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Trademark Appeal Case

欧文字1字違いの類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2006−89029(T2006−89029/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4802490号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成16年2月5日に登録出願され、第12類「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品として、同年9月10日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、下記の(a)ないし(c)の登録商標を引用しており、いずれも、現に有効に存続しているものである。

(a)登録第1361678号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和45年5月1日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同53年11月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりなされ、また、その間、指定商品については、一部取消しの審判により、指定商品中「自転車、自転車の部品および附属品、並びにこれらの類似商品」について取り消すべき旨の審決がなされ、その確定の登録が平成元年11月28日になされているものである。

(b)登録第3304334号商標(以下「引用商標2」という。)は、「LuK」の欧文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に登録出願され、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年5月16日に設定登録されたものである。

(c)登録第4751673号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成13年7月23日に登録出願され、第4類、第7類、第8類、第9類、第12類、第25類、第37類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同16年2月27日に設定登録されたものである。

(以下、引用商標1ないし引用商標3を一括していうときは、「引用商標」という。)

第3 請求人の主張(要旨)

請求人は、「本件商標の指定商品中『陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,自動車並びにその部品及び附属品』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第16号証を提出した。

1 本件商標と引用商標との比較

(1)外観の類否について

本件商標は、左端上部及び右端下部を若干肉太に表示した楕円形内に「NUK」の欧文字を左横書きした構成からなるものである。

これに対し、引用商標1は、楕円形内に「LUK」の欧文字を左横書きした構成からなるものである。

本件商標と引用商標1は、いずれも楕円形輪郭を共通とし、かつ語頭部分の「N」と「L」を除く他の文字を全て同じくするものである。

そして、唯一異なる「N」と「L」の文字部分にしても、その字形の視覚的に近似した印象は免れ得ないものである。

しかして、両者は、時と所を異にして離隔的に観察した場合、その外観の全体から受ける視覚的な印象は極めて近いものとなり、外観上互いに類似の関係にある商標と認識するものである。

ちなみに、上記請求人の主張の正当性は、本件と同種事件で商標全体として相互に外観において類似するとした、特許庁における審決例(「ADVAN」と「ADVEN」とは外観類似)(昭和53年審判第5109号審決)(甲第9号証)を参酌すれば明らかである。

(2)称呼の類否について

本件商標は、上記楕円形内に欧文字「NUK」と表記されているが、該欧文字部分は格別語義を有しない造語と思われるから、これより生じ得る称呼は幾通りか考えられるが、一般に日本国民が欧文字を発音する場合、最初に試みるローマ字読み、次に試みる英語読みの順に称呼を生じるとするのが自然である。

すなわち、本件商標からは、「ヌク」(ローマ字読み)、「ナック」又は「エヌユーケイ」(英語読み)の各称呼が普通に生じるものである。

他方、引用商標1中の「LUK」、又は引用商標2及び引用商標3中の「LuK」の欧文字も、前者同様、格別語義を有しない造語と思われるから、引用商標からは、「ルク」(ローマ字読み)、「ラック」又は「エルユーケイ」(英語読み)の各称呼が普通に生じるものである。

ちなみに、引用商標から「ルク」の称呼が生じることは、引用商標2の出願中の審査において、商標「ルーク」登録第1828051号(権利消滅。)の引例の下に拒絶された事実からも明らかである(甲第10号証及び同第11号証)。

そこで、両者の各称呼を比較検討する。

ア まず本件商標より生ずる「ヌク」と引用商標より生ずる「ルク」の両称呼を比較するに、両者は共に2音の同数の構成より成り、語頭において「ヌ」と「ル」の音を異にするものである。

そして、その異なる「ヌ」と「ル」の音にしても、共に帯同母音を[u]とするものであり、子音の位置を歯茎とするものである点において共通し、また、比較的聞こえの弱い音であるといえるものであるから、該音の差異が両称呼に及ぼす影響は決して大きいものがあるとはいい難い。

