Trademark Appeal Case
著名性の有無と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900455(T2007−900455/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5056051号商標(以下「本件商標」という。)は、「TUKI NO KATSURA」の欧文字と「月の桂」の漢字仮名交じり文字とを上下二段に横書きしてなり、平成18年8月29日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同19年6月22日に設定登録されたものである。
2 本件登録異議の申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第44号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標
申立人が引用する登録第1339090号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)に示したとおり、「伏見清酒」「月の桂」等の文字を縦書きで右から左へ書してなり、昭和47年12月28日に登録出願、第28類「清酒」を指定商品として、同53年8月17日に設定登録、その後、同63年10月25日及び平成10年9月1日の二回に亘り、商標権存続期間の更新登録がなされたものである。
同じく、登録第1339091号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)に示したとおり、「大極上中汲」「月の桂」「にごり酒」等の文字を縦書きで右から左へ書してなり、昭和47年12月28日に登録出願、第28類「濁酒」を指定商品として、同53年8月17日に設定登録、その後、同63年10月25日及び平成10年9月1日の二回に亘り、商標権存続期間の更新登録がなされたものである。
以下、一括していうときは、「引用商標」という。
(2)本件商標は、提示する各甲号証から明らかなように、申立人の商標として、広く一般に知られている(甲第6号証ないし甲第40号証)引用商標と類似するものであり、清酒醸造元が「酒まんじゅう」等の「食品」を製造販売している事実が存在する(甲第42号証)から、これをその指定商品に使用するときは、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するから、同法第43条の2の規定により、その登録を取り消すべきである。
3 当審の判断
本件商標の構成は、前記1に示したとおり、「TUKI NO KATSURA」の欧文字と「月の桂」の漢字仮名交じり文字よりなるものであるのに対し、引用商標は、前記2(1)に示したとおり、引用商標1は、「伏見清酒」「月の桂」等の文字を縦書きで右から左へ書してなり、引用商標2は、「大極上中汲」「月の桂」「にごり酒」等の文字を縦書きで右から左へ書してなるものである。
ところで、申立人は、申立人が商品「清酒」について使用する「月の桂」は、幕末のころ、石清水八幡宮への勅使・姉小路有長という公家が申立人の店舗へ立ち寄った折りに詠んだ和歌にちなんでネーミングした(甲第7号証の2)ものであると述べているが、「月の桂」は、申立人も認める(甲第7号証の2)とおり、「中国の伝説で、月の中に生えているという丈の高い桂の木」(広辞苑第5版 岩波書店)を意味し、中国の古い伝説に由来し、我が国でも、古くは、平安時代の延喜5年(西暦905年)に醍醐天皇の勅命によって編まれたとされる「古今和歌集」に納められた和歌でも採用されており、歌の世界では、秋を表す語として扱われていることが認められる。
してみれば、申立人が、「江戸時代の創業から現在に至る約330年余の間、一貫して『月の桂』を商標として自己の商品に付して販売する。」又は「『月の桂』は、幕末のころ公家の姉小路有長が申立人の店舗へ立ち寄った折りに詠んだ和歌に由来する。」としても、引用商標中の「月の桂」の文字部分は、申立人の創造標章といい得るものでなく、申立人より700年から900年以上前から使用され、一般に親しまれた熟語であるといい得るものである。
そして、「スポーツニッポン」(甲第24号証の1)によれば、「『月の桂にごり酒』・・・一升瓶で二千円。全生産量二十万本(一升瓶で)の半分がこのにごり酒という。」旨の記載があり、「醸界タイムス(甲第29号証の2)によれば、「主力商品となっているのが『月の桂』にごり酒で、年間の全販売数量の50%を超える1,100石が出荷されている。」旨の記載があるものの、1石は、一升瓶百本であることからすると、その製造・販売本数は、一升瓶に換算すると11万本であると推認できるものであり、決して多いものとはいえない。また、「月の桂」が付された商品の販売額についても、決して多いものとはいえないものであるから、引用商標の著名性が、本件指定商品「菓子及びパン」に及ぶ程に著名であるとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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