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Trademark Appeal Case

ゴルフシューズの認定問題

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300517(T2007−300517/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4012208号商標の第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く。)」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4012208号商標(以下「本件商標」という。)は、「CAMUI」の欧文字を横書きしてなり、平成7年11月14日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、同9年6月13日に設定登録、その後、同19年5月29日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 請求の理由

請求人の調査によると、本件商標は、指定商品中第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」について、過去3年間使用された事実が認められず、また、当該不使用につき正当な理由も発見できないので、商標法第50条第1項の規定に基づき、その指定商品中第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」について、登録を取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

被請求人は、ゴルフシューズについて、本件審判の請求登録前3年以内において、本件商標「CAMUI」と同一の商標を使用していると主張している。

しかしながら、答弁書に添付の証拠を見ても、靴、包装箱、取引伝票等のいずれにもゴルフシューズであることを明記した記載が全くなく、品番36618がゴルフシューズを示すものであると単に被請求人が主張しているだけであり、請求人が詳細に検証した結果、当該靴は、ゴルフシューズとしての適格性がなく、ゴルフシューズとしては、認められない。

ゴルフシューズには、起伏面の歩行に支障なく、また、どのような状況でも強く、正確に、遠くへボールを飛ばすための安定性と、グリップ力が求められており、そのために、ゴルフシューズの靴底には、スパイクが装着されているか、たとえスパイクレスの場合でもグリップ力を発揮できる靴底構造になっている(甲第2号証及び甲第3号証)。

以上の観点から被請求人が提示する靴を検証すると、その靴底には、爪先側の周縁に沿って円柱状突部が形成され、かつ、踵側後端に棒状突部が設けられ、その内側に周縁方向に延びる棒状突部と円柱状突部とが混在して並設され、更にその内側に靴幅方向に、かつ、断続的にのびる棒状突部を長さ方向に円柱状突部を間に介在して設けられている凹凸形状になっており、このような凹凸形状の靴底構造では、グリップ力が十分でなく、足元が安定しないため、ゴルフ場内での斜面を歩行する際には、滑り易いことはもとより、多様な状況での正確で鋭いショットを実現することも困難であると共に、足元の不安定さからバランスを崩して思わぬ怪我をする危険性もある。

したがって、被請求人が提示する靴は、ゴルフシューズとしては認められないものであり、むしろタウンシューズの部類に属する靴と見る方が自然である。当該靴の靴底に「MULTI PURPOSE」即ち「多目的」と記していることからしても被請求人はゴルフシューズ専用の靴ではないこと、換言すれば、当該靴は、ゴルフシューズとして販売していないことを暗に認めている何よりの証拠である(甲第4号証)。

請求人の上記主張を裏付けるように、被請求人提示の靴を数カ所のゴルフ場の担当者に検証してもらったところ、当ゴルフ場では安全性を確保する見地から当該靴を履いてのプレーを遠慮してもらう、との書面を戴くことができたので、ここに甲第5号証ないし甲第7号証として提示致する。

よって、被請求人は、本件商標と同一の商標を使用した「運動用特殊靴(ゴルフシューズ)」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において販売している事実を依然として立証していない。

なお、請求人は、被請求人が提示した靴を大丸札幌店において買い求めたところ、2階の一角の商品陳列棚には婦人靴が展示されていたが、使用商品とサイズ違いを購入し、同じサイズを注文したところ、注文書類には「紳士靴」と記載されていた(甲第10号証)。

第3 被請求人の主張

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める」答弁し、その理由及び弁駁に対する第2答弁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第21号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 答弁の理由

請求人は、本件商標が、その指定商品中第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について、過去3年間使用された事実が認められず、また、当該不使用につき正当な理由も発見できない旨主張する。しかしながら、下記のとおり、被請求人は、本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において、本件商標を本件指定商品中第25類「ゴルフシューズ」について使用しており、この事実は、提出した乙第1号証ないし乙第6号証によって明らかである。

