結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−300534(T2007−300534/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4076267号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成5年3月4日に登録出願、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器,貴金属製の花瓶および水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消しおよびろうそく立て,貴金属のがま口および財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉およびその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて」を指定商品として、同9年10月31日に設定登録されたものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「時計」の登録は、これを取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由の要旨
本件商標につき、その指定商品中「時計」(以下「当該指定商品」という。)の登録が不使用により取り消されるべき事由をみると、本件商標の当該指定商品については、過去3年以上に亘り日本国内において、商標権者又は使用権者のいずれもが、当該指定商品について使用されたとする事実が発見できず、不使用の事実が明らかである。又、その不使用について正当事由が有るとは、認められないものである。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、当該指定商品についてその登録は、取り消されて然るべきものである。
すなわち、商標権者は、スイス国在住であり、本件商標と同一態様での商標は、当該指定商品に、我が国において過去3年以上に亘り1度も使用されたとする事実は、請求人独自の調査によるも発見できないものである。又、本件商標をその当該指定商品につき、第三者へ使用許諾をしている事実は発見できず、日本国内においては、不使用の事実が明らかである。
特に、その不使用に対し正当な事由が有るとは、認められないものである。更に、本件商標に対する商標登録原簿をみるに、本件商標の当該指定商品である「時計」に対して、第三者への使用権の設定登録の事実も認められない。(甲第1号証)
しからば、本件商標は、過去3年以上に亘り当該指定商品である「時計」について、使用されたとする事実が発見できない点から、法律上保護に値する、使用に伴う業務上の信用が発生しておらず、所謂空権化された権利であり、形式的に権利の存在が確認できるのみで、当該指定商品における登録は取り消されて然るべきである。
(2)答弁に対する弁駁の要旨
(イ)本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているか否かであるが、本件商標の構成態様は、甲第1号証で明らかな欧文字で「ARMANI」と書してなる態様である。被請求人が使用商標として提出の乙第1号証ないし同第10号証(以下「使用商標」という。)は、被請求人が主張しているとおりの横一連に記載して成る外観構成態様である。
そこで、使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標と認められるか否かであるが、全く認められるものではなく、その主張根拠も認められない。使用商標は文字と図形の結合であるが、一連一体の構成態様として全体1個の商標登録と認められ、その構成文字部分や図形部分がそれぞれ個別に1個全体を表示するとは言い難く、文字商標の語句を平仮名・片仮名・欧文字等の重複態様でその内1個の使用において「社会通念上の同一」と認められるものとは、その構成態様が全く異なり、被請求人が主張は全く論外である。
被請求人の使用商標の主張根拠として、「構成が比較的冗長である。」とするが、社会通念上同一の判断として「構成の冗長」は根拠とはなり得ない。構成文字の数から冗長と判断しているようであるが、例えば、10字から20字構成の商標は多数認められる。しかし、その一部の文字使用を以って全体を使用したとされる「社会通念はない。」又例えば、図形と文字から成る商標は多数認められるが、その図形を基準にして「分断理解」が考えられると主張しているが、その主張は単に被請求人の希望的見解を述べているに過ぎず、何ら主張根拠とはならない点明らかである。
更に、本件商標が「周知著名である。」とされる理由根拠はなく、当該指定商品において請求人の「不使用事実が明らかである。」との指摘からして、何を根拠に「周知著名である。」と主張するか、全く不明と言わざるを得ない。
