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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2007−900365(T2007−900365/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5041941号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5041941号商標(以下「本件商標」という。)は、「AZ−ONE」の欧文字と「エーゼットワン」片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成18年10月25日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同19年3月15日に登録査定、同年4月20日に設定登録されたものである。

第2 異議の申立の主張の概要

1 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する国際登録第920314号(以下「引用商標」という。)は、「AZONE TS」の欧文字を書してなり、2006年10月2日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して2007年3月28日に国際登録出願され、第1類「Chemicals,namely,penetration enhancers for use with chemicals, diagnostic, cosmetic, therapeutic and fungicidal agents.」(和訳 「化学品、すなわち化学剤と一緒に用いる浸透促進剤,診断用・美容用・治療用及び殺菌類殺菌用薬物」)を指定商品とするものである。

2 理由の要点

本件商標と引用商標の対比

ア 先後願関係

本件商標の登録出願日は、2006年10月25日である。一方、引用商標は、米国出願を基礎とする優先権を主張しているので、引用商標の先願権発生日は、2006年10月2日である。したがって、引用商標は、本件商標に対して先願である。

イ 商品の類否について

本件商標は、第5類「薬剤」を指定商品とし、一方、引用商標は「diagnostic,cosmetic,therapeutic and fungicidal agents」(診断用・美容用・治療用・殺菌用薬剤)」を含んでいる。

なお、引用商標の指定商品は、第1類となっているが、区分は商品の類否を定めるものではないから[商標法第6条第3項]、区分の表示が異なることを以て、商品が非類似とはいえない。

そして、引用商標の「診断用・美容用・治療用・殺菌用薬剤」と本件商標の「薬剤」とは、販売者、生産者などが共通にするから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、類似している。

ウ 商標の類似

(ア)本件商標と引用商標とは外観が紛らわしい

引用商標は、「AZONE TS」の態様からなり、該引用商標の「TS」は、アルファベット2文字からなる記号であって、「AZONE」の語尾に離れて添えられている。

このような態様で添えられた記号は、商品の型式又は品番等を表示するものとして、取引上普通に使用されていることは顕著な事実である。

そして、簡易迅速を尊ぶ取引の実情を考慮すれば、かかる識別力がなく、かつ語尾に付された記号は、省捨されるのが常であるから、本件商標の要部は、「AZONE」にあると認定できる。

一方、本件商標のアルファベット文字は、「AZ」と「ONE」の間に短いハイフォンを表した態様からなる。

この本件商標のハイフォンは、アルファベット文字と比較して短く、該ハイフォンは、外観上、「AZ」と「ONE」を分離する働きが弱いと思われる。

よって、本件商標の「AZ−ONE」は、引用商標の要部である「AZONE」と外観上相紛らわしいものである。

(イ)本件商標と引用商標とは称呼が紛らわしい

本件商標からは、「エーゼットワン」という称呼を生じると認定できる。

一方、引用商標は、上述のとおり、「AZ−ONE」を要部とするので、該文字から、「エーゾーン」又は「エーゼットワン」という称呼を生じると認定できる。

すなわち、上記「AZONE」は、それ自体特に意味を持たない造語的な標章であるところ、これに接する需要者が、造語的な「AZONE」を称呼する際には、需要者自身が英単語として見知っている「ZONE」や「ONE」という部分を英単語と理解して称呼する。

したがって、引用商標の「AZONE」からは、「エーゾーン」又は「エーゼットワン」の称呼が生じると認定するのが妥当である。

仮に、「AZONE」からは「エーゾーン」の称呼が生じ、「エーゼットワン」の称呼を生じないと認定することは極めて不自然、かつ不合理である。つまり、「AZONE」を「エーゾーン」と称呼する場合には、上記「AZONE」のうち「ZONE」の英単語に着目し、その部分を英単語読みしているが故に、「エーゾーン」と称呼しているのである。

そうとすれば、上記「AZONE」のうち「ONE」の英単語に着目し(日本では、英単語「ZONE」よりも「ONE」の方が広く認識されていると思われる)、「エーゼットワン」の称呼も当然生じると認定するのが、極めて自然、かつ妥当である。

