Trademark Appeal Case
著名商標の要部称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900444(T2007−900444/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5053778号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり「lovinit」の欧文字と「ラヴィニット」の片仮名文字とを上下二段に書してなり、平成18年7月6日に登録出願、第9類「普通眼鏡,サングラス,鼻眼鏡,鼻眼鏡用鎖,鼻眼鏡用ひも,眼鏡ケース,眼鏡ふき」を指定商品として、同19年2月15日に登録査定され、同年6月15日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する商標「i’m lovin’it」(以下「引用商標」という。)は、同人が所有し日本マクドナルドが日本においてその営業及びハンバーガー等に広く使用している標章である。
なお、申立人は、引用商標と同一の英文で全て大文字からなる「I’MLOVIN’IT」の欧文字を書してなり、平成15年6月6日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,豆,食用たんぱく」、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」、第32類「清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同16年5月28日に設定登録された登録第4774442号商標を所有している。
引用商標は、申立人の日本におけるライセンシーである日本マクドナルドにより、2003年から現在まで、日本マクドナルドが販売する全ての商品及びその営業について、一貫して使用されてきており、本件商標の登録出願時において、日本マクドナルドが使用する商標として需要者の間において広く認識され著名となっていたものである(甲第3号証ないし甲第38号証。)。
2 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、「i’m lovin’it」という構成からなるところ、その発音に際しては、語頭の「i’m」(「アイム」)の部分は極めて弱く発音され、「lovin’it」(「ラヴィニット」)の部分にアクセントが置かれて、その部分が強く発音される。
そして、引用商標は、その語頭部分の「i’m」(「アイム」)の部分はほとんど注目を引かない程度の音量・強さで発音され、その後一呼吸置いてから、「lovin’it」(「ラヴィニット」)の部分が特に強く明瞭に発音されることから、「i’m lovin’it」はあたかも「lovin’it」(「ラヴィニット」)と同じ発音であるかのように聞き取られる場合が、ごく普通に、かつ、頻繁に生じるのである。
現に、甲第21号証ないし甲第24号証に収録されている各テレビコマーシャルにおいては、ほとんどの場合において、「ラヴィニット」の部分が特に強く強調されて発音されているのである。
また、引用商標の英文の構成からしても、「それが好きだ」とか「それを愛している」という箇所である「lovin’it」(「ラヴィニット」)が引用商標の要部となるものであることは、明らかである。
さらに、引用商標は本件商標の指定商品である「眼鏡」等には使用されていないが、ファーストフード等の「食」もファッションの一形態として捉えられることのある現代にあって、同じくファッションの一部を構成する「眼鏡」が、マクドナルドの営業と関連性を有するものと一般需要者に捉えられる可能性は大である。また、引用商標の著名性からすれば、マクドナルドの営業と本件商標の指定商品との関連性の有無を問わず、本件商標と引用商標との誤認混同を生ずるおそれは大なのである。
よって、本件商標は、著名な引用商標に類似しており、申立人のライセンシーである日本マクドナルドの業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標として、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
3 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
本件商標の「lovinit」という英文表示は、辞書等には出ておらず、本件商標の所有者が独自に考え付くようなものではあり得ない。
本件商標の所有者は、「i’m lovin’it」という引用商標が著名性を有していることから、引用商標の著名性に便乗しようとの不正な目的で、引用商標の要部である「lovin’it」という箇所について商標登録を得たものであることが明らかである。
本件商標の所有者のこのような行為は、公正及び信義誠実を旨とする取引慣行に反することが明らかであり、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同第19号にも該当するものである。
4 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同第7号及び同第19号に違反してされたものであるから、その登録を取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標は、前記したとおり、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔の「lovinit」の欧文字と「ラヴィニット」の片仮名文字とをそれぞれ一連一体に表してなるものであり、これより生ずると認められる「ラヴィニット」の称呼も一気一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標を構成する上下の各文字は、何ら特定の意味を有しないわゆる造語と認められる。
これに対し、引用商標は、「i’m lovin’it」の欧文字よりなり、その構成文字に相応して「アイムラビンイット」の称呼を生じ、「これがお気に入り」のごとき意味を有するものといえ、このことは、申立人の提出に係る甲第5号証及び甲第8号証からも裏付けられるものである。
そこで、本件商標より「ラヴィニット」の称呼と引用商標より生ずる「アイムラビンイット」の称呼についてみるに、両者は、その構成音、構成音数、特に前半部の「アイム」の有無において顕著な差異を有するものであるから、称呼上相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標と引用商標の観念は、前記したとおり本件商標が特定の観念を有しない一種の造語である以上、両者は比較することができないものでる。
さらに、本件商標と引用商標は、上記第1及び同第2のとおりの構成よりなり、外観上十分に区別し得る差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標は、商標において明らかに異なる別異のものといわなければならない。
また、本件商標が、その指定商品を上記第1のとおり「普通眼鏡,サングラス,鼻眼鏡,鼻眼鏡用鎖,鼻眼鏡用ひも,眼鏡ケース,眼鏡ふき」とするものであるのに対し、引用商標の指定商品及び指定役務は、上記第2のとおり、「食品関係と飲食物の提供」であり、両者の関連性は極めて低いといえるものである。
(2)申立人が、引用商標の著名性を立証するものとして提出した、甲第3号証ないし甲第38号証よりすると、引用商標は、本件商標の登録出願前より、申立人の企業スローガンとして、テレビ、新聞、雑誌にて宣伝、広告されている商標と認められる。
しかしながら、上記認定のとおり、本件商標と引用商標とは、商標それ自体が異なるものとして需要者等に印象付けられるというのが相当であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務とは関連性は極めて低いといえるものであるから、本件商標に接する需要者等が引用各商標を連想、想起することは極めて少ないというべきである。
(3)してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、該商品が申立人の業務に係る商品又は役務であるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものとはいえないものである。
2 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
本件商標は、上記のとおり、申立人の企業スローガンとして用いられている引用商標を連想、想起するようなことはなく、また、これをその指定商品について使用しても、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものではなく、国際信義に反するものでもないというべきであり、かつ、引用商標を剽窃したものでもなく、不正の目的をもって使用するものでもないというべきである。
3 むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同第7号に、同第19号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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