しかして、両称呼は、時と所を異にしてそれぞれを一連に称呼した場合、語調、語感が近似したものとなり、相互に彼此聴き誤られるおそれが充分である。

ちなみに、上記請求人の主張の正当性は、本件と類似する事件で商標全体として相互に称呼において類似するとした、特許庁における審決例(「ムール」の称呼と「ヌール」の称呼とは類似)(昭和47年審判第8110号審決)(甲第12号証)を参酌すれば明らかである。

イ つぎに、本件商標より生ずる「ナック」と引用商標より生ずる「ラック」の両称呼を比較するに、両者は共に2音の同数の構成より成り、語頭において「ナ」と「ラ」の音を異にするものである。

しかして、相違する「ナ」と「ラ」の音は、前者が舌尖を前硬口蓋に接触して発する鼻子音[n]と母音[a]との結合により構音されるのに対し、後者は舌面を硬口蓋に近づけ舌の先で上歯茎を弾くようにして発する有声子音[r]と母音[a]との結合により構成される音であるから、これらの両音は極めて響きの強い開放母音[a]を同じくするばかりでなく、各子音の[n]と[r]は、調音方法の違いこそあれ、その調音部位をいずれも歯茎音とする近似した音である。

それ故、両称呼をそれぞれ全体として一連に称呼するときは、たとえ「ナ」と「ラ」の音が促音を伴うことによりアクセントが置かれて発せられる場合があるとしても、該差異音自体が互いに近似していること前記のとおりであり、また、本件及び引用の両商標は共に造語であることも相俟って、この音の差異が両称呼を明確に識別し得る程度のものということは不可能である。

したがって、両称呼は、時と所を異にしてそれぞれを一連に称呼した場合、語調、語感が近似したものとなり、相互に彼此聴き誤られるおそれが充分である。

ちなみに、上記請求人の主張の正当性は、本件と同種事件で商標全体として相互に称呼類似とした特許庁における審決例(「ダイヤナップ」の称呼と「ダイヤラップ」の称呼とは類似)(昭和60年審判第2232号審決)(甲第13号証)、(「ラショナル」の称呼と「ナショナル」の称呼とは類似)(平成1年審判第17460号審決)(甲第14号証)を参酌すれば明らかであり、本件もまた同様に類似するものと判断されて然るべきものと考える。

ウ 最後に、本件商標より生ずる「エヌユーケイ」と引用商標より生ずる「エルユーケイ」の両称呼を比較するに、両者は共に6音の同数の構成より成り、そのうち第1音目「エ」と第3音以下の「ユ」「ー」「ケ」「イ」の各音を共通にし異なる音は第2音の「ヌ」と「ル」にすぎないものである。

しかして、「ヌ」と「ル」の音は、前者が舌尖を前硬口蓋に接触して発する鼻子音[n]と母音[u]との結合により構音されるのに対し、後者は舌面を硬口蓋に近づけ舌の先で上歯茎を弾くようにして発する有声子音[r]と母音[u]との結合により構音される音であるから、これらの両音は母音[u]を同じくするばかりでなく、各子音の[n]と[r]は、調音方法の違いこそあれ、その調音部位をいずれも歯茎音とする近似した音といえるものである。

したがって、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語感語調が近似したものとなり、称呼上互いを聴き誤るおそれが充分といえる。

さらにまた、称呼上6音ないし7音から構成され、母音を同じくする第2音のみが異なる商標について、称呼において類似するとした特許庁における審決例(「エルシーアール」の称呼と「エヌシーアール」の称呼とは類似)(昭和53年審判第7693号審決)(甲第15号証)、(「エヌビイエス」の称呼と「エルビイエス」の称呼とは類似)(昭和58年審判第19085号審決)(甲第16号証)もある。

これらの審決例からも明らかなとおり、6音ないし7音から構成され、母音を同じくする第2音のみが異なる本件商標と引用商標とは、相互に称呼上類似とされるべきである。

2 むすび

以上により、本件商標は、引用商標と外観及び称呼上相紛らわしい類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号によりその登録は無効にされるべきである。

第4 被請求人の答弁(要旨)

