Trademark Appeal Case
「香梨」の品種名と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−28833(T2006−28833/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「かおり」の平仮名文字と「香梨」の漢字を上下二段に書してなるものであり、第31類「梨,梨の木」を指定商品として、平成17年11月22日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『良いにおい』を意味する『かおり』の文字と『良いにおいのする梨』を認識させる『香 梨』の文字を併記してなるものであるから、これをその指定商品に使用するときは、全体として『良いにおい(良い香り)のする梨、良いにおい(良い香り)の梨がなる梨の木』を認識させるに止まり、単に該商品の品質を表示するにすぎないので、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、「かおり」「香梨」の文字について、次の事実が認められるとして、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に通知し、意見を求めた。
1 新聞記事情報
(1)「梨栽培の効率化目指す 2本主枝一文字仕立てを実践/千葉・横芝光町」の見出しのもと,「千葉県横芝光町の梨農家・實川勝之さん(27)は二本主枝一文字仕立てにして、作業の省力化につなげている。・・・・8月中旬から9月下旬までは「幸水」「豊水」「かおり」「王秋」など6品種を栽培。梨園を「梨工房城山みのり園」と名付け、地元の直売所に出している。・・・」との記載(2007.6.5 日本農業新聞 39頁 南関東ワイド)。
(2)「特集:食卓に安心な農作物を JA徳島北の取り組み 篠原増士・代表理事組合長に聞く」の見出しのもと,「農産物販売や営農指導から金融、共済まで幅広くカバーする農協は、農業従事者にとって頼れる存在だ。・・・篠原増士・代表理事組合長(69)に現状や取り組みを聞いた。【聞き手は竹内之浩・毎日新聞徳島支局長】・・・−ナシでは新品種の販売に取り組んでいるそうですね。 香梨(かおり)という青梨の大玉品種を昨年度から試験的に出荷しています。幸水、豊水が終わった9月から出荷が始まります。1個800〜1000グラムと幸水、豊水の約3倍の大きさがあり、この時期に出荷する大玉としては糖度もかなり高いです。・・・」との記載(2007.4.28 毎日新聞大阪朝刊 6頁)。
(3)「「香梨」産地化めざす 普及へ接ぎ木研修/徳島・香梨栽培研究会」の見出しのもと,「【とくしま】青梨の大玉品種「香梨(かおり)」の産地化を目指す香梨栽培研究会が22日、県果樹研究所県北分場で開かれ、参加した生産者らは特産化へ向けた接ぎ木の方法など学んだ。昨年の初出荷の実績を踏まえ、新年度の栽培や出荷についての課題も探った。」との記載(2007.3.28 日本農業新聞 48頁 ブロック四国)。
(4)「青梨の大玉品種「香梨」大きさ魅力、産地化へ/徳島に研究会」の見出しのもと,「青梨の大玉品種「香梨(かおり)」の産地化を目指し、徳島県の鳴門市、板野郡内の農家らでつくる香梨栽培技術研究会が発足した。今年度は28戸が試験栽培しており、高接ぎを主体に導入を進め、4、5年後の本格出荷を目指す。」との記載(2006.5.16 日本農業新聞 30頁 地域営農(東))。
(5)「青梨「香梨」大玉で良食味 特産化へ研究会発足へ/徳島・鳴門市、板野郡の農家」の見出しのもと,「【とくしま】鳴門市、板野郡内の梨農家約30戸が集まり、近く「香梨(かおり)研究会」を発足させる。事務局となる鳴門藍住農業支援センターなどとともに、地域には珍しい青梨の大玉品種「香梨」の栽培方法を学び、普及の母体となる。「香梨」は果皮が薄い黄緑色の青梨で、1玉700グラム〜1キロと大きい。さび果の発生が少なく、無袋での栽培も可能だ。酸が少なく、高糖度で食味は良い。農水省果樹試験場(現在の農研機構・果樹研究所)が赤梨「新興」に「幸水」を交配、育成した品種だ。」との記載(2006.3.24 日本農業新聞 48頁 ブロック四国)。
