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Trademark Appeal Case

磯の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2007−890125(T2007−890125/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4591072号の指定商品中「釣り具」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その二分の一を請求人の負担とし、二分の一を被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4591072号商標(以下「本件商標」という。)は、「磯」の文字を書してなり、平成12年3月22日に登録出願、第28類「遊戯用器具,手品用品,運動用具,釣り具」を指定商品として、同14年6月21日に登録とする審決がなされ、同14年8月2日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第39号証を提出した。

釣りに関する百科事典における「磯」に関する記載(甲第3号証ないし甲第8号証)、釣り具を扱う会社における「磯」の使用(甲第9号証ないし甲第37号証)からも明らかなうに「釣り具」を扱う業界においては、「磯」の文字が「磯釣り用の商品」であることを表すための用語として普通に使用されている。

以上よりすると、本件商標は、その指定商品中「釣り具」との関係においては、単に商品の品質・用途を表示するにすぎず、自他商品の識別力を有しないものである。

また、本件商標の登録を認めれば、同業者において、不必要に「磯」の文字の使用を躊躇させ、弊害をもたらすこと明らかである。

なお、本件商標が自他商品の識別力を有しないことについては、本件商標の出願中に提起された不服2000−19339号審判及び「名礁磯」の文字からなる商願平5−125960号商標についての不服10−15737号審判の審決(甲第38号証及び甲第39号証)においてなされた判断からしても明白である。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、答弁していない。

4 当審の判断

本件商標は、前記1のとおり「磯」の文字よりなるところ、請求人は、本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨主張しているので、請求人の提出に係る甲号証に照らし、この点について検討する。

(1)釣りに関する百科事典

「海釣り百科」(昭和40年2月1日発行:甲3号証)には、海釣り用語の「イソ」の項に「岩礁地帯の釣り場。磯のこと。」との記載、「磯釣り百科」(昭和45年8月10日発行:甲第4号証)には、磯釣り用語集の「いそ(磯)」の項に「海べの岩の多いところのこと。」との記載、「投げ釣り百科」(昭和47年11月30日発行:甲第5号証)には、投げ釣り用語集の「いそ(磯)」の項に「海べの岩の多いところ。」との記載、「海・川釣りエサ百科」(昭和56年12月15日初版:甲第6号証)には、釣り用語事典の「イソ」の項に「磯。海岸の岩礁帯。ここでの釣りを磯釣りという。」との記載、「これならいける 絵とき釣り百科」(昭和51年6月10日発行:甲第7号証)には、「海釣りの種類」として「磯釣り」及び「船釣り」の記載とともに図で表示され、「一般コーナー」の項に「海釣りを大別すると、磯釣りと船釣り(沖釣りともいう)とがある。」との記載、「これならいける絵とき 磯釣り・投げ釣り百科」(昭和52年5月20日発行:甲第8号証)には、「磯釣りとは」の項に「1磯釣りの範囲/岩礁や砂浜の釣り、防波堤などの釣りを含めて磯釣りという。」との記載がある。

(2)釣り具を扱う会社における「磯」の使用

ア 株式会社がまかつのカタログ

甲第9号証(2000年版)には、「CONTENTS」として「■磯・・・5〜18P/がま磯 スーパーインテッサ/がま磯 レイダム」等の記載、及び「●鉤・仕掛」の欄に「磯・・・178〜183P」の記載があり、その各頁には、釣り竿及び釣り鉤が掲載されている。

甲第10号証ないし甲第12号証(1999年ないし1997年版)には、「磯パンツ」、「磯スパイクシューズ」、「磯受けダモカバー」、「磯ショートウェーダー」、「コモ磯バッグ」の文字とともに該商品の写真が掲載されている。

イ 株式会社シマノのカタログ

甲第13号証ないし甲第17号証(2002年、1998年ないし2000年版)には、その頁のインデックスと認識される「磯竿」の文字が頁の左上及び右側上方横に表示され、それらの頁には「本格磯釣りへのベストパートナー。」、「磯釣りはもちろん・・・小物釣りにと応用範囲の広いロッドです。」(甲第13号証の53頁及び55頁)、「磯を制するハイスピード搭載。」、「磯 EX」、「磯 EX 遠投」(甲第15号証の51頁及び53頁)等の記載とともに釣り竿の写真が掲載され、また、「磯ダモ」として「オールチタン磯ダモ」、「磯替え網」(甲第15号証の70頁)の記載、「磯クーラー」(甲第16号証の203頁)等の記載とともに該商品の写真が掲載されている。

