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Trademark Appeal Case

材料名使用の商標該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300164(T2007−300164/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4084854号商標の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4084854号商標(以下「本件商標」という。)は、「ユーラム」の文字と「EURAM」の文字を二段に横書きしてなり、平成8年7月25日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同9年11月21日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁並びに回答に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

(ア)被請求人は、本件商標を「電子応用機械器具に使用する転写ローラ」に使用していると主張する。

しかし、乙第3号証によれば、「EURAM」は、3頁の「3.構造及び材料品質」の「2)材料」欄と、10頁の添付図面の「(2)フォーム部」欄に記載されているのみである。

上記の「EURAM」の使用態様からは、「EURAM」を「転写ローラ」の商標として使用しているとは到底いえず、単に、「転写ローラ」の一部分であるフォーム部の材料であるポリウレタンの「材料(配合)名」として使用しているにすぎない。

特に、乙第3号証の3頁には、「配合名称『EURAM−TF−BRB5』」、また、英語では、「material name『EURAM−TF−BRB5』」と明記されていることから、被請求人が「EURAM」を、材料(配合)を表す名称として使用していることは明らかである。

そのため、「EURAM」は、ポリウレタンフォームなどの「原料プラスチック」について使用されているにすぎず、このような材料が「電子応用機械器具の部品」ではなく、まして「電子応用機械器具」でもないことは明らかである。

(イ)また、本件商標が「転写ローラ」について使用されているのであれば、納入仕様書の「品名\Name of Parts」欄において使用されているべきであるが、「品名\Name of Parts」として本件商標が使用されている証拠は見出せない。

(ウ)むすび

以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が、本件審判の請求の登録前に「電子応用機械器具及びその部品」について使用された事実は証明されていないから、本件商標の登録は、取消しを免れることはできない。

(3)回答に対する弁駁

(ア)回答書の3頁(4)において、被請求人は「ページプリンタ用フォームの総称として『EURAM』を使用」と述べているが、このことは、本件商標が単に材料の名称として使用されているに過ぎないことを被請求人自ら述べているものである。

「フォーム\FOAM」とは「泡」の意味であり、辞書にも「気泡ゴム、フォームラバー」を表す言葉として掲載されている(甲第2号証)、そのため「ページプリンタ用のフォーム」といえば、「ページプリンタのローラ部分に使用されるフォームラバー」のことであることは明らかである。このようなフォームラバー、すなわち材料のみが独立して、「電子応用機械器具」、または「電子応用機械器具の部品」として商取引の対象になるのではない。

「フォーム部」の材質選定が重要であり、取引者・需要者がその部分に着目して商品を選択することから、その「フォーム部」に「EURAM」との名称を付けているとするならば、それは、「フォーム部」、すなわち「材料」について本件商標を使用していることに過ぎない。

そのため、被請求人のいずれの主張・証拠をもっても、本件商標が「電子応用機械器具及びその部品」として使用されているとは到底いえない。

(イ)さらに、被請求人が、本審判請求後に「プリンタ・ファクシミリ・コピー機などの転写ローラ・トナー供給ローラ・現像ローラ等のローラに使用されるポリウレタンフォームなどの導電性高分子材料,その他のプラスチック基礎製品,ゴム」について「EURAM」を出願している(甲第3号証)ことからも、本件商標は電子応用機械器具の部品ではなく導電性高分子材料に使っていることを被請求人自らが認識している事が窺い知れる。

3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。

(1)使用の事実

以下のとおり、本件商標は、商標権者(被請求人)によって、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」について使用されていたものである。

本件商標の使用された納入仕様書(写:乙第3号証)は、ページプリンター、すなわち、電子応用機械器具に使用する転写ローラに関するものである。転写ローラとは、複合機、プリンター、FAX又はこれらの複合機において、感光体上のトナーを静電気力によって紙などの媒体に転写させるために用いられるものであり(乙第4号証)、納入仕様書の添付図面からも明らかなように、転写ローラは、(1)軸と(2)フォーム部とで構成されている。

被請求人は、転写ローラの販売にあたって、(1)軸と(2)フォーム部の規格・材質等を顧客の最終製品であるプリンター毎に適応するように設計した納入仕様書を顧客に発行し、了承のもと転写ローラを製造・販売している。乙第3号証(納入仕様書)は、2005年9月8日付けで顧客宛に発行され、2005年9月15日付けで顧客に受領されている(個人情報である顧客名称及び営業秘密である規格・寸法等は写において削除してある。)。