(6)「お取り寄せ 梨 マリオン」の見出しのもと,「◆栃木・佐野市「かおり」「にっこり」土づくりや土壌診断を行い、化学農薬や肥料を低減して梨作りをしている和田さんは、県からエコファーマーの認定も受けている。香りが豊かな青梨「かおり」と、県農業試験場が開発した栃木オリジナルの品種「にっこり」を販売。・・・」との記載(2003.8.27 朝日新聞東京夕刊 6頁 マリオン2)
(7)「山あいに収穫の季節「香梨」“幻”の品種甘みも乗る 八幡浜・高野地」の見出しのもと,「八幡浜市の山あいの地区、高野地でナシの希少品種「香梨(かおりなし)」がたわわに実り、生産農家が収穫作業に精を出している。「香梨」は昭和三十年代に、茨城県の農業試験場が開発した「新興」と「幸水」との交配種。果実が一キロほどになる大型品種で、みずみずしくあっさりした甘みと、フルーティーな香りが特徴となっている。ただ、栽培面積あたりの収穫量が少ないことから、「幻の梨」とされている。・・・」との記載(2003.9.10 愛媛新聞朝刊)。
(8)「希少品種の「香梨」出荷 八幡浜」の見出しのもと,「八幡浜市の山あいの地区、高野地で県内の他の産地では生産されていないナシの希少品種「香梨 (かおりなし)」が今年も実り、生産農家が出荷に追われた。「香梨」は昭和三十年代に、茨城県の農業試験場が「新興」と「幸水」を交配して開発。果実が一キロほどにもなる大型品種で、シャリシャリ感とみずみずしくあっさりした甘みとともに、フルーティーな香りが特徴となっている。栽培面積あたりの収穫量が少ないことから、「幻の梨」とされている。・・・」との記載(2002.9.10 愛媛新聞朝刊)。
(9)「「幸水」出荷始まる/栃木・JAなすの」の見出しのもと,「【栃木・なすの】湯津上村のJAなすのの梨選果場で十二日から、「幸水」の出荷が始まった。生育期の天候に恵まれ、例年より十日、昨年より五日早い出荷となった。・・・同JA梨部会は六十四戸、九十ヘクタールの作付け。今年は例年より一割多い十七万ケースの出荷を見込む。「幸水」の出荷は今月下旬までで、その後は「豊水」「かおり」「にっこり」と、十一月まで続く。」との記載(2002.8.15 日本農業新聞 40頁 ブロック北関東)。
(10)「相馬・磯部地区、試験栽培は順調に生育/「かおり梨」の量産化目指す「将来の特産品に」/マスカットの香 21世紀の味です」の見出しのもと,「相馬市の磯部地区で試験栽培に取り組んでいる、独特の強い香りが特徴のナシの新品種「かおり梨(ナシ)」が、今年も順調に実を付けた。まだ、十分な量の確保に至っておらず、ほとんどが地場消費だが、将来の特産物にしようと、地元果樹農家が量産化を目指し取り組んでいる。かおり梨は、幸水や豊水の親である菊水の突然変異といわれる。ふつうのナシにはないマスカットのような芳香が特徴で、味もさっぱりしていて、大きい物は1.5キロほどに成長する。・・・」との記載(2000.10.10 河北新報記事情報)。
(11)「ナシの新品種「かおり梨」/相馬・磯部で収穫始まる/メロンのような芳香」の見出しのもと,「数年前から相馬市磯部地区で試験栽培に取り組んでいるナシの新品種「かおり梨(なし)」が、今年初めて本格的に実を付け、24日から一部の農家で収穫が始まった。かおり梨は、幸水や豊水の“親”である菊水の突然変異といわれる。メロンのような甘い香りが特徴で、さっぱりとした食味で大玉に成長する。・・・」との記載(1999.9.26 河北新報記事情報)
(12)「期待の新顔 東北の農林園芸品種/ナシ かおり梨 大玉でメロンの香り」の見出しのもと,「〈菊水の突然変異種〉「メロンのような香り」と形容する人もいるかおり梨(ナシ)。「ナシは香りがないものだが、これは何ともいえない香りが最大の特徴」と相馬市磯部でナシを栽培する坂下耕一さん(31)。かおり梨は、幸水や豊水の“親”である菊水の突然変異と言われる。坂下さんら磯部地区のナシ栽培農家の若手でつくる「磯部果樹後継者クラブ」(岩崎敬信代表)が、平成6年に栃木県大田原市の栽培農家から分けてもらった枝木3本を基に、手分けして試験栽培に取り組んでいる。・・」との記載(1999.3.23 河北新報記事情報)。
