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Trademark Appeal Case

子会社使用と商標権不使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300870(T2007−300870/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4631690号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成14年2月26日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,加工ガラス(建築用のものを除く。),電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」及び第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同年12月20日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」については、継続して3年以上日本国内において商標権利者によって使用された形跡がない。また、専用使用権者及び通常使用権者の登録もないため、この点からも、本件商標は、不使用の商標である。

したがって、本件商標は、その指定商品「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について、登録を取り消すべきである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人より提出された証拠によれば、プライムテック株式会社が被請求人の100パーセント出資会社であって、本願商標を「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について使用していることは、請求人も認めるところである。しかしながら、被請求人が主張するようにプライムテック株式会社が本件商標の通常使用権者であることは、以下の理由により、認めることはできない。

被請求人が、プライムテック株式会社が本件商標の通常使用権者であると主張する根拠は、「1997年3月 プリマハム(株)新事業本部PMMチームとして活動してきたが、事業の拡大に伴い分離独立」(乙第2号証)、「PMM開発チームも独立して『プライムテック』となった。」(乙第15号証)とあるように、プライムテック株式会社がもともと被請求人の一事業部であったことと、1997年3月(平成9年3月)に被請求人の100パーセント出資で設立された会社であることである。

しかしながら、履歴事項全部証明書(乙第1号証)、乙第2号証及び乙第15号証の記載からも明らかなように、プライムテック株式会社は、被請求人の100パーセント出資会社という点で被請求人と関連性があるとはいえ、権利義務の享有主体としては、全く別ものであるし、100パーセント出資であることが自動的に出資元の所有する商標権について通常使用権が認められることにもならない。すなわち、被請求人がプライムテック株式会社に100パーセント出資しているという関係は、プライムテック株式会社の経営は出資元である被請求人のコントロールを受けるかもしれないということにはなるが、プライムテック株式会社に、被請求人の財産の一部を構成する商標権について、通常使用権が認められることとは、全く関係のない話なのである。

したがって、被請求人がプライムテック株式会社に対して、本件商標の通常使用権を許諾していることの裏付けとなる契約書やロイヤルティの支払い関係書類などが提出されるなどして、プライムテック株式会社が本件商標の通常使用権者であることが立証されない限り、プライムテック株式会社が本件商標の通常使用権であるとは、認められるべきではない。プライムテック株式会社による本件商標の使用は、本件審判請求の理由を免れるものではなく、被請求人とは、何の関係もないプライムテック株式会社の本件商標の使用にほかならないのである。

以上のとおり、プライムテック株式会社は被請求人の100パーセント出資会社であっても、本件商標の通常使用者ではないから、プライムテック株式会社による本件商標の使用は、本件審判請求理由を免れるものではなく、本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第15号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)本件商標の通常使用権者による使用について

本件商標の商標権者である被請求人プリマハム株式会社は、被請求人の100パーセント出資会社である茨城県土浦市大字中字向原635番地に住所を有するプライムテック株式会社に通常使用権を許諾し、通常使用権者であるプライムテック株式会社は、少なくとも、1997年(平成9年)3月より現在に至るまでその指定商品である「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に本件商標を使用している。

本件商標が使用される商品は、プライムテック株式会社が開発したものであって、2005年10月15日に刊行された夕刊讀賣新聞にも掲載されている(乙第15号証)。乙第15号証には、ピエゾマイクロマニピュレータの開発の経緯、プライムテック株式会社の商品ピエゾマイクロマニピュレーション機器(pmm、PMM)がすでに200台ないし300台販売されていた旨が述べられ、本件商標を付したピエゾインパクトドライブユニット(MB−U)が写真入りで紹介されている。

(2)本件商標の使用について

ア 本件商標のカタログによる使用

乙第4号証に示すように、本件商標「pmm」と同一、及びローマ文字3文字からなる同一の称呼「ピーエムエム」が生ずる社会通念上同一と認められる商標「PMM」が使用されている。乙第4号証に示す商品は、PMM−150HJ及びPMM−150FU等のマイクロマニピュレーション機器である。マイクロマニピュレーション機器PMM−150HJ及びPMM−150FUは、PMMコントローラ(PMAS−CT150、乙第7号証参照)、操作ボックス(OP−15、乙第10号証写真参照)、フットスイッチ(OP−16、乙第11号証写真参照)、ピエゾインパクトドライブユニット(MB−U乙第8号証参照)、取り付けアダプタ(NE型等)、マニュアルインジェクタ(HDJ−M3)などからなり、プライムテック株式会社は、これらの商品の製造販売を行っている。

