Trademark Appeal Case
指定商品の非類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900491(T2007−900491/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5061840号商標(以下「本件商標」という。)は、緑色に着色された「Esprit」の欧文字を横書きしてなり、平成18年12月15日に登録出願され、第4類「工業用油,エンジンオイル」を指定商品として、平成19年7月13日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第653754号商標は、「エスプリ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和38年3月27日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和39年9月21日に設定登録され、その後、昭和51年8月9日、昭和59年10月19日、平成6年12月21日及び平成16年6月29日の4回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成18年1月4日に指定商品を第24類「タオル,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする書換登録がされているものである。
同じく登録第1558196号商標は、「ESPRIT」の欧文字を横書きしてなり、昭和53年12月11日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和57年12月24日に設定登録され、その後、平成6年1月28日及び平成14年12月10日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成17年1月5日に指定商品を第24類「タオル,洗面タオル,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「セーター類,コート,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,えり巻き,靴下及びストッキング,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,ずきん,ヘルメット,帽子,その他の被服」とする書換登録がされているものである。
同じく登録第2097119号商標は、別掲のとおりの構成からなり、昭和61年8月8日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和63年11月30日に設定登録され、その後、平成11年1月5日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
以下、これらを一括して「引用商標」という。
3 登録異議申立ての理由の要点
(1)引用商標は、本件商標の登録出願前から申立人会社又は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本及び世界中の需要者に認識され周知著名なものとなっており、本件商標と引用商標とは称呼、外観及び観念において同一又は類似であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)本件商標は、周知著名である引用商標と同一又は類似であることから、混同のおそれが生じるものであることは明らかであり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)本件商標は、申立人所有の周知著名商標をそっくりそのまま表記したものであり、該商標の顧客吸引力を利用し又は希釈化させる等、不正な目的で使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
申立人は、引用商標を登録し使用してきた結果、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして周知・著名となっている旨主張しているが、商標法第4条第1項第10号に該当するというためには、本件商標が、需要者間に広く認識されている商標と同一又は類似であって、かつ、その指定商品(役務)も同一又は類似するものに使用するものでなければならないところ、本件商標の指定商品が「工業用油,エンジンオイル」であるのに対し、引用商標の指定商品は、前記2のとおり、「被服、布製身回品、寝具類」等であって、産業分野が異なるだけでなく、その用途、原材料、需要者、流通系統等が著しく異なるものであり、明らかに別異の商品であるから、互いに類似するものとはいえない。
他に、引用商標が本件商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用されていることを示す証左は一切ない。
したがって、引用商標の周知・著名性及び本件商標との類否について言及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして周知・著名となっているとして甲第4及び第5号証を提出している。
しかしながら、甲第4号証は、各国における申立人会社の店舗の店頭を撮影した数葉の写真であり、甲第5号証は、英文による申立人のインターネットホームページの写しと認められるところ、該写真からすると引用商標は被服等について使用しているものと推認されるものの、これらの証拠によっては、引用商標が具体的にどのような商品にどのように使用されているのか明らかでないばかりでなく、該商品の取引実態、売上高、宣伝広告等が一切不明であり、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者間に広く認識されているものとは認められない。
他に、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者間に広く認識されていると認めるに足る証左はない。
仮に、引用商標が申立人の業務に係る商品「被服」等を表示するものとして取引者・需要者間にある程度知られているとしても、上記(1)のとおり、本件商標の指定商品と引用商標に係る「被服」等とは、産業分野等が異なる、明らかに別異の商品である。
かかる事情の下において、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者が、引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはなく、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(2)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者間に広く認識されているものとはいえないし、引用商標の使用に係る商品と本件商標の指定商品とは別異のものである。
加えて、「esprit」及び「エスプリ」の文字は、「精神、才気、機知」の意味を有するフランス語及び外来語として一般に親しまれた語であり、独創性のあるものでもなく、普通に採択・使用され易い語である。
そうすると、本件商標が、引用商標と綴り、称呼等において一致するところがあるとしても、偶然一致したにすぎないというべきであり、本件商標は、引用商標の顧客吸引力を利用ないしは希釈化する等の不正の目的で使用するものとはいえない。
なお、申立人は、本件商標が上記不正の目的で使用するものであることを具体的に示す証左を何ら提出していない。
したがって、本件商標は、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものとはいえない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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