(13)「ジャンボ梨ずらり、市川市で大玉コンクール」の見出しのもと,「【千葉・市川】千葉県市川市動植物園で恒例の梨大玉コンクールが行われ、農家が手塩にかけて育てたジャンボ梨がずらりと並んだ。・・・審査の結果、ジャンボ大賞「新高の部」一位には、高橋亘さん(千八百二十八グラム)、「その他の部」では中野津義さんの「かおり」(二千三百三十七グラム)が選ばれた。・・」との記載(1998.10.3 日本農業新聞 ブロック版/首都(南))。
(14)「ナシの出荷作業が始まる−−湯津上村/栃木」の見だしのもと,「湯津上村湯津上地区のナシの出荷作業がJAなすの湯津上選果場で始まった。・・同地区のナシ栽培面積は約90ヘクタール。66戸の農家が「幸水」のほか、「豊水」「かおり」「にっこり」の各種のナシを栽培している。・・・」との記載(1999.8.30 毎日新聞地方版/栃木)。
(15)「ナシの花が開花、授粉作業に大忙し−−大田原/栃木」の見出しのもと,「ナシの産地、大田原市佐久山地区のナシ畑は、このところの好天に誘われてナシの花が一斉に咲きそろい、栽培農家では人工授粉作業に追われている。1・2ヘクタールのナシ畑で「幸水」や「豊水」、実が大きくなる「かおり」と「日光梨(にっこり)」などを栽培する角田昌男さん(46)と妻の美智子さん(42)もこのところ大忙しだ。・・・」との記載(1999.4.29 毎日新聞地方版/栃木)。
2 インターネット情報
(1)「かめあし商店 幻の大玉梨 香梨」の見出しのもと,「数量限定販売!ビックリ&ビックサイズの大玉梨登場★幻の梨!徳島県産【香梨2玉】1玉700g〜1kg×2玉セット」との記載(株式会社かめあしホームページ(http://item.rakuten.co.jp/cameashi/10000813/))。
(2)「豊かな地域農業づくりに貢献します 普及活動レポート 平成17年10月 鳴門藍住農業支援センター」の見出しのもと,「■話題の梨「香梨(かおり)」勉強会を開催 目的 期待の品種「香梨」 活動経過 「香梨」導入の推進 「香梨」は、果皮が薄黄緑色のさわやかな色をした青ナシで、一玉700g〜1kgと大きくサビ果の発生も少ないことから無袋での栽培も可能です。・・・」との記載(徳島県の農業支援センターのホームページ(http://our.pref.tokushima.jp/fukyu/report.php?s=6&b=3346&i=38))。
(3)「豊かな地域農業づくりに貢献します 普及活動レポート 平成19年10月 鳴門藍住農業支援センター」の見出しのもと,「■話題の梨「香梨(かおり)」の産地化 目的 「香梨」でなし産地活性化 活動経過 「香梨栽培技術研究会」を支援しています 成果 「香梨」の産地ができつつあります・・・」との記載(徳島県の農業支援センターのホームページ(http://our.pref.tokushima.jp/fukyu/report.php?s=6&b=3346&i=72))。
(4)「梨の種類」の見出しのもと,「11月では、かおり、幸水、バートレット(洋ナシ)、新星、ラフランスを販売しております。かおりは、ほのかな香りのする梨でめずらしいのでぜひご賞味ください。」との記載(梨とぶどうの販売と秋田の観光農園/加賀谷農園ホームページ(http://www.kagayanouen.net/nasi.html))。
(5)「果物大好き〜マミヤ園 観光果樹園マミヤ園からのお知らせ版 2007年10月04日 かおり梨の収穫 本日和梨「かおり」梨を収穫しました。梨の近くに行くとほのかな香りがただよい、りんごを想像させる様な香りで重さは1キロを超えデカイ梨です」との記載(マミヤ園ホームページ(http://mamiyaen.seesaa.net/article/58847437.html))。
