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Trademark Appeal Case

普通名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−25186(T2006−25186/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「ひつまぶし」の平仮名文字を横書きしてなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成17年12月27日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶理由の要点

原査定は、「本願商標は、「蒲焼きを細かく刻んで米飯に混ぜた料理」を認識させる「ひつまぶし」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるから、これをその指定役務に使用しても、単に役務の質(内容)、提供の用に供する物を表示するにすぎないと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 本願商標は、前記第1のとおり「ひつまぶし」の文字よりなるものであるところ、「ひつまぶし」の文字(語)についてみると、鰻を細かく刻んでご飯にまぶした料理として知られ、また、鰻を取り扱う店舗において、料理名の一つとして広く使用されている事実が認められる。

そして、上記した実情は、以下の各種新聞記事の記載、及びインターネットの情報からも裏付けられる。

(1)1998.06.25 毎日新聞地方版/静岡には、「[面白ばなし]うなぎの櫃まぶし/愛知」の見出しのもと「・・・「名古屋の名物が食べたい」と言われ「うなぎの櫃(ひつ)まぶし」をごちそうした。・・・この料理が生まれたのは、うなぎが人工養殖されていなかった時代とか。型が崩れて捨てるかば焼きが多く、ある時「もったいない」と、型崩れのうなぎをちぎってご飯にまぶしたところ、客に大受けしたそうだ。」との記載。

(2)1999.02.20 朝日新聞名古屋夕刊 9頁には、「愛知県一色町生田・千間(アベニュー・アベニュー)【名古屋】」の見出しのもと「ウナギといえば、うなどん、ひつまぶし、かば焼きを使った料理が思い浮かぶが、実は様々な食べ方ができる素材だ。」との記載。

(3)2001.03.14 朝日新聞名古屋朝刊 25頁には、「浜名湖産ウナギの「ぼくめし」(元気食べる)【名古屋】」の見出しのもと「「かば焼きや、ひつまぶし以外にも、ウナギのうまい食べ方があるよ。養殖池で年を重ねた巨大ウナギを使った料理が始まりらしい」と知人が教えてくれた。」との記載。

(4)2002.03.15 朝日新聞名古屋朝刊 23頁には、「ひつまぶし、ご当地自慢 元祖名古屋に「逆輸入」も【名古屋】」の見出しのもと「名古屋名物でありながら、全国的には知る人ぞ知る存在だったひつまぶし。これが各地で、ローカル色豊かに広がっています。・・・福岡には「博多櫃(ひつ)まぶし」・・・ご飯の上にウナギ、メンタイコのほか、大葉の細切り、ノリ、きんし卵が行儀良く並び、ワサビが添えられている。・・・同店にはタイの刺し身を載せた「鯛(たい)櫃まぶし」という変わり種もある。」との記載。

(5)2002.04.12 朝日新聞東京朝刊 22頁には、「ひつまぶし 全国で独自の味覚」の見出しのもと「刻んだウナギをご飯に混ぜる名古屋名物「ひつまぶし」。各地に広がり、ローカル色豊かにアレンジされている。」との記載。

(6)2003.07.02 毎日新聞地方版/愛知 17頁には、「[パシャPa!]鼻くすぐる、いいにおい 味なウナギ、出荷最盛期/愛知」の見出しのもと「140年の歴史を誇る老舗の鰻屋、辻屋(岐阜県関市)の5代目・・・うな丼をめざし守り続けている。蒲焼き、白焼き、ひつまぶし。「旬のウナギ」はどの食べ方を−−。」との記載。

(7)2003.08.11 日本食糧新聞には、「胃心伝真=ひつまぶし」の見出しのもと「このところ名古屋では、ウナギを細刻し、丼にまぶしてある「ひつまぶし」という食べ方が一般化している。いまでは、どこのウナギ屋でも、定番メニューのひとつとして重宝がられる存在だ▼その「ひつまぶし」が、東京でも大流行と聞いた。」との記載。

(8)2003.07.26 毎日新聞中部朝刊 24頁には、「[なごや考2003]ひつまぶし「名物」論/下 お得感も「混ぜる」」の見出しのもと「名古屋のウナギ屋の大半がメニューに加えている「ひつまぶし」だが、通に言わせると「名物」としての異論もある。・・・名古屋市錦の「いば昇」店主、木村知正さんも同意見だ。「ひつまぶし」の名物店でありながら・・・店のメニュー表でも「櫃(ひつ)まぶし」は「丼」や「長焼き」のずっと後にある。決して「櫃まぶし専門店」になる気はない。」との記載。

(9)2003.08.20 朝日新聞東京夕刊 6頁には、「お取り寄せ ウナギ マリオン」の見出しのもと「◆北九州市「鰻茶漬け」脂ののった天然のウナギを・・・ご飯の上にのせ、ほうじ茶をかけてお茶漬けにするほか、う巻やうざく、ひつまぶしなどで食べるのもお薦め。」との記載。

(10)2005.02.22 電気新聞 8頁には、「[時評・ウェーブ]上坂冬子 名古屋万博」の見出しのもと「ひつまぶしというのは、タレのよく滲みた鰻を細かく切ってご飯の上にのせた丼に、きざみ海苔とわさびがついてくる。半分はご飯に鰻をまぶして食べ、残り半分は海苔とわさびで香ばしいお茶漬けにして味わえば一杯で二度の満足感が味わえるというわけだ。」との記載。