被請求人は、1973年創業のファッショナブルで機能的な靴やバッグ等の雑貨を主力とした生活関連商品の企画・開発及び卸売・小売販売を行なう企業である。靴の製造、販売に当たり、日本発の独自ブランドにこだわっており、特に健康指向文化を担うブランドとして「Camui」「Camui\water\message」を展開している。そして、少なくとも本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において、「Camui」の商標の下で「ゴルフシューズ」 の販売を行っており(乙第1号証ないし乙第6号証)、この販売事実は、まさに「CAMUI」の商標を「運動用特殊靴」に使用していることを示すものである。

すなわち、商標法第50条第1項の規定する登録商標には「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」ところ、本件商標「CAMUI」と使用商標「Camui」は、社会通念上同一と認められる商標であることは明白であり、また、本件審判請求に係る指定商品である「運動用特殊靴」 に「ゴルフシューズ」が含まれることは、特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準」より明らかである。

以下、被請求人の提出する証拠について詳述する。

(1)乙第1号証及び乙第2号証

乙第1号証は、株式会社大丸札幌店(札幌市中央区北5条西4丁目7番地)(以下「大丸札幌店」という。)の婦人靴売場のセールスマネージャーの証明書であるが、被請求人が平成15年3月6日から現在に至るまで、大丸札幌店で使用商品を販売している事実を立証するものである。また、乙第2号証は、平成19年6月7日付で写真撮影した乙第1号証の別紙添付写真中の「ゴルフシューズ」(以下「使用商品」という。)を同19年6月11日付で写真撮影したものである。上記証拠より、少なくとも同15年3月6日から現在に至るまで、日本国内において本件商標と同一の商標を本件指定商品中第25類「運動用特殊靴」について使用していることは、明らかである。なお、大丸札幌店において使用商品が販売されていた事実は、下記に示す乙第3号証ないし乙第6号証からも明らかである。

(2)乙第3号証ないし乙第6号証

乙第3号証は、被請求人の経理部に勤務する従業員の陳述書であるが、被請求人が少なくとも平成17年4月22日から同19年2月9日までの間において、使用商品が販売されていた事実を立証するべく提出した乙第4号証ないし乙第6号証の事実が真実であることを立証するものである。

乙第4号証は、被請求人の社内販売管理データ表であり、品番「36618」の商品、すなわち使用商品が、「Camui新宿京王モール店(現Queen’s卑弥呼京王モール店)」、「東急百貨店東横店」、「Camui銀座店(直営店)」、「小田急百貨店新宿店」、「大丸札幌店」、「松坂屋名古屋店」、「心斎橋店(直営店)」、「高島屋大阪店」、「福屋広島駅前店」の各店頭で販売されていた事実を立証するものである。

乙第5号証の1及び乙第5号証の2は、阪急有楽町店に対する平成16年10月12日付出荷伝票および同年10月19日付検収伝票であり、阪急有楽町店へ品番「36618」の商品を含む靴が3足納入されている事実を立証するものである。なお、上記検収伝票には「紳士くつ」が3足検品されている旨記載されているが、ここには品番「36618」商品も含まれている。

乙第6号証は、大丸札幌店に対する平成16年10月12日付出荷伝票であり、大丸札幌店へ品番「36618」の商品が2足納入されている事実を立証するものである。

なお、品番「36618」の商品は、本件商標と同一の商標を使用した「運動用特殊靴(ゴルフシューズ)」を示すことは、乙第2号証に示す写真の第4頁目下段の靴の内側に表示された数字からも明らかである。

2 弁駁に対する第2答弁

請求人は、甲第2号証及び甲第3号証を提出し、使用商品が、その靴底の構造からゴルフシューズとして認められないと主張する。

しかしながら、甲第2号証の「ダンロップゴルフ商品カタログ」111頁ないし122頁は、靴を使用する際の注意が記述されているにすぎず、使用商品がゴルフシューズでないことを述べているものではない。また、甲第3号証の「キャラウェイゴルフ商品カタログ」75頁ないし77頁及び102頁は、自社の商品の宣伝にすぎない。