(6)「平成19年秋〜20年春 果樹苗木カタログ 株式会社イシドウ 梨 なし(Japanese Pears) ALLカタログ」の見出しのもと,「かおり KAORI 来歴 本種は「新興」×「幸水」を交配育成された品種である。果実 果形は円〜楕円形で果皮は薄く緑色になり大玉品種としては珍しい果皮色である。果重は550〜1.5kgの大果になるものもある。果汁多く肉質緻密で食味は良好である。また、りんごのような甘い香りを有する。近年希少価値のある品種として人気が高い。収穫期 山形で10月中旬頃と思われる。」との記載(株式会社イシドウのホームページ(http://www.tnt.jp/~ishido/nashi.html))。
(7)「ジェリコジェリコ JerichoJericho」の見出しのもと,「「かおり梨」甘い風味が爽やかな幻の梨」生産が難しく店頭には並ぶことがない希少な『かおり』は一際目立つ緑の大果で名前の由来となったほのかな香りとシャキシャキと甘いところが女性に大人気です。『かおり』は、食べれることに幸せを感じ、食べてしまうことにもったいなさを思うほどの味わいと贅沢さあります。かおりは9月中旬と極僅かな期間に取れる貴重な梨です。・・・甘い風味がさわやかな幻の梨「かおり梨」生産者 梨屋 与左衛門 品種 千葉県産 かおり 規格 秀品 化粧箱 6玉入り」との記載(有限会社ジェイデザイン ストア名 ジェリコジェリコのホームページ(http://store.shopping.yahoo.co.jp/jerichojericho/fr-pear15-5.html#))。
(8)「朝摘み“桃”と“梨”を果樹園から直送します!須永果樹園」の見出しのもと,「★独特のフルーティーな香りと味が女性に大人気の幻の梨★かおり 栽培方法がとても難しく、面積あたりの収穫量も少ないことから「幻の梨」とも呼ばれています。甘くて酸味の少ない味が特徴です♪その名のとおり梨の中でもひときわ”香り”がよい品種でこの梨独特の”甘い香り”もお楽しみください 商品名:かおり 色・サイズ・糖度:青梨系の大玉で800g〜1kg程度の大きさです。まさにファミリーサイズの梨といえます。糖度約12度・・」との記載(須永果樹園ホームページ(http://momonashi.hp.infoseek.co.jp/))。
(9)「商品一覧 取扱商品 梨」の見出しのもと,「かおり 果形は円形で果肉はやや粗であるが、甘味と果汁ともに多く特有の風味を持つ。青梨の極大果で日持ちも良い。9月下旬頃」との記載(みやぎ蔵王 まるなか農園ホームページ(http://zaokan.bine.jp/shouhinichiran.html))。
(10)「八百屋の匠 杉本晃章の青果店 これが旬!」の見出しのもと,「香(かおり)9月 このかおり梨は限られた時期にしか取れない新品種で栽培方法が非常に難しく収穫量も少ない。収穫場所も限られており、梨園でも毎年予約の分で完売されるほどの希少価値があります。・・「新興梨(大きくシャリ感がある)」と「幸水梨(甘味のある)の掛け合わせで、独特の香りがするため、かおり梨と言われています。(正式には平塚16号)・・・・」との記載(杉本青果店のホームページ(http://www.sugimototeruaki.com/html/syun001.html))。
(11)「2007年度の最終出荷分!今年も有難う!感謝の気持ちを込めて・・・激安特価大放出47%OFFやっちゃいます!秋の入り口の香り・・・それが「かおり梨」」の見出しのもと,「そして今回ご紹介するフルーツは「かおり梨」です。まだ、残暑の残るこの季節。秋の入り口。これから始まる秋の味覚。その入り口に約10日間のみしか出荷できない幻の梨があることを皆さんご存じでしたでしょうか?大玉、そして糖度が高い。更に独特の香り・・・商品内容≫約2kg(4〜5個) 産地≫千葉県 品種≫かおり・・」との記載(オーガニックサイバーストア 株式会社ドゥマンのホームページ(http://www.rakuten.co.jp/ocs/562360/1867127/))。
(12)「奈良県大阿太高原 フルーツランド清玉園〜時期に一番の旬をどうぞ〜」の見出しのもと,「季節の味覚表 梨 品種 かおり 9月中旬〜10月上旬」との記載(フルーツランド清玉園ホームページ(http://www.fruits-land.com/kisetu.html))。
