sokuhyo

Trademark Appeal Case

「心やすらぐ」の記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−19893(T2006−19893/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「心やすらぐ」の文字を標準文字で表してなり、第3類「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,身体用防臭剤,身体用消臭剤,その他の化粧品,芳香剤(身体用のものを除く。),消臭芳香剤(身体用のものを除く。),その他の香料類(植物性天然香料・動物性天然香料・合成香料・調合香料及び精油からなる食品香料を除く。),研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」及び第5類「消臭剤(身体用のもの及び工業用のものを除く。),芳香消臭剤(身体用のもの及び工業用のものを除く。),防臭剤(身体用のもの及び工業用のものを除く。),脱臭剤(工業用のものを除く。),その他の薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,おりもの専用シート,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,人工受精用精液,食餌療法用食品,食餌療法用飲料」の商品を指定商品として、平成17年2月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『心が穏やかなきもちになること』を意味する『心やすらぐ』の文字を表してなるところ、『香水類,芳香剤(身体用のものを除く。),香料類,芳香消臭剤(身体用のもの及び工業用のものを除く。),浴剤』等の製造販売者にあっては、『心やすらぐ』の文字は、香りの情感表現としての『心地よい』等の文字と同様に、商品の販売フレーズとして広く使用されているところである。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果(商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知)について、請求人に対し、所定の期間を指定し、意見を述べる機会を与えて通知した内容は、以下のとおりである。

「心やすらぐ」に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。

1 新聞記事情報

(1)「ライオン/ラベンダーの香りの柔軟仕上げ剤」の見出しのもと,「ライオン 衣料柔軟仕上げ剤ブランド『香りとデオドラントのソフラン』から『心やすらぐラベンダーの香り』を数量限定発売した。・・・・『心やすらぐラベンダーの香り』は防臭できるミクロの香り成分を超微小な柔軟剤粒子の中に配合。衣類につくいやな臭いを抑える。」との記載(2007.5.14 日刊工業新聞 15頁)。

(2)「ビジネス情報:New 洗うだけでスキンケア――エフティ資生堂」の見出しのもと,「〈新しい・気になる モノとコト〉エフティ資生堂は、体の汚れを落とすだけでなく、スキンケア効果をもたせたボディソープ『クユラ』を新発売した。・・・リラックス効果の高い香料を採用し、心と体の疲れを癒す効果もあるという。商品は『心やすらぐ香り』と『心華やぐ香り』の2種類で、各550ミリリットル。」との記載(2005.3.28 毎日新聞東京朝刊 10頁)。

(3)「資生堂がスキンケア商品 スベスベ肌はオトコの武器です 欧州先行、日本発売は来年度」の見出しのもと,「資生堂は二十三日、十一月から男性用スキンケア商品七品目を、新ブランド『SHISEIDO MEN(シセイドウメン)』として、イタリア、ドイツで発売すると発表した。・・・・発売するのは、洗顔フォーム、化粧水(ローション)、乳液、スクラブ状洗顔料など。心やすらぐグリーンフローラル系の香りを配合した。」との記載(2003.10.24 日本工業新聞 3頁)。

2 インターネット情報

(1)「香三昧(こうざんまい)の優れた消臭効果は、食べ物・飲み物の臭いがこもりがちな場所には最適です。心やすらぐ香りでお部屋を満たし、いやな臭いを消し去ります。」との記載(こだわりのお香専門店香源 株式会社菊谷生進堂のホームページ(http://www2.kohgen.com/kunjudouokoh.htm)) 。

(2)「インドで有名なお香メーカー HEM社専用ページ3 ムーン香/ヘム THE MOON INCENSE/HEM INDIA こころ安らぐ落ち着いた香り。お休み前に。」との記載(亜宮香店(エスニック雑貨[agu:]アグーのホームページ(http://homepage2.nifty.com/agu-/onlineshop/incense_s1_3.html))。

(3)「ほっと心やすらぐインセンス(お香)」との記載(ぬちぐすいYahoo!店 有限会社アンビシャスのホームページ(http://store.yahoo.co.jp/nuchigusui/a5a2a5eda5.html))。