(ロ)「時計」へ本件商標が使用されていると認められる乙号証の提示はない。
乙第11号証について、「時計」について使用していると唯一の根拠資料とされているが、商品「時計」について具体的に本件商標が使用されているとする、「使用態様」が全く不明であり、そもそも乙第11号証が何の「資料」か不明であり、国内で何時どのように使用されたものかも不明であり、何等使用に係る資料とは全く認められない。
更に、「一般取引者・需要者の認識」として、乙第12号証ないし同第15号証「インターネットショッピングサイトの写」を提示し、本件商標が「アルマーニ」と略称されている。と主張しているが、提示の乙第12号証ないし同第15号証「インターネットショッピングサイトの写」には、本件商標の使用事実はなく、「略称」されているとされる主張の要証事実は全く認められていない。
(ハ)本件商標が審判請求予告登録(平成19年5月18日)前3年以内に使用している事実は、被請求人が提示の全乙号証から全く認めることは出来ない。
そもそも、予告登録日を間違えており、単なるタイプミスとも認められない。
特に、乙第12号証ないし同第15号証では、予告登録日以後の資料であり何等参考にすべき資料とも認められない。
(ニ)叙上の通り、本件商標が当該指定商品に使用されているとする事実は認められないものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第15号証を提出した。
(1)乙第1号証ないし同第10号証
被請求人は、わが国において、乙第1号証ないし同第10号証に記載の商標を「時計」について使用している。
使用商標乙第1号証ないし同第10号証は、欧大文字の「EMPORIO」と鷲の図形及び「ARMANI」の文字を横一連に記載してなる。
このように構成が比較的冗長であり、中央に鷲の図形が配置されていることも相俟って、後半部分の「ARMANI」が分断されて理解されることも十分考えられると思われる。
さらに、本件商標を構成する「ARMANI」の文字が、時計や被服等をはじめとするファッション関連で周知・著名であることをも考慮すれば、なおさら、使用商標乙第1号証ないし同第10号証は、「ARMANI」のみで自他商品識別機能を発揮しうることは明らかである。
また、かかる使用は、商標法第2条第3項第1号または同第7号の使用に該当する。
(2)乙第11号証
被請求人は、わが国において、乙第11号証に記載の商標を「時計」について使用している。
使用商標乙第11号証は、欧大文字の「ARMANI」を上段に、下段に「COLLEZIONI」の文字を小さく記載してなる。
ここで、「COLLEZIONI」の文字が「コレクション」を意味する記述的な文字である点を考慮すれば、使用商標乙第11号証において自他商品識別機能を発揮する部分は「ARMANI」である。
よって、使用商標乙第11号証は、本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
また、かかる使用は、商標法第2条第3項第7号の使用に該当する。
(3)一般取引者・需要者の認識
乙第12号証ないし同第15号証は、いわゆるインターネットショッピングサイトの写しであるが、ここでは、本件商標が使用された時計について、「アルマーニ」と略称されている。
したがって、かかる取引実情から、本件商標中「ARMANI」の文字が要部となり、自他商品識別機能を発揮しているというべきであるから、使用商標乙第1号証ないし同第11号証は、本件商標と社会通念上同一の商標と断じて然るべきでる。
(4)まとめ
以上より、本件商標と社会通念上同一性のある商標が付された商品「時計」が本件審判の請求の予告登録前3年に使用されていたものである。
(1)被請求人の提出に係る証拠についてみれば、以下の事実が認められる。
(ア)乙第1号証及び同第2号証は、商品「腕時計」(以下「使用商品」という。)を掲載したカタログと認められるところ、該カタログの表紙及び使用商品の文字盤には、別掲(2)のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示され、また、「AUTUMN WINTER 2006/2007」と記載されている。
(イ)乙第5号証は、使用商品を掲載したカタログと認められるところ、該カタログには、使用商標が表示され、また、「WATCH COLLECTION SPRING−SUMMER 2007」と記載されている。
(ウ)乙第6号証は、使用商品を掲載したカタログと認められるところ、該カタログの表紙及び末尾の頁には、使用商標が表示され、表紙には「WATCH COLLECTION FALL−WINTER 2007」の記載、末尾から2頁目には、使用商品の価格、「掲載商品の価格及び、仕様は2007年7月現在のもので、予告なしに変更する場合がございます。」の記載、「株式会社フォッシルジャパン」及びその住所、電話番号等の記載がある。
