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Trademark Appeal Case

品質表示と一般名称の結合の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2007−13882(T2007−13882/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「辣椒豆板醤」の文字を標準文字で表してなり、第30類「中華料理用調味料」を指定商品として、平成18年7月19日に登録出願されたものである。その後、指定商品については、当審における同20年5月12日付け提出の手続補正書により、第30類「豆板醤」に補正されたものである。

2.原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『辣椒豆板醤』の文字を書してなるところ、その構成中の『辣椒』の文字は『唐辛子』等の意味合いを有する語であり、『豆板醤』の文字は、中華料理の調味料の一つを表す語と認められるから、全体として『唐辛子入りの豆板醤』程の意味合いを理解させるものといえる。そうとすると、本願商標をその指定商品中『豆板醤』に使用した場合、本願商標に接する取引者・需要者は、単に上記意味を認識するにとどまるから、商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条で準用する特許法第150条第5項の規定により請求人に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

(1)「デイリーコンサイス中日辞典」(株式会社三省堂)において、「辣椒」の項に「唐辛子。」の記載がある。

(2)2002年3月20日付け朝日新聞(東京夕刊)の5頁には「ラー油 埼玉県戸田市(遠藤ケイの隠し味探訪)マリオン」の見出しの下に「ラー油の主材料は唐辛子。唐辛子は中国語で「辣椒」(ラーヂャオ)。唐辛子油であるラー油は「辣椒油」という。中国では大抵、自分の家で作る。油を沸かし、唐辛子にかけて辛み成分を溶かし出すもので、ゴマ油か白絞油(植物油)に青ネギ、サンショウ、八角、ショウガ、白ゴマ、陳皮(ちんぴ)などを入れて熱する。香辛料の味と香りを抽出したらその油を唐辛子粉の上からかける。」の記載がある。

(3)2005年3月11日付け日本食糧新聞には「冷凍 日清具多 Goo Ta 炎の辣椒担々麺」発売(日清食品)」の見出しの下に「◆商品特徴=冷凍中華麺。シリーズ新アイテム。唐辛子の辛みとうまみを生かした夏向きメニュー。辣椒は、中国語で唐辛子のこと。」の記載がある。

(4)中国食房富香の中華料理食材辞典において、「日本名:赤唐辛子。中国名:辣椒。中国名カタカナ読み:ラージャオ。解説:唐辛子は、ナス科トウガラシ属の一年草(熱帯地方では多年草または低木)赤く熟したものは、赤唐辛子、緑色のものは青唐辛子と呼ばれる。辣椒は、赤唐辛子を乾燥させたもので、強烈な辛味がある。中華料理では、野菜を炒める前に油に入れたり、ラー油や豆板醤などを作る。」の記載がある。(http://www.fu-shan.net/food/2006/07/post_7.html)

(5)株式会社中国貿易公司の四川省産香辛料(花椒、辣椒、八角)の紹介で「辣椒(ラージャオ)とは唐辛子のことです。本場四川の唐辛子は鮮烈な辣味の中にも香りや甘味と言った要素が複雑に絡み合い、ただ辛いだけの唐辛子とは一線を画します。」の記載がある。(http://ctrading.co.jp/sisen.html)

(6)スパイス&ハーブ総合研究所の世界の料理とスパイスの紹介で「辣椒(唐辛子):さやのまま、輪切り、糸唐辛子などさまざまな形がある。辛みづけはもちろん、彩りや料理の飾りとしても。」の記載がある。(http://www.sbsoken.com/jiten/advice_02.html)

(7)クックパッド株式会社の麻婆豆腐のレシピ紹介で「本場四川の麻婆豆腐。中国の料理サイトのレシピを参考に。辣椒(唐辛子)6本 辣椒(唐辛子)は一味唐辛子ではなく、唐辛子を包丁でみじん切りにしてください。」の記載がある。(http://cookpad.com/mykitchen/recipe/443283/)

(8)萬珍楼の辣椒肉包の紹介で「辣椒肉包は生唐辛子を使ったお饅頭です。品名もどことなく辛そうに見えませんか。それもそのはず、辣椒とは中国語で唐辛子のことを指します。つまり、唐辛子の肉饅です。」の記載がある。(http://www.manchinro.com/products/manjyu/pirikaraman.html)

(9)おいしさネットワーク通信『豆彩』の中国料理のスパイスの紹介で「辣椒 トウガラシ。トウガラシは中南米原産。食用・調味料として世界中で栽培されている作物。もっとも辛い品種の一つ〈ハバネロ〉から甘みのあるピーマンまで、トウガラシの品種は環境と土によりさまざまで、一般的に『小さいものほど、とがったものほど辛い!』。日本産トウガラシ〈鷹の爪〉は辛みの強い品種の一つです。」の記載がある。(http://www.perinet.co.jp/tousai/0506/tokusyu.html)