乙第5号証は、2006年8月に頒布されたマイクロマニピュレーション機器価格表、乙第6号証は、2007年4月に頒布されたマイクロマニピュレーション機器総合価格表である。乙第5号証(乙第5号証の1参照)及び乙第6号証に示すように、マイクロマニピュレーション機器PMM−150HJ及びPMM−150FUは、システムとして組まれた場合の価格のほか、各機器であるPMMコントローラ(PMAS−CT150)、操作ボックス(OP−15)、フットスイッチ(OP−16)、ピエゾインパクトドライブユニット(MB−U)等の個々の価格が掲載されており、それぞれ別個独立した商品としての販売もなされている事実が分かる。

また、乙第5号証の2には、マイコン搭載のマイクロピペット作成装置や、マイクロピペット研磨装置等の販売もなされており、頁上端には、本件商標「pmm」と社会通念上同一の商標「PMM」が使用されている。

イ 本件商標の商品への使用

本件商標は、乙第4号証(乙第4号証の1、2)に示すように、PMMコントローラ(PMAS−CT150)自体にも使用されており、本件商標の商品への直接的な使用がなされている。乙第7号証は、商品の写真を示したものである。

また、本件商標は、ピエゾインパクトドライブユニット(MB−U)自体にも使用されており、本件商標の商品への直接的な使用がなされている。乙第8号証は、商品の写真を示したものである。

ウ 本件商標が使用され本件審判の請求登録前3年以内に販売された事実を示す納品書、請求書等

(ア)乙第9号証の1・・・2005年9月22日付でプライムテック株式会社が客先に納入したPMM−150FU等の納品書(写し)

(イ)乙第9号証の2・・・2007年3月14日付でプライムテック株式会社が客先に納入したPMM−150HJ等の納品書(写し)

(ウ)乙第9号証の3・・・2006年3月27日付でプライムテック株式会社が客先に納入したPMM−150HJの構成品であるPMMコントローラCT150、操作ボックスOP−15、フットスイッチOP−16、ピエゾインパクトドライブユニットMB−U等の各商品が個別に販売されている事実を示す納品書(写し)

(エ)乙第9号証の4

乙第9号証の4−1・・・2005年6月22日付でプライムテック株式会社が客先に納入したマイクロピペット作成装置の納品書(写し)

乙第9号証の4−2・・・2005年6月22日付でプライムテック株式会社が客先に納入したマイクロピペット作成装置の請求書(写し)

(3)本件商標が使用されている商品が本件商標の指定商品である「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品であることについて

ア 本件商標は、通常使用権者であるプライムテック株式会社が開発したマイクロマニピュレーション機器に使用されているものであって、圧電素子(ピエゾ)が搭載されたピエゾインパクトドライブユニット(MB−U)を駆動制御して使用するアプローチツールである。このマイクロマニピュレーション機器は、アプローチツールであることから乙第3号証に示すように、種々の使用が考えられている。例えば、実験動物および不妊治療領域での顕微授精(ICSI)、体細胞核移植(除核操作・顕微注入)、胚盤胞へのES細胞注入操作、アシステッドハッチング、バイオプシー、前核置換、魚貝類卵子へのDNA・RNAインジェクション、植物細胞へのDNAインジェクションなど広範囲の使用が考えられている。

しかして、このマイクロマニピュレーション機器は、ピエゾマイクロマニピュレータと称され、乙第12号証に記載のとおり、圧電素子(ピエゾ)の急速変形に伴う慣性力を利用したアプローチツールであって、具体的には、圧電・電歪素子(ピエゾ)への電圧印可により生じる圧電素子(ピエゾ)の伸縮を利用し、圧電効果と慣性体の慣性作用により生じる圧電・電歪素子の急速変形に由来する衝撃力を利用したものである。

イ 上記アプローチツールとしてのマイクロマニピュレーション機器は、圧電素子(ピエゾ)が搭載されたピエゾインパクトドライブユニット(MB−U)を駆動制御するものである。

そして、本件商標の指定商品である「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について、特許庁商標課編「商品及び役務の区分」に基づく類似商品・役務審査基準[国際分類第9版対応](乙第13号証)第52頁の電子応用機械器具及びその部品(11C01)欄には、圧電素子(ピエゾ)が搭載され、該圧電素子(ピエゾ)を超音波発振器により駆動して超音波を送受信する装置として、超音波応用測深器、超音波応用探傷器、超音波応用探知機等が記載されている。例えば、超音波応用測深器は、超音波を発振する超音波発振器、この超音波発振器を駆動制御するコントローラ、超音波発振器によって駆動されて超音波を送受信する送受信機(圧電素子〔ピエゾ〕)などが必要である。

