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Trademark Appeal Case

要部抽出と称呼の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2006−90320(T2006−90320/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4942435号商標の指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授,生け花の教授」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4942435号商標(以下「本件商標」という。)は、「家元華月流」の文字を横書きしてなり、平成16年7月8日に登録出願され、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,生け花の教授,セミナーの企画・運営又は開催,植物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,書画の貸与,写真の撮影」を指定役務として、同18年4月7日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立の理由の要点

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立の理由を要旨以下のように述べ、その証拠方法として、甲第1号証ないし甲第155号証を提出した。

本件商標の登録は、その出願前から申立人細川智(花名を「細川伯秀」という。)が主催する流派が役務「生け花の教授」等に使用し、取引者、需要者間に広く認識された「華月流」(以下「引用商標」という場合もある。)なる商標に類似する商標であって、同一の役務又はこれらに類似する役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当するものであるから、同法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきである。

3 当審が通知した取消理由通知(要旨)

(1)申立人の提出に係る甲第1号証ないし甲第154号証及び資料1ないし資料12によれば、以下の事実が認められる。

(ア)引用商標は、昭和19年に、申立人の実父である細川辰夫(花名:金丸秀華)が「生け花」の流派として創流して以来、今日に至るまで、申立人及びその実父が家元を務める又は努めた生け花の流派の名称として、継続してその事業活動に使用されていること、その事業活動の範囲は、多くは四国地方を中心にして行われているが、広く北海道から九州に及ぶまで展開していること(資料2によれば、日本全国及び海外に171の支部が存在することが認められるが、資料2の作成日が不明である。しかし、本件商標の登録出願時においても、相当数の支部が存在していたことは、華月流の機関紙等により、十分推認し得るところである。)、申立人らは、昭和33年ころより、華月流の機関紙を毎月発行し、その事業活動の状況を会員等に周知していたこと。

(イ)昭和42年に開催された第1回日本いけばな芸術展(主催:財団法人日本いけばな芸術協会、後援:文部省、外務省)に、当時家元であった細川辰夫以下約20名が華月流を代表して作品を出品したこと、該日本いけばな芸術展は、日本の代表的流派約130が一堂に会した生け花の展覧会であり、高松宮妃殿下が名誉総裁であったこと、また、細川辰夫は、第1回日本いけばな芸術展の理事を務めたこと、華月流は、その後の日本いけばな芸術展においても、数多くの作品を出品しているばかりでなく、本件商標の登録出願前までに、四国のみならず、日本各地で独自の展示会を数多く開催したこと、さらに、細川辰夫は、日本の生け花界の功労者として、生け花界では相当程度知られていることがなど認められる。

(2)上記(1)で認定した事実によれば、引用商標は、本件商標の登録出願前には、申立人及びその実父が家元を務める又は努めた「生け花の教授」の流派の名称を表示するためのものとして、わが国の生け花界において、広く認識されていたものと認め得るところである。

(3)本件商標は、前記1のとおり、「家元華月流」の文字を書してなるものであるところ、その構成中の「家元」の文字部分は、「芸道で、その流祖の正統を伝える地位にある家・人。宗家。」(「広辞苑第5版(株式会社岩波書店:発行)」)を意味する語として一般に広く理解されているものであり、本件商標をその指定役務中の「生け花の教授」等の技芸の教授について使用した場合は、自他役務の識別力を有しない部分といえるから、本件商標中の「華月流」の文字部分が自他役務の識別標識としての機能を発揮する部分というべきである。

そうすると、本件商標の要部たる「華月流」の文字部分は、引用商標と同一の漢字よりなるものであるから、引用商標と外観においてきわめて近似するものであるのみならず、「カゲツリュウ」の称呼及び「生け花の流派としての華月流」の観念を同じくする類似の商標であって、また、本件商標の指定役務中の「技芸・スポーツ又は知識の教授,生け花の教授」は、引用商標が使用される「生け花の教授」と同一又は類似の役務と認められる。

