求人の所有に係る登録第3157671号商標(以下「引用商標1」という。)は、平成4年9月30日に登録出願、別掲(2)に表示するとおりの構成よりなり、第42類「スパゲッティーを主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年5月31日に設定登録されたものであり、同じく登録第3157670号商標(以下「引用商標2」という。)は、平成4年9月30日に登録出願、別掲(3)に表示するとおりの構成よりなり、第42類「にんにくを用いた料理及びアルコール飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年5月31日に設定登録されたものである。
第3.請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び弁駁の理由を次のように述べ証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
1.請求の理由
(1)本件商標の無効理由の要点
本件商標は、明らかに他人の登録商標に類似する商標であって、その商標登録に係る指定役務と同−又は類似の指定役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。
(2)本件商標を無効とする理由
本件審判請求人は、甲第3号証・甲第4号証に示すように登録第3157671号登録商標及び甲第5号証・甲第6号証に示すように登録第3157670号登録商標を所有しているものである。
これら2件の引用商標は、平成4年の役務商標(サービスマーク)の登録制度導入時の特例出願であったため、現実に営業を行っている具体的な飲食物の提供を指定役務として登録されたもので、この登録商標の指定役務の類似群は「42B01」であり、本件商標と同一役務の範囲である。
また、本件商標は、毛筆体で「うまか五右衛門」と書されており、平仮名3文字と漢字4文字を横一連に書したものであるが、飲食物の提供において「うまか五右衛門」は、「五右衛門の料理はうまい」又は「五右衛門はうまい料理を食べさせる」などの意味合いを有し、識別力を発揮する商標としての要部は「五右衛門」である。
このことは、甲第7号証に示す本件商標の権利者である株式会社ジョー・スマイルのインターネットのホームページに掲載されている「うまか五右衛門」の店舗案内においても、インターネットの表示は「うまか五右街門」と表示されているが、このホームページに掲載された店舗の写真では、飲食店の看板などの表示には「五右衛門」と書されており、役務の識別標識としては「五右衛門」を要部として使用されているものであって、平仮名と漢字との文字の相違や人の名前を連想させる言葉の内容などと相まって、「うまか五右衛門」の内の「五右衛門」が識別力を強く打ち出す商標としての主要部であることは明らかである。
このため、本件商標と引用商標1は明らかに類似する商標であり、引用商標2も、「にんにく屋」の文字及び図形と「五右衛門」の文字が離れており、「にんにく屋五右衛門」の称呼と共に「五右衛門」の称呼も生じるものであって、本件商標と称呼を共通にする明らかに類似とされる商標である。
したがって、本件商標は、これら2件の引用商標と標章が類似するものであって、指定役務が同一又は類似である為、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。2.弁駁の理由
(1)被請求人の主張
被請求人は、「うまか」と「五右衛門」の表示が一体化されており、引用商標1の「五右衛門」や引用商標2の「にんにく屋 五右衛門」とは識別可能である。特許庁により登録された本件商標は、これら2件の引用商標とは非類似と判断されたものである。本件商標を用いて被請求人が行う営業業態は飲食物を提供する居酒屋であり、引用商標1や引用商標2の指定役務である飲食店とは営業時間や提供物、更に客層も異なり、混同が生じることなく類似する商標と認識されるべきものではない。
(2)被請求人主張に対する反論
(2−1)商標の類似
被請求人は「うまか」と「五右衛門」の表示が一体化した商標であり、「五右衛門」の表示などとは識別可能であると主張する。
しかし、飲食物に関しての「うまか」は感嘆詞として修飾語的に用いられることもあるものであり、名詞の「五右衛門」と結合するとき、「五右衛門の料理はうまい」などの意味合いを含み、「五右衛門」を要部として「うまか」と「五右衛門」とが容易に分離され得るものである。
このことは、被請求人が提出した乙第3号証であるホームページ(乙第3号証はホームページ第1頁のみであるが、このホームページは審判請求人が甲第7号証として提出しているものである)の他のページにおいて、川鶴店の入りロ看板には「五右衛門」と縦書きされ、武蔵ケ丘店の入りロ看板には「五右衛門」と横書きされ、健軍店の入り口看板には「五右衛門」と縦書きされると共に健軍店の案内地図では「うまか」「五右衛門」「健軍店」と3段横書きされ(甲第7号証第2頁)ており、同様に、当該ホームページの内容である甲第7号証の第3頁及び第4頁に記載される大津店、江津店、長嶺店、光の森店、白藤店の案内地図においても、店の位置には「うまか」と「五右衛門」とを二段に分離した記載をしている。
このように、被請求人においても、使用に際しては「うまか」と「五右衛門」とを一連使用すると共に分離使用もしており、「うまか」と「五右衛門」は極めて分離され易く、「うまか五右衛門」の商標が「うまか」と「五右衛門」の表示が一体化しているとの主張は失当である。
(2−2)役務の類似
被請求人は本件商標に掛る営業業態は「居酒屋」であり引用商標1や引用商標2の「飲食店」とは、営業時間や客層、提供する飲食物などが相違し、両商標の混同が生ぜず類似する商標と認識されるべきではないと主張する。
しかし、商品や役務の類似範囲は商品や役務を取り扱う業者、慣例などにより混同の生じる蓋然性のあるものを予め定めているものであり、常に具体的混同を必須要件とするものでなく、また、本件商標の役務は役務の区分第43類に属する「飲食物の提供」であり、この指定役務の範囲には、「日本食を主とする飲食物の提供」、「西洋料理を主とする飲食物の提供」、「中華料理を主とする飲食物の提供」、「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」、「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」が含まれているものである。