(4)「AYURA 心やすらぐ香り、とろけるようなテクスチャー。メディテーションボディークリーム」との記載(株式会社アユーラ ラボラトリーズのホームページ(http://www.ayura.co.jp/jp/News/Topics/20070922/?rdf=01))。

(5)「心やすらぐ東洋の香りOriental・・・そんな贅沢な時間をあなたに味わっていただくために、心安らぐ東洋の香りを、セットにしました。」との記載(ハーブと漢方のマグノリア 株式会社泰山堂のホームページ(http://www.compaq.rakuten.co.jp/herbal/565326/585470/ )) 。

(6)「【花かおりラベンダー】古代から愛されてきたラベンダーの心やすらぐさわやかな香りのお線香。」との記載(香小町はなさ香のホームページ(http://hanasaka.ocnk.net/product/504))。

(7)「和空香 心やすらぐ和の香り(白檀)、(柚子)、(京桜)、(緑茶)、(檜木)」との記載(ウノン株式会社のホームページ(http://www.unon.co.jp/katarogu.html))。

(8)「和香−WAKARI−お線香 果樹園シリーズ 『白桃・青りんご』・・【白桃】古来、中国では桃源郷に代表されるよう桃は特別な果実でした。・・・心やすらぐ白桃のほのかな香りです。」との記載(株式会社江頭仏壇店のホームページ(http://egashira.butsudan.co.jp/egashira/7.1/senkoshourin03/))。

(9)「香炉ぽっぽ 天 香炉ぽっぽ シリーズ 天・地・人 香炉ぽっぽ・・・◎宙に浮かぶ煙の輪 ◎なつかしいオルゴールの響き ◎心安らぐお香の香り」との記載(有限会社エフ・アンド・エフのホームページ(http://www.f-and-f.com/syouhin/1kouro_ten/kouro_ten.html))。

(10)「HEM社製スティック香EGYPTIAN JASMINE インドHEM社製の6角香。さっぱりとした心安らぐジャスミンの香り。」との記載(サニーサイドテラスのホームページ(http://www.sunny-side-terrace.com/?pid=2799725))。

(11)「nisshin 日新景品屋 香湯(Kouyu)〔C281-01〕心安らぐ懐かしい香りに包まれながら、リラックス&リフレッシュ 日本の香り、とろりとしたお湯。心安らぐ懐かしい香りに包まれながらリラックス&リフレッシュ。」との記載(株式会社日新のホームページ(http://item.rakuten.co.jp/kanji/c281-01/))。

(12)「かたりべ 白梅 自然の恵み 心やすらぐ芳香。けむりが少なく、残り香さわやか。純真可憐な白梅を思わせる清らかな香りです。」との記載(株式会社日本香堂のホームページ(http://www.nipponkodo.co.jp/incense/home/kataribe.html))。

以上のように、当審で行った新聞記事及びインターネット情報の調査の事実を考慮すれば、本願商標「心やすらぐ」の文字よりは、「心をやすらかな気持ちにさせる」、または「心をおだやかな気持ちにさせる」という意味合いを理解させる語として使用されていると認められる。

そうすると、本願商標をその指定商品中、「香水類,芳香剤,香料類,芳香消臭剤」などの香りを有する商品に使用したときは、商品の効能を説明する語として、または、商品の販売、促進のためのフレーズとして、理解されるにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものとみるのが相当であるから、結局、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものと認める。

4 職権証拠調べに対する請求人の意見の要点

上記3の証拠調べ通知書に対し、請求人は、以下のように述べている。

証拠調べに基づく事実について

(一)新聞記事情報について

(1)「ラベンダーの香り」という説明文言を伴っており、「心がやすらぐようなラベンダーの香りである」ということを読み取ることができ、単なる「心やすらぐ」の用例を示すものではない。

(2)「リラックス効果の高い香料を採用し、心と体の疲れを癒す効果もある」という説明文言を伴っていることより、「リラックス効果の高い香料により心がやすらぐ」ことを表し、単なる「心やすらぐ」の用例を示すものではない。

(3)「グリーンフローラル系の香りを配合した」という説明文言を伴っており、「心がやすらぐようなグリーンフローラル系の香りを配合した」ことを読み取ることができ、単なる「心やすらぐ」の用例を示すものではない。