(4)以上のとおりであるから、本件商標の登録は、その指定役務中の「技芸・スポーツ又は知識の教授,生け花の教授」について、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものといわなければならない。

4 商標権者の意見(要旨)

(1)「華月流」の周知性について

商標権者は、前記3の取消理由の通知に対し、申立人が提出した甲第1号証ないし甲第154号証には、「華月流」なる文字が632箇所、「華月流家元」なる文字が41箇所、「華月流宗家」なる文字が5箇所ほど確認できる。したがって、「華月流」や「華月流家元」、「華月流宗家」なる文字が使用されていることは認められる。具体的には、例えば、甲第1号証には「華月流」と記載され、甲第126号証には「華月流宗家」と記載され、甲第154号証には、FM香川のラジオ番組「今夜の忘れもの」の2月19日〜3月12日の枠において、「細川伯秀さん(華道 華月流家元)」と表示されている。このように、申立人は、周知商標と称する「華月流」の他、「華月流家元」や「華月流宗家」を使用しており、このようなその時々において個別の取扱いをしており、一定した商標の使用をしておらず、このような商標を使用すると、その反面からして「華月流」の周知性が希釈されると考えられる。

(2)「家元華月流」を分離判断している点に関して

(ア)出願の段階において、本件商標は「華月流」と類似するから、商標法第4条第1項第10号に該当するとして拒絶査定された(審判注:「自他役務の識別標識としての機能を有しないから商標法第3条第1項第6号に該当する」の誤りと認める。)。

(イ)拒絶査定不服審判において、本件商標は「同書、同大、等間隔で外観上も一体不可分に表現され、しかも構成全体をもって称呼しても、よどみなく一気一連に称呼し得るものである。」と判断され、登録査定された。

(ウ)しかし、この度の取消理由通知は、本件商標を「家元」と「華月流」に分離して判断すべきであるとして、周知商標である「華月流」とは全体として類似しており、指定役務も同一であるため、商標登録を取り消すものとしている。

(エ)この本取消理由通知の判断は、審判段階での判断と相違する。このような不統一な判断が許されるならば、商標権者は安心して商標を使用できず、「商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与」する商標法の法目的に反し妥当でない。したがって、異議申立て段階でも審判段階と同じ統一的な判断が望まれる。

(オ)そして、本件商標は「家元」と「華月流」の間にスペース等がない。したがって、「家元」と「華月流」を分離判断すべきではなく、商標全体として一体に判断すべきとする意見が認められた審判段階の判断を尊重すべきであり、異議申立て段階の判断を審判段階の判断に踏襲すると合理的であり、法の安定性に寄与する。

(力)以上より、審判段階の判断と異なるこの度の取消理由通知の判断は妥当ではなく、取り消されるべきである。

(3)本件商標「家元華月流」の使用について

本件商標権者の岩瀬妙子(以下「岩瀬妙子」という。)は、本件商標である「家元華月流」なる商標をはじめとして、「華月流」や「華月会」といった様々な商標を愛知県地方で使用しており、これらの商標を使用することにより地域に貢献する様々な活動を行っているため、本願商標である「家元華月流」は、地域に根付いた商標で、保護に値する商標であるといえる。

(ア)岩瀬妙子は、老人保健施設「ひまわり」において、ボランティア活動として毎月2回、華道を指導している(乙第1号証)。このように、岩瀬妙子は、華道を通じてお年寄りの方々に華を生ける楽しみを与え、また、元気を与えている。このように岩瀬妙子は、生け花を通じて積極的に地域に貢献している。

(イ)また、岩瀬妙子は、西尾市教育委員会が主催する子ども達の健全育成を目的とする「サタデープラン」で生け花教室「アレンジフラワー」を開催している。岩瀬妙子はこの「アレンジフラワー」においても地域に貢献する活動を積極的に行っており、また、子どもの情操教育に役立っている。