そして、引用商標1の指定役務は「西洋料理を主とする飲食物の提供」の内の「スパゲッティーを主とする飲食物の提供」であり、引用商標2の指定役務は「西洋料理を主とする飲食物の提供」や「中華料理を主とする飲食物の提供」、「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」に含まれる「にんにくを用いた料理及びアルコール飲料を主とする飲食物の提供」であって、本件商標の指定役務と明らかに同ー又は類似の役務である。
(2−3)その他
「五右衛門」の引用商標1や「にんにく屋 五右衛門」の引用商標2は、サービスマークの登録制度が開始された平成4年の特例出願であったため、現実に営業を行っている具体的な飲食物の提供に限定された役務を指定役務として重複登録されたものであり、審判請求人が所有する登録商標以外の登録第3130768号商標「松竹/五右衛門」(甲第8号証)や登録第3150396号商標「五エ門」(甲第10号証)とも類似するとされており、商標の類似非類似の判断は、一般的称呼としての発音や書体などの外観及び観念により、要部を中心として全体的な判断を行うものであって、本件商標は明らかに引用商標1及び引用商標2と類似する商標である。
(2−4)まとめ
上述のように、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、明らかに商標が類似し、その指定役務が同−又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、本件商標の登録は過誤によるものであって、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。
よって、本件商標の登録は無効とするとの審決を求めるものである。
第4.被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は却下する、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁しその理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出している。
〔答弁の理由〕
被請求人は、登録第5009493号(本件商標)として商品及び役務の区分第43類に属する役務「飲食物の提供」を指定役務として毛筆体の平仮名3文字と漢字4文字により「うまか五右衛門」と横一行に書記された商標を平成18年5月11日付にて出願し、平成18年12月8日付で登録確定及び商標原簿に登録されている。
審判請求人は、この商標「うまか五右衛門」が、引用商標1の「五右衛門」及び引用商標2の「にんにく屋五右衛門」商標に類似し、商標法第4条第1項第11号に該当するとし、商標法第46条第1項第1号により無効であると申し立てているが、以下に述べる理由により、商標法第4条第1項第11号に該当しない旨答弁する。
商標「うまか五右衛門」は、「うまか」の表示と「五右衛門」の表示が一体化した商標であり、そのことにより「五右衛門」の表示や「にんにく屋五右衛門」の表示とは別の表示として識別可能である。その根拠としては、特許庁より登録されたことで、この商標は請求人が所有する「五右衛門」及び「にんにく屋五右衛門」とは類似しないとの判断がなされたからである。
また、商標「うまか五右衛門」が行う営業業態は乙第3号証及び乙第4号証で示すように飲食物を提供する居酒屋であり、請求人が所有する「五右衛門」は乙第7号証に示すように「スパゲティを主とする飲食物を提供する飲食店」とあり、「にんにく屋五右衛門」も乙第7号証に示すように、「にんにくを用いた料理及びアルコール飲料を主とする飲食物を提供する飲食店」とあり、さらに、「うまか五右衛門」は、乙第4号証で示すとおりの居酒屋メニューを提供する店舗で、営業時間が17時より0時までで、宴会を目的に来店される客層の一般大衆居酒屋であるのに対して、「五右衛門」は、乙第8号証で示すとおり、洋麺屋五右衛門としてスパゲティを提供するレストランであり、営業時間も11時より22時までとなっており、食事を目的に来店される客層である。「にんにく屋五右衛門」も同じく、乙第9号証で示すように、食事を目的に来店される客層で、営業時間も11時より22時までとなっており、メニュー構成、来店客層、営業時間等を含めた営業業態に違いがあるため、請求人と被請求人の営業が店舗来店利用者に混同されることはなく、したがって、上記各商標が類似する商標とは認識されるべきではないと考えられる。
よって、本件商標は、その指定役務についての登録は有効であるとの審決を求めるものである。
第5.当審の判断
本件商標は、別掲(1)の構成よりなるところ、その構成に係る「うまか五右衛門」の各文字は筆書き風の文字で外観上まとまりよく一体に表現さてており、しかも、全体をもって称呼してもよどみなく一連に称呼し得るものである。そして、たとえ構成中の「うまか」の文字部分が「うまい」を意味する方言的な語(表現)であるとしても、かかる構成においては特定の役務の質等を具体的に表示するものとして、直ちに理解できるとも言い難いところであるから、むしろ全体をもって店舗名を表現した一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ウマカゴエモン」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である。
他方、引用商標1は、別掲(2)のとおりの構成であるから、その構成文字に相応して、「ゴエモン」の称呼を生ずるものであり、また、引用商標2は、別掲(3)のとおりの構成であるから、その構成文字に相応して「ニンニクヤゴエモン」の称呼及び指定商品との関係では「にんにく屋」の文字部分は省略され得るから、「ゴエモン」の称呼をも生ずるものと認められる。
しかして、本件商標より生ずる「ウマカゴエモン」の称呼と引用商標1及び引用商標2より生ずる「ゴエモン」及び「ニンニクヤゴエモン」の各称呼は、音構成及び構成音数において顕著な差異を有するものであるから、称呼上、明らかに区別し得るものである。また、両商標の構成は、それぞれ別掲のとおりであるから、外観上、十分に区別し得る差異を有するものであり、さらに、観念においても、各構成文字からみて類似するものとは認め難い。
してみれば、本件商標と各引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似しない商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、他の請求人の主張について言及するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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