(13)「JA東京むさしのご案内・広報誌「むさし」の紹介〉34号・むさし旬彩記 広報誌「むさし」のご紹介」の見出しのもと,「むさし旬彩記「真面目に正直にいいものを作っています。これからもお客さんに喜んでもらえるものを作っていきたいです」と語る久保園園主の久保金一さん(小平市)・・■JA東京むさしのナシ 東京むさし管内では小平地区のナシが名産地として知られており、都内2位の生産量です。ページに掲載している写真の久保園では「幸水」「豊水」「秀玉」「香梨(かおり)」「菊水」「新星」「新高」「新興」の8種類を栽培しています。」との記載(東京むさし農業協同組合のホームページhttp://www.jatm.or.jp/aboutus/magazine/shunsaiki/038.html))。
以上のように、当審で行った新聞記事及びインターネット情報の調査の事実を考慮すれば、本願商標「かおり」「香梨」の文字よりは、「青い果皮で、大玉になる、香りの良い梨の一種」を表すものとして、相当程度に使用されているものと認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用したときには、これに接する需要者、取引者は、「青い果皮で、大玉になる、香りの良い梨、又はそのような品種の梨の木」であること、すなわち、その品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものと認める。
第4 証拠調べ通知に対する意見(要旨)
請求人は、前記第3の証拠調べ通知に対して、平成20年3月5日付意見書において、以下のように意見を述べている。
1 「かおり」「香梨」について
本件商標「かおり」「香梨」は、1982年か1983年頃、審判請求人の取り扱いにかかる商品販売に際して命名されたものである。その後、審判請求人の取り扱いに係る「梨」の商標「香梨」「かおり」が、非常によい商品であると評判になった結果、同一商標を使用する第三者を防止するため、本願登録出願に至ったものである。
2 証拠についての反論
a.新聞記事情報について
(1)2007年6月5日付の記事であって、「かおり」がどのような品種なのかを具体的に示すものではなく、本願商標と同一であるとの証拠にはなり得ない。
(2)ないし(5)これらの記事は、「かおり」「香梨」が梨の品種のひとつであるとの誤った事実に基づいているものである。
(6)この記事からは「青梨「かおり」」とされているだけで、証拠調べ通知に記載の「青い果皮で、大玉になる、香りの良い梨の一種」であることは立証されていない。
(7)及び(8)これらの記事は、「香梨」「かおりなし」が幻の品種とされているが、「インターネット情報」から愛媛県産の「香梨」「かおりなし」の証拠がないため、現在では全く栽培されず、取引されていないことが類推される。
(9)「かおり」が「梨」であることが推察されるだけで、「青い果皮で、大玉になる、香りの良い梨の一種」であることは立証されていない。
(10)ないし(12)「かおり梨」が数年前から試験栽培され、1999年に初めて実を付けたとされているが、「インターネット情報」から福島県産の「かおり梨」の証拠がないため、現在では全く栽培されず、取引されていないことが類推される。
(13)「かおり」が、ジャンボ梨一位になったことは理解できるが、梨の品種か、愛称か、商標なのか不明である。
(14)「かおり」が「梨」であることが推察されるだけである。
(15)「かおり」が「実の大きくなる梨」であることが理解できるだけである。
b.インターネット情報について
(1)ないし(3)「かおり」「香梨」が梨の品種のひとつであるとの誤った事実に基づいているものである。
(4)「かおり」が「ほのかな香りのする梨」であることが理解できるだけである。
(5)「かおり」が、梨の品種か、愛称か、商標なのか不明である。
(6)「かおり KAORI」について、梨の品種のひとつであるとの誤った事実に基づいているものである。