また、使用商品の靴底の形状より「グリップ力が十分でなく足下が安定しないため、思わぬ怪我をする危険性もある。」との主張は主観的な見解に止まるものであり、客観的な証拠が不十分のみならず、論理の飛躍がある。

さらに、請求人は、使用商品の靴底に「MULUTI PURPOSE」と記されていることから、被請求人がゴルフシューズとして販売していないことを暗に認めていると主張をしているが、使用商品をゴルフシューズ専用として使用するか否かは、まさに靴を使用する者および販売する者の自由であることに鑑み、そのような記載を設けたすぎず、ゴルフシューズとして販売していることに変わりはない。使用商品と同様な靴をゴルフシューズ専用として使用するか否かは、まさに靴を使用する者および販売する者の自由であるとの主張が正しいことは乙第7号証ないし乙第13号証の事実からも明らかである。

請求人は、使用商品のような靴底の靴はゴルフシューズとして認められないと主張する。

しかしながら、甲第5号証ないし甲第7号証の証明書は、主たる取引者・需要者であるゴルフプレーヤーやスポーツ店等の販売店の取引の実際をなんら立証するものではなく、いずれも請求人と同じ地域(富山県内)のゴルフ場管理者による証明書であり多数のゴルフ場の管理者が同じ認識であるとはいえない

近年においては、グリーン保護の観点から、グリーンを著しく損傷を与える靴底のゴルフシューズの使用は制限されているのが実情といえる(乙第17号証ないし乙第21号証)。

さらに、請求人は、甲第8号証ないし甲第10号証を提出し、「Camui 札幌大丸店」において、使用商品が「ゴルフシューズ」として販売されていないと主張している。

しかしながら、甲第8号証に示す写真は、誰がどこで、何を撮影したかを客観的に裏付ける情報がないから、本件審判の請求登録日(平成19年4月24日)前3年以内の販売事実を覆す資料にはなり得ない。また、甲第9号証に示すパンフレットは、被請求人の店舗が婦人靴コーナーに存在することを示す資料にすぎず、この事実は、紳士靴であるゴルフシューズが販売されている事実を覆す資料にはなり得ない。

さらに、甲第10号証は、注文書の控えであるが、その注文書の控えに「紳士靴」と記載されている故に「ゴルフシューズ」ではないと主張するが、そもそも被請求人は婦人靴と区別するために「紳士靴」と表示したにすぎず、その品名欄には「36618」の商品番号が記載されており、これは、使用商品を示すものであり、「ゴルフシューズ」にほかならない。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件商標と同一の商標を使用した「ゴルフシューズ」について、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、販売している事実が明白であるから、商標法第50条第1項の規定により、本件審判請求に係る指定商品について、その登録を取消し得ないものであることは、明白である。

第4 当審の判断

被請求人が提出した乙各号証及び答弁によれば、以下の事実が認められる。

乙第1号証は、請求外「株式会社大丸札幌店」の婦人靴セールスマネージャー「中村裕哲」の別紙添付の平成19年6月7日付け、撮影場所「Cumui大丸札幌店」、撮影者中西秀の本件商標の使用事実を証明する写真(3葉)のカラーコピーに示す商品について証明書であり、証明書中には使用商品が「ゴルフシューズ」である旨明されている。しかし、添付の写真には、「Men’s」の表示がみられ、一般の紳士靴と同じ棚に陳列されており、かつ、「ゴルフシューズ」の表示も確認できない。

乙第2号証は、標題に「ゴルフシューズ」と表示された「ゴルフシューズ」(品番36618)の写真が表示されたカラーコピーであり、写真(7葉)の靴箱及び靴自体には、「CAMUI」「water massage」、「¥10.500」等の表示は確認できるものの、「ゴルフシューズ」の表示は確認できない。