ウ マミヤ・オーピー株式会社のカタログ

甲第18号証(29頁)及び甲第19号証(25頁)(2000年及び1999年版)には、最上段に「磯竿(上物竿)」の文字が表示され、「テクスター 群礁 磯(振出)」(甲第18号証31頁)の記載とともに釣り竿の写真、及び「磯用品」と表示された頁には、「磯クーラー」(甲第18号証87頁)が掲載、また、甲第20号証(1998年版)には、釣り竿の写真とともに「インサイドフォース磯」、「プロフォース磯」、「ランサー 磯」等の記載、「磯用品/TOOL」(87頁)には、「磯クーラーバッグ」及び「磯ロッドケース」が掲載されている。

エ 株式会社YGKよつあみのカタログ

甲第21号証ないし甲第23号証(2000年ないし1998年版)には、「スーパーフロート磯」、「アドミックス磯」、「PE本流磯」及び「磯ハンターライン」等の記載とともに「磯」の文字がとりわけ大きく表示されている釣り糸の写真が掲載されている。

オ ダイコー株式会社のカタログ

甲第24号証ないし甲第26号証(2000年、1998年及び1997年版)には、「名手V2磯」、「名弓V2磯」、「プレシオ磯トーナメントスペシャル」、「インラインフォー磯」、「プレシオ磯」等の記載とともに釣り竿の写真が掲載され、甲第27号証(1992年版)には、「磯」の頁に、例えば「磯」の文字を大きく表示し、「プロフィールド磯シリーズ」の記載とともに釣り竿の写真が掲載されている。

カ 株式会社ゴーセンのカタログ

甲第28号証及び甲第29号証(2000年及び1999年版)には、左上に「磯」の文字が表示され、「サスペンドPE磯」、「ストライプド磯プラスワン」の文字とともに釣り糸の写真の掲載がされ、該写真には、「磯」の文字が大きく表示されている。

キ 株式会社釣研のカタログ(2000年版:甲第30号証)には、「磯釣り1番」とするウキの掲載、及びその説明文に「30mまでの幅広いエリアを攻略できる磯専用モデル」と記載されている。

ク 株式会社サンラインのカタログ(2000年版:甲第31号証)には、「磯スペシャル」、「磯スペシャルフロートタイプ」の文字とともに釣り糸の写真が掲載され、該写真には、「磯」の文字が大きく表示されている。

ケ 第一精工株式会社のカタログ(2000年版:甲第32号証)には、「INDEX」を「磯」とする頁の右上に「磯用竿受」の文字が表示され、該頁には、「磯受太郎」、「磯の底物用ピトンシリーズ」との記載がある。

コ 松下電器産業株式会社・松下電池工業株式会社のカタログ(2000年版:甲第33号証)には、「プリズム変色磯ウキ」の記載とともに「水中を瞬時にキャッチし、赤色が緑色に変色する磯用電気ウキ。」との記載がある。

サ マルキュー株式会社のカタログ(2000年及び1999年版:甲第34号証及び甲第35号証)には、「つけ餌にこれだ!磯」及び「スーパー磯チヌ」の文字の記載されている。

シ KEN international inc.のカタログ(2000年版:甲第36号証)には、「プレジャーな釣りに最適な磯竿」、「EXPLORER磯シリーズ」との記載されている。

ス ユニチカ株式会社のウェブサイト(甲第37号証)には、「釣り糸」の説明において、「高強力磯釣り専用ラインのバージョンアップモデル。」、「磯釣り専用耐摩耗性フロートライン」、「磯釣り専用ライン」等の記載がある。

以上よりすれば、釣りに関する各種百科事典には、海釣りの種類として「磯釣り」が記載され、また、釣り具を取り扱う業界において、「磯」の文字が、「磯釣り用の商品」を表す用語として普通に使用されていると認め得るものである。

そうとすれば、本件商標は、その指定商品中「釣り具」に使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、釣り具の品質、用途等を表示したものとして理解させるに止まるというのが相当であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。

この点について、被請求人は、請求人の主張に対して、何ら反論していない。

したがって、本件商標は、その指定商品中「釣り具」について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項に基づき、その登録を無効とすべきものである。

しかし、本件商標の指定商品中「釣り具」以外の指定商品については、商品の品質等を表示するものとはいえないから、それらについての商標登録は、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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