結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−300400(T2007−300400/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1.本件商標
本件登録第4433863号商標(以下「本件商標」という。)は、「ALPHARMA」の文字を標準文字で表してなり、平成10年1月8日に登録出願、第5類「食餌療法用食品,医療用塩類,医療用糖,医療用茶,医療用ローション剤,毛髪用剤,その他の外皮用薬剤,その他の薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,医療用腕環,胸当てパッド,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、同12年11月17日に設定登録されたものである。
2.請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、商標権者又は使用権者の何れによっても、指定商品について少なくとも過去3年以上使用された事実は存しない。
よって、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
(ア)被請求人が商標使用者でないこと
被請求人は、本件商標が付された商品「飼料添加物」が日本国内に輸入されていたから、被請求人が本件商標を使用していた旨主張する。
しかしながら、乙第1〜乙第8号証は、当該「飼料添加物」が実際に日本国内に輸入された事実を何ら証明するものではない。
仮に、当該「飼料添加物」が日本国内に輸入されていたとすれば、その輸入業者は、むしろ乙第1〜乙第8号証によれば科研製薬株式会社であり、少なくとも被請求人でないことは明らかである。
従って、被請求人が日本国内における商標使用者となり得る余地はない。
(イ)本件商標が使用されていないこと
被請求人は商品「飼料添加物」に本件商標が使用されている旨主張する。 しかしながら、被請求人の提出する乙第1〜乙第8号証の何れにも本件商標は使用されていない。
すなわち、乙第1号証は、日本に住所を有しない被請求人のホームページのプリントアウトであるところ、そこに本件商標はもとより、何らの商標も表示されていないことは明白である。
また、乙第2号証は、科研製薬株式会社のホームページのプリントアウトに過ぎないところ、そこに表示されている商標は「アバテック−150」、、「バシトラシン−100」、「バシトラシン−150」等であり、少なくとも本件商標が表示されていないことは極めて明らかである。しかも、当該科研製薬株式会社は本件商標権者ではない。
また、乙第3及び乙第4号証は、「ラサロシドナトリウム」の包装の写真であるところ、そこに表示されている「ALPHRMA」なる標章は単なる社標に過ぎず、商標として使用されているものではない。このことは乙第2号証に「ラサロシドナトリウム」を主成分とする「飼料添加物」の商標として「アバテック−150」が明記されていることからも明らかである。
また、乙第5号証は、「バシトラシン」の包装の写真であるところ、そこに表示されている「ALPHRMA」なる標章も単なる社標に過ぎず、商標として使用されているものではない。このことは、当該乙第5号証に「飼料添加物」の商標として「バシトラシン−150」、「Albac」が明記されていることからも明らかである。
また、乙第6号証は、カタログとのことであるが、そこに表示されている商標は「Avatec」等であり、少なくとも本件商標が表示されていないことは極めて明らかである。しかも、当該乙第6号証を日本国内で使用している者は科研製薬株式会社であって、被請求人ではない。
また、乙第7号証は、請求書写とのことであるが、そこに表示されている商標は「ALBAC」であり、少なくとも本件商標が表示されていないことは極めて明らかである。しかも、当該乙第7号証に、表記されている商品は「FEED SUPPLEMENT(栄養補助飼料)」である。
また、乙第8号証は、カタログとのことであるが、そこに表示されている商標は「Avatec」、「Albac」等であり、少なくとも本件商標が表示されていないことは極めて明らかである。しかも、当該乙第8号証を日本国内で使用している者は科研製薬株式会社であって、被請求人ではない。
以上、本件商標が日本国内で使用された事実は存在しない。
(ウ)「飼料添加物」が「薬剤」でないこと
被請求人は、「飼料添加物は薬剤に該当する」旨主張する。
しかしながら、乙第9号証によれば、「飼料添加物」とは「飼料の品質の防止の低下」、「飼料の栄養成分その他の有効成分の補給」および「飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進」の用途に用いられるものであるところ、乙第10号証によれば、本件「飼料添加物」は、「飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進」の用途に用いられるものであるから、病気の治療を目的として用いられるものでないことは極めて明らかである。
因に、病気の治療を目的として用いられるものは、乙第2号証からも明らかな如く、「飼料添加物」ではなく、「動物用医薬品」であり、「飼料添加物」に治療効果を表示することはできない。
してみれば、乙第11号証の記載内容とも相俟って、本件「飼料添加物」が「薬剤」ではなく、第31類に属する商品であることに疑の余地はない。
(エ)まとめ
以上述べた如く、本件商標は、日本国内において商標権者たる被請求人によって、「薬剤」はもとより何れの指定商品についても使用された事実は存しない。
