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Trademark Appeal Case

結合商標の称呼と分離観察

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2007−890099(T2007−890099/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5006993号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5006993号商標(以下「本件商標」という。)は、「SUDOKU MATE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年5月29日に登録出願、第16類「雑誌,新聞」を指定商品として、同年12月1日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する商標

請求人が本件商標の無効の理由に引用する商標は、以下の2件の商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。

(a)登録第3327502号商標(以下「引用商標1」という。)は、「数独」の漢字を横書きしてなり、平成6年9月29日に登録出願、第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」を指定商品として、同9年7月4日に設定登録され、その後、同19年4月24日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

(b)登録第4936155号商標(以下「引用商標2」という。)は、「数独」の漢字と「Sudoku」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成17年8月19日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,電子出版物」を指定商品として、同18年3月10日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張の要旨

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。

(1)本件商標を無効とすべき理由

(ア)商標法第4条第1項第11号について

(a)本件商標と引用商標1、引用商標2との類否

本件商標からは、以下の理由により、「スウドク」の単独の称呼を生じるものである。

本件商標を構成する欧文字「SUDOKU」と欧文字「MATE」との間には、1文字程度の間隔が設けられていることから、視覚上、「SUDOKU」の文字部分と「MATE」の文字部分に分離して把握されるものである。

また、本件商標の全体から生じる一連の称呼「スウドクメイト」は、7音構成であって一連に称呼するには冗長であると共に、「スウドク」と「メイト」の間には段落差を生じることから、簡易迅速を旨とする取引場裡においては、前半の文字部分「SUDOKU(審決注:「数独」は誤記と認められる。)」から生じる「スウドク」の称呼をもって取引に資することも多いとみるのが自然である。

さらに、本件商標を構成する「SUDOKU MATE」の文字全体で特定の熟語的意味合いを生じさせるものではないことから、観念上においても、前半の文字部分「SUDOKU」と、後半の文字部分「MATE」とは別個独立して把握されるものである。

なお、甲第4号証ないし甲第10号証に示す通り、特許庁の審判・異議事件においても、欧文字で構成された2語を結合して構成した商標に関して、単語と単語の間に間隔が設けられていること等を理由として、各単語が別個独立して把握され、その結果、各単語から、それぞれ独立した称呼が生じるとの認定が示されている。

以上の通り、本件商標は、視覚上、称呼上、観念上の何れの観点からも、前半の文字部分「SUDOKU」と後半の文字部分「MATE」とが分離独立して認識把握されるものであることから、前半の文字部分「SUDOKU」に対応して単に「スウドク」の称呼をも生ずるものと判断すべきものである。

一方、引用商標1及び引用商標2からは、「スウドク」の称呼を生じることは明らかであることから、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、「スウドク」の称呼を共通にする類似商標である。

(b)本件商標の指定商品と引用商標1、引用商標2の指定商品との類否

本件商標の第16類の指定商品「雑誌,新聞」は、引用商標1の第16類の指定商品中の「印刷物」と類似するものである。

また、本件商標の第16類の指定商品「雑誌,新聞」は、引用商標2の第9類の指定商品中の「電子出版物」と類似するものである。

(c)まとめ

以上のとおり、本件商標と引用商標1、引用商標2とは、「スウドク」の称呼を共通にする類似商標であり、且つ、指定商品も抵触するものであることから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は無効とされるべきである。

(イ)商標法第4条第1項第15号について

(a)請求人の商標「数独」、「SUDOKU」の著名性

請求人は、1984年に「数独」(英文名=SUDOKU)なる名称の「パズルゲーム」を開発し、それ以降継続的に「雑誌、ゲームソフト」等に関して商標「数独」、「SUDOKU」を使用している。その結果、商標「数独」、「SUDOKU」は、請求人である「株式会社ニコリ」の業務に係る商品であることを示す商標として著名となっている。

すなわち、甲第11号証ないし甲第13号証に示す通り、「数独」(英文名=SUDOKU)という言葉は、請求人の代表者である「鍜治真起」による創造語(数字は独身に限るに由来)であり、商標「数独」、「SUDOKU」を使用した「パズルゲーム」が世界的に大ヒットすると共に、我が国の主要新聞(讀賣新聞、朝日新聞、毎日新聞、日経流通新聞、The Japan Times)や雑誌(週刊東洋経済、文藝春秋)等において大きく取り上げられたこととも相俟って、商標「数独」、「SUDOKU」は、請求人の業務に係る商品を指称するものとして取引・需要者間において著名となっているものである(甲第11号証ないし甲第17号証)。