よって、本件商標と引用商標は、称呼上、相紛らわしいものである。

3 以上のように、引用商標は、本件商標よりも先願であり、かつ、本件商標と引用商標は、少なくとも称呼及び外観において相紛らわしいから、両商標が、類似していることは明らかである。

したがって、本件商標は、商標法第8条第1項の規定する要件を満たしていないので、商標法第43条の2第1項により、取り消されるべきである。

第3 当審の判断

1 本件商標について

本件商標は、別掲のとおり、その構成中上段の「AZ−ONE」(中央部の「−」は、通常のハイフンよりやや短い。)の欧文字と、該上段の欧文字の読みを表したものと認められる「エーゼットワン」の片仮名文字とからなるものである。

そして、本件商標は、構成全体としても、外観上まとまりよく表されているものであって、構成各段の文字もそれぞれ一体的、又は一連一体に表されているものであるから、本件商標中の各段の文字はそれぞれ一体不可分の造語を表したと理解されるというのが相当である。

そうすると、本件商標は、上段の欧文字部分の読みを表したものと認められる下段の「エーゼットワン」の片仮名文字部分に相応して、「エーゼットワン」の一連の称呼のみを生ずるというべきである。

2 引用商標について

引用商標は、上記第2のとおり、「AZONE TS」の欧文字を書してなるものである。

そして、引用商標「AZONE TS」は、その構成中の「E」の文字と「T」の文字との間に半角程度の間隔を有しているとしても、他の文字は全て同じ書体、同じ大きさで書され、視覚上極めてまとまりよく表されているものであるから、引用商標のかかる構成にあっては、その構成全体をもって、一体不可分の造語を表したと理解されるというのが相当である。

そうすると、引用商標は、その構成全体をもって、我が国において一般に親しまれている英語又はローマ字の発音方法に倣い、「エーゾーンテイエス」又は「アゾネテイエス」の称呼を生ずるといえるものである。

この点に関し、申立人は本件商標より「エーゼットワン」の称呼も生ずると主張しているが、引用商標は、前記のとおり、「AZONE TS」の欧文字を書してなるところ、我が国においては、英語が外国語の中で最も普及していること、及び欧文字で表す場合にローマ字の綴り方により表記するのが通常であることに照らせば、特定の意味や読み方を有するものとして一般に知られていない欧文字よりなる商標に接した場合、取引者・需要者は、まず、英語の読み方あるいはローマ字の読み方により称呼してみて無理なく自然に称呼し得る場合には、これらの読み方により称呼するのが取引の実情に合致しているということができる。

これを引用商標の構成中「AZONE」文字についてみると、構成中の「A」の文字部分は、英語では「エー」の文字に相当し、また、「ZONE」(地帯、範囲)の語として親しまれている英単語の「zone」(ゾーン)の発音に照らせば、該文字部分より生ずる自然の称呼は、「エーゾーン」あるいは、ローマ字風に「アゾネ」というのが相当である。

確かに、「ONE」の綴りは「ワン」と発音される英単語と認められる。しかしながら、引用商標の文字構成からみて他の語に「AZ」の接頭語を冠したものと認識されるものではないこと、また、第2文字以下の「ZONE」の文字部分に着目した場合、一般に知られた英単語「zone」(ゾーン)であることに照らせば、「AZONE」の文字からなる引用商標に接した取引者・需要者がこれを「エーゼットワン」とも称呼するものと認識するとは認め難いものであり、申立人の主張は採用することができない。

3 本件商標と引用商標の類否について

本件商標より生ずる称呼「エーゼットワン」と引用商標より生ずる称呼「エーゾーンテイエス」又は「アゾネテイエス」とは、その構成音、構成音数が明らかに相違するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼しても、相紛れるおれはないものである。

また、本件商標の構成と引用商標の構成は、それぞれ上記第1及び上記第2のとおりであるから、外観については判然と区別し得るものであり、さらに、観念については、両者は共に造語であるから、比較できないものである。

その他、本件商標と引用商標とを類似の商標とみるべき理由は見いだせない。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。

4 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第8条第1項に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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