3.被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証を提出している。
(答弁の理由)
(ア)はじめに
請求人は、欧文字「ALPHARMA」からなる本件商標が、第5類の指定商品について過去3年以上使用されていないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべき旨主張している。
しかしながら、被請求人は、以下のとおり本件商標を請求に係る指定商品中「薬剤」について、本件審判の予告登録日である平成19年4月20日前3年(以下「本件期間」という。)以内に日本国内において使用している。
(イ)本件商標を使用している者
まず、被請求人である「Alpharma Inc.(アルファーマ・インコーポレーテッド)」は、現在、世界60ヶ国以上にわたって活動する製薬会社であって、人及び動物向けの薬品分野における、世界的なリーディングカンパニーである(乙第1号証)。被請求人の本社は、現在、「アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08807 ブリッジウォーター ルート 22 440」に所在し(乙第1号証)、被請求人は、また、ノルウェー国にも事業所を有している(乙第1号証)。
被請求人は、日本においては、そのホームページ上において明記しているように(乙第1号証)、日本の製薬会社のひとつである科研製薬株式会社を、正規代理店(Distributor)として、同社を通じ日本国内において、本件商標を付した「Feed Additives(飼料添加剤ないし添加物)」(以下、「本件商品」という。)の販売をおこなっている。
科研製薬株式会社もまた、同社のホームページ上において、同社が扱う本件商品が、被請求人「Alpharma Inc.(アルファーマ社)」に係る製品であることを強調して明示しており(乙第2号証)、同社が日本国内において販売する本件商品の包装にも製造元を「アルファーマ社」と明示している(乙第3号証ないし乙第5号証)。
したがって、被請求人である「アルファーマ・インコーポレーテッド」が、日本国内において本件商標を使用している者であることは明らかである。
(ウ)本件商標の使用状況
被請求人は、乙第2号証に示すとおり、代理店である科研製薬株式会社を通じて、本件商品を「アバテック−150」並びに「バシトラシンー100/−150」という名称で日本国内において販売している。
・「アバテツク−150」
当該商品は、「ラサロシドナトリウム」とよばれる物質を有効成分としており(乙第2号証)、被請求人は、科研製薬株式会社との間では、その有効成分名を製品名として取引している(乙第3号証及び乙第4号証)。
乙第3号証及び乙第4号証は、該「ラサロシドナトリウム」の包装を撮影したものであり、同包装には欧文字「ALPHARMA」が付されている。
また、科研製薬株式会社は、日本国内において、「アバテック−150」の販売の申出を行なう際に、被請求人が作成したカタログに科研製薬株式会社の連絡先を貼付したものを利用しており(乙第6号証及び乙第8号証)、同カタログの表紙等にも欧文字「ALPHARMA」が付されている。同カタログには、製品「AVATEC(アバテック)」に関することが明記されており、同カタログが、日本国内において、本件商品の販売のために用いられていることは明らかである。
しかして、本件商標は、欧文字「ALPHARMA」を標準文字で横書きした構成のものであるから、当該包装・カタログに使用されている商標が、本件商標に該当することは明らかである。そして、同商標が付された「ラサロシドナトリウム」すなわち「アバテック−150」は、乙第3号証及び乙第4号証に示されるとおり、本件期間内である平成18年9月28日又は平成18年12月20日には、すでに日本国内に輸入されているから、本件期間内に被請求人が本件商標を使用していたことは明らかである。
・「バシトラシンー100/−150」
被請求人は、当該商品の包装に欧文字「ALPHARMA」を付している(乙第5号証)。また、乙第7号証に示すとおり、被請求人が科研製薬株式会社に対し発行した、製品「ALBAC」に関する取引書類(請求書)にも、欧文字「ALPHARMA」が付されている。なお、製品「ALBAC」は、「バシトラシン」と同一の製品であり(乙第5号証)、科研製薬株式会社は、日本国内において「ALBAC」を、「バシトラシン」の名称で販売している。
また、科研製薬株式会社は、日本国内において、「バシトラシン」の販売の申出を行なう際にも、被請求人が作成したカタログに科研製薬株式会社の連絡先を貼付したものを利用しており(乙第8号証)、同カタログの表紙等に欧文字「ALPHARMA」が付されている。同カタログには、製品「ALBAC」に関することが明記されており、同カタログが、日本国内において、本件商品の販売のために用いられていることは明らかである。
しかして、被請求人の製品包装・取引書類(請求書)に使用されている商標が、本件商標に該当することは明らかである。そして、同商標が付された請求書は、被請求人に属する「Waree Chancaloton」氏によるサインが明記され、本件期間内である平成19年3月7日付で発行されている(乙第7号証)。また、同取引を受けて、本件商標が付された製品「ALBAC」が、本件期間内である平成19年3月19日にはすでに日本国内に輸入されているから(乙第5号証)、本件期間内に被請求人が本件商標を使用していたことは明らかである。
