結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2007−890145(T2007−890145/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4916269号商標(以下「本件商標」という。)は、「canary trois」の欧文字と「カナリートロワ」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成17年6月9日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」のほか、第14類、第16類及び第18類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年12月16日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第2448071号商標(以下「引用商標」という。)は、「CANALI」の欧文字を横書きしてなり、平成1年9月19日に登録出願、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、同4年8月31日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、同15年7月16日に指定商品の書換登録がされ、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」となっている。
請求人は、本件商標の登録は、指定商品中「第25類 被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」についてこれを無効とする、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第63号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により無効とすべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、その構成中「trois」は、フランス語で「3」を意味する数詞で、「トロワ」は、その表音に相当する片仮名の表記と認められる。
すなわち、数詞「trois」及びその表音「トロワ」は、本来的に識別力の脆弱な語句で、かつ、先行する名詞「canary」又はその表音「カナリー」と、観念上密接不可分に結合しているとも認め難い。よって、本件商標は、識別力の顕著な前半の欧文字「canary」及び片仮名「カナリー」の語でも判断されると認められる。
したがって、本件商標は、自然的称呼「カナリートロワ」のほか、要部「canary」又は「カナリー」から称呼「カナリー」も生じると認められる。
イ 引用商標について
引用商標は、その自然的称呼は、「カナリ」になると認められる。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標は、引用商標とは、英語の発音において、近年無視されることが頻繁に見受けられる語尾長音の有無の相違を除けば、称呼「カナリ」を共通にし、称呼上明らかに類似すると認められる。
また、本件商標の要部「canary」と引用商標「CANALI」は、大小文字の相違はあるが、頭文字から第4字までの綴り「cana」及び「CANA」を同一にし、語尾部でも、「r」と「L」及び「y」と「I」の相違しかない。そのため、欧文字の綴りから受ける外観上の印象も、極めて近似している。
なお、本件商標の第25類に属する指定商品「被服」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品と認められる。
さらに、本件商標が、引用商標の後願かつ後登録であることは、明らかである。
したがって、本件商標は、引用商標と要部において称呼上類似し、かつ、外観上も極めて近似すると認められ、その指定商品中「被服」は、引用商標の指定商品と同一又は類似であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標の比較
前述とおり、両商標は、要部において称呼「カナリ」を共通にし、称呼上明らかに類似し、さらに、外観上も極めて近似するものと認められる。
イ 引用商標の周知性
請求人の前身Canali S.p.A.は、1934年にイタリア国ミラノで設立され、その後、高級紳士服の輸出により、同国内はもとより海外市場のシェアをも獲得して企業力を伸ばし、世界的な名声を得て、現在に至っている(甲13)。その市場は、主にアメリカ合衆国及びヨーロッパ諸国であるが、単一ブランドブティックによる戦略で、東京を含むアジアの主要都市でも販売系列店を開拓してきたことが明らかである(甲3ないし甲11)。
また、ヨーロッパで権威有るファッション関係の研究所による評価(甲13)では、請求人は、高収益、高成長率で、高級紳士服の分野で世界的主導者の一社と評価されており、極東市場での販売開発の潜在能力やスポーツウェア分野で高成長する潜在能力等が取り上げられている。
さらに、その世界的な総売上高や宣伝広告費が、急激に成長していることも明らかである(甲39ないし甲63)。
