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Trademark Appeal Case

著名官庁略称の商標性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−65085(T2004−65085/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、後掲のとおりの構成よりなり、第36類に属する役務を指定役務として、2001年(平成13年)8月10日に国際登録され、その後、指定役務については、当審における2005年(平成17年)6月14日に国際登録簿に記録された限定の通報があった結果、第36類「Advisory and assistance services to consumers,in relation to banks,building societies,investment firms(including professional firms offering investment services)and friendly societies(including credit unions)as well as intermediation services of banks,building societies,investment firms(including professional firms offering investment services)and friendly societies(including credit unions).」を指定役務とするものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)

原査定は、「(1)本願指定役務中には、出願人が我が国で当該業務を実施することのできない我が国の行政庁の所管業務が含まれているものであるから、本願は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。(2)本願商標は、『FSA』の文字と図形からなるものであるところ、『FSA』の語は、日本の金融制度を管理規制する政府機関である『金融庁』の英文の著名な略語表記であるから、結局、本願商標は、国の機関を表示する標章であって、著名なものと類似する商標を含むものと認められるので、商標法第4条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項柱書について

本願商標は、その指定役務について、上記1のとおり限定された結果、原査定で本願商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないと認定した役務はすべて削除されたものと認められる。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとの原査定の拒絶の理由は、解消した。

(2)商標法第4条第1項第6号について

商標法第4条第1項第6号は、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」は、商標登録を受けることができない旨規定しているところ、その趣旨は、本号に掲げるものの権威を尊重することや、公益上支障を生ずるおそれのある標章を商標として登録しない旨を定めたものと解される(特許庁編「工業所有権法逐条解説」〔第16版〕)。

そこで、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するか否かについて検討するに、本願商標は、後掲のとおり、肉太の文字で顕著に表示してなる「FSA」の文字及びその右上部に幾何図形を配した構成よりなるものである。

しかして、その構成中の文字部分と図形部分とは、これらを常に一体不可分のものとして捉えなければならない特段の理由も見いだせないことから、該構成中の「FSA」の文字のみも、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものと解するのが相当である。

ところで、当該「FSA」の文字は、2000年(平成12年)7月1日に我が国の金融監督庁が改組された組織であって、国内金融行政の企画・立案のほか、金融機関の検査・監督を行っている「金融庁」(英語表記:Financial Services Agency)の著名な略称「FSA」と同一の綴り字からなるものと認められる。

金融庁は、我が国の金融行政を一元的に担っており、国家の政策上の目的遂行のために、国民へ現実的に果たしている役割も非常に重要なものとなっている。

そのような事情の下では、「FSA」の文字に接する、我が国国民、特に、本願指定役務の取引者、需要者は、金融庁の略称を表したものと理解することが多いと解するのが相当である。

そして、「FSA」の文字が本願指定役務の業界において、我が国の金融庁の略称として広く認識され、かつ、頻繁に使用されている事実は、例えば、同庁のホームページ(http://www.fsa.go.jp/)中に、「アクセスFSA」という名称の月刊金融庁広報誌が、2002年(平成14年)12月から現在に至るまで、毎月発行されている事実、それに掲載された様々な金融情報が金融情勢に関心を有する我が国の取引者、需要者による利用に供されている事実や金融庁の英文のホームページ(http://www.fsa.go.jp/en/index.html)及び英文パンフレット(http://www.fsa.go.jp/en/about/pamphlet.pdf)の記載、さらに、下記の新聞記事及びインターネット情報から窺い知れるところである。

(a)2000.07.07 日本金融通信社発行、金融専門誌「ニッキン」(以下「ニッキン」という。)3頁

「インタビュー 日野・金融庁長官に聞く、IT契機に合併・統合も必要」の見出しの下、「国民にサービスするという観点からも、金融庁の英語表記FSAのSは複数形で『サービスズ』とした。」の記載がある。

