結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2007−890060(T2007−890060/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4723385号商標(以下「本件商標」という。)は、「LIQUID PRISMS」の欧文字を横書きしてなり、平成15年2月26日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同15年10月31日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録第1563923号商標(以下「引用商標」という。)は、「プリズム」の片仮名文字と「PRISM」の欧文字とを二段に横書きしてなり、昭和53年2月24日に登録出願、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として、同58年1月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。その後、指定商品については、平成15年6月18日に指定商品の書換登録がされ、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」となっている。
請求人は、本件商標の指定商品中「せっけん類,化粧品」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、「LIQUID PRISMS」の文字を表してなるところ、その構成中前半の「LIQUID」の文字が「液体、流体、ヘアリキッド(液状整髪料)の略」、後半の「PRISM(S)」の文字が「プリズム(光の分散、方向転換などに用いる均質な透明体)」の意味を有する平易な英語であって、外来語としても一般に親しまれているもの(甲第3号証、同第4号証及び同第6号証)であるから、その「LIQUID」と「PRlSMS」の両文字を結合したことは容易に把握、理解できるものである。
そして、本件商標は、その構成各文字がそれぞれ前記の意味を有する語であるとしても、全体としては直ちに特定の意味合いを取引者・需要者に理解させるものとも、また、特定の意味合いを有する熟語を構成するともいい難いものである。ちなみに、「LIQUID PRISMS」は、一般的な外来語辞典や英和辞典にはもちろん、「小学館ランダムハウス英和大辞典」(甲第5号証)にも熟語としては掲載がないものである。
そうとすると、本件商標は、これを観念の点からみて、常に一体不可分のものとしてのみ捉えなければならない理由はないものといわなければならない。
ところで、二つの語(文字)を結合してなる商標においては、これを構成する各文字が一様に連なり、その各語に対応する文字の大きさや形態に差異がない場合であっても、右二つの語のうちの一方が日常使用されない特異な語であるなどその語自体が特別顕著な印象を与えるとか、その称呼が全体として殊更冗長であるなどの特段の事情が存するときは、これをいずれかの語(文字)に分離して観察すべきものと解される。そして、右二つの語のうちの一方が商品の品質、形状等を表示する語と認められる場合においても、前記特段の事情が存するものに該当し、もう一方の語(文字)を分離抽出して観察すべきである。
これを本件商標についてみると、本件商標は、その構成中前半部の「LIQUID」(リキッド)の文字が、その文字自体で「ヘアリキッド(液状整髪料)」を意味するほか、「液体、流体」の意味を有する平易な英語(外来語)であることは前述のとおりであるが、その意味で親しまれているばかりでなく、「化粧品,せっけん類」を取り扱う業界においては、液状の商品を表示するものとして、例えば、「liquid soap(液状の洗浄剤)」、「リキッドファンデーション(液状のファンデーション)」、「liquid eyeliner(液状のアイライナー)」、「liquid rouge(液状の紅)」のように広く一般に使用されているのが実情である(甲第6号証ないし同第8号証)。
また、審決において、「『LIQUID』『リキッド』の文字は、『液体、液状』の意味で商品の品質を表示するにすぎない。」旨の判断がなされていること(甲第9号証の1ないし4)や、「LIQUID GLOVE」、「LIQUID−PLUMR」、「LIQUID LEGGlNGS/リクイド リージングス」「エージーリキッドウォッシュ/AZ:Liquid Wash」、「ジユエリツクリクイド/JEWELIQUE LIQUID」の文字よりなる各登録商標(甲第10号証の1ないし5)が、いずれもその構成中の「LIQUID」の文字に照応した商品、例えば、「液状のせっけん類」「液状の化粧品」「リキッド状の化粧品」等に指定商品を限定した上で登録されている事実も認められる。
そうとすると、本件商標は、その指定商品中「ヘアリキッド,リキッドファンデーション,リキッドアイライナー等の液状化粧品,リキッドソープ等の液状せっけん類」に使用された場合、これに接する取引者・需要者をして、前半部の「LIQUID」の文字を「液状整髪料」若しくは「液状のもの」であること、即ち、その商品の品質、形状を表示するにすぎないものと理解し、後半部の「PRISMS」の文字が自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認識して、これより生ずる称呼、観念をもって取引に当たる場合も決して少なくないと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成中後半の「PRISMS」の文字部分に相応して、「プリズムス」(プリズム〔光の分散、方向転換などに用いる均質な透明体〕)の称呼、観念をも生ずるものというべきである。
(2)他方、引用商標は、「プリズム」と「PRISM」の文字を表してなるものであるから、その構成文字に相応して、「プリズム」(プリズム〔光の分散、方向転換などに用いる均質な透明体〕)の称呼、観念を生ずるものである。
そこで、本件商標より生ずる「プリズムス」と引用商標より生ずる「プリズム」の称呼を比較すると、両称呼は、末尾において「ス」の音の有無に差異を有するのみである。そして、該差異音の「ス」は、前音の「ム」に吸収されて明確に聴取し難いものであるから、この差異が称呼全体に及ぼす影響は大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体としての語調、語感が極めて近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。