(二)インターネット情報について

(1)〜(11)他の説明文言を伴った記載であり、全体から意味が容易に読み取れることから、単なる「心やすらぐ」の用例を示すものではない。

(三)審決例 不服2006−12218「心やすまる」について

本件商標と同様に第3類の商品を指定しており、また本件商標と比較的構成も近い事例であると考えられ、このような商標が自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものと判断されているから、本件商標が拒絶される理由が存在しない。

(四)引用した資料には「心やすらぐ」単独で商品の効能を説明する語として、または、商品の販売促進のためのフレーズとして認識し得るものは無く、商品説明文中において具体的な品質表示、効能などの説明とともに使用されるための用語として用いられることがあるとしても、これが独立して、商品の効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとは認められず、需要者が本願商標に接した場合、自他商品識別標識として使用されていると認識されることは疑いのないところと思料する。

5 当審の判断

本願商標は、上記1のとおり、「心やすらぐ」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「やすらぐ」の文字は、「安らかな気持ちになる。おだやかな気持ちになる。」(広辞苑第五版 株式会社岩波書店発行)を意味する語であり、「心」の文字は、「気持ち。心持ち」などの意味を有する語(広辞苑第五版 株式会社岩波書店発行)であり、両語は、日常的に用いられ、その意味も広く知られているものである。

ところで、ストレスの多い現代社会において、芳香が気分をリラックスさせたり、ストレスによりバランスを崩した生体の機能を調節する作用があることなどから、「アロマセラピー:花・香草などの香りをかいでストレスを軽減し、心身の健康をはかる療法。」(広辞苑第五版 株式会社岩波書店発行)などが行われるようになり、「アロマオイル:芳香性の油」(現代用語の基礎知識2008 株式会社自由国民社発行)、「お香」など、「香り」にこだわった商品が、本願指定商品を取扱う業界において、開発、販売されているところである。

そして、本願商標の「心やすらぐ」の文字は、上記3の証拠調べ通知に記載の事実よりすれば、「心をやすらかな気持ちにさせる」、または「心をおだやかな気持ちにさせる」という意味合いをもって、その指定商品中「香水類,芳香剤,香料類,芳香消臭剤」などの香りを有する商品について普通に使用されているというべきであり、同じく上記3の1の(2)、(3)や2の(4)の記載からは、「化粧品,せっけん類」などについても、その商品の香りをアピールするために、その香りの効能が、「心をやすらかな気持ちにさせる」、または「心をおだやかな気持ちにさせる」ものであることを理解させる語として使用されているということができる。

そうとすれば、本願商標の「心やすらぐ」の文字を、上記のような「香水類,芳香剤,香料類,芳香消臭剤」などの香りを有する商品に使用しても、これに接する需要者、取引者は、単に、該商品が「心をやすらかな気持ちにする香りを有する商品」、または「心をおだやかな気持ちにする香りを有する商品」であることを表したものと理解するにすぎず、商品の効能等を表したものと認識するとともに、香りをアピールするための端的なフレーズないし宣伝文句と認識するにとどまるものというべきであるから、自他商品の識別標識としては認識し得ないものと判断するのが相当である。

したがって、本願商標は全体として、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるといわざるを得ない。

なお、請求人は、上記4の意見書において、証拠調べ通知に引用した、新聞記事情報及びインターネット情報について、単なる「心やすらぐ」の用例を示すものではない旨述べているが、「心やすらぐ」の文字を、香りを有する商品に使用したときは、「心をやすらかな気持ちにする香り」程の意味合いを容易に理解させるものであり、また、先に述べた「心やすらぐ」の文字と、香りを有する商品との関係において、香りについての効能等を表す語として使用されている事実は、上記3のとおりであるから、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきである。したがって、請求人のこの主張は採用できない。

また、請求人は、「心やすまる」の審決例を挙げているが、そもそも、商標の識別性の判断は、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるものであるから、請求人(出願人)の挙げた登録例は、本願商標と事案を異にするものといわざるを得ない。そして、その登録例によって、本願商標が、上記3のように使用されている事実が否定されるとはいえないから、本願商標が、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないことは前述のとおりであり、請求人(出願人)の挙げた登録例の存在によってその認定が左右されるものではない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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