以上より、被請求人が、本件商標を、本件商品「Feed Additives(飼料添加剤あるいは添加物)」ついて、本件期間内に日本国内において使用していたことは明らかである。
(エ)本件商品が請求に係る指定商品中「薬剤」に該当すること
本件商標が使用されている商品は、前述のとおり、「Feed Additives(飼料添加剤ないし添加物)」である。これらは、具体的には、「抗生物質」を有効成分とする「抗菌性飼料添加物」とよばれるものである(乙第2号証)。
該「抗菌性飼料添加物」とは、農林水産大臣が農業資材審議会の意見を聞いて成分毎に指定するものとされ(飼料安全法第1条)、現在、157成分が飼料添加物として指定を受けている(乙第9号証及び乙第10号証)。
被請求人が、日本国内において販売する本件商品のうち「アバテック−150」の有効成分は、前述したとおり、「ラサロシドナトリウム」とよばれるもので、農林水産大臣が指定する成分のひとつであって(乙第10号証)、鶏コクシジウム症を引き起こす原虫である「アイメリアマキシマ細菌(E.maxima)」及び「アイメリアテネラ細菌(E.tenella)」に対する活性すなわち抗菌力を有している(乙第2号証及び乙第6号証)。
また、その他の製品「ALBAC(バシトラシン)」の有効成分は、「亜鉛バシトラシン」とよばれるもので、これも農林水産大臣が指定する成分のひとつである(乙第10号証)。同成分は、家畜の健全な育成の阻害となるグラム陽性菌(例えば、膿血症,骨髄炎,傷口の化膿,食中毒などを引き起こす原因である黄色ブドウ球菌など)に対する活性すなわち抗菌力を有している(乙第2号証)。
したがって、本件商品は、単に家畜にビタミンなどの栄養分を与えるだけの「添加物」ではなく、その各有効成分が、家畜が保持する菌に抗することにより、家畜の傷病を予防・治療する薬効を有しているものであって、被請求人及び科研製薬株式会社がいずれも製薬会社であることを考慮しても、本件商品が「医療用」の「飼料添加剤」としてしか取引されていないことは明らかである。
ところで、わが国においては、現在、「医療用飼料添加剤」が「薬剤」に含まれる商品として第5類に属するものとされる一方、「飼料添加物(医療用のものを除く。)」が第31類に属するものとされている。これに関連して、被請求人は、飼料添加物が「第5類」に属するものであるか、あるいは、「第31類」に属するものであるかを区別する基準について、特許庁に対し問い合わせたところ、明確な基準はないものの「治療を目的として使用される商品であるのか否かということ」が基準のひとつとして挙げられるとの回答を得た(乙第11号証)。
しかるところ、本件商品は、すでに述べたとおり、動物の傷病の予防及び治療を目的として使用されるものであるから、特許庁の参考意見に照らしても、これが第5類の「医療用」の範疇に属するものであることは明らかであり、本件商品が「医療用飼料添加剤」すなわち請求にかかる指定商品中「薬剤」の範疇に属することは明らかである。
(オ)まとめ
以上述べたとおり、被請求人は、日本国内において、本件審判の予告登録日である平成19年4月20日前3年以内に、本件商標「ALPHARMA」を、請求にかかる指定商品中「薬剤」の範疇に属する「医療用飼料添加剤」について使用している。
4.当審の判断
本件審判において被請求人より提出された乙各号証(本件商標が付された製品の包装袋、被請求人の発行に係る請求書等)を総合すれば、本件商標権者より許諾された本件商標の通常使用権者と認め得る科研製薬株式会社が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件商標の指定商品中の「動物用薬剤」の範疇に属すると認められる「医療用飼料添加剤」について使用していたものと判断するのが相当である。
しかして、被請求人の提出に係る乙第5号証(本件商標が付された製品の包装袋)によれば、包装袋の裏面に貼付された製品の説明書には、「飼料添加物」と表示されているが、その下の有効成分名には「亜鉛バシトラシン」と記載されており、この有効成分は、乙第10号証によれば抗生物質であり、動物が保持する菌に抗することにより、動物の傷病を予防・治療する等の薬効を有しているものと認め得るものであるから、該商品は「抗菌性飼料添加物」であり「医療用飼料添加剤」として取引されるものと認められる。 そして、該製品の説明書には、輸入年月日欄は「2007.3.19」と印字され、また、製造者欄には被請求人の名称が表示され、輸入業者欄には「科研製薬株式会社」とその住所が記載されていることが認められる。
また、該製品の包装袋の裏面の下部に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「ALPHARMA」の文字が表示されている。
さらに、同じく乙第7号証は、被請求人から科研製薬株式会社宛てに発行された請求書(写し)と認められるところ、この請求書は、2007年3月7日付のもので、この取引書類(インボイス)により、上記の商品が輸入された事実が有ることが認められる。かつ、該製品の説明書に印字された輸入年月日及び上記請求書の日付からすれば、本件審判請求の登録(平成19年4月20日)前3年以内に本件商標の指定商品に属する上記商品についての使用と認め得るものである。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を本件商標の指定商品「動物用薬剤」に含まれる「医療用飼料添加剤」について、使用されていたものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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