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Trademark Appeal Case

著名図形商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2007−900360(T2007−900360/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5042797号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5042797号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成18年9月26日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年4月20日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第2249453号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和61年3月12日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録され、その後、同12年8月8日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

(2)登録第2702633号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成3年3月14日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成7年1月31日に設定登録され、その後、同17年2月1日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年7月27日に、指定商品を第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(3)登録第1497433号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、昭和52年12月29日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年1月29日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成15年1月22日に、指定商品を第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(4)登録第2277241号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和62年3月3日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年10月31日に設定登録され、その後、同12年11月7日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同13年5月9日に、指定商品を第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(上記(1)ないし(4)の登録商標をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。)

3 登録異議の申立ての理由の要点

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標は、各構成要素において類似する商標である。

引用商標は、デニム地のパンツ(以下「ジーンズパンツ」という。)の製造、販売会社として世界的に著名な申立人が、その取扱いに係るジーンズパンツの腰部分に付す革又は紙の「パッチ」と呼ばれる部品に表示している図柄であり、ジーンズパンツの愛好家からは「ツーホースマーク」として親しまれている図形であって、遅くとも本件商標の出願日までには、その需要者の間で著名となっていたものである。

したがって、引用商標、とりわけ引用商標1、2、4の著名性を考慮すれば、本件商標と引用商標との類似の程度はきわめて高く、本件商標を使用した商品に接する需要者は、引用商標と同一の出所から流出した商品であると誤認混同するおそれがある。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

前記(1)のとおり、引用商標は、申立人の取扱いに係るジーンズパンツに付されるパッチの図柄として、本件商標の出願日までには、その需要者の間に広く認識されていたものである。

そして、本件商標は、引用商標と全体の構成が類似するものであり、その指定商品中の「被服」は、ジーンズパンツと同一又は類似の商品である。

したがって、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者は、該商品が申立人又は申立人と営業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

(3)商標法第4条第1項第19号について

前記のとおり、引用商標は、申立人の商品を表示するものとして需要者に著名となっている。このような状況において、本件商標の商標権者が、引用商標と全体的構成、要素の配置を全て模倣する本件商標を出願・登録することは、引用商標の周知著名性を利用して不当に利益を上げる目的を有し、引用商標のグッドウイルないし顧客吸引力にただ乗りする意図は明らかであり、本件商標は、不正の目的をもって使用するものというべきである。

(4)むすび

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 外観について

(ア)本件商標は、別掲(1)のとおり、破線からなる矩形の内部最上段に、太字で大きく「STUDIO DARTISAN & SA.」の文字を横書きしてなり、その下に、細字で小さく「AMERICAN VILLAGE.OSAKA」の文字を横書きしてなり、さらに、その下に、高低差のある5つの部分からなる帯状図形内に、それぞれ「DE」「SIGEN−」「ONLY−O」「RIGIN」「AL」の各文字を白抜きで横書きしてなり、さらにまた、これらの文字の下に、「LAST GENERATION・・DENIM ○△×」の文字を横書きしてなるものである。

また、矩形内の下方約2分の1程度の部分には、中央に配されたズボンの左右の裾部分にくくり付けられたそれぞれのひもを、2頭の豚が左右に引き合っている様を表した漫画風な図形(以下「本件図形」という。)が大きく描かれており、左の豚の下のリボン様図形内に「SINCE」の文字を、また、右の豚の下のリボン様図形内に「1979」の数字を、中央のズボンの下に「COTTON 100% INDIGO/DENIM」の文字を、それそれ小さく横書きしてなるものである。さらに、矩形内の右下に、「S」と「L」の各文字をやや間隔を置いて配してなるものである。

そして、本件商標の構成中、看者に強く印象づけられる部分は、大きく描かれた2頭の豚がズボンの左右の裾部分にくくり付けられたそれぞれひもを引き合っている本件図形にあるといえる。

(イ)引用商標1、2、4は、別掲(2)、(3)のとおり、実線からなる矩形の内部最上段に、やや大きく「LEVI STRAUSS & CO.」の文字を横書きしてなり、その下に、細字で小さく「SAN FRANCISCO CAL.」の文字を横書きしてなり(但し、引用商標1には該文字の記載はない。)、さらに、その下に、中央部分にへこみのある帯状図形を描き、該図形の左部分に「ORIGINAL」の文字を、同右部分に「RIVETED」の文字を、いずれも白抜きで横書きしてなり、さらにまた、その下に、「QUALITY CLOTHING.XX」の文字を横書きしてなるものである。

また、矩形内の下方約2分の1程度の部分には、中央に配されたズボンのベルト付近の左と右のそれぞれにくくり付けられたひもを、むちを手にした2人の人物の指揮のもと、2頭の馬が左右に引き合っている様を表した写実的な図形(以下「引用図形」という。)が描かれており、左の馬の下のリボン様図形内に「PATENTED IN U.S.」の文字を、また、右の馬の下のリボン様図形内に「MAY 20 1873」の文字を、いずれも白抜きで小さく横書きし、さらに、これらの文字の下に、「100% Cotton」、「Made in USA」(但し、引用商標1には該文字の記載はない。)、「WPL 423」の各文字をきわめて小さく横書きし、さらに、左右の馬の顔の下には、それぞれ「TRADE」、「MARK」の文字を小さく横書きしてなるものである。また、矩形内の下約4分の1程度の部分は、その右下に、「W」、「L」の各文字をやや間隔を置いて配してなる以外は空間である。