以上、引用商標が、高級紳士服の分野において世界的に周知著名であり、また、その取扱商品である高級紳士服の附属品「シャツ類、ニット類、ネクタイ、ベルト、靴下、革靴」や「スポーツウェア」の分野でも、周知性を獲得していることは明らかである(甲3ないし甲63)。
そして、日本国内に於ける宣伝広告や雑誌・新聞などの記事の実態(甲10ないし甲34)に鑑みれば、1997年から1998年にかけて、引用商標が世界的に周知著名である事実が我が国にも知られており、本件商標が出願された2005年(平成17年)6月においては、その世界的な周知著名性は、もはや我が国でも十分確立されていたと、容易に推認することができる。
したがって、引用商標は、紳士服やその附属品、スポーツウェアを含む「被服」に関し、本件商標の出願前に既に周知性を獲得しており、その周知性は、本件商標の登録時にも十分維持されていたと認められる。
ウ 本件商標と引用商標との間の出所の混同のおそれ
引用商標は、「被服」に属する高級紳士服及びその附属品と認められる「シャツ類、ニット類、ネクタイ、ベルト、靴下、革靴」その他について世界的に使用された結果、本件商標の出願時において、日本国内においても周知性を十分獲得していたと認められる。そして、請求人の取扱いに係る商品は、上記商品に留まらず、「スポーツウェア」等の分野にも拡大している(甲12)。
一方、本件商標は、指定商品に第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を含んでいる。そして、前述のとおり、本件商標は、要部において引用商標と類似し、その綴りも極めて近似している。
したがって、本件商標が、第25類の各指定商品に使用された場合は、恰も請求人自身が当該商品の製造販売を行っているかのような誤認混同を生じさせ、又は、本件商標が、請求人と経済的・人的な何らかの関連性により使用されているなどの広義の出所の混同が生じることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当する。
したがって、同法第46条第1項第1号により、本件商標の登録は無効にされるべきである。
被請求人は、答弁をしていない。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記1のとおり、「canary trois」の欧文字と「カナリートロワ」の片仮名文字を二段に横書きしてなるところ、上段及び下段の構成各文字は、同じ書体、同じ大きさで表され、外観上まとまりよく一体に表現されているものであって、これより生ずるものと認められる「カナリートロワ」の称呼も格別冗長というものでもなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、たとえ、「trois」の欧文字がフランス語で数詞の「3」を意味するものとしても、本件商標の指定商品との関係において、当該文字部分が商品の品質等を具体的に表示するものと理解されるとはいえないものであり、他に、構成中、前半部分の「canary」、「カナリー」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき格別の事情は見いだせない。
そうとすれば、本件商標は、構成文字全体をもって一体不可分の一種の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「カナリートロワ」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である。
他方、引用商標は、前記2のとおり、「CANALI」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して「カナリ」の称呼を生ずるものと認められる。
そうとすれば、本件商標から生ずる「カナリートロワ」の称呼と引用商標から生ずる「カナリ」の称呼とは、その音構成、構成音数において明らかな差異を有するものであるから、称呼上十分区別し得るものである。
また、両者は、外観において、片仮名文字の有無という顕著な違いがあり、また、欧文字部分に限ってみても、大文字、小文字の違い、5文字以降の「ry」と「LI」の違い及び「trois」の文字の有無に顕著な違いがあるから、外観上相紛れるおそれはない。
さらに、両者は、ともに特定の意味を有する語として理解しがたいものであるから、観念においては比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
請求人は、本件商標の構成中「trois」、「トロワ」の文字が、数詞「3」を意味するフランス語及びその表音であり、本来的に識別力の脆弱な語句であり、その要部は「canary」又は「カナリー」にあるから、当該文字に相応して「カナリー」の称呼をも生じる旨主張する。
しかしながら、請求人の提出した各証拠によっては、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、「trois」、「トロワ」の文字が品質等を表す語として普通に使用されている事実は認められず、当該文字が直ちに識別力の脆弱な語と認識されるとはいい難いものである。むしろ、前述のとおり、その構成文字全体をもって一体不可分の一種の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然であり、その構成文字全体に相応して、「カナリートロワ」の称呼のみを生ずるものである。したがって、請求人の前記主張は採用することができない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知性について