(7)ないし(9)「かおり」が、梨の品種か、愛称か、商標なのか不明である。
(10)「かおり」の品種名は「平塚16号」とされているから、「かおり梨」は、商標として用いられている。
(12)及び(13)「かおり」が「梨」であることが推察されるだけであり、証拠調べ通知に記載の「青い果皮で、大玉になる、香りの良い梨の一種」であることは立証されていない。
3 証拠内容のまとめ
「かおり」「香梨」の文字について、「青い果皮で、大玉になる、香りの良い梨の一種」として使用しているのは、「徳島県の新種の梨研究」(新聞資料(2)など)及び徳島県産の梨を販売する「株式会社カメアシ」(インターネット資料(1))の2件のみで、「かおり」「香梨」が「梨の品種名」と誤解しているのは、「徳島県の事例」と「苗木販売会社一社」のみであり、それ以外は、「特定の商標名」として認識されていると判断されるのが妥当である。
4 以上述べたように、本願商標は、審判請求人の「梨」に関する商標であり、梨の品種ではない。事実、公的機関によって「梨の品種」と認められているものでもない。また、証拠調べで列挙された情報については、品種名としているのは「徳島県での梨研究」に関する情報のみであり、事実誤認を原因にするものにすぎない。したがって、本願商標は、十分に識別標識としての機能を有するといわざるを得ない。
第5 当審の判断
1 本願商標は、上記第1のとおり、「かおり」の平仮名文字と「香梨」の漢字とを上下二段に普通に用いられる方法で書してなるところ、前記第3の実情よりすれば、「かおり」「香梨」の文字は、商品「梨」を生産、販売する業者において、梨の品種の名称として使用されていることは、例えば、前記第3の1、新聞記事情報(1)の「『幸水』『豊水』『かおり』『王秋』など6品種を栽培。」、(2)ないし(5)「青梨の大玉品種『香梨』」(7)及び(8)「ナシの希少品種『香梨 (かおりなし)』」、(10)「独特の強い香りが特徴のナシの新品種『かおり梨(ナシ)』」、(11)「ナシの新品種『かおり梨』」、(12)「東北の農林園芸品種/ナシ かおり梨」、2、インターネット情報(2)「期待の品種『香梨』」、(6)「かおり KAORI 来歴 本種は『新興』×『幸水』を交配育成された品種である。」(7)「品種 千葉県産 かおり」(8)「ひときわ”香り”がよい品種」(11)「品種≫かおり」(12)「梨 品種 かおり」等との記載があることより、認めることができる。そして、さらに職権において調査したところ、「かおり」「かおり梨」の文字が、梨の一つの種類、すなわち、梨の品種の名称として使用されていることは、以下のインターネット情報より窺い知ることができるものである。(下線は、審判官によるものである。)
(1)「梨の品種/9月に旬を迎える梨
〔品種名〕かおり
〔収穫時期〕9月中旬〜下旬〔特徴〕大粒。メロンに似たよい香り」との記載(マルカ梨園〈群馬県高崎市〉のウェブページ(http://maruka.cdx.jp/hinsyu.html))。
(2)「梨世紀 山口県秋芳町特産 二十世紀梨・新高梨 産地直送通信販売」の見だしのもと,「梨の歴史&雑学/
梨の品種
について【日本梨】・二十世紀・・・・
かおり
/読み:かおり 色:青系 糖度14〜15.5% 来歴・交配:新興×幸水の交雑実生 収穫期:9月下旬 育成の段階で落とされていた品種なのですが、生産農家の間で脈々と栽培が続けられてきました。大玉で、名前の由来となった特有の香気は、女性に人気です。収穫後の日持ちは、よくありません。」との記載(三原商店の運営する秋芳二十世紀梨販売サイト「梨世紀(なしせいき)」ウェブページ(http://74seiki.net/encyclopedia/eh00vrty.html))。
(3)「ようこそ!なし・ぶどうの郷 かまがやへ/梨狩り・ぶどう狩り 料金案内/梨狩り〔開園期間〕8月20日〜10月上旬ごろ〔開園時間〕午前9時〜午後5時
〔梨品種〕幸水・豊水・かおり・
新高」との記載(鎌ヶ谷市観光農業協同組合のウェブページ(http://www.kamagayasikankounougyoukumiai.info/gari.htm ))。