乙第3号証は、被請求人の従業員とみられる「末原 和美」の「陳述書」であり、「出荷伝票中の「36618」は、「CAMUI water massage」の「ゴルフ用シューズ」を示す品番記号です。」と記されている。

乙第4号証は、当該「末原 和美」の「陳述書」に基づく被請求人の販売管理データであり、標題に「株式会社卑弥呼」、「Camuiゴルフシューズ0504−0702」及び「2007年6月26日17:17」と表示されている。

乙第5号証及び乙第6号証(枝番号を含む。)は、阪急有楽町店に対する平成16年10月12日付出荷伝票および同年10月19日付検収伝票及び大丸札幌店に対する同年10月12日付出荷伝票であり、各伝票中には、商品番号「36618」の表示は見られるが「ゴルフシューズ」の表示は確認できない。

以上の乙各号証によれば 、被請求人の関係者による証明書及び陳述により商品番号「36618」の商品が「ゴルフシューズ」であることが証明、陳述されているにすぎず、当該証明書も、コンピュータで作成されたものであるから、標題も任意に付記することが可能であり、上記証明書及び陳述以外に、使用商品が本件審判の請求の登録前3年以内に、市場において実際に取引がされたとか、あるいは使用商品に関する広告がされたことなどを客観的に認めることができる証拠の提出はないことから、これらの証拠をもって、使用商品を「ゴルフシューズ」であると認めることはできない。

また、一般に、「運動用特殊靴」は、運動に適した特殊な構造を備え機能性を考慮してスポーツ用品の製造会社において開発、製造され、スポーツの専門雑誌や、スポーツ用品の製造又は販売会社のホームページ等で宣伝、広告され、需要者も、当該スポーツの専門店やスポーツ用品売り場等で購入する場合が少なくないところ、被請求人は、ファッショナブルで機能的な靴やバッグ等の雑貨を主力とした生活関連商品の企画・開発及び卸売・小売販売を行なう企業であり、健康指向文化を担うブランドとして「Camui」「Camui\water\message」を展開しており、特に使用商品を「ゴルフシューズ」として宣伝、広告している証拠の提出もしていない。そして、実際に、使用商品は百貨店内に設置されたゴルフ用品売り場ではなく、ビジネスシューズ等の紳士靴と同じ棚に陳列、販売され、「ゴルフシューズ」とも表示されていないことからすれば、たとえ、使用商品が多目的に使用できる商品であるとしても、需要者は、使用商品を「ゴルフシューズ」としてではなく、通常の紳士靴として認識し、購入するとみるのが自然である。

以上のとおり、「ゴルフシューズ」の取引の事情、使用商品の販売場所、乙各号証により示された事実及び答弁を総合して判断すれば、使用商品は、「運動用特殊靴」に含まれる「ゴルフシューズ」であるとは認め難い。

なお、被請求人は、乙第7号証ないし乙第21号証を提出し、使用商品と同様の他のスポーツ用品の製造会社に係る「スパイクレスのゴルフシューズ」が、ゴルフシューズやタウンシューズとしても使用できると説明されている旨、及び「スパイクレスのゴルフシューズ」をゴルフシューズとして推奨しているゴルフ場がある旨主張しているが、乙第7号証ないし乙第13号証に表示された「スパイクレスのゴルフシューズ」は「ゴルフシューズ」であることが明記されており、その上でタウンシューズとしても使用できると表記されているが、上記のとおり、使用商品は、「ゴルフシューズ」であると認められる客観的な証拠も見当たらないものである。そうとすると、たとえ乙第14証ないし乙第21号証において、「スパイクレスのゴルフシューズ」をゴルフ用シューズとして推奨しているゴルフ場があるとしても、かかる証拠及び主張によって、前記認定を覆すことはできない。

してみれば、被請求人の提出した書証によっては、商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を「運動用特殊靴」に含まれる「ゴルフシューズ」について使用したものと認めることはできない。

以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したということはできない。また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中、結論掲記の商品について取り消すべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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