転写ローラは、プリンター等の精密機械器具に組み込まれるため、転写ローラを構成する軸及びフォーム部については、その硬度、導電性能、外観等の品質につき測定機器を用いて測定している(納入仕様書4頁、5頁)。また、特にフォーム部は、紙などの媒体と直接接触する部分で、かつ、専ら顧客毎に用いられるフォーム部が異なるものであるため、材質選定が重要であり、具体的には、乙第3号証(納入仕様書)の3頁及び添付図面の(2)フォーム部の欄に「EURAM−TF−BRB5」と記載して、顧客に提示している。

(2)「転写ローラ」のカタログ、パンフレット(審尋1)について

被請求人の使用に係る商品「転写ローラ」は、一般消費者向けの商品ではなく、ページプリンタメーカー等に対し、要望を聞きながら設計していく商品のため、通常、カタログやパンフレットは作成していない。

したがって、転写ローラを明確に把握できる書類としては、特許第3331936号公報(乙第5号証)および特許第3594053号公報(乙第6号証)を提出する。上記特許公報には転写ローラの材料に関する事項や転写装置の概略図が記載されている。

また、平成2年11月29日に開催された第30回電子写真学会講習会配布資料「電子写真要素技術の基礎から最近の動向まで」(乙第7号証)を提出する。

(3)「転写ローラ」の材質、生産量(審尋2)について

「転写ローラ」の材質は、ページプリンタメーカーまたは、転写ローラメーカーの機種毎に異なる。被請求人における転写ローラの生産総量は1ケ月に数十万本、材質毎の生産量は1ケ月に数万本である。

(4)「EURAM−TF−BRB5」の記載内容(審尋3)について

乙第3号証「納入仕様書」第3頁記載の「EURAM−TF−BRB5」は、ページプリンター用フォームの総称として「EURAM」を使用し、さらに用途(例えば、転写ローラ用)について「TF」、さらにまたページプリンターメーカーや機種に対応するものとして「BRB5」を付加して使用している。

また、乙第3号証「検査成績書」第2頁「ポリウレタンフォーム」欄に「EURAM−TF−BRB5」が記載されているが、これは、「特性値」欄の「フォーム部硬度、導電性能、外観、研磨方向」とは関連(規則性)はない。

4 審尋の要旨

当審において、平成19年9月13日付けで、商標権者に対し審尋した内容は、以下のとおりである。

(1)本件商標が使用されているという商品がいかなる商品であるか把握できない。そこで、被請求人の使用に係る商品「転写ローラ」を明確に把握できる書類(カタログ、パンフレット)を提出されたい。

(2)被請求人は、答弁書において「『転写ローラ』は、材質選定が重要である」と述べているが、ページプリンターメーカーまたは、転写ローラメーカーの機種毎に「転写ローラ」の材質が決められているか、そして大量生産(単品もしくは少量生産)しているか。

もしくは、メーカーに関係なく「転写ローラ」の材質ごとに、大量生産(単品もしくは少量生産)しているか等を証左と共に書面で明らかにされたい。

(3)被請求人は、答弁書において乙第3号証「納入仕様書」を提出しているが、当該書類の3頁に「材質」の項には、「本製品は、弊社配合名称『EURAM―TF−BRB5』」と記載しているが、これは、「転写ローラ」に共通して使用する商標として本件商標「EURAM」を使用し、そして、材質毎に、符号(例えば「TF−BRB5」)等を付加して使用しているか。

もしくは、「転写ローラ」の材質毎に「EURAM」などの商標を冠して使用し、さらに細分化するために符号(例えば「TF−BRB5」)等を後半部に付加して使用しているか等を証左と共に書面で明らかにされたい。

また、被請求人は、乙第3号証「検査成績書」を提出しているが、当該書類の2頁に「ポリウレタンフォーム」の欄に「EURAM―TF−BRB5」が記載されているが、これは、「特性値」欄の「フォーム部硬度、導電性能、外観、研磨方向」と何らかの関連(規則性)があるかを証左と共に書面で明らかにされたい。

5 当審の判断

(1)請求人は、本件使用に係る「EURAM−TF−BRB5」の表示は、被請求人が使用に係る商品であると主張する「転写ローラ」について使用されるものではなく、「転写ローラ」の部品たるフォーム部の材料であるポリウレタンの名称として使用されているにすぎないものであるから、本件商標は、「電子応用機械器具及びその部品」について使用されたものではない旨主張しているので、以下で検討する。

(2)乙第3号証は、2005年9月8日発行に係る被請求人が作成した「納入仕様書」であるところ、これによれば、以下の事実が認められる。

(ア)1頁は、納入仕様書の表紙に相当するものと認められるところ、「納入仕様書」の下の「品名」欄及び「部番」欄、並びに「受領」の枠内の「品名」欄は、いずれも黒く塗りつぶされている。

