Trademark Appeal Case
ナノカプセルの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年異議第90554号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4028117号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ナノカプセル」の片仮名文字と「NANO CAPSULE」の欧文字とを二段に左横書きしてなり、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成7年10月30日登録出願、同9年7月11日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
本件商標は、その指定商品中「ナノカプセル」の技術を応用した商品との関係において本件商標を使用した場合、単に商品の品質を表示するにすぎず、自他商品識別機能を発揮し得ないものであり、かつ、「ナノカプセル」の技術と無関係の商品に使用した場合、あたかも「ナノカプセル」の技術を応用した商品であるかのごとき、商品の品質について誤認を与えるものといわざるを得ないから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
本件商標は、「ナノカプセル」の片仮名文字及び「NANO CAPSULE」の欧文字を2段に左横書きしてなるものである。
そこで、登録異議申立人の提出に係る甲各号証を総合勘案するに、本件商標を構成する「ナノカプセル/NANO CAPSULE」の文字は、「ナノチューブ」と同様、直径ナノメートル単位のかご状炭素多面体で、内部にいろいろな物質を詰めることができる新しい「分子カプセル」を意味することが認められ、該カプセルは、内部に薬品を始め、栄養成分、食品色素、香料などを包み込むことにより、その物質を安定に長持ちさせることができるカプセル化技術の一つであって、各種分野において応用可能であることが認められる。
そして、甲第2号証によれば、本件商標の指定商品に含まれる化粧品について「〜ビタミンA(肌の保護成分)をミクロの1000分の1の大きさのナノカプセルによって、角質層の奥へと届けます。」のように、商品の記述として商品広告に使用されている事実がある。
そうとすれば、本件商標は、これをその指定商品中、「ナノカプセル技術を応用した商品」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は前記した事情よりして、その商品の品質を表現するための文字として理解、認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。
また、前記に照応する商品以外の商品について使用するときは、その商品の品質について誤認を生ずさせるおそれがあるものといわなければならない。
ところで、商標権者は、意見書において、「ナノカプセル」は現代用語として未だ充分認知されているものとはいえない。また、甲第2号証のパンフレットのみをもって「ナノカプセル」の語が化粧品業界において広く知られているものとは認められない、旨述べているが、職権をもって調査したところ、例えば、1993年3月31日発行の日刊工業新聞に、「NTT、三重大、共同研究で超微細粒子を密閉するナノカプセル発見。機能材開発に拍車」、1993年4月2日発行の朝日新聞(夕刊)に、「数万分の1ミリサイズの『ナノカプセル』新素材開発にひと役」等の記事が掲載されている事実がある。また、申立人の提出に係る参考資料によれば、「ナノカプセル」に関連した多数の文献が挙げられている、この文献が商標権者の主張するように、主として化学、薬学、医学分野の専門家を対象にしたものであるとしても、「ナノカプセル」の語は、前記のように各種の新聞記事、多数の文献等に掲載されている事実より化粧品、医薬品等の各種分野において内部に薬品を始め、栄養成分、食品色素、香料などを詰めることができるカプセルを意味するものとして使用されているといえることから、「ナノカプセル技術を応用した商品」の品質を表現するための文字として理解、認識するにとどまることは前記したとおりであって、商標権者のこの点に関する意見は、採用することができない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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