この点を証明する事項として、「サタデープラン」の情報誌「みんなおいでん」(乙第2号証)の第6号の「アレンジフラワー」の箇所には、岩瀬妙子の写真が掲載されている。また、第5号には「アレンジフラワー(華月流)」と、第7号には「アレンジフラワー」と、第11号には、「伝統文化教室アレンジフラワーお茶作法(華月流)」と記載されている。

また、岩瀬妙子は、西尾市勤労青年ホームから華道の講師を依頼され、子供達に生け花の基本作法を指導している。この点を証明する事項として、乙第3号証に記載されている。

(ウ)さらに、岩瀬妙子は、「財団法人伝統文化活性化国民協会」に入会し賛助会員となっており、該協会を支援している。この点は、該協会の公報誌「伝統文化(NO.13〜18、20)乙第4号証」に岩瀬妙子の名前が記載されていることより明らかである。

(エ)そして、岩瀬妙子は、「西尾市こどもいけばな教室」を団体名「華月会」で開催している。この活動においても、子どもの情操教育に役立っており、この点もしん酌していただきたい。この点については、該協会が編集・発行した「伝統文化をこどもに」の平成16年度「伝統文化こども教室」採択一覧に「西尾市こどもいけばな教室」が掲載されている(乙第8号証)。

(オ)また、華月流としては、西尾文化協会主催の「諸流総合いけ花展」に出展している(乙第9号証、乙第10号証)。

(力)その他、華月会として活動していることを証明する資料として「こども教室実施日報」(乙第5号証)や「華月会会則」(乙第6号証)がある。 また、「財団法人伝統文化活性化国民協会」への経費支払い請求書(乙第7号証)がある。

(キ)岩瀬妙子は、FMおかざきのラジオ番組「Ms.エイジレス」(2006年9月21日(木)19:30〜20:00)に出演して、視聴者から好評を得た(乙第11号証)。

(ク)これらの岩瀬妙子の活動状況及び商標の使用状態を考慮すると、本件商標「家元華月流」は、地域に根付いた活動を行っていることを証明できることが本件商標権者の望んでいることである。この点を考慮して頂きたい。

(4)結論

以上の点を考慮すると、岩瀬妙子は、子どもから年配者まで様々な人々に華道を指導しており、これら岩瀬妙子を師と仰ぐ人々は、商標登録の維持を望んでおり、勿論、岩瀬妙子も商標登録の維持を強く望んでいる。そして、この度の取消理由は妥当でないものである。

5 当審の判断

商標権者は、平成19年1月16日付けの前記3の取消理由の通知に対し、同年2月16日付け前記4の意見書を提出し意見を述べているので、以下検討する。

(1)登録異議の申立て制度の目的(趣旨)及び取消理由の通知について

商標権者は、意見書において、拒絶査定不服審判の判断を踏襲すると合理的であり、法の安定性に寄与する旨の意見を述べている。

しかしながら、登録異議の申立て制度の目的は、登録の適否を重ねて審理し、暇庇のある登録商標を排除することによって商標登録に対する信頼を維持することを目的とするものである。そして、登録異議の申立を受けて重ねて審理した結果、登録が誤りであるとの結論に達したとき、査定と異なる決定をすべきことは制度自体が予定するところというべきである。

そして、本件取消理由の通知は、登録の適否の審理を重ねた結果、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとしたものである。

(2)本件商標について

本件商標は、前記1のとおり「家元華月流」の文字を書してなり、前記3(3)のとおり、自他役務の識別標識としての機能を発揮する部分は「華月流」の文字部分と認められる。

この点に関し、商標権者は、「家元」と「華月流」の間にスペース等がないから、分離判断すべきではないと述べているが、「家元」の文字の意味するところの考慮が無く、スペースの有無のみをもって不可分一体の商標とすべきとの主張は認められない。

