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Trademark Appeal Case

部品形状の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2005−7958(T2005−7958/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第15類「弦楽器用駒(ブリッジ)その他弦楽器附属品及び弦楽器」を指定商品として、平成16年5月31日に立体商標として登録出願されたものである。

その後、指定商品については、同17年2月16日付けの手続補正書により、第15類「弦楽器」に補正され、さらに、同19年8月1日付けの手続補正書により、第15類「弦楽器(部品及び附属品を除く。)」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由の要点

原査定は、「本願商標は、別掲のとおりの立体的形状のみからなる立体商標として登録出願されたところ、『弦楽器用駒(ブリッジ)』の形状としてその一形態を表したものとみられるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標をその補正後の指定商品『弦楽器』に使用するときは、その商品があたかも『弦楽器用駒(ブリッジ)』であるかのように、その商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした審尋

請求人(出願人)は、本願商標の指定商品について、前記1のとおり、平成17年2月16日付けの手続補正書により、第15類「弦楽器」に補正し、「本願商標の拒絶の理由の商標法第3条第1項第3号が解消すると共に、同法第4条第1項第16号も解消した」旨主張しているので、当審において、同19年6月14日付けで、以下の審尋を発して、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨を通知し、相当の期間を指定して請求人に意見を述べる機会を与えたものである。

(1)本願商標は、別掲のとおり、頭部が台形でマイナスの溝のあるボルトと見られるものを左右に2つ配し、その周辺には、扇状の図形がそのボルトを中心にして6つ円形に広がり、その2つのボルトの間に、それよりやや小さい6つの、同じく頭部が台形でマイナスの溝のあるボルトと、六角形のナットと、そのボルトには可動式の四角形の部品を有する形状よりなるものであり、補正後の指定商品「弦楽器」との関係において、「6弦の弦楽器(ギター)用駒(ブリッジ)」を表したものと理解できる形状からなるものとみるのが自然である。

ところで、弦楽器を取り扱う業界において、ギターは、ボディ部を始め、サウンドホール部、ヘッド部、等、あらゆる部分が美感をより優れたものにするなどの目的で、デザインされ、加工が施され、販売されているところである。

そうすると、本願商標は、その指定商品との関係においては、「弦楽器用駒(ブリッジ)」の部分の形状として予測し難いような特異な形状や特別な印象を与える装飾的形状であるということはできず、むしろ、「弦楽器用駒(ブリッジ)」としての機能をより効果的に発揮させたり、美感をより優れたものにするなどの目的で同種商品が一般的に採用し得る範囲内のものにすぎないとみるのが相当である。

(2)請求人は、指定商品について、平成17年2月16日付け手続補正書により、第15類「弦楽器」と補正しているが、本願商標の補正後の指定商品中には、その部品及び附属品も含まれるものと認められる。

(3)してみれば、本願商標は、その指定商品「弦楽器」に使用した場合には、その構成部品の一つである「弦楽器用駒(ブリッジ)」の形状を表したにすぎないものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3項に該当するものといわざるを得ない。

4 審尋に対する請求人の回答

請求人は、前記3の審尋に対して、平成19年8月1日付けの手続補正書により商品を補正し、同日付けの上申書において、要旨以下のとおり述べている。

本願商標は、「ZEMAITISギター」であることを証明できる目印(識別標識)であって、この識別標識があることによってはじめて「ZEMAITISギター」と認識されるのである。それほどまでに独創的なデザインを有しているのである。指定商品「弦楽器」として識別力は十分に備えていると確信している。

5 当審の判断

(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異な形状であっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。

また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

(2)そこで、以上のことに照らし、本願商標について検討する。

前記3の審尋に記載のとおり、請求人に通知したところ、請求人は、前記4のとおり意見を述べているところである。

しかして、前記3の審尋のとおり、本願商標は、補正後の指定商品「弦楽器(部品及び附属品を除く。)」との関係において、「6弦の弦楽器(ギター)用駒(ブリッジ)」を表したものと理解できる形状からなるものとみるのが自然である。

(3)ところで、弦楽器を取り扱う業界において、ギターは、ボディ部を始め、サウンドホール部、ヘッド部等、あらゆる部分が美感をより優れたものにするなどの目的で、デザインされ、加工が施され、販売されている実情が以下のとおり見られる。