また、「受領」の枠内の「年月日」欄には、「2005.9.15」の記載がある。

(イ)2頁は、「仕様変更履歴」である。

(ウ)3頁には、「1.適用範囲」として「本仕様書は、ページプリンターに使用する転写ローラについて規定する。」との記載があり、「2.名称等」の項目の「品名」欄及び「部番」欄は、黒く塗りつぶされている。

また、「3.構造及び材料品質」の項目の「2)材料」には、「本製品は、弊社配合名称『EURAM−TF−BRB5』にて生産する。」とあり、その英訳として、「This products are produced by our material name『EURAM−TF−BRB5』」との記載がある。

(エ)4頁及び5頁は、「4.品質及び測定方法」の項目であるが、その内容はすべて黒く塗りつぶされている。

(オ)6頁には、「5.ロットの定義」、「6.梱包」とあるところ、「6.梱包」の「(2)梱包箱への表示」の項目の「品番」、「部番」等はすべて黒く塗りつぶされている。

(カ)7頁及び8頁は、「7.検査成績書」、「8.注意事項」、「9.品質保証」、「10.廃棄方法」、「11.改訂」、「12.付則」及び「13.添付資料」の項目が記載され、「13.添付資料」の項目には、「(1)検査成績書(2)弊社図面」の記載がある。

(キ)9頁は、添付資料中の「検査成績書」と認められるところ、その内容のほとんどは、黒く塗りつぶされている。

(ク)10頁は、添付資料中の「弊社図面」と認められる。図面の下の枠内には、「名称:転写ローラ」とあり、図面中の(1)及び(2)についての説明がされているところ、一部の文字は、文字がつぶれ、判読不可能なものが存在するが、判読可能な文字を取り上げると以下のとおりである。

図面中の(1)は、「名称/NAME:軸/SHAFT」、「材質/MATERIAL:SUM22又は24L/SUM22 or 24L equivalent」、「REMARKS:無電解Niメッキ3〜5lm/chemical plating(Ni,3〜5lm)」である。また、図面中の(2)は、「名称/NAME:フォーム/FOAM」、「材質/MATERIAL:ポリウレタンフォーム/polyurethane foam」、「REMARKS:EURAM−TF−BRB5」である。

(ケ)そして、3頁及び添付資料中の「弊社図面」(10頁)に記載された「EURAM−TF−BRB5」以外に、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標の表示はない。

(3)前記(2)で認定した事実によれば、乙第3号証に示された「EURAM−TF−BRB5」の表示は、3頁の「材料」欄に、「本製品は、弊社配合名称『EURAM−TF−BRB5』にて生産する。」、その英訳として、「This products are produced by our material name『EURAM−TF−BRB5』」として記載され、また、「弊社図面」中、(2)の「名称/NAME:フォーム/FOAM」についての説明箇所に、「材質/MATERIAL:ポリウレタンフォーム/polyurethane foam」、「REMARKS:EURAM−TF−BRB5」として記載されていることが認められ、これらの記載方法からすると、該「EURAM−TF−BRB5」の表示は、商品「転写ローラ」について使用される商標というより、「転写ローラ」を構成する(1)軸と(2)フォーム部のうち、フォーム部の材料に使用されるポリウレタンフォームの商標として自他商品の識別機能を果たしているものとみるのが自然である。

他に本件商標が使用に係る商品「転写ローラ」について、自他商品の識別機能を果たし得る態様で使用されていると認めるに足る的確な証拠の提出はない。

してみると、乙第3号証のみをもってしては、商標権者が請求に係る指定商品中の「転写ローラ」について、本件商標を使用しているものと認めることは困難であるといわざるを得ない。

また、被請求人は、「本件商標の使用に係る商品『転写ローラ』は、プリンター等の精密機械器具に組み込まれるため、転写ローラを構成する軸及びフォーム部については、その硬度、導電性能、外観等の品質につき測定機器を用いて測定している。

また、特にフォーム部は、紙などの媒体と直接接触する部分で、かつ、専ら顧客毎に用いられるフォーム部が異なるものであるため、材質選定が重要であり、具体的には、乙第3号証(納入仕様書)の3頁及び添付図面の(2)フォーム部の欄にページプリンター用フォームの総称として『EURAM』を使用し、さらに用途(例えば、転写ローラ用)について『TF』、さらにまた、ページプリンターメーカーや機種に対応するものとして『BRB5』を付加し記載して、顧客に提示している」旨主張しているところであるから、本件商標の使用に係る商品は、転写ローラのフォーム部であって、これに使用される「EURAM−TF−BRB5」の表示は、その需要者に、フォーム部の材料に使用されるポリウレタンフォームの商標として使用されているものと認識されるというべきである。

(4)むすび

以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成19年3月6日)前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、登録商標の使用をしていたことを証明したと認めることはできないし、また、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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