(4)引用商標の周知性について

商標権者は、「申立人は、周知商標と称する『華月流』の他、『華月流家元』や『華月流宗家』を使用しており、このようなその時々において個別の取扱いをしており、一定した商標の使用をしておらず、このような商標を使用すると、その反面からして『華月流』の周知性が希釈される。」と述べているが、「家元」及び「宗家」の各文字の意味は、前記3(3)のとおりであり、「華月流家元」や「華月流宗家」からは共に、「『華月流』の流祖の正統を伝える地位にある家・人」程度の意味を理解させるというのが相当であるから、これらの使用が「華月流」の周知性を希釈させるような使用ということは出来ない。そのほか、商標権者は、引用商標の周知性を否定する主張はしていないし、全く証拠がない。

そして、引用商標の周知性については、前記3(1)の事実及び同(2)の認定のとおりである。

(5)本件商標の周知性について

(ア)前記4(3)において、申立人は、「家元華月流」をはじめとして「華月流」や「華月会」等を愛知県地方で使用しており、地域に貢献し根付いた商標であると主張している。

(イ)主張及び証左によると、申立人はボランティア活動として老人保健施設で華道を指導していること、子供向けの「アレンジフラワー」や「いけばな教室」等を行っていること、及び「財団法人伝統文化活性化国民協会」に入会し、該協会の公報誌に請求人の名前が記載されたこと等が窺い知れるが、「家元華月流」の商標を請求人が使用していると確認できるのは「華道の講師の依頼」(乙第3号証)及び「こども教室実施日報」(乙第5号証)のみである。そして、他の証左についてみるに、

(ウ)「教室名」として「アレンジフラワー(華月流)」及び「伝統文化こども教室/アレンジフラワーお茶作法(華月流)」(乙第2号証)と、「華月会会則」には「華月流華道」(乙第6号証)と、「伝統文化こども教室事業経費支払い請求書」には「団体名」として「華月会」(乙第7号証)と、「第三十三回清流総合いけ花展」のパンフレットには「華月流」(乙第9号証)と、「西尾文化」のパンフレットには「華月流」(乙第10号証)と、「FMおかざき」の紹介には「生け花教室華月流」(乙第11号証)と記載のみである。

(エ)さらに、「ボランティア活動証明書」(乙第1号証)及び「伝統文化」の標題の雑誌(乙第4号証)には請求人の記載のみであり、「伝統文化をこどもに」(乙第8号証)には「西尾市こどもいけばな教室」としか記載がないのもである。

(オ)また、上記(ウ)の「FMおかざき」(乙第11号証)の紹介中にはゲストとして「家元 岩瀬華月」の記載はあるが、請求人の氏名とは異なり、かつ請求人との関係も不明である。

(カ)まとめ

以上のことからすると、請求人は、「生け花教室」等において講師を努め、生け花展に出展を行っていた程度のことは認められるとしても、その地域は愛知県西尾市及びその周辺に限られ、また、常に「家元華月流」の商標を使用していたとも認められないことからすれば、「家元華月流」が請求人の商標として一地方に周知であるということはできない。

(5)本件商標と引用商標との類否について

上記の事実を総合して、本件商標と引用商標とを対比すると、本件商標の要部たる「華月流」の文字部分は、引用商標と同一の漢字よりなるものであるから、引用商標と外観においてきわめて近似するものであるのみならず、「カゲツリュウ」の称呼及び「生け花の流派としての華月流」の観念を同じくする類似の商標であって、また、本件商標の指定役務中の「技芸・スポーツ又は知識の教授,生け花の教授」は、引用商標が使用される「生け花の教授」と同一又は類似の役務と認められる。

(6)結論

以上検討したとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、かつ、本件商標の指定役務中の「技芸・スポーツ又は知識の教授,生け花の教授」と引用商標の指定役務「生け花の教授」とは互いに類似する役務と認められるものである。

そうとすれば、本件商標は、その登録査定時はもとより、その登録出願時においても、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似する商標であって、その使用に係る役務又はそれに類似する役務について使用をするものといわなければならない。

したがって、本件商標は、その指定役務中の「技芸・スポーツ又は知識の教授,生け花の教授」の登録について、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すものとする。

また、本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務については、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたということができないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持するものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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