(エ)乙第7号証は、使用商品を掲載したカタログと認められるところ、該カタログの表紙及び末尾の頁には、使用商標が表示され、表紙には「WATCH COLLECTION SPRING−SUMMER 2007」と、末尾から2頁目には、使用商品の価格、「掲載商品の価格及び、仕様は2007年4月現在のもので、予告なしに変更する場合がございます。」の記載、「株式会社フォッシルジャパン」及びその住所、電話番号等の記載がある。
(オ)乙第9号証は、使用商品を掲載したカタログと認められるところ、該カタログの表紙及び末尾から2頁目には、使用商標が表示され、表紙には「COLLECTION FALL−WINTER 2004」と、末尾には、使用商品の価格、「掲載商品の価格および仕様は2004年7月現在のもので、予告なしに変更する場合がございます。」の記載、「株式会社フォッシルジャパン」及びその住所、電話番号等の記載がある。
(カ)上記において認定した事実によれば、株式会社フォッシルジャパンは、使用商品を掲載した2004年秋冬版のカタログ以降、同2007年春夏版のカタログに使用商標を付し、また、掲載中の時計の写真の文字盤中にも使用商標を付した同カタログを前記期間中(2004年秋冬以降、同2007年春夏)に展示又は頒布したものと推認することができる。
なお、被請求人は、通常使用権の許諾に関する証拠を提出していないが、被請求人が日本国内で時計について使用していることを証明するための証拠として自ら提出した株式会社フォッシルジャパン発行のカタログであることに照らせば、株式会社フォッシルジャパンは、本件商標の通常使用権を被請求人から許諾された通常使用権者であると推認することが不自然ではないというべきである。
(2)使用商標及び使用商品について
使用商標は、別掲(2)のとおり図形と文字との組合せからなるところ、該構成全体は、「EMPORIO」の文字と「ARMANI」の文字により「GA」の文字を含んだ鷲と思しき図形を挟んでなるものであって、常に一体のものとしてのみ把握しなければならないとすべき特段の理由は見いだせないものであり、また、該構成中の文字部分については、全体より特定の意味合いを有するものとして知られているとはいえないものであって、しかも、「EMPORIO」の文字と「ARMANI」の文字とは、前記図形を挟んでなることより視覚上分離して看取されるといえるものである。さらに、使用商標中の「ARMANI」の文字部分が商品「時計」に使用され周知・著名なものと認められることから、使用商標は、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、これに接する取引者、需要者は後半の「ARMANI」の文字部分に着目して取引にあたる場合も決して少なくないものというべきであり、独立して自他商品の識別機能を有していると認めることができる。
そうとすれば、本件商標は、別掲(1)のとおり「ARMANI」の文字からなるものであって、使用商標中の「ARMANI」の文字部分とその綴り字を同じくするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
また、使用商品は、本件審判の取消請求に係る指定商品の範疇に属する商品であると認められる。
(3)以上の認定事実を総合すると、被請求人は、少なくとも、本件審判の請求の登録(平成19年5月18日)前3年以内に日本国内において、通常使用権者と認められる者によって、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる使用商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認めることができる。
(4)請求人は、使用商標は文字と図形の結合であるが、一連一体の構成態様として全体1個の商標登録と認められ、その構成文字部分や図形部分がそれぞれ個別に1個全体を表示するとは言い難く、文字商標の語句を平仮名・片仮名・欧文字等の重複態様でその内1個の使用において「社会通念上の同一」と認められるものとは、その構成態様が全く異なる旨主張している。
しかしながら、前記したとおり、使用商標は、構成全体として常に一体のものとしてのみ把握しなければならないとすべき特段の理由は見いだせないものであり、しかも、文字部分については、全体より特定の意味合いを有するものとして知られているとはいえないから、この点に関する請求人の主張は採用することはできない。
(5)以上のとおり、本件商標の指定商品中、取消請求に係る第14類「時計」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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