インターネットのホームページにおいて、「6弦の弦楽器(ギター)用駒(ブリッジ)」について、商品を広告している事実が、以下のとおり見られる。

(3−1)ポップギターズのホームページ(http://www.pop-guitars.com/poptune/bridge/ptb101r.html)において、「POPTUNE【ポップ・チューン】ローラーサドル・ブリッジ」の見出しで、商品「ブリッジ」について、写真及び複数の図面を掲載し、広告している。

(3−2)ポップギターズのホームページ(http://www.pop-guitars.com/poptune/bridge/ptb102r.html)において、「POPTUNE【ポップ・チューン】ローラーサドル・ブリッジ」の見出しで、上記と異なるデザインの商品「ブリッジ」について、写真及び複数の図面を掲載し、広告している。

(3−3)ポップギターズのホームページ(http://www.pop-guitars.com/poptune/bridge/bsb.html)において、「POPTUNE【ポップ・チューン】ロッキング・ローラーサドル・ブリッジ」の見出しで、上記と異なるデザインの商品「ブリッジ」について、写真と共に、広告している。

(3−4)ギターシーオージェーピーのホームページ(http://www.guitar.co.jp/SHOP/PBBR-015.html)において、「Gibson T−O−Mブリッジ」の見出しで、商品「ブリッジ」について、写真と共に、広告している。

(3−5)ヤマハ株式会社のホームページにおいて、「エレクトリックギター」(http://www.yamaha.co.jp/product/guitar/column/eg/col05103101/005.html)及びそのダイキャストブリッジ(http://www.yamaha.co.jp/product/guitar/column/eg/col05103101/008.html)について、写真と共に、広告している。

また、各社が発行するカタログにおいて、商品「エレクトリックギター」について、商品を広告している事実が、以下のとおり見られる。

(3−6)株式会社フィルモアが発行する「モズライト・ギター」のカタログにおいて、ボディー部、ヘッド部、ブリッジ部等について、多様にデザインされた各種エレクトリックギターを広告している。なお、「2007年、モズライト・ギターは誕生55周年を迎えました。・・・2007年は・・・55周年記念モデルを続々と発表してまいります。」との記載があり、これらの記載から、このカタログは、2007年に発行したものと認められる。

(3−7)DEAN GUITARSのエレクトリックギターのカタログ「DEAN 1977−2007 30YEARS OF EXCELLENCE」「2007−08COLLECTION」(裏表紙の著作権を表すものと認められる円形の中に欧文字「c」の表示と「2007−08 Dean Guitars」の記載から、2007年に発行したものと認められる。)において、ボディー部、ヘッド部、ブリッジ部等について、多様にデザインされた各種エレクトリックギターを広告している。

(4)そうすると、本願商標は、その指定商品との関係においては、「6弦の弦楽器用駒(ブリッジ)」として予測し難いような特異な立体的形状や特別な印象を与える装飾的な立体的形状であるということはできず、むしろ、「6弦の弦楽器用駒(ブリッジ)」としての機能をより効果的に発揮させたり、美感をより優れたものにするなどの目的で同種商品が一般的に採用し得る範囲内のものにすぎないとみるのが相当である。

してみれば、本願商標を、その指定商品「弦楽器(部品及び附属品を除く。)」に使用した場合には、その一構成部分である「6弦の弦楽器用駒(ブリッジ)」の形状を表したにすぎないものであるといわざるを得ない。

(5)なお、請求人は、原審においての資料、平成17年8月12日付けの手続補正書及び甲第1号証、さらに、同19年8月1日付けの上申書において、「本願商標は『ZEMAITISギター』であることを証明できる目印(識別標識)であって、この識別標識があることによってはじめて『ZEMAITISギター』と認識されるのである。それほどまでに独創的なデザインを有しているのである。指定商品『弦楽器』として識別力は十分に備えていると確信している。」と述べ、証拠を提出しているが、かかる書証よりは、本願商標と同様な「駒(ブリッジ)」を備えたエレクトリックギターが確認できるものの、これらは、そのギター本体又は掲載記事中に、「ZEMAITIS」、「ゼマイティス・ギター」及び「菱形と欧文字Zの組み合わせよりなるマーク」等を伴って表示されているものであって、その他、本願商標の使用期間、使用地域、生産又は譲渡の数量、広告宣伝の方法、回数及び内容等について、立証されていないから、提出した証拠によっては、請求人のかかる主張は認めることができない。

(6)したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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