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Trademark Appeal Case

不使用取消と商品範囲

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300555(T2007−300555/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第795536号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和42年1月25日に登録出願、第7類「建築又は構築専用材料、セメント、木材、石材、ガラス」を指定商品として、同43年10月16日に設定登録され、その後、同54年1月10日、平成1年1月27日及び同10年11月17日の3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「建築又は構築専用材料」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。

(1)請求の理由の要旨

本件審判請求日現在で登録後3年以上を経過し、しかも、被請求人は、本件商標をその指定商品「建築又は構築専用材料」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁の理由の要旨

ア 商標権者使用の証明について

被請求人は、「登録における住所と、現実の住居表示との間に差異があるが、住所の更生手続を行わず場所の異動届を毎年提出しているから同一性を理解できると思料する」と主張している。

しかし、曖昧な説明である。そのようなことが社会において通常行われていることを示しているわけではなく、また、昭和43年に本件商標を登録した以降に10年ごとの更新登録出願・手続を三度も行ないながら、その機会に登録原簿の住所表示更生手続を行なっていないのであるし、さらには、いつの時期からか不明だが毎年提出している証拠として今回提出された異動届を見ると、如何なる理由でその時期に異動届が行われたのか疑問を持たせ、かつ、その届けの日時は予告登録された後に行われた手続であるから有効でなく不自然な届け出であるから、これらの事情からすれば被請求人(商標権者)が使用していることを証明したことにはならない。

イ 指定商品の使用について

(ア)使用する商品

被請求人は、本件商標を「建築又は構築専用材料」に含まれる「金属製水道管」に使用していて、その金属製水道管に使用していることを立証するために証拠を提出したと主張している。

しかしながら、証拠としての書証において、どの書証のどの部分で「水道管」に使用しているのかを明確に示してはいない。

そこで、検討すると、「総合カタログ・価格表には金属製の水道管が表されているため、... 」としているので総合カタログ(乙第3号証−1)を見るが、総合カタログに「水道管」の文字は見あたらない。

総合カタログにおいて現に表示されているのは、総合カタログの表紙では「排水器具総合カタログ No.8」、そして、同第2頁、同第3頁の左上部に「洗面器用」と少し大きめに記された文字を認識できる。

この「排水器具」、「手洗器・洗面器」と大きく記していることを、社会一般における通常の商品表示にて照らしてみれば、あくまで、ここで示しているものは「排水器具」、「手洗器・洗面器」である。

現に、総合カタログ第2頁中央部に「ポップアップSトラップ」、下部に「ポップアップPトラップ」と大きめの文字で記し、そして、上部図、下部図の左右に「ポップアップ片ネジパイプ」「ポップアップ部品」、「Pトラップ用キセル管」と記し、上部図、下部図の該当部分を矢印で示している。同第3頁においても中央部で「ワン付Sトラップ」、下部で「ワン付Pトラップ」と大きめの文字で記し、上図、下図の左右に「U字管」「ステッキ管」「つば返し管」「偏芯パイプ」「キセル管」と記し、上部図、下部図の該当部分を矢印で示している。この総合カタログにおける記載からすれば、ここに記載されているものは手洗器・洗面器用の排水器具であり、具体的には手洗器・洗面器用の排水を担い悪臭やガスが逆流することを防止するための「(排水用)トラップ」及びその部品類である(トラップには逆流防止のために複数の方式があるが、乙第3号証−1にはSトラップ、Pトラップ( S,Pは形状を表している)が示されている。)。

(イ)トラップについて

総合カタログ記載の「トラップ」であるが、洗面台や流しの排水は、配水管によって下水管へ流され、そして下水処理場へと水は流される。洗面台や流しからの排水のための管が直線状の管であった場合には、下水管からの腐敗ガスや害虫などの侵入があるので、それを防止するため管を曲げて常時水がたまるようにし水封をして防いでいるのがトラップである(甲第3号証及び同第4号証)。

つまり、下水管からの腐敗ガスや害虫などの侵入があるので、それを防止するため管の機能を有し、取り付け位置などの状況に応じて設置可能であるよう作られていて独立した商品「トラップ」として取引されている。