(b)2001.01.01 ニッキン 2頁

「金融庁、シンボルマーク『FSA』図案化」の見出しの下、「金融庁のシンボルマークが決定した。英語略称の『FSA』を図案化。」の記載がある。

(c)2001.12.21 ニッキン 2頁

「金融行政この1年(下)、正念場迎えた不良債権問題」及び「FSA担の予言的中」の見出しの下、「ある大手銀行の金融庁担当(FSA担)がつぶやいた。」の記載がある。

(d)2002.07.12 読売新聞、東京朝刊 8頁

「金融庁長官に就任する高木祥吉さん 激動期の金融行政に実績」の見出しの下、「新長官としてのスローガンは『FSA』。金融庁(Financial Services Agency)の略称と同じだが、『前向き(Forwardlooking)迅速(Speed)果敢(Aggressive)に仕事に取り組め』と職員に説く。」の記載がある。

(e)2003.07.04 ニッキン 2頁

「霞が関だより 手作り情報配信、登録1万1000件に」の見出しの下、「金融庁の手作り情報はいかが...。金融庁の『新着情報メール配信サービス』は、スタートから1年が経過。配信を希望する登録者は1万1千件を超えた。・・(中略)・・お薦めは『月刊アクセスFSA』。こちらも職員の手作りで、難しい金融行政の話題や動きを知る上で好評という。」の記載がある

(f)http://ja.wikipedia.org/wiki/FSA

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の「FSA」の項目において、「日本の金融庁(Financial Services Agency)」の記載がある。

(g)http://business.nifty.com/cs/catalog/business_bizMnW/catalog_bizMW000030001_1.htm

ニフティ株式会社の「@niftyビジネス」のホームページの「経済/金融用語辞典」において「FSA【金融庁】」の項目について、「金融制度に関する企画立案や、金融機関に対する検査・監督などをつかさどる内閣府の外局のこと。」の記載がある。

(h)http://www.fxprime.com/excite/words.html

エキサイト株式会社の「早わかり外国為替用語辞典」のホームページの「FSA(Financial Services Agency)」の項目において、「金融庁。」の記載がある。

(i)http://m−words.jp/w/FSA.html

株式会社ゴーガの「マネー辞典 m−Words」のホームページの「FSA【金融庁】」の項目において、「フルスペル:Financial Services Agency 金融制度に関する企画立案や、金融機関に対する検査・監督などをつかさどる内閣府の外局のこと。」の記載がある。

(j)http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_1509.html

コンピタント株式会社の「exBuzzwords」のホームページにおいて、「キーワード解説」の見出しの下、「キーワード FSA 英語訳 Financial Services Agency」の項目において、「FSAとは、金融庁のこと。」の記載がある。

(k)http://ksbookshelf.com/DW/Ryaku/RyakuF.htm

「K’s Bookshelf」のホームページの「略語辞典」において、「FSA」の項目に、[Financial Services Agency、金融庁]の記載がある。

(l)http://www.chuokeizai.co.jp/acc/200305/200305scope.html

株式会社中央経済社のホームページにおいて、「SCOPE EYE」の見出しの下、「米国証券取引委員会(SEC)やわが国の金融庁(FSA)が構成メンバーとなっている証券監督者国際機構(IOSCO)と連携を保ちながら、」の記載がある。

(m)http://www.fsa.go.jp/news/newsj/15/sonota/f−20040610−2.html

金融庁のホームページにおいて、平成16年6月10日付けで「『子ども見学デー』のお知らせ FSAにアクセス!」の見出しの下、「『子ども見学デー』(文部科学省主催)については、本年も各省庁等が連携して、8月25日(水)〜26日(木)に実施されます。金融庁としても、この機会にあわせて暮らしの中の金融の働きや金融庁の仕事についての理解を深めてもらうことを目的として、以下のプログラム等により実施を予定しています。」の記載がある。