(4)「幸水農園で栽培している梨の品種」の見だしのもと,「
〔品種〕かおり
〔収穫時期〕10月上旬〔特徴〕酸味はなく、甘く特有の香りがあって食味が良い。」との記載(世羅幸水農園のウェブページ〈広島県世羅郡〉(http://www.birneladen.jp/pear/hinsyu/index.html))。
(5)「当園の品種」の記載のもと,「
〔品種〕かおり
〔収穫時期〕8月下旬〜9月中旬」との記載(古宮梨園〈千葉県松戸市〉のウェブページ(http://209.85.175.104/search?q=cache:aWy2YqU7svwJ:park22.wakwak.com/~komiya/hinnsyu.html+%E6%A2%A8+%E5%93%81%E7%A8%AE+%E3%81%8B%E3%81%8A%E3%82%8A&hl=ja&ct=clnk&cd=17&gl=jp&lr=lang_ja&inlang=ja ))。
(6)「通販センターやさいランド能代白神/おいしい野菜はいかが?(商品案内)
秋田・能代梨〈9月上旬〜10月上旬〉品種:かおり梨
内容:5kg1箱16玉入 2,100円 」との記載(やさいランド能代白神通販センター生産者協議会のウェブページ(http://www.noshironegi.jp/yasai/index.html))。
(7)「我が梨園/昭和36年11月に座間家2代目の座間敏雄が梨の木を植えた事が我が梨園の始まりです。・・幸水は8月の中旬から収穫がはじまり、贈答品として人気があります。豊水は9月上旬、かおりは9月中旬から収穫がはじまり、まさに秋の行楽もぎとりにもってこいの品種です。・・我が梨園で栽培している
梨の品種です!幸水(こうすい)・・・かおり
9月上旬から収穫がはじまります。」との記載(座間梨園〈千葉県松戸市〉のウェブページ(http://zama.ne.jp/waganashienn/index.html))。
(8)「なし・もも品種解説」の見だしのもと,「
[品種名]かおり
[販売時期]9月中旬〜9月下旬[特徴]梨の女王。独特の良い香り、風味があり珍しい品種。人気急上昇中で一度お試し下さい。数に限りがあるのでお早めに。」との記載(わだ果樹園〈栃木県佐野市〉のウェブページ(http://www12.ocn.ne.jp/%7Ewada0213/hinsyu.html ))。
(9)「菖蒲・白岡・久喜 梨研究会/
梨の品種○幸水・・・・○かおり
新興と幸水の交雑実生 果実の大きさ:500〜1、200g 糖度:14〜15.5度」との記載(菖蒲・白岡・久喜 梨研究会のウェブページ(http://www.ssk-pears.com/kind.htm#top))。
(10)「JAうつのみや 青果物情報館/ブランド青果物の理念/JAうつのみや青果物Uブランド/Uブランド青果物の主要販売品目/
梨 品種:幸水,豊水,新高・・・かおり
」との記載(JAうつのみや 宇都宮農業協同組合のウェブページ(http://www.jau-brand.jp/u.html))。
(11)「佐野市なし・もも直売所マップ」の見だしのもと,「
■なし品種名/幸水・・かおり
■おいしい食べ頃 9月中旬」との記載(佐野市観光協会のウェブページ(http://sano.yomogi.or.jp/ii/indexk.htm))。
上記及び前記第3の証拠調べ通知で示した取引の実情よりすると、「かおり」「香梨」「かおり梨」の文字は、商品「梨」について、請求人のみが使用しているものではなく、多くの梨製造・販売業者によって「梨」の一品種を表す名称として使用されているものであるから、本願指定商品との関係において、「梨」の一品種を表す名称として取引者、需要者に広く認識されているというべきである。
したがって、本願商標は、前述のとおり、その取引者、需要者をして自他商品の識別標識としての機能を有する商標として認識されるものではなく、梨の品種を表すものとして理解されると判断するのが相当である。
