Trademark Appeal Case
称呼の類否と「Phai」の解釈
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2007−2840(T2007−2840/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として、平成18年4月11日に登録出願されたものである。
2 原査定において引用した商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4567883号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、平成13年2月22日に登録出願、第32類「飲料用深層水,その他の清涼飲料(但し、コーヒーシロップを除く。),果実飲料(但し、トマトジュースを除く。)」を指定商品として、同14年5月17日に設定登録されたものである。
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は、別掲(1)に示したとおり、両側部と下部を直線で描き、上部を波形で描いた水色の図形(水色には濃淡がある)を表し、その図形の中に、欧文字を二段に表した構成からなるものであるところ、上段の文字部分は、白抜きの大きな文字をもって「Phai(「i」の文字の上の点は山形で表されている)」の欧文字を表し、該文字の左右に白抜きの大括弧を配したものであり、下段の文字部分は、水色の図形の一部を長方形状に白抜きにし、その中に、小さな水色の文字をもって「Phi Power Water」の欧文字を表したものである。
上記した構成からみれば、本願商標の構成中「Phai」の文字部分は、水色図形の中央に顕著に表されているものであって、水色の図形部分や大括弧から独立して看取され得るものであり、かつ、下段の文字部分からも独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものといえるから、該構成文字に相応して「ファイ」の称呼を生ずるものと認められる。
他方、引用商標は、別掲(2)に示したとおり、ギリシャ語アルファベット(ギリシャ文字)の第21字に当たる「Φ」を想起させる文字を大きく表し、その上部に「ファイ」の片仮名文字を配した構成からなるものである。
上記した構成からみれば、引用商標は、少なくとも、該「ファイ」の片仮名文字に相応して「ファイ」の称呼を生ずるものと認められる。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「ファイ」の称呼を同じくする類似の商標といわなければならない。
また、本願商標は、[Phai]の文字の下段に「Phi Power Water」の欧文字が表示されているところ、該欧文字中の「Phi」の語は、ギリシャ語アルファベット(ギリシャ文字)の第21字に当たる「Φ」を意味する語であるから、本願商標と引用商標とは、観念の点における関連性も否定できないところである。
(2)請求人の主張について
請求人は、「[Phai]」の構成部分について、「Pha」に続く部分は縦棒の上方に中央部が上向きに曲がった山形形状を書してなる図形であること、括弧部分をも読み込んで称呼されるべきであることを挙げて、本願商標から「ファイ」の称呼は生じない旨主張している。
(ア)しかしながら、「Phai」の文字の「i」の部分の形状については、例えば、仏語における母音字には「i」「a」「o」に山形をしたアクサン記号を付けた文字もあるところであり、そのような文字を想起しないまでも、少なくとも、アルファベットの「i」をやゝデザイン化したものと容易に理解し得るものであるから、該部分を図形とみるべきである旨の請求人の主張は採用できない。
そして、「Phai」の語は、特定の意味合いを有する成語とは認められないから、一定の定まった読みがあるものとはいえないが、そのような場合、これに接する取引者・需要者は、我が国において最も親しまれている外国語である英語読みをもって称呼するものとみるのが自然であり、語頭部分の「Pha」については、例えば、「薬局」等を意味する英語として知られている「pharmacy」の語が「ファーマシー」と発音されていることに倣えば、「Pha」の部分を「ファ」と発音し、「Phai」の語全体を「ファイ」と称呼するものとみるのが相当である。
(イ)次に、括弧の点についてみるに、例えば、広辞苑(岩波書店発行)の「かっこ[括弧]」の項によれば、「数式や文章の中で、或る部分をかこって、他との区別を明らかにするための記号」と説明されている。
そこで、本願商標についてみれば、「Phai」の文字を「Phi
Power Water」といった他の構成要素から明確に峻別して把握し得るように大括弧をもって囲ったものと理解・認識されるものということができる。そして、数式の場合は別にして、通常、括弧で囲われた文字(単語)を読む場合に、括弧をも読み込んで称呼するような実情にあるものとはいえず、請求人もそのような実情にあることを認めるに足る証拠を提出していない。
また、本願商標は、[Phai]の文字の下段に「Phi Power Water」の欧文字が表示されているところ、上記したとおり、該欧文字中の「Phi」の語は、ギリシャ語アルファベット(ギリシャ文字)の第21字に当たる「Φ」を意味する語であって、英語読みでは「ファイ」と読まれる語である。それに加えて、大括弧は、英語等の発音記号を表記する場合に用いられているものであり、英和辞書においては、「Phi」の発音記号は[fai]と表記されているから、本願商標の大括弧内に表示されている[Phai]が「Phi」の発音記号を表したものとはいえないとしても、本願商標における大括弧も発音記号の如き用法として理解され、看者をして、該「Phi」の語の読みを想起させるものということもできる。
そうとすれば、本願商標における大括弧の趣旨をどのように解したとしても、大括弧自体をも読み込んで称呼されるべきである旨の請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標と引用商標とは、外観における差異は認められるとしても、「ファイ」の称呼を同じくし、観念における関連性も否定できないところであるから、両者は、互いに誤認混同のおそれのある類似の商標というべきである。そして、本願商標の指定商品中の「清涼飲料,果実飲料」は、引用商標の指定商品中に包含されているものである。
したがって、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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