(ウ)商標法上の「トラップ」

「建築又は構築用の専用材料」とは、「とびら」や「はり」などのように専ら建築又は構築の専用の商品として用途が限られて使われるものをいう(特許庁編 商品区分解説)。

そのため、建築に関連して使用される商品であっても、たとえば「鋼管」、「金属製建具」、「金属製金具」、「金属製貯蔵槽類」、「金属製の滑車、ばね及びバルブ」、「金属製管継ぎ手 金属製フランジ」、「金属製締付け金具」、「金属製のきゃたつ及びはしご」、「金属製栓 金属製ふた」や、住宅等に使われる「水道栓 タンク用水位制御弁 パイプライン用栓」、「水道蛇口用座金 水道蛇口用ワッシャー」などのように独立して取引されている商品は、「建築又は構築用の専用材料」とは別のそれぞれ独立した商品として取引されているし、特許庁においても、そのように扱われている(類似商品・役務審査基準 参照)。

更に、商標国際分類のアルファベティカルリストによれば、「P0393 Pipe muffs of metal(管用金属製筒型継手)」は6類(09F06)、「D0272 Drain traps[valves]of metal(排水用金属製トラップ(バルブ)」は6類(09F05)と国際的にも独立した商品として扱われている。

加えて、「トラップ」は、特許庁において独立した商品として扱われていて、登録第4834223号(株式会社中部コーポレーション)、あるいは、登録第4834477号(株式会社イナックス)に登録例が存在する。

(エ)指定商品の使用についてのまとめ

以上からすれば、示されている商品は手洗器・洗面器用品としての「トラップ」であって、水道管に使用した事を確認できない。

「トラップ」を「水道管」であると認識される事もない。

「トラップ」は、独立した商品か、被請求人の総合カタログでの販売状況からすれば、家具としての洗面化粧台に取り付けるための金属製金具、あるいは、「金属製管継ぎ手、金属製フランジ」など他の概念及び他の類に属するものと言うべきものであって、「水道管」とは言えないものである。

したがって、被請求人は、本件商標を使用したことにはならない。

ウ 使用の時期について

(ア)総合カタログにおける過去3年の使用

「総合カタログは、1997年に印刷され、現在でも実際に使用していて、この種の商品を取り扱う業界では特別の事情でもない限りカタログを改定せず、価格表で対応するほうが普通だ」と被請求人は主張する。

しかしながら、まず、総合カタログ乙第3号証−1の製作・発行時期を提出された書証から確認する事はできない。

仮に、主張のとおり1997年発行であるとして、発行後10年経過した現在も使用していることを明確に示していない。

この種業界では特別の事情がない限りカタログは改訂しないとの点についても、この種業界での事情を示していないし、特別の事情が存在しないことも示していない。

したがって、単に主張するだけであって、事実を示していないのであるから商標法50条第2項の過去3年以内に使用した事を示したことにはならない。

(イ)価格表・単価表における過去3年の使用

被請求人は、「価格表を発行して以降、原材料価格の急激な高騰により定価を改定せざるを得なくなり、8月付けで新たな定価表を作成して現在に至っているため、2つの価格表を提出」と主張する。

しかしながら、乙第3号証−2及び同第3号証−3の「単価表」は、いつ発行されたかを「単価表」自身からは確認できない。

加えて、被請求人は、「昨年4月に価格表を発行し、8月に定価表を作成、2つの価格表を作成」と主張し、前記「単価表」を作成した事実を乙第3号証−4及び同第3号証−5で示すとしている。

これを見ると、乙第3号証−4には「単価表」、同第3号証−5には「価格表」と記載されているのであるが、主張の「昨年4月に価格表」に相当する同第3号証−4には「単価表」と記されていて、主張の「8月に定価表」に相当する同第3号証−4には「単価表」と記されているのであるから、内容が一致せず使用したことを証明したことにならない。

また、そもそも、これらの書証にも「水道管」に使用している事実は発見できない。

(ウ)使用の時期についてのまとめ

以上の状況からすれば、該書証を以て過去3年の使用を行ったとは言えない。

エ 売上げ明細書における使用

書証からも「水道管」に使用している事実は発見できない。

オ まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判請求登録前3年以内に使用していることを示してはいないので使用した事実は存在しないのであるから、本件商標の指定商品「建築又は構築専用材料」について取り消されるべきものである。

3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第4号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)商標権者の住所と使用者の住所

商標権者の住所は、「東京都新宿区四谷4丁目9番地ノ1」(乙第1号証−2)となっているが、使用者の住所については「東京都新宿区四谷4丁目28番地」(乙第3号証−1ないし同第4号証−2)となっているが、被請求人が実際に使用しているビルの番号は「東京都新宿区四谷4丁目28番地9−1」となっている。この相違は、住居の表示と地番表示の相違又は登記当初の錯誤と考えられるが、現状では特に住所の更正手続を行うことなく、毎年、異動届を提出して対応している(乙第2号証−1及び同第2号証−2)。しかし、両社の同一性は異動届によっても十分に理解できると思慮されるので、住所に関する証拠はここまでとする。必要ならば更なる証明を提出する用意があること申し添える。