2 請求人(出願人)は、平成19年8月16日付上申書において、「審判請求人の親族が、近所の人から枝木を入手した後、接木して生育させたところ、品質のよい青梨が収穫できたので、昭和56、57年頃から販売し始めたものであり、当時、市場には『かおり』『香梨』という商標で販売されていた梨は一切存在しなかった。商標『香梨/かおり』を付した商品『梨』は、審判請求人2名の所有する梨畑でのみ収穫され、取引されている。現在、『かおり』『かおり梨』『香梨』と表示されているいずれの名称にあっても、審判請求人の栽培に係る梨と理解、認識されるものである。」旨主張し、証拠を提出している。
しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうか、すなわち、自他商品識別標識として機能し得るか否かの判断時期は、査定または審決時(本願商標の場合は本件審決時)であり、この審決時において、「かおり」「かおり梨」「香梨」と称する梨は、いろいろな地域で製造、販売されている事実は、前記第3の証拠調べ通知及び上記(1)ないし(11)のとおりである。そして、それら全てが、請求人(出願人)の栽培に係る梨であると認めることはできない。
また、請求人(出願人)は、同じ上申書において、取引者である「千疋屋本店」及び「新宿高野」のホームページの写しを、本件商標に係る梨が紹介されている旨述べて提出しているが、それぞれのホームページによる説明には、「かおり梨/かおり梨は茨城県の農業試験場で、昭和30年代に新興と幸水の交配により、作られました。」、「かおり梨/茨城県農業試験場において新興と幸水を交配育成いたしました。」と記載されており、請求人の主張とは異なるものである。
さらに、請求人は、同年8月20日付手続補足書において、取引者による「証明書」を提出しているが、その様式は、証明を依頼された者が、単に記名・捺印をすれば出来上がるように、予め請求人(出願人)によって準備されていたと認められるものであるばかりでなく、証明書の内容自体、本願商標が、請求人の生産する梨として「昭和59年から現在に至るまで、継続して販売して、現在では品質の良さなどから、需要者間に広く知られている状況にあることを証明する」というに止まるものであって、証明者がいかなる根拠に基づき、需要者間に広く知られていることを証明したのか、その判断の客観的な過程が明らかでない。
また、 請求人(出願人)は、証拠調べ通知に対する意見書において、前記第3にあげた証拠は、「青い果皮で、大玉になる、香りの良い梨の一種」であることを立証するものではない旨述べているが、前記第3に挙げた全ての証拠から「青い果皮で、大玉になる、香りの良い梨の一種」であるということまではいえないとしても、商品「梨」について、「かおり」「香梨」の文字が梨の一品種を表す文字として使用されていることは、前述のとおりである。
さらに、前記第3の1の新聞記事情報(7)(8)及び(10)(11)については、「インターネット情報」からの証拠がないため、現在では全く栽培されず、取引されていないことが類推される旨主張するが、現在、栽培され、取引されていないとしても、それぞれの記事の掲載のあった1999年9月26日、2000年10月10日、2002年9月10日、2003年9月10日の期間に、その地域において、「香梨」或いは「かおり梨」が実際に栽培、取引されたことは事実であり、加えて、上記新聞記事に接した一般の読者には、「香梨」、「かおり梨」の文字が、梨の一品種を表したものとの理解を及ぼすものと認められる。
その他、本願商標が、自他商品の識別標識としての機能を有するものであるとして、需要者に認識されているという格別の理由は見出せない。
したがって、請求人(出願人)のいずれの主張も採用することができない。
3 以上のとおり、本願商標は、これをその指定商品に使用しても自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものということはできないから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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