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Trademark Appeal Case

不使用取消とグループ会社使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−301167(T2007−301167/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1868988号商標の指定商品中「寝具類」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1868988号商標(以下「本件商標」という。)は、「ZEROPOINT」の欧文字と「ゼロポイント」の片仮名文字(片仮名文字「ゼロポイント」は、欧文字「ZEROPOINT」の二分の一程度の大きさ)を上下二段に書してなり、昭和59年6月8日に登録出願、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、同61年6月27日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

被請求人は、本件商標を継続して3年以上日本国内において、第17類の指定商品中「寝具類」について使用していない。また、本件商標には、商標登録原簿に示すとおり、専用使用権者は存在しないし、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「寝具類」についての登録を取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙第1号証では、「モンベルグループ」の表示の中に株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアの会社名が記載されてはいるが、これらの会社の資本関係及び業務の遂行関係等の内容が明らかにされていない。また、被請求人の代表者がそれぞれの会社の代表者を務める会社であると認識できる記載もない。まして、以下に述べる使用許諾契約を締結することなく使用権を与える根拠として「グループ会社」であることを主張する以上、それに相当する極めて密接な関係を明らかにすべきところ、そのような関係を窺い知ることはできない。

また、「乙第1号証」の全ての頁(3頁)の右下に「2007/11/20」と表示されている。このことから、「乙第1号証」は、2007年11月20日に印刷されたものであることが明らかである。

被請求人は、本件審判請求に係る商標が審判の請求の登録前3年以内に使用されていることを証明しなければならないにもかかわらず、「乙第1号証」は、本件審判の請求の登録の日(平成19年(2007年)10月1日)(「平成19年(2007年)9月27日」とあるが誤り)の後の事実について作成されたものであるから、本件審判事件において、使用の事実に関する証拠として認めることはできない。

(2)答弁の理由中、「本件商標の使用について」の項について

被請求人は、答弁書にて「株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアが本件商標の使用権者である。なお、請求人と株式会社ネイチュアエンタープライズないし株式会社ベルカディアとの間で書面による使用許諾契約はないが、取引の経験則上、自社のグループ会社に自己の登録商標が付された商品を販売・取引させるにあたって敢えて書面で使用許諾契約を締結することはないのが通例であり、被請求人もこれに倣ったものである。」と述べている。

請求人は、以下の理由により、これを否認する。

グループ会社といえども、それぞれ権利義務の主体となる法人である以上、自己の責任において独立して業務活動を行うものである。商標の使用に関しては、使用された商標に業務活動から生じた企業の信用が化体されるところから、その商標の使用状況の管理は企業にとって重要事項である。たとえグループ会社であっても、自己の登録商標が如何に使用されるべきか、すなわち使用の内容を規定しておくことは必要であって、たとえ相手方がグループ会社であっても、使用許諾にあたっては書面で契約書を作成し、使用内容を明確にしておくのが常態である。

したがって、「自己のグループ会社に自己の登録商標が付された商品を販売・取引させるにあたって敢えて書面で使用許諾契約を締結することはないのが通例であ」るということはできない。

まして、本件審判の請求の登録前3年以内における被請求人と株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアとの関係が具体的に明らかにされていないから、この主張を認めることはできない。

したがって、請求人は、株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアが本件商標の使用権者であると認めることはできない。

(3)答弁の理由中「本件商標の使用の事実及び使用の証拠について」の項について

請求人は、以下の理由によりこれを否認する。

乙第2号証では、「モンベルクラブ」関連の店舗が列記されているのみで、これらの店舗に株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアが「寝袋」を卸していた事実は、示されていない。

また、「乙第2号証」の第1頁の右下には、「2007/11/20」の表示があり、同第2・3・4頁の右下には、それぞれ「2007/11/21」の表示がある。このことから、「乙第2号証」は、2007年11月20日及び2007年11月21日に作成されたものであることが明らかである。

本件審判事件においては、被請求人は請求に係る商標が審判の請求の登録前3年以内に使用されていることを証明しなければならないにもかかわらず、「乙第2号証」は、本件審判の請求の登録の日(平成19年(2007年)10月1日)の後の事実について作成されたものであるから、本件審判事件において、本件使用の事実に関する証拠として認めることはできない。