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第5号証を提出した。

1 請求人は、本件商標は引用商標が存在しているにも関わらず商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項第1号によりその登録は無効にされるべきものと主張する。

しかしながら、「商標の類否は、需要者の通常有する注意力を基準として判断される」ものであるにも関わらず(「注解商標法」上巻、新版、第277頁 乙第1号証)、請求人の主張は、かかる判断主体の問題を無視しており、失当である。

(1)外観の類否について

請求人は、本件商標と引用商標1とは、いずれも楕円形輪郭を共通として、かつ語頭部分の「N」と「L」を除く文字部分をすべて同じくするものであり、唯一異なる「N」と「L」の文字部分にしても、視覚的に近似した印象を免れ得ない旨主張する。

本件商標と引用商標1を構成する各欧文字が語頭部分を除けばすべて同じである点については、これを認めるにやぶさかではない。また、両商標は楕円形輪郭を有する点に限れば共通するということができる。しかし、請求人は、かかる楕円形状はその表し方が著しく異なる点を全く考慮していない。さらに請求人は、「N」と「L」が近似した印象を免れ得ないと主張する。しかし被請求人は、両文字は視覚上明瞭に識別されるものである。以下、上記2点(楕円形状と語頭文字)について、被請求人の見解を述べる。

引用商標1における楕円形状は、均一の太さでもってラグビーボール状に表されている。そのため、当該楕円形状は極めて単調かつ平板であり、需要者・取引者に対して特別の注意・関心を喚起させることは期待できない。

これに対し、本件商標における楕円形状は、右上部と左下部が最も細く、右下部と左上部が最も太くなるよう滑らかに連続して表されている。そのため、かかる楕円形状は、引用商標1における楕円形状にはない、流れと勢いとを需要者・取引者に印象付けるものである。

さらに、請求人は「N」と「L」とは視覚上近似した印象を免れないと主張する。

しかしながら、「N」と「L」とは字形が明らかに相違していることから、両者を混同する需要者・取引者が存在するとは考え難い。また両者は、請求人も認めているように、語頭部分に配されており、この語頭部分は両商標に接する需要者・取引者の印象に最も強く残る部分である。さらに、両商標の構成文字は、ともにわずかに3文字である。とすれば、きわめて短い文字構成において、最も印象に残りやすい語頭部分における「N」と「L」との相違は、両商標が外観上非類似であることを推認するのに十分である。

以上に加え、本件商標においては、構成文字がやや右側に傾いた斜体で書されているのに対し、引用商標1では垂直に書されていることから、両商標は全体として外観上相紛れるおそれは皆無である。

なお、請求人は、自らの主張の裏付けとして甲第9号証を提出する。しかしながら、当該審決は、5文字構成における文字のみからなる商標の第4文字が「A」と「E」の差異を有する事案において、対比される商標が外観上類似するとしたものである。

しかし、前記審決は昭和54年12月7日になされており、今から26年以上前の審決である。この26年の間に、需要者・取引者の商標識別に関する知識・経験は長足の進歩を遂げている。

よって、相違する楕円形状中の3文字構成における語頭部分が相違し、かつ、斜体か否かという表現方法の相違も存する本件審判事件とは明らかに事案が相違し、さらに26年以上も前の需要者・取引者を基準としたものにすぎないことから、当該審決は本件審判事件において参考にならない。

(2)称呼の類否について

請求人は、本件商標と引用商標の欧文字部分は格別の語義を有しないと造語と判断している。確かに、両語は辞書等には記載されていないことから、造語であるということができる。

しかし、本件商標は被請求人の代表的出所表示であり、このことは被請求人のホームページを見れば明らかである(乙第2号証)。さらに、商標登録原簿記載のとおり、被請求人の名称は、「エヌユーケイ オート パーツ カンパニー,リミテッド」である。このことは、本件商標より生ずる称呼を、名称の略称に従った「エヌユーケー」であると自認していることを示している。そして、本件商標は、少なくとも被請求人の本国たる台湾において、被請求人のみならず需要者によっても、実際に「エヌユーケー」とのみ称呼されている。かかる取引の実際における需要者・取引者の認識に鑑みれば、本件商標からは、「エヌユーケー」のみの称呼が生じるというべきである。

