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Trademark Appeal Case

複合商標の称呼観念類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2007−900369(T2007−900369/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5044506号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5044506号商標(以下「本件商標」という。)は、「Franz von Metternich」の文字を標準文字で表してなり、平成18年8月2日に登録出願、第33類「洋酒,果実酒,薬味酒」を指定商品として、同19年4月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)

本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第8号証を提出した。

(1)申立人が引用する商標

(ア)登録第1525037号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和52年12月15日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年7月30日に設定登録され、その後、平成5年1月28日及び同14年4月16日の2回にわたり商標権存続期間の更新登録がされ、また、同15年6月18日に指定商品を第33類「ライン産の発泡性ぶどう酒」とする指定商品の書換登録がされたものである。

(イ)登録第1525038号商標(以下「引用商標2」という。)は、「フイルスト フオン メーテルニイヒ」の文字を横書きしてなり、昭和52年12月15日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年7月30日に設定登録され、その後、平成5年1月28日及び同14年4月23日の2回にわたり商標権存続期間の更新登録がされ、また、同年9月11日に指定商品を第33類「発泡性ぶどう酒,その他のぶどう酒,その他の果実酒,日本酒,洋酒,中国酒,薬味酒」とする指定商品の書換登録がされたものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

(ア)外観類似について

本件商標と引用商標1の要部の一つである文字部分「Furst von Metternich」(「u」には「ウムラウト」が施されている。以下同じ)を比較すると、「Franz」と「Furst」の相違はあるものの、接頭語である「F」が共通している。また、中間及び後部の「von Metternich」は全く同一であり、18文字中14文字を同じくしているから、本件商標と引用商標1とは外観上極めて類似している。

(イ)称呼類似について

本件商標からは、「フランツ フォン メッテルニヒ」の称呼が生じる。引用商標1の「Furst von Metternich」からは、「フィルスト フォン メッテルニヒ」の称呼が生じる。両者は、後半部において原語記載が全く同一であるので称呼も同一であり、「フランツ」と「フィルスト」とで相違しているが、接頭語が「F」又は「フ」「フィ」であって相違点はあまりない。また、「von」の後にある「Metternich」(メッテルニヒ)の部分が特に称呼上アクセントが強く発音されるものである。両商標は、共に18文字中14文字まで同一であり、比較的長い商標においては、共に後半部分に注意が集中することは明白である。したがって、本件商標は引用商標1と類似している。

次に、本件商標と引用商標2とを比較するに、引用商標2は、「フイルスト フオン メーテルニイヒ」の片仮名文字よりなるものであり、本件商標とは後部において相違するようにも見えるが、後半部は促音か長音の相違(「メッ」と「メー」)及びナ行の子音プラス母音において、母音を強調している点に相違があるに過ぎない(「ニヒ」と「ニイヒ」)。したがって、両商標は、称呼において類似する。

よって、本件商標と引用商標1及び2とは、称呼の上で類似しているものである。

(ウ)観念類似について

本件商標と引用商標1の所有者は、ドイツ連邦共和国の法人であるので、これらの商標がドイツ語であると解される。

本件商標の「Franz」は、男性に良く用いられる名前である。また、「von」は、英語の「of」の意であり、名前の一部に用い元来貴族の身分を表した語である。さらに、「Metternich」はメッテルニヒ家を表している。したがって、本件商標からは、「メッテルニヒ家のフランツ」の意味が生じる。

一方、引用商標1の「Furst」は、「侯爵、君主」の意味があり、「メッテルニヒ家の侯爵」又は「メッテルニヒ家の君主」の意味を生じる。

侯爵又は君主が男性であることは長年の歴史が示すところであり、両者は観念上極めて類似又は密接な関連性を有し、類似の商標であるといえる。

(エ)以上により、本件商標は、引用商標1と外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似し、指定商品について「ぶどう酒」で共通している。また、本件商標は、引用商標2と称呼において類似し、指定商品について「洋酒,果実酒,薬味酒」で共通している。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

