Trademark Appeal Case
品質効能表示と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2007−22038(T2007−22038/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「シイタケパワー」及び「しいたけパワー」の文字とを上下2段に書してなり、第29類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年8月14日に登録出願され、その後、原審における同19年5月25日付け手続補正書にて第29類「しいたけを主原料とするカプセル状・粉末状・顆粒状・液状・固形状又は錠剤状の加工食品,乾燥しいたけ,冷凍しいたけ,しいたけの缶詰,しいたけの瓶詰,しいたけの佃煮,しいたけの漬物,しいたけの粉末,しいたけの水煮,しいたけの味付煮,調理済みのしいたけ,しいたけを加味したカレー・シチュー又はスープのもと,しいたけを加味したお茶漬けのり,しいたけを加味したふりかけ」と補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『シイタケパワー』『しいたけパワー』と二段に書してなるところ、その構成中『シイタケ』『しいたけ』の各文字は『キシメジ科のきのこ』の意を有し、『パワー』の文字は『力』の意味を有するものである。そして、『シイタケ(又はしいたけ)パワー』の文字が『人体に与える椎茸のもつ成分』の意味合いをもって新聞等で紹介されていることからすると、これをその指定商品に使用するときは、取引者・需要者に『椎茸の有効な成分が含まれた商品』であることを理解させるに止まり、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 本願商標は、上記第1のとおり「シイタケパワー」及び「しいたけパワー」の文字を上下2段に書してなるところ、その構成中、前半部の「シイタケ」、「しいたけ」の文字(語)は、「マツタケ科の食用きのこ。シイ・カシ・クリ・クヌギなどの広葉樹の枯木中に生じ、傘の外面は紫褐色または黒褐色で、裏面と柄とは白い。生のものは淡味、干したものは香りが高い。各地の林下に菌糸を植えた榾木を並べて栽培する。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第6版」)、「担子菌類ハラタケ目のきのこ。ナラ・クヌギ・シイ・クリ・カシなどの枯れ木に生えるが、人工栽培もされる。傘は径6〜10センチメートル。肉質で弾性があり、上面は淡褐色から黒褐色。食用。乾物は香りが高い。」(株式会社三省堂「大辞林第2版」)を意味する「椎茸」を片仮名及び平仮名で表記したものと認められるものであって、かつ、別掲第1の書籍、新聞、インターネットのウェブページの記載事実によれば、「椎茸」には、様々な成分が含まれていること、並びに、その成分が人の健康や栄養面に及ぼす作用・効能があることが世人一般に知られているということができるものである。
また、「パワー」の文字(語)は、英語「power」に由来し、「能力、力」を意味する外来語として一般に親しまれた文字(語)である。
2 そして、別掲第2に示した「シイタケパワー」及び「しいたけパワー」に関する新聞記事やインターネットのウェブページに記載された事実によれば、本願指定商品を取り扱う食品業界において、「シイタケパワー」または「しいたけパワー」、もしくはこれらの文字(語)と称呼、観念を同じくする「椎茸パワー」の文字(語)が、商品の品質、効能を表示するものとして普通に使用されているものと言うことができる。
3 そうとすれば、「シイタケパワー」並びに「しいたけパワー」の文字(語)からなる本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者は、その商品が「椎茸の効能を有する商品」であることを表示したものであると理解、認識するにとどまるというのが相当であって、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものといわざるを得ない。
4 ところで、請求人は、「本願商標『シイタケパワー』『しいたけパワー』からは、単に『しいたけの力』という抽象的な意味合いを理解するに止まり、これが本願指定商品に使用された場合に、しいたけが有する栄養成分によって該商品を食する者に何らかの力を与え健康に資するという暗示的な意味合いを生じたとしても、それ自体直接的に当該商品の品質、効能を具体的に表示するとはいえないものとみるのが妥当である。」旨主張しているが、仮に、本願商標自体は造語であるとしても、それを構成する各単語の語義、並びに別掲第1に記載の事実を踏まえてみると、本願商標からは原査定が説示する意味合いを有する複合語として認識されるものであって、さらに、別掲第2のとおり使用されている事実よりすれば、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有しないこと、上記のとおりであって、この点につき、請求人の主張は採用することができない。
5 加えて、請求人は、「原査定において例示された新聞記事やインターネットのホームページにおける本願商標の各文字の使用は、商品の品質、効能を具体的に直接表示するものとして普通に使用されている事実は確認できないというべきものである」旨主張している。
そこで、ある商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて争われた裁判(平成12年(行ケ)第76号 東京高等裁判所 平成12年9月4日判決言渡)の判決を見てみると、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべき」と判示しているところである。
してみれば、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、本願指定商品の需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され用いられるのかによって判断されなければならないものであり、かつ、「シイタケパワー」、「しいたけパワー」の文字(語)については、別掲第2に記載のとおり、インターネットのウェブページ上、並びに新聞記事の各記載においてさえも、現実に使用されていることが認められる。
そうすると、本願商標は、その指定商品を取り扱う需要者等において、指定商品の品質を示すものとして認識されることは、前記認定のとおりであることからしても、かかる請求人の主張は採用することができない。
6 さらに、請求人は、「パワー」の文字を有する登録商標を引用して本願商標が登録要件を具有するものであると主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は,各商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情等をも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、請求人の主張している登録例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから、この点についても、請求人の主張は、採用することができない。
7 したがって、本願商標は、その指定商品について、上記第1のとおり補正された結果、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがないと認められるから、商標法第4条第1項第16号に該当しないものになったとしても、上記認定のとおり、同法第3条第1項第3号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。