請求人は、引用商標が紳士服やその附属品、スポーツウェアを含む「被服」に関し、本件商標の出願前に既に周知性を獲得している旨主張し、その証拠として甲第3号証ないし同第63号証を提出している。
そこで、当該証拠をみるに、
請求人の商品カタログ(甲第3号証ないし同第12号証)には、引用商標とモデルが着用した紳士服の写真、請求人及び各国のショールーム等の店舗の所在地や電話番号等が外国語で記載されており、その中に、日本国内の店舗として、東京都千代田区丸の内所在の店舗、同渋谷区神宮前所在のショールームなど8店舗等が記載されているが、当該商品カタログがどのくらい日本国内で頒布されたのか不明である。
イタリアのファッション関係の総合研究所発行の2003年9月9日付け刊行物「PAMBIANCO NEWS」(甲第13号証)には、請求人の企業概要、市場等が記載されており、その「市場」の欄には、「Canali」製品は、全世界の60カ国以上に供給され、主要な海外市場は、アメリカ合衆国、イングランド、フランス、ドイツ及びスペイン等の主要なヨーロッパ諸国である旨記載されているが、日本への輸出や市場規模などは記載されていない。
次に、雑誌(JAL機内誌を含む。甲第13号証ないし同第35号証)への広告について、各雑誌には、引用商標、引用商標に「カナーリ」を付記した標章及び「カナーリ」の標章が紳士服(モデルが着用した紳士服の写真を含む。)とともに紹介され、雑誌の数は「NAVI」「Men’EX」を始め10数誌にのぼるものの、各誌の販売部数、販売地域等が明らかではない。
新聞広告(甲第36号証ないし第38号証)については、名古屋・松坂屋本店、銀座直営店、大阪・大丸心斎橋店において「CANALI」(カナーリ)のトランクショーを開催する旨記載されているものの、僅か3紙である。
商品総売上高(甲第39号証)及び宣伝広告費(甲第40号証)については、1987年から2005年(ただし、2005年は3月まで)まで全世界の商品総売上高及び同宣伝広告費を各年毎に表記されているものの、各国の具体的な販売地域、販売本数、広告媒体等を裏付ける証拠の提出がないばかりでなく、日本国内の売上高、宣伝広告費について明らかにされていない。
イタリア本社から日本の各店舗への商品送り状及び納品額(甲第41号証ないし同第63号証)については、その中でも最も多い西武百貨店池袋店でさえ年間の合計額が約1億円(2000年ないし2002年)であり、他の丸の内店へは約1500万円(2003年)、(株)安藤へは約750万円(2004年)と約270万円(2005年)、ダーバン(株)ショールームへは約73万円(2005年)であり、高級紳士服にしては、卸値であるとしても、多い額とはいえない。しかも、納品額が最も多い西武百貨店池袋店への納品について表記したのは本件商標の出願より3年ないし5年前である2000年ないし2002年であり、本件商標を出願した2005年(平成17年)に近い年の納品額が表記されていないので、2003年以降の西武百貨店池袋店への納品額が不明であり、むしろ、本件商標を出願した2005年(平成17年)に近い時期に納品されたとする(株)安藤やダーバン(株)ショールームへの納品額が前記西武百貨店池袋店より極めて少ないことからすると、当該証拠では納品額が年々減少しているといわざるをえない。
また、イタリア本社から日本の前記店舗以外の店舗への納品額が明らかでない。
そうすると、請求人が提出した前記甲号証では、引用商標、引用商標に「カナーリ」を付記した標章及び「カナーリ」の標章が紳士服等使用されていたことは認められるが、これらをもってしては、直ちに、引用商標が本件商標の登録出願前において、取引者、需要者に広く認識されていた、すなわち周知性を獲得していたとまでは認めることができない。
イ 出所の混同のおそれについて
本件商標は、前述のとおり、引用商標とその外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似しない別異な商標であるばかりでなく、引用商標は、その取引者・需要者間に広く認識されていたとは認めることができないから、これをその指定商品中「第25類 被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に使用しても、前記引用商標を直ちに連想又は想起するとは認められず、その商品が請求人又は請求人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
(3)まとめ
したがって、本件商標は、その指定商品中、請求に係る商品について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものということはできないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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