そして、本件商標の出願時(平成18年5月29日)に、請求人の商標「数独」、「SUDOKU」が既に著名となっていたことは、甲第11号証に係る「讀賣新聞の掲載記事(平成17年10月15日付)」、甲第12号証に係る「朝日新聞の掲載記事(平成18年3月12日付)」、甲第13号証に係る「毎日新聞の掲載記事(平成18年4月5日付け)」等より明らかである。

なお、甲第18号証及び甲第19号証に示すとおり、『商標「数独」が請求人の業務に係る商品であることを示す商標として著名となっている』事実は、特許庁の商標審査及び異議決定においても認定されている。

以上のとおり、本件商標の出願時(平成18年5月29日)において、商標「数独」、その英文名である「SUDOKU」は、請求人の商標として著名となっていたことから、「SUDOKU」の文字を含む本件商標がその指定商品に使用された場合、一般の取引・需要者は、当該商品が請求人の業務に係る商品であるかの如く誤認し、商品の出所について混同を生じるものである。

さらに、本件商標をその指定商品に使用することは、請求人が1984年以降長年にわたって培ってきた「数独」、「SUDOKU」ブランドの名声にただ乗りすると共に、そのブランド価値を希釈化させる行為であり、公正な取引秩序を乱す行為であると云わざるを得ない。

(b)まとめ

以上のとおり、商標「数独」、「SUDOKU」は請求人の商標として著名であることから、「SUDOKU」の文字を含む本件商標がその指定商品に使用された場合、請求人の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生じるおそれがある。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は無効とされるべきである。

(2)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その登録は無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、請求人の前記主張に対し何ら答弁していない。

5 当審の判断

(1)請求人の提出に係る甲各号証及び請求の理由によれば、以下の事実が認められる。

(ア)甲第11号証は、2005年10月15日付け讀賣新聞と認められるところ、該讀賣新聞によれば、「日本名パズル『数独』」の見出しのもと、「『SUDOKU(数独)』という日本名の数字パズルが、欧米で大ブームを巻き起こしている。...1970年代から米国のパズル雑誌が『ナンバープレイス』の名で掲載。日本のパズル会社『ニコリ』が84年に『数独』の名前を付けて日本に紹介した。同社の鍜治真起社長によると、『数字は独身に限る(1ケタの数字しか使えない)』というルールを短縮したのが名前の由来。...パズルファンのグルドさんは、訪日の際にたまたま『数独』を見つけて夢中になり、インターネットの個人サイトで紹介した。さらにパズルを掲載した新聞を試作して、タイムズ紙に持ち込み採用になった。...」と記載されている。

(イ)甲第12号証は、2006年3月12日付け朝日新聞と認められるところ、該朝日新聞によれば、「天声人語」の項には、「...いま欧米でジグソーやクロスワード以来の流行と言われているのは『数独』という日本ゆかりのパズルだ。書店や駅売店にはsudokuと題するパズル本が並び、高級紙が娯楽面で出題を競う。あまりの熱中ぶりに「乗務中は数独禁止」と社員に命じた航空会社もある▼世界的な流行は東京都台東区の小さな出版社から始まった。社員18人のニコリ社だ。...1から9まで一桁の数、言わば独身の数しか使わないパズルだから、数独と名付けた▼ニュージーランド出身の元判事が日本を旅行中、たまたま書店で数独を見て夢中になる。自分で大量に作問し、英タイムズ紙に新企画として持ち込んだ。一昨年の秋に掲載が始まると他紙も懸賞品をつけて追随した。昨年は米新聞界へ広がった...」との記事が掲載されている。

(ウ)甲第13号証は、2006年4月5日付け毎日新聞と認められるところ、該毎日新聞によれば、「日本育ちのパズル『数独』(SUDOKU)」の見出しのもと、「...ニコリの鍜治真起社長(54)が22年前、米国のパズル誌に掲載されているのを見付け、1桁の数字しか使わないことから『数字は独身に限る(後に『数独』に短縮)』と命名。ゲームとして洗練させた。04年11月、一人の数独ファンから売り込みを受けた英タイムズ紙が「SUDOKU」として載せたところ、購読数を伸ばすほどの爆発的な人気を呼び、翌月には他紙もこぞって掲載を始めた。現在は欧米やアジアなど六十数カ国で楽しまれている。...」との記事が掲載されている。