そうであるとすると、アプローチツールとしてのマイクロマニピュレーション機器も圧電素子(ピエゾ)が搭載されたピエゾインパクトドライブユニット(MB−U)のほか、駆動制御するPMMコントローラ(PMAS−CT150)、操作を行う操作ボックス(OP−15)やフットスイッチ(OP−16)等が必要であり、第9類の「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に属する商品である超音波応用測深器、超音波応用探傷器、超音波応用探知機等と同一の範ちゅうに属する商品であることは明白である。

ウ 以上より、アプローチツールとしてのマイクロマニピュレーション機器は、第9類の「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に属する商品であることは、明らかであるが、乙第9号証の3に示すように、各構成品であるPMMコントローラCT150、操作ボックスOP−15、フットスイッチOP−16、ピエゾインパクトドライブユニットMB−U等が個別の商品としても取引され得るものである。以下、各構成品が、単体としても、第9類の「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に属するものであることを明らかにする。

エ 乙第14号証の特許庁商標課編・商品及び役務の区分解説(国際分類第8版対応)第54頁には、電子の作用を応用したもので、その機械器具の機能の本質的な要素としているものは電子応用機械器具に含まれる、と記載されている。したがって、ピエゾインパクトドライブユニット(MB−U)の内部には、圧電素子及び慣性体からなる微小駆動機構が内蔵されているが、これに電圧を印可することにより電子の流れが活発化し、圧電効果により圧電素子が伸縮し、その衝撃力により操作対象である細胞等を穿破するのであるから、電圧印可により電子の活発化を促し、これによる圧電素子の伸縮を利用するピエゾインパクトドライブユニット(MB−U)は、電子の作用によりその機能を発揮するものといえる。

オ 乙第7号証に示すPMMコントローラ(PMAS−CT150)は、操作ボックス(OP−15)及びフットスイッチ(OP−16)から送信される情報を内蔵のマイクロコンピュータで処理し、ピエゾインパクトドライブユニット(MB−U)へ駆動力を付与するマイクロコンピュータ搭載の電子駆動制御装置である。前述したように、このPMMコントローラ(PMAS−CT150)は、超音波応用測深器の構成の1つである超音波発振器を駆動制御するコントローラに相当するものである。乙第5号証の2に示すマイコン搭載/マイクロピペット作成装置[プラー]/P−97IVFPも第9類の「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に属する商品である。

カ また、乙第10号証に示す操作ボックス、乙第11号証に示すフットスイッチは、PMMコントローラ(PMAS−CT150)に接続可能であるが、それぞれ個別に販売される汎用品であって、一般的には「有線通信機械器具」として取り扱われる商品であって、第9類の「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に属する商品である。

(4)結び

以上のとおり、本件審判の請求の登録前3年前に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていた事実が乙各号証から明らかであるから、請求人の本件商標に対する登録取り消しの請求は成り立たない。

4 当審の判断

(1)本件審判の請求

本件商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第9類及び第10類に属する前記1のとおりの商品を指定商品とするものであるところ、本件審判は、その指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録の取消しを求めるものである。

(2)不使用取消審判

商標法第50条第1項に規定された「商標登録の取消しの審判」にあっては、その第2項において、その審判の請求の登録(本件の場合、平成19年7月31日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。

(3)本件商標の使用について

被請求人の提出に係る乙第4号証ないし同第15号証(枝番号を含む。)によれば、本件商標と社会通念上同一の商標が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる使用商品について、被請求人が通常使用権者であるとするプライムテック株式会社により、審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されたものと認められ、請求人は、この点について争わない。

(4)通常使用権者について

請求人は、「プライムテック株式会社は、本件商標の通常使用権者でない。本件商標の通常使用権を許諾していることの裏付けとなる契約書やロイヤルティの支払い関係書類などが提出されるなどして、プライムテック株式会社が本件商標の通常使用権者であることが立証されない限り、プライムテック株式会社が本件商標の通常使用権であるとは、認められるべきではない。」旨述べているが、通常使用権は、専用使用権と異なり、登録をしなくとも効力を有する(商標法第31条第4項で準用する特許法第99条第1項)ものであって、その使用許諾契約は、一般の契約同様に、口頭であってもよく、プライムテック株式会社が被請求人の100パーセント出資会社である等(乙第1号証ないし同第3号証)の関係から見れば、両者の間には、通常使用権許諾契約が成立していると見るのが自然であるから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。

(5)結び

以上のとおり、本件商標は、その通常使用権者であるプライムテック株式会社によって使用されたものと認められることから、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中の「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について、その登録を取り消すべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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