引用商標1及び2は、既に登録から25年が経過しており、この間、日本国で継続して商品「ワイン」に当該商標を付して販売しており、需要者に広く知られるに至っている商標である。

本件商標が引用商標1及び2と抵触する商品に使用された場合には、需要者に出所の混同が生じる可能性が大いにある。

特に、「Metternich」の部分が同一であることから、「Metternich」のワインの新種が出たかと需要者に受け取られる可能性が高い。

引用商標1の商標権者による「Furst von Metternich」は、1934年以降使われており、引用商標1と同一の肖像画を入れたラベルは1971年から使われている(甲第6号証)。ドイツの最も有名なスパークリングワインとしてドイツのみならず、我が国においても知られることとなっている。

2005年に開かれた愛知万博においては、ドイツ・パビリオンにてドイツを代表する白ワイン品種・リースリングから作られたゼクトとして「Furst von Metternich」が提供された(甲第7号証)。

その他、スパークリングワインとして我が国において現在も販売されている(甲第8号証)。

本件商標は、その指定商品に使用した場合、需要者が申立人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2の規定により、その登録は、取り消されるべきものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「Franz von Metternich」の欧文字を横書きしてなるのに対し、引用商標1は、別掲に示したとおりの構成よりなり、また、引用商標2は、「フイルスト フオン メーテルニイヒ」の片仮名文字よりなるものであるから、本件商標と引用商標1及び2とは、外観において紛れるおそれがない程度に相違する。

そして、称呼及び観念について、本件商標は、構成中「von」が英語の「of」に相当するドイツ語であることから、その構成文字に相応して「フランツフォンメッテルニヒ」の称呼が生じ、「メッテルニヒ家のフランツ」程の観念を生じるとするのが相当である。

他方、引用商標1は、図形と文字との結合によりなるものであるところ、該構成中に圧倒的顕著に表されており、申立人が本件商標と類似とすべき対象とする「Furst von Metternich」の文字部分について、「Furst」が「侯爵、大名、君主、領主、殿様」の意を有するドイツ語であることから、該構成文字に相応して「フィルストフォンメッテルニヒ」の称呼が生じ、「メッテルニヒ家の侯爵」程の観念を生じるとするのが相当である。また、引用商標2は、該文字より直ちにドイツ語を想起し得ないから、これに相応して「フイルストフオンメーテルニイヒ」の称呼を生じ、格別の観念の生じない造語よりなるものと認められる。

なお、本件商標、引用商標1の対象となる文字部分及び引用商標2について、「Metternich」、「メーテルニイヒ」、「von Metternich」又は「フォンメーテルニイヒ」の部分を抽出し、称呼又は観念しなければならないとする特段の事情は見いだせない。

そこで、本件商標と引用商標1及び2より生じる称呼及び観念について比較するに、称呼においては、本件商標の「フランツフォンメッテルニヒ」の称呼と引用商標1の「フィルストフォンメッテルニヒ」の称呼及び引用商標2の「フイルストフオンメーテルニイヒ」の称呼とでは、それぞれの比較においても、構成音が明らかに異なり、それぞれを一連に称呼した場合であっても、十分に聴別でき、相紛れるおそれはない。

次に、本件商標の「メッテルニヒ家のフランツ」と引用商標1の「メッテルニヒ家の侯爵」とでは、観念が明らかに相違し、また、引用商標2からは、格別の観念が生じないから、本件商標と観念上比較すべきところがない。

してみれば、本件商標と引用商標1及び2とは、その外観、称呼及び観念のいずれより見ても、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

引用商標1及び2は、申立人提出の甲第6号証ないし同第8号証によって、引用商標1が使用された事実を認められるとしても、我が国において広く一般に知られているものとは認めるに足らないばかりでなく、本件商標と引用商標1及び2とが類似しない商標であること上記(1)のとおりであるから、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標1又は2を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関連を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものと認めることもできない。

(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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