(11)2006.07.29 読売聞東京夕刊 15頁には、「[写旬]でらスイーツ」の見出しのもと「・・・名古屋の喫茶店。鰻(うなぎ)の「ひつまぶし」のように全国席巻なるか、〈でらスイーツ〉は。」との記載。

(12)2007.03.18 朝日新聞東京地方版/千葉 29頁には、「はかりめ、富津にうえぇ 市内39店、特産「料理」でPR/千葉県」の見出しのもと「はかりめは、その姿が市場や魚河岸で使う棒秤(ぼうばかり)の秤目(はかりめ)に似ていることからついたあなごの呼び名・・・おなじみは煮たものをあぶり、煮詰めたたれをかけ回したはかりめ丼や、天ぷら。ほかに櫃(ひつ)まぶし、握り、刺し身、釜飯などメニューは多彩。」との記載。

(13)2007.07.20 朝日新聞北海道夕刊 7頁には、「しょっぷ/北海道」の見出しのもと「◇大丸・・・8階レストラン街では〈アジアン ハッティ〉「ひつまぶしと海老と冬瓜の冷製フォー」(1470円)など。」との記載。

(14)2007.11.15 朝日新聞名古屋夕刊 4頁には、「(ナゴヤ 虚と実:7)味噌カツ丼 浅草の料理人、戦後考案 呉智英【名古屋】」の見出しのもと「鰻(うなぎ)の「ひつまぶし」は安くてうまいので、東京や関西でも人気が出てきた。安くてうまいのも道理、戦後の食糧難の時代に鰻のこまぎれを活用して考案された料理だ。後には最初から鰻を刻むようになった。」との記載。

(15)「クチコミによる人気のお店情報ポケッチュ!グルメ」(http://cep.jp/pc/shop/shop_list_genre_result/sgenre/3/)のホームページには、うなぎ料理を提供する店舗「鰻処 まえの 瑞穂通店」、「うなぎ やっこ」、「大和田」、「宮鍵」、「鰻の魚勇」、「あつた蓬莱軒本店」、「うな昇」、「柔らかひつまぶし割烹 うな善」等において「オススメ:ひつまぶし」との記載。

以上よりすると、「ひつまぶし」の文字(語)は、戦後の食糧難の時代に鰻のこまぎれを活用して考案された料理であって、名古屋の鰻屋の大半がメニューに加えており、名古屋名物として全国に知られているものと認められる。

そうすると、「ひつまぶし」の文字からなる本願商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該役務が鰻を細かく刻んでご飯にまぶした料理の提供であると理解するにとどまり、該役務の質、役務の用に供する物を表示したものと認識し、自他役務の識別標識としての機能を有しないものといわざるを得ない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

2 請求人(出願人)は、「ひつまぶし」商標の権利者であり、明治6年創業以来、鰻料理店舗を持ち、名古屋を始め東海地区を中心とする一般社会の鰻料理の需要者に広く「鰻料理の提供」及び「持ち帰り用鰻料理」の役務を提供し使用した結果、自他役務識別性を有する旨、また、少なくともサービスマーク制度が法律化された時点で、自己の業務に係る指定役務「飲食物の提供」を表示するものとして、需要者の間に広く認識される程度の信用を形成しており、周知商標としても登録を受けることができる旨主張し、甲第1号証ないし甲第17号証(枝番を含む。以下、同じ。)及び検甲第1号証を提出している。

そこで、請求人(出願人)提出の甲各号証についてみるに、請求人(出願人)は、「ひつまぶし」商標(登録第1996631号)を昭和60年6月14日に登録出願し、「第32類:食肉,卵,食用水産物,野菜,果実,加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として同62年11月20日に設定登録されている商標の権利者(甲第1号証)であり、「御食事」として「鰻丼」、「ひつまぶし」、「長焼定食」、「天麩羅定食」及び「かしわ定食」の記載がある請求人(出願人)の昭和30年当時と推認できるお品書き(甲第13号証の4:検甲第1号証)、及び「名物 ひつまぶし」の記載のある店舗カタログ及びハローページ(甲第3号証及び第4号証)、甲第14号証ないし甲第17号証により、請求人(出願人)は、少なくとも昭和30年頃より現在において、食事として「ひつまぶし」を提供していると認められる。

しかしながら、「ひつまぶし」は、お品書きにあるように、「鰻丼」、「長焼定食」等の料理名と同じ欄に書いてあることより、料理名として認識されるとみるのが相当であり、飲食物の提供について使用する商標として広く認識されているとはいい難い。

また、出願に係る商標が自他役務の識別力を有するか否かの判断時期は、査定又は審決時と解されるものであることからすれば、「ひつまぶし」の文字(語)は、現在において、鰻料理を提供している各店舗における料理名の一つとして一般に使用されていること前記1のとおりであり、本願商標は、その指定役務との関係において、鰻を細かく刻んでご飯にまぶした料理の提供であると理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を有しないものであるといえるから、請求人(出願人)の使用の事実、あるいは商品における登録商標があるとしても、その主張は採用することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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