そして、引用商標1、2、4は、その構成中の「LEVI STRAUSS & CO.」の文字部分が申立人を表すものとして著名であり、かつ、上段に大きく配されているところから、看者の注意を強く引く部分であるといえる。これに対し、引用図形は、その上部に書された上記「LEVI STRAUSS & CO.」の文字をはじめとする各文字よりも小さく表され、また、引用図形の左右及び下部にも文字が書されているところから、文字に囲まれるような形でこぢんまりと、かつ、写実的に描かれているものであって、特に引用図形のみが際だって印象に残るという程のものではない。

(ウ)引用商標3は、別掲(4)のとおり、引用商標1、2、4中の引用図形からなるものである。

(エ)以上によれば、本件商標と引用商標1、2、4は、文字及び図形の配置、文字の表示方法等においてやや近似した部分があるとしても、看者の注意を引く最上段の文字部分において、構成する文字がまったく異なるものであるのみならず、本件図形と引用図形とは、ズボンにくくりつけたひもを引き合っている動物が豚であるか馬であるかの大きな相違があり、加えて、本件図形は、漫画風にユーモラスに、かつ、大きく描かれ、看者の印象に強く残る構成よりなるものであるのに対し、引用図形は、周囲の文字に囲まれるように写実的に描かれ、格別看者の注意を強く引くような構成よりなるものではないから、両図形は、看者に与える印象においてまったく異なるものといえる。

したがって、本件商標と引用商標1、2、4とは、構成全体の外観が看者に与える印象において大きく相違するものであるから、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上相紛れるおそれはないものといわなければならない。

また、本件商標と引用商標3は、上記本件図形と引用図形の差異に加え、本件商標中の文字部分が引用商標3には存在しないから、両者の外観における差異は明らかである。

イ 称呼及び観念

(ア)本件商標は、その構成中、本件図形が特定の称呼、観念を生ずるものではないから、上段に大きく書された「STUDIO DARTISAN & SA.」の文字部分より生ずると認められる「スタジオダーティサンアンドエスエイ」の称呼、又はその構成中の「& SA.」の文字を省略した場合の「スタジオダーティサン」の称呼をもって商品の取引に資される場合が多いとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、「スタジオダーティサンアンドエスエイ」又は「スタジオダーティサン」の称呼を生ずるものであって、構成全体として特定の観念は生じないものと認められる。

(イ)引用商標1、2、4中の「LEVI STRAUSS & CO.」の文字部分は、前記ア(イ)のとおり、申立人を表示するものとして、被服の分野の需要者の間に広く認識されているものと認められるから、引用商標1、2、4において、最も強い自他商品の識別機能を有するものといえる。

したがって、引用商標1、2、4は、これより「リーバイストラウスアンドカンパニー」の称呼を生ずるほか、「& CO.」の文字を省略した場合の「リーバイストラウス」の称呼、又はジーンズパンツにおける「LEVI」の文字の著名性から「LEVI」の文字部分より「リーバイ」の称呼をも生ずるものであって、これより、申立人又はその業務に係る商品に使用される商標を想起するものである。

そこで、本件商標から生ずる各称呼と引用商標1、2、4から生ずる各称呼を比較すると、それぞれの各称呼は、語調、語感を全く異にし、相紛れるおそれはないものである。

また、甲第6号証ないし甲第65号証によれば、引用図形及び引用商標3が「ツーホースマーク」と称されている事実は認められるが、ジーンズパンツの主たる需要者が、老若男女を問わない一般の消費者であることを考えれば、その多くの者が引用図形及び引用商標3を「ツーホースマーク」と認識しているものとは、上記証拠によっても認めることができず、引用図形及び引用商標3を「ツーホースマーク」と認識している者は、ジーンズパンツの一部の愛好者に限られるとみるのが相当である。したがって、引用図形及び引用商標3からは、特定の称呼、観念は生じないというべきである。

(ウ)以上によれば、本件商標と引用商標は、称呼上類似するとみるべき要素は見出せず、また、本件商標は、特定の観念が生じないものであるから、引用商標とは観念上比較することができない。

ウ したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

前記(1)で認定したとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるから、たとえ、引用商標が申立人の取扱いに係るジーンズパンツ等について使用され、本件商標の登録出願前よりその需要者の間に広く認識されていたものであるとしても(「ツーホースマーク」と称されて、広く認識されているか否かは別として)、本件商標に接する需要者が直ちに引用商標を想起又は連想することはないとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、需要者をして、該商品が申立人又は申立人と営業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

(3)商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、前記(1)で認定したとおり、引用商標とは、外観上看者に与える印象において異なるばかりでなく、称呼及び観念においても類似するところがないから、不正の目的をもって使用するものということはできない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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