(10)ぐるなび通信Web版の麻婆豆腐の紹介で「麻婆豆腐は『麻辣豆腐』とも呼ばれる。『麻辣』(マーラー)とは四川料理の核にある辛み。この麻婆豆腐も、『花椒』の痺れる辛さ(麻味)と『辣椒』(唐辛子)の辛さが一体化している。そこに大豆が原料の豆鼓(トウチ)のうまみや、空豆が素材の豆板醤(トウバンジャン)の甘辛味など、発酵食品の複雑性を加えて、奥行きを出している。」の記載がある。(http://more.gnavi.co.jp/column4/59sekai.html)

(11)海平屋の世界の唐辛子の紹介で「香辛料の中では世界で一番生産、消費されている『唐辛子』。種類も呼び方も国によってさまざまだ。中国−辣椒(ラージャオ)」の記載がある。(http://www.kaiheiya.co.jp/HTML/01tougarashi/01-002.html)

(12)味苑 赤池店[中華料理]の料理紹介で「辣椒(ラージャオ:とうがらし)と花椒(ホワジャオ:山椒)をたっぷり使ったスパイシーな辛さが人気を集めています。重慶から招いた特級調理師による本格的な四川料理を竹田の『味苑』で存分に味わってください。」の記載がある。(http://gourmet.suntory.co.jp/shop/0X00046105/index.html)

(13)食在中国の中華食材の紹介で「辣椒 トウガラシ。四川料理はこれなくしては語れないというほど、四川の味づくりでは中心的な香草科です。」の記載がある。(http://www.eonet.ne.jp/~na-kuni418/chinese/zairyou3.html)

(14)福龍の担々麺のレシピ紹介で「スパイスの宿命として、粒のままで直前に挽いたほうが新鮮で香り高く美味しいのです。『辣椒油』は文字通り、油を熱して辣椒=唐辛子や山椒・ゴマ・醤油などの様々な調味料の味を油に移した『スパイス入りラー油』とでもいうべきものですが、これ一つとっても いろんな味があると思います。」の記載がある。(http://www.tantanmen.com/recipe/tantan_recipe03.html)

4 職権証拠調べに対する意見の要点

請求人は、「証拠調べにおいて、『辣椒』の文字が『唐辛子』を意味するものであるとしても、通常の日本人が、本願商標『辣椒豆板醤』中の『辣椒』の文字に注目して、『辣椒』の文字から、直ちに『唐辛子』を認識するとは、到底考えられない。仮に、『辣椒』の文字から直ちに『唐辛子』を認識するとしても、我が国において、『豆板醤』は、もともとトウガラシが入っている調味料を意味すると認識されていることから、本願商標『辣椒豆板醤』から、『唐辛子入りの豆板醤』の意味合いを直感すること自体、不自然で、論理的ではない。したがって、本願商標は、全体として特定の意味合いを看取させない一種の造語であり、これをその指定商品に使用するも、自他商品の識別標識としての機能を十分に具備する。」旨述べている。

5 当審において通知した審尋

本願商標は、「辣椒豆板醤」の文字を書してなるところ、株式会社岩波書店が発行した広辞苑第六版によれば、その構成中の「豆板醤」の文字は、「(中国語)ソラマメから作った中国の味噌。日本では一般に、豆板醤に唐辛子を入れた豆板辣醤を指す。」の意味を有するものと認められる。してみれば、本願商標は、その指定商品中、「豆板醤」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。ただし、本願指定商品の表示を「豆板醤」に補正したときは、この限りではない。旨の審尋を通知した。

6 当審の判断

本願商標は、前記1のとおり、「辣椒豆板醤」の文字よりなるところ、その構成中の「辣椒」の文字は、「デイリーコンサイス中日辞典」(株式会社三省堂発行)によれば、「唐辛子」の意味を有する語であるが、「辣椒」の語が「唐辛子」を表すものとして、上記3において示したように、中華料理の香辛料として使われている事実が認められるとしても、我が国においては、上記の意味を表すものとして一般に親しまれているものとまでは認め難いものである。また、「豆板醤」の文字は、「(中国語)ソラマメから作った中国の味噌。日本では一般に、豆板醤に唐辛子を入れた豆板辣醤を指す。」(広辞苑第六版 株式会社岩波書店発行)の意味を有し、我が国においては、「豆板醤」には、もともと唐辛子が入ったものとして一般に認識されているものである。

そうすると、上記の各文字を組み合わせた「辣椒豆板醤」の文字よりは、原審説示の如き「唐辛子入りの豆板醤」の意味合いを直ちに認識させるものとはいい難く、また、特定の商品の品質、原材料を具体的に表示したものとはいえないから、構成文字全体をもって一種の造語として認識し把握されるものとみるのが相当である。

さらに、当審において職権をもって調査したが、「辣椒豆板醤」の文字が、本願指定商品を取り扱う業界において、商品の品質、原材料を表示するものとして、取引上一般に使用されているという事実も見出すことはできなかった。

してみれば、本願商標は、これを補正後の指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、前記5の審尋に対して、その指定商品について前記1のとおり補正された結果、これをその指定商品に使用しても商品の品質の誤認を生ずるおそれもなくなった。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当でなく、取消しを免れない。

その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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