(2)実際の使用態様と使用商品

被請求人は、本件商標を指定商品「建築又は構築専用材料」に含まれる「金属製水道管」に使用している。この使用を立証するために提出する証拠は以下の通りである。

(3)証拠の説明

乙第3号証−1は総合カタログである。

乙第3号証−2及び同第3号証−3は共に価格表である。

乙第3号証−4は、平成18年4月の価格表の納品に際して発行された印刷業者からの納品書の写しであり、同第3号証−5は、同年8月の価格表の納品に際して発行された印刷業者からの納品書の写しである。

乙第4号証−1は実際の取引書類であって、2006年10月12日の売り上げ明細書の写し、同第4号証−2は同様に2007年6月1日の売り上げ明細書の写しである。

(4)使用についての説明

提出した総合カタログ、価格表には本件商標が記載されており、また、総合カタログ・価格表には金属製の水道管が表されているため、被請求人が、本件商標を指定商品「建築又は構築専用材料」に含まれる「金属製水道管」に使用していることが立証されている。

なお、実際に取引も行われている事実を補強する証拠として、乙第4号証−1、2を提出した。この取引書類にも本件商標が使用されている。

(5)使用期間

総合カタログは、1997年に印刷されたものであるが(乙第3号証−1)、現在でも実際に使用しているカタログである。この種の商品を取り扱う業界では特別の事情でもない限りカタログを改定せず、価格表で対応するほうが普通だからである。そこで、価格表も提出したが、昨年4月に価格表を発行して以降、原材料価格の急激な高騰により定価を改定せざるを得なくなり、8月付けで新たな定価表を作成して現在に至っているため、2つの価格表を提出している。また、提出した取引書類からも本件審判請求登録前3年以内に、本件商標が使用されていたことは明らかである。

この提出証拠により、本件審判請求登録前3年以内に、被請求人が、本件商標を指定商品「建築又は構築専用材料」に含まれる「金属製水道管」に使用していることが立証されたものと確信する。

(6)結論

以上述べた通り、本件審判請求登録前3年以内に日本国内において被請求人は、本件商標をその指定商品「建築又は構築専用材料」に含まれる「金属製水道管」に使用しており、本件審判請求は理由を有していない。

4 当審の判断

(1)被請求人の提出に係る乙第4号証−1は、売上明細書と認められるところ、該明細書の「メーカー名・商品名・規格・サイズ」の項には、商品名といえる「ステンレス テスリ」と記載されており、該商品は、本件取消請求に係る指定商品「建築又は構築専用材料」の範疇に属する商品とみるのが相当である。

また、該明細書の中央上部には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示され、さらに、該明細書には、出荷日として、2006/10/12と記載されていることから、該明細書は、少なくも、本件審判の請求の登録日(平成19年5月22日)前3年以内に作成されたものと認められる。そして、該明細書には、被請求人の名称及び住所並びに取引先の名称である「静岡サンケイ機器株式会社」が記載されていることが認められる。

(2)以上のとおり、被請求人は、少なくとも、本件審判の請求の登録日(平成19年5月22日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件取消請求に係る指定商品に含まれる前記商品について使用をしていたことを証明したものと認めることができる。

(3)請求人は、「トラップ」は、独立した商品か、被請求人の総合カタログでの販売状況からすれば、家具としての洗面化粧台に取り付けるための金属製金具、あるいは、「金属製管継ぎ手、金属製フランジ」など他の概念及び他の類に属するものと言うべきものであって、「水道管」とは言えないものである旨主張している。

しかしながら、本件商標は、商品「トラップ」についての使用が商標法第50条第2項にいう「その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用」に該当するか否かにかかわらず、前記したとおり、乙第4号証−1の売上明細書により、本件取消請求に係る指定商品に含まれる商品について使用をしていたものとみるのが相当であるから、この点に関する請求人の主張については、判断するまでもないところである。

また、請求人は、被請求人の住所について、曖昧な説明であり、登録原簿の住所表示更生手続を行なっていないから、その事情からすれば被請求人が使用していることを証明したことにはならない旨主張している。

しかしながら、被請求人の提出に係る乙第1号証−3、同第2号証−1及び同第2号証−2によれば、被請求人の住所が相違しており、同第2号証−1及び同第2号証−2が本件審判の請求の登録後のものであったとしても、該住所の相違をもって、被請求人が使用していることを証明したことにはならないとまではいえない。

(4)したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中「建築又は構築専用材料」についての登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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