Trademark Appeal Case
称呼・外観の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900429(T2007−900429/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5057642号商標(以下「本件商標」という。)は、「B.O.T.X.」の文字と「ビーオーティーエックス」の文字を二段に横書きしてなり、平成18年11月28日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,香料類」を指定商品として、同19年6月29日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
「BOTOX」、「ボトックス」の文字よりなる商標(以下、まとめて「引用商標」という。)は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の取扱いに係る医薬品である「眼瞼痙攣治療薬(A型ボツリヌス毒素製剤)」(以下「申立人商品」という。)について使用されている商標である。申立人商品は、眼瞼痙攣の画期的な治療薬として世界的に注目され、世界各国で承認されている医薬品である。また、申立人商品は、筋弛緩作用の応用により、しわやたるみの除去などの美容整形目的にも使用されている商品である。
そうすると、引用商標に外観及び称呼において類似する本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が申立人又は申立人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)引用商標の著名性
甲第2号証ないし甲第11号証、甲第13号証ないし甲第22号証を総合すると、申立人は、世界的有数な製薬会社である「SmithKline Beckman(スミスクライン ベックマン)」の子会社であったが、1989年に独立した会社となったこと、申立人商品は、我が国において、申立人の関連会社であるアラガン株式会社を通じて、1997年4月より販売され、申立人商品には引用商標が表示されていたこと、申立人商品は、「眼瞼痙攣、顔面痙攣」等の治療薬として、我が国において発売される以前に世界37ヵ国において承認され、本件商標の登録出願前には、世界70ヵ国以上で承認されたこと、申立人商品は、本件商標の登録出願前である2003年には、約31億円の販売高に達したこと、さらに、申立人商品は、新聞紙上において「ボトックス」として紹介され、また、医療専門雑誌に引用商標を表示して広告されたことが認められる。
そうすると、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前には、その主たる需要者である医療関係者の間で広く認識されていたものとみるのが相当である。
(2)出所の混同
(ア)本件商標は、前記のとおり、「B.O.T.X.」の文字と「ビーオーティーエックス」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、構成全体がまとまりよく表されているばかりでなく、その構成中のローマ字部分は、各ローマ字にピリオドが付され、1文字ずつアルファベット読みにするのにふさわしい態様といえるものであり、しかも、その下段にローマ字部分の読みを特定したものと直ちに理解される「ビーオーティーエックス」の片仮名文字部分が書されているものである。そして、本件商標より生ずると認められる「ビーオーティーエックス」の称呼は、途中で分断しなければならないほど、きわめて冗長にわたるものとはいえない。また、仮に各ローマ字に付されたピリオドを取り除いた場合において、ローマ字全体が特定の読みをもって親しまれた既成語を表すものとはいえないことを併せ考慮すると、本件商標は、「ビーオーティーエックス」との称呼のみを生ずる造語よりなる商標を表したものと理解されるとみるのが相当である。
これに対して、引用商標は、「BOTOX」、「ボトックス」の文字に相応して、「ボトックス」の称呼を生ずるものである。
そうすると、本件商標より生ずる「ビーオーティーエックス」の称呼と引用商標より生ずる「ボトックス」の称呼とは、音構成において明らかに相違し聞き誤ることはないから、称呼上類似する商標とはいえない。
さらに、本件商標は、上記のとおり、構成中の各ローマ字には、それぞれピリオドが付され、その読みを特定したものと理解される「ビーオーティーエックス」の片仮名文字が併記されていることから、「BOTOX」又は「ボトックス」の文字よりなる引用商標とは、構成全体から受ける印象が大きく異なり、外観上類似する商標とはいえない。
さらに、本件商標は、前述のとおり、造語よりなるから、引用商標と観念について比較すべくもない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても非類似の商標といわなければならない。
(イ)申立人商品は、「要指示医薬品=医師等の処方せん・指示により使用すること」(甲第8、19、20号証)、「特効薬だが、正しく使う必要があるので、厚生省はメーカーに薬の臨床使用例を全例登録、十年間経過観察をすることを求めている。専門医団体が実施する講習会、実技セミナーを受講し登録した医師が、眼瞼けいれん治療に限ってこの薬を使用するよう指導している。」(甲第14号証。甲第15〜18号証にも同趣旨の記載がある。)等の記載よりすると、高度な専門知識を有する医師により選定され、取り扱われる商品であり、大学病院や総合病院などが主たる需要者といえる(甲第11号証)。
これに対し、本件商標の指定商品の主たる需要者は、一般の消費者である。
そうすると、申立人商品と本件商標の指定商品とは、需要者層が相違するばかりでなく、商品の目的、用法、品質、生産者、販売経路等の流通系統をも大きく相違するものといえる。
この点に関し、申立人は、申立人商品は筋弛緩作用の応用により、しわやたるみの除去などの美容整形目的にも使用されている商品である旨主張するが、申立人商品が美容整形目的にも使用されている商品であるとしても、その場合においても、高度な専門知識を有する医師等によって選定され、取り扱われる商品であることについては、眼瞼けいれん治療薬として用いられる状況と何ら変わりがなく、したがって、本件商標の指定商品とは、その需要者層、商品の品質、生産者、販売経路等の流通系統が大きく異なるものといえる。
(ウ)以上によれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、これより直ちに引用商標を想起又は連想するものとみることはできず、その商品が申立人又は申立人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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