(n)http://www.canadanet.or.jp/e_f/dreg2004.shtml

カナダ大使館のホームページにおいて、「経済/ビジネス」及び「規制改革・民間開放推進会議へのカナダ政府の見解と提案(2004年11月)」の見出しの下、「カナダ政府は、日本政府が進める規制改革の推進役として同政府を支える重要な役割を果たしている規制改革・民間開放推進会議のご尽力を支持しつつ、ここに本文書を同会議に提出致します。・・(中略)・・カナダ政府は、金融庁(FSA)がコスト負担を含めた中小金融機関のニーズを配慮したより柔軟な管理体制を導入されることを引き続き要請致します。」の記載がある。

(o)http://www.coe−econbus.keio.ac.jp/cgi−bin/newslist.cgi?page=news

慶應義塾大学の「経済学研究科・商学研究か連携21世紀COEプログラム」のホームページにおいて、「2005年7月11日 経商連携21世紀COEプログラム 国際コンファレンス”アジアの地域通貨システム・アジア中小企業育成”」の見出しの下、「参加者:FSA(金融庁)、JBIC(国際協力銀行)、METI(経済産業省)、MOF(財務省)」の記載がある。

(p)http://www.tohmatsu.co.jp/news/2005/press0721.shtml

監査法人トーマツのホームページにおいて、「2005.7.21」「BaselIIのアジアパシフィックにおける導入状況と課題に関するレポートを公表」の見出しの下、「日本では、・・(中略)・・十数行以上が信用リスクに対してIRBの導入に向け準備をしており、金融庁(FSA)によって『フィールドテストI』(2005年3月31日基準で新しい手法にもとづき自己資本比率を試算)に参加するよう求められている。」の記載がある。

(q)http://www.alico.co.jp/recruit/new/career/fd/fd4.html

アリコジャパンのホームページにおいて、「若手社員座談会02 2003年入社」の見出しの下、「現在の主な仕事は税の申告とFSA(金融庁)宛の決算報告書作成」の記載がある。

(r)http://www.nikkei.co.jp/ks/desk21/20061106b19b6000_06.html

日経金融新聞の「ニュース&ナレッジ」のホームページにおいて、「かつて『MOF担(大蔵省担当)』と呼ばれていた役所対応のポストです。・・(中略)・・大蔵省なき今、もちろんMOF担ではなく、『FSA担(金融庁)』だそうです。」の記載がある。

以上の事実を総合すれば、「FSA」の語は、我が国において、金融庁の略称を表示するものとして、本願指定役務に係る我が国の金融・財務関連役務の取引者・需要者間において、広く認識されているものと認められる。

そうとすると、本願商標は、我が国の金融庁、すなわち国の機関を表示する標章であって著名なものと類似する商標といわざるを得ない。

したがって、本願商標を商標法第4条第1項第6号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。

これにつき、請求人は、「FSA」は、金融庁の英文名称の著名な略語であるとする十分な証拠はなく、むしろ、「FSA」の語が請求人である英国「金融サービス機構(Financial Services Authority)」の略語として使用されている例が多数見つかったことから、「FSA」の語は、金融サービス機構(Financial Services Authority)を指称する表示として、我が国においても広く知られており、請求人を表す標識であると認識されていると考えられるから、本願商標「FSA」をその指定役務に使用しても他人の行う業務との混同を生ずるおそれはない旨主張する。

しかしながら、「FSA」の語が、我が国金融庁の英文名称の著名な略称であり、我が国の機関を表示する標章として広く認識されていることは上述のとおりであるところ、たとえ、英国の金融サービス機構が「FSA」と指称される場合があるとしても、商標法第4条第1項第6号の適用の可否は、出所の混同のおそれを基準に判断すべきものでないことは、本号に掲げるものの権威を尊重する精神に照らし相当であるから、本件については、前記認定、判断を相当とするものであって、この点について述べる請求人の主張は妥当でなく、採用できない。

よって、結論のとおり審決する。

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