(3)したがって、本件商標と引用商標とは、それぞれ生ずると認められる「プリズムス」と「プリズム」の称呼、「プリズム(光の分散、方向転換などに用いる均質な透明体)」の観念において互いに類似の商標であって、かつ、指定商品も、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品中「せっけん類,化粧品」を包含するものである。
(4)結論
本件商標は、他人の先願に係る引用商標とその称呼及び観念において相紛らわしい類似の商標であって、当該引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第46条第1項の規定により、その指定商品中、「せっけん類,化粧品」についての登録を無効とされるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第31号証を提出した。
本件商標「LIQUID PRISMS」は、各々の語が一単語であることが判る程度に、間に半角のブランクを有してはいるものの、いずれの構成が殊更強調されるでもなく、同書同大ほぼ等間隔にて横書き一段に書されてなる。
この構成から生じる称呼「リキッドプリズムズ」は、全体でも9音と冗長に過ぎず、淀みなく一息に称呼可能である。
観念においても、「LIQUID」には「液体」の意味があり、「PRISM(S)」には「プリズム」の意味がある。そして「LIQUID PRISM」は全体として「液体プリズム」(光源からの光の吸収による光学部品の発熱対策のために用いられるほか、デジタルカメラの手ブレ補正機構の一部に用いられる)という一体的な意味を有する。仮に前記意味合いが本件商標の指定商品の当業者にとって顕著でないとしても、「LIQUID」「PRISM(S)」の両者がともに“光を屈折させる”という共通の特徴を有するものとして一般に認知されていることに鑑みれば、その構成全体から“液体(製の)プリズム”、“液体を中に湛えたプリズム”といった一体的な観念、少なくとも連想が生じる。
そうとすると、本件商標は、外観、称呼において分断する積極的な理由はなく、観念においてはむしろ一体的にのみ把握されるべき理由があるものである。かかる本件商標について、敢えて商標把握の原則に反して分断して捉え、「LIQUID」が「液状の、リキッド状の」という商品の品質を表す部分であるとして、「PRISMS」のみの構成に基づいて「プリズムズ(ス)」の称呼及び“プリズム”の観念を生じる、との解釈は、通常の取引者・需要者の感覚からは著しく乖離しており、到底是認できない。
以上述べた通り、請求人の主張はいずれも失当であって是認することができない。
本件商標は、前記1のとおり、「LIQUID PRISMS」の欧文字を書してなるところ、これらの文字は、同じ書体、同じ大きさで外観上まとまりよく一体的に表現されており、これより生ずる「リキッドプリズムズ」の称呼も極めて冗長とまではいえないものであって、よどみなく一連に称呼し得るものである。そして、たとえ、構成中の「LIQUID」の文字部分が「液状(の)、リキッド状(の)」等の意味を有するとしても、上記の構成においては、商品の特定の品質等を具体的に表示するものであると直ちに理解し得るものともいい難いところであるから、本件商標は、むしろその構成全体をもって一体不可分の構成からなる造語を表したものと認識し把握されるとみるのが相当である。
この点について、請求人は、本件商標中の「LIQUID」の文字が「せっけん類,化粧品」の品質、形状を表示するにすぎないものとする根拠として、「リキッドソープ(liquid soap)」、「リキッドファンデーション(液状のファンデーション)」、「liquid eyeliner(液状のアイライナー)」及び「liquid rouge(液状の紅)」を例示する(甲第6号証ないし同第8号証)が、これらは、「リキッド(liquid、LIQUID)」と化粧品などの使用部位又は種類(普通名称)を表す「ソープ」、「ファンデーション」、「アイライナー」などの語が組み合わされ、全体として化粧品などの種類(普通名称)を表す語となっているものであり、本件商標のように「LIQUID」と識別力のある「PRISMS」の語の組み合わせからなるものでないから、本件商標中の「LIQUID」の文字が直ちに商品の品質、形状を表示する文字として認識されるものとすべき根拠とすることはできない。
また、請求人は、甲第9号証及び同第10号証(枝番号を含む。)の審決例及び登録例を示し、本件商標の後半部の「PRISMS」の文字が自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認識して、これより生ずる称呼、観念をもって取引に当たる場合も決して少なくないと判断するのが相当である旨主張している。
しかしながら、その審決例で争われている商標及び登録例は、本件とは商標の構成を異にするばかりでなく、そもそも、商標の類否の判断は、各商標における指定商品の取引の実情も踏まえつつ、個別に判断されるべき性質のものであるから、請求人が主張するような審決例及び登録例があるからといって、前記した本件商標と引用商標との類否の判断が左右されることはない。
そうとすれば、本件商標は、該構成文字全体に相応して「リキッドプリズムズ」の称呼のみを生ずるものであって、単に「プリズムズ」又は「プリズムス」の称呼が生ずることはないものといわなければならない。
他方、引用商標は、前記2のとおり、「プリズム」及び「PRISM」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「プリズム」の称呼及び観念を生ずること明らかである。
しかして、本件商標から生ずる「リキッドプリズムズ」の称呼と引用商標から生ずる「プリズム」の称呼とは、その音構成及び音数に明らかな差異が認められるものであるから、両称呼は容易に区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標は、本件商標が特定の観念を生じないものであることから、観念においては比較することができないものであり、また、両商標は、構成文字において明らかな差異を有するから、外観においても相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「せっけん類,化粧品」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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