(エ)甲第14号証は、2006年4月22日発行の週刊東洋経済と認められるところ、該週刊東洋経済によれば、「ニコリ『数独』数字を入れるだけのパズルが大ブーム」の見出しのもと、「...ニコリは1984年に『パズル通信ニコリ』に数独を初めて載せた。現在は日本の約200の新聞、雑誌のほか、ニンテンドーDSのソフトにも問題を提供している。...ブームの発端は、『パズル通信ニコリ』のファンで数独に熱中していたニュージーランド人が、英国のタイムズ紙に自作の問題を持ち込んだことだった。2004年秋に連載が始まり、みるみる人気が出て、昨年、日本にもブームが逆上陸した。...」との記事及び本文外に「あいているマスに数字を当てはめるパズル。ペンシルパズル本『数独』1〜23巻(各620円)、『パズル通信季刊ニコリ』(840円)、『パズル通信ニコリ別冊決定版数独』(900円)。価格はいずれも税抜き。」として表紙に「数独」の文字を使用した、雑誌または書籍が掲載されている。

(オ)甲第15号証は、平成18年6月1日発行の文藝春秋と認められるところ、該文藝春秋には、「『数独パズル』世界を制す」の見出しのもと、「本誌連載中の『考えるパズル』でお馴染みの『数独』が、日本国内を飛び出し、世界中で大人気となっているのを、ご存知ですか。...今ではもう世界七十カ国以上の人々が数独を知っています。...『SUDOKU』は世界語...ローマ字表記の『SUDOKU』は世界語になりました。英語圏では”ス”にアクセントを置いて『スドク』、中国語圏では『スードゥー』、スペイン語圏で日本語と同じ『スウドク』と呼ばれている。今年度版から、オックスフォード辞典にも『SUDOKU』が収録されたようです。...」と鍜治真起社長自らの「数独」に関するコメントとして掲載されている。

(カ)甲16号証は、平成18年6月21日付け日経流通新聞と認められるところ、該日経流通新聞によれば、「2006年上期ヒット商品番付」の見出しのもと、東の横綱に「脳を鍛えるゲーム」として「数独」パズルが掲載されている。

(2)以上のとおり、請求人の代表者は、米国で流行していた「ナンバープレイス」というパズルを1984年ころに日本に持ち込み、「数独」との名称を付して、請求人の業務に係る数字パズル及びこれを掲載した雑誌について使用したこと、外国人旅行者が日本の書店で該パズルを目にし、その後、2004年末ころに、英国のザ・タイムズ紙が取り上げたことに端を発し、本件商標の登録出願前には、欧米諸国をはじめ、日本を含む世界各国で大流行したこと、請求人の業務に係る数字パズルに使用される「数独」の名称は、「数字は独身に限る(1ケタの数字しか使えない)」というルールを短縮したのがその由来であること、該パズルは、海外においては「数独」のローマ字表記「SUDOKU」として知られていること、などが認められる。 (3)前記で認定した事実によれば、「数独」及び「SUDOKU」の文字よりなる商標(以下、これらの商標をまとめて「使用商標」という。)は、請求人の業務に係る数字パズル及びこれを掲載した雑誌を表示するためのものとして、本件商標の登録出願時にはすでに、欧米諸国をはじめ、日本国内においても、取引者・需要者の間に広く認識されていたことが認められる。

(4)本件商標は、前記したとおりの構成からなるところ、該構成は、「SUDOKU MATE」の文字からなるものであって、該構成全体は、常に一体のものとしてのみ把握しなければならないとすべき特段の理由は見いだせないものであり、しかも、「SUDOKU」の文字と「MATE」の文字とは1文字相当の間隔があることから視覚上分離して看取されるといえるものである。

そして、「SUDOKU」の文字は、前記したとおり、取引者・需要者の間に広く認識されていたことから、本件商標に接する取引者・需要者は「SUDOKU」の文字部分に強い印象を受けるものとみるのが自然である。

(5)したがって、被請求人が本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者をして、前記のとおり、本件商標が該構成中に強い印象を受ける「SUDOKU」の文字を含むものであるから、該文字に着目して、使用商標を連想又は想起するというべきであり、その商品が請求人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

(6)結び

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認められるから、請求人の主張するその余の無効理由について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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