これに対し、引用商標は、請求人の代表的出所表示であり、このことは請求人のホームページに徴すれば明らかである(乙第3号証)。そして、請求人の名称は、「ル一ク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト」である。このことは、引用商標より生ずる称呼を、名称の略称に従った「ルーク」であると自認していることを示している。とすれば、請求人自らが引用商標より生ずる称呼を「ルーク」と認識している以上、取引の実際においても、本件商標は「ルーク」と認識され称呼されていると推認される。

そして、上記「エヌユーケイ」と「ルーク」とは、明らかに相違することから、本件商標と引用商標とは称呼上相紛れるおそれは皆無である。

以上より、本件商標と引用商標との称呼上の類否は論じ尽くされたものと考えるが、念のため、被請求人の主張に対して以下に反論する。

ア 「ヌク」と「ルク」の類否について

請求人は、「ヌ」音と「ル」音について、共に帯同母音[u]とするものであり、子音の位置は歯茎とするものである点において共通し、また、比較的聞こえの弱い音であるといえるものであるから、該音の差異が両称呼に及ぼす影響は大きいものがあるとはいい難い旨主張する。

両音が帯同母音を共通にすることについては、これを認めるにやぶさかではない。しかし、両称呼はわずか2音からなるにすぎないものであり、さらに、商標の聴別において最も需要者・取引者の印象に残りやすい語頭音を異にするものである。そのうえ、「ヌ」音の子音は鼻音であるのに対し、「ル」音の子音は弾音であることから、両音の調音位置・調音方法は明らかに異なっている。したがって、両称呼に接する需要者・取引者は両称呼を混同することはあり得ない。

なお、請求人は、自らの主張の裏付けとして、甲第12号証を提出する。しかしながら、当該審決は「ムール」と「ヌール」の類否を判断したものである。そして、「ム」音と「ヌ」音はいずれも鼻音である。そのため、差異音が鼻音と弾音である本件審判事件における判断に際しては、当該審決は参考にならない。

イ 「ナック」と「ラック」の類否について

請求人は、「ナ」音と「ラ」音について、母音を同じくするばかりでなく、各子音は調音方法の違いこそあれ、その調音部位をいずれも歯茎音とする近似した音である旨主張する。

両音が母音を共通にすることについてはこれを認めるにやぶさかではない。しかし、両称呼は促音(ッ)を含めたとしてもわずか3音からなるにすぎないものであり、さらに、商標の聴別において最も需要者・取引者の印象に残りやすい語頭音を異にするものである。そのうえ、「ナ」音の子音は鼻音であるのに対し、「ラ」音の子音は弾音であることから、両音の調音位置・調音方法は明らかに異なっている。したがって、両称呼に接する需要者・取引者は両称呼を混同することはあり得ない。

なお、請求人は、自らの主張の裏付けとして、甲第13号証及び同第14号証を提出する。しかしながら、甲第13号証審決は「ダイヤナップ」と「ダイヤラップ」の類否を判断したものである。すなわち、促音を含めて6音構成からなる称呼の第4音が相違する事案である。そのため、差異音が語頭音である本件審判事件における判断に際しては、当該審決は参考にならない。また、甲第14号証審決は、「ラショナル」と「ナショナル」の類否を判断したものである。すなわち、4音構成からなる称呼の第1音が相違する事案である。第1音が相違している点は本件と共通しているが、本件では音数が少ないことにより相違音がより強調される3音構成からなる称呼の類否を問題にしている。よって、本件審判事件における判断に際しては、当該審決も参考にならない。

ウ 「エヌユーケー」と「エルユーケー」の類否について

請求人は、「ヌ」音と「ル」音について、母音を同じくするばかりでなく、各子音は調音方法の違いこそあれ、その調音部位をいずれも歯茎音とする近似した音である旨主張する。

両音が母音を共通にすることについてはこれを認めるにやぶさかではない。しかしながら、欧文字3文字をアルファベット読みする場合には、一気に一連というよりも、一文字一文字を区切って明確に発音することが取引の実際における需要者・取引者の認識に合致する。したがって、本件商標は「エヌ・ユー・ケー」、引用商標は「エル・ユー・ケー」とそれぞれの英文字ごとにわけて発音されるべきものである。

とすれば、先頭部「エヌ」と「エル」における「ヌ」音と「ル」音は、「ヌ」音の子音は鼻音であるのに対し、「ル」音の子音は弾音であることから、両音の調音位置・調音方法は明らかに異なっている。したがって、両称呼に接する需要者・取引者は両称呼を混同することはあり得ない。

かかる見解は、被請求人独自のものではなく、特許庁における幾多の審決においても同様の判断がされている。被請求人は、同様の判断を行った審決のうち、本件審判事件に参考となるべき2件の審決(昭和57年審判第21832号審決及び平成1年審判第1036号審決 乙第4号証及び同第5号証)を引用する。

なお、請求人は自らの主張の裏付けとして、甲第15号証及び同第16号証を提出する。

しかしながら、甲第15号証審決は昭和55年12月26日付で行われたものであり、また、甲第16号証審決は昭和62年8月27日付で行われたものであり、平成2年5月7日付である乙第4号証審決及び平成7年6月9日付である同第5号証審決に比べ、いずれも古い審決である。すなわち、甲第15号証審決及び同第16号証審決は、欧文字3文字をアルファベット読みする場合の取引の実情が審判事件において十分に考慮される前の時代になされたものであり、今日においては、参考審決例とはなり得ない。

(3)観念の類否について

本件商標は、被請求人の名称の略称である以外に特定の観念を有していない商標である。また、引用商標も、請求人の名称の略称以外に特定の観念を有していない商標である。

したがって、両商標は、お互い特定の観念を生じない商標であるため、類否を争うまでもない。

2 結語

以上より、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしい商標ではないため、商標法第4条第1項第11号違反には該当しない。

第5 当審の判断

本件商標と引用商標とは、前記第1及び第2並びに別掲(1)ないし(3)のとおりの構成からなり、構成中の欧文字3文字中、語頭において「N」と「L」の差異を有するものであって、短い文字構成における、印象に残りやすい語頭部分におけるこの差異は、視覚上、大きいものであるというべきであり、外観において相紛れるおそれはないものである。

次に、称呼についてみるに、本件商標は、その構成文字に相応して、「エヌユーケー」の称呼を生ずるというのが相当である。

他方、引用商標は、その構成文字に相応して、「エルユーケー」の称呼を生ずるというのが相当である。

そこで、本件商標より生ずる「エヌユーケー」の称呼と引用商標より生ずる「エルユーケー」の称呼とを比較するに、両商標の文字部分は、後掲するとおり、共に欧文字を綴り合わせて一連の成語を形成するものではなく、アルファベット3文字を羅列してなるものであり、このような場合の発音に際しては、一気一連というよりも、一文字一文字を区切って明確に発音される場合が多いといえるから、本件商標は「エヌ」、「ユー」、「ケー」、引用商標は「エル」、「ユー」、「ケー」とそれぞれの文字毎に区切って発音されるというのが相当である。

そして、本件商標と引用商標の相違する語頭部「エヌ」と「エル」における「ヌ」音と「ル」音にしても、「ヌ」音の子音は鼻音であるのに対し、「ル」音の子音は弾音であることから、両音の調音位置・調音方法が異なるものであり、上記のとおり、両商標は、文字毎に区切って発音されるものであることと相俟って、それぞれを全体として称呼した場合においては、音感、音調が異なり、称呼上相紛れるおそれはないというべきである。

また、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を有しない造語といえるものであるから、両者の観念については比較することができない。

以上のとおりであるから、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても非類似の商標であるといわざるを得ない。

したがって、本件商標の指定商品中「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,自動車並びにその部品及び附属品」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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