(4)答弁の理由中「本件商標の使用の事実及び使用の証拠について」の項中「出荷案内書(控)」(乙第3号証)について

「乙第3号証は、『2006年6月4日』に本件商標の使用権者が本件商標を使用して『寝袋』を取引した事実を証明するものである」旨述べている。

請求人は、以下の理由によりこれを否認する。

まず、当該「出荷案内書」には、取引書類に必須である価格の記載がない。また、発行人である「株式会社ネイチュアエンタープライズ」と「お届け先 モンベルクラブ 横浜みなとみらい店」とはグループ会社という関係にある。このよう状況下で発行される「出荷案内書」は、同一のグループ内において物品の移動が行われたことを示すにすぎず、顧客に対して発行する商標法第2条第3項第8号に規定する「取引書類」ではない。

また、「出荷案内書の一番上段に記載の、『1221006』は本件商標を使用した『寝袋』の品番であり、『ダウンハガー』というのが品名である」と述べられている。

しかし、ここで「本件商標を使用した」とは、本件商標をどのように使用したのか使用態様が明らかにされていないから、「1221006」が本件商標を使用した「寝袋」であると認めることはできない。「出荷案内書(控)」の記載からは、「GORE.ダウンハガー」が標章として表示されているものと推定される。

(5)答弁の理由中「本件商標の使用の事実及び使用の証拠について」の項中「出荷案内書(控)」(乙第4号証)について

「乙第3号証(乙第4号証の誤りと思われる。)は、『2006年4月28日』に本件商標の使用権者が本件商標を使用して『寝袋』を取引した事実を証明するものである」旨述べている。

請求人は、以下の理由によりこれを否認する。

まず、当該「出荷案内書」は、取引書類に必須である価格の記載がない。また、発行人である「株式会社ネイチュアエンタープライズ」と「お届け先 モンベルクラブ 天王寺MiO店」とはグループ会社という関係にある。このような状況下で発行される「出荷案内書」は、同一のグループ内において物品の移動が行われたことを示すにすぎず、顧客に対して発行する商標法第2条第3項第8号に規定する「取引書類」ではない。

また、「『出荷案内書に記載の、『1221006』は本件商標を使用した『寝袋』の品番であり、『ダウンハガー』というのが品名である」と述べている。

しかし、ここで「本件商標を使用した」ことについて本件商標の使用状況が明らかにされていないから、「1221006」が、本件商標を使用した「寝袋」であると認めることはできない。「出荷案内書(控)」には「GORE.ダウンハガー」と記載されているところから、これが商標として表示されていたものと推定される。

(6)答弁の理由中「本件商標の使用の事実及び使用の証拠について」の項中「出荷案内書(控)」(乙第5号証)について

「乙第3号証(乙第5号証の誤りと思われる。)は、『2006年4月1日』に本件商標の使用権者が本件商標を使用して『寝袋』を取引した事実を証明するものである」旨述べている。

請求人は、以下の理由によりこれを否認する。

まず、当該「出荷案内書」には、取引書類に必須である価格の記載がない。また、発行人である「株式会社ネイチュアエンタープライズ」と「お届け先 モンベルクラブ 箕面店」とはグループ会社という関係にある。このよう状況下で発行される「出荷案内書」は、同一のグループ内において物品の移動が行われたことを示すにすぎず、顧客に対して発行する商標法第2条第3項第8号に規定する「取引書類」ではない。

また、『出荷案内書の一番上段に記載の、「1221006」は本件商標を使用した「寝袋」の品番であり、「ダウンハガー」というのが品名である」と述べられている。

しかし、ここで「本件商標を使用した」とは、本件商標をどのように使用したのかその使用態様が明らかにされていないから、「1221006」が本件商標を使用した「寝袋」であると認めることはできない。「出荷案内書(控)」には「GORE.ダウンハガー」と記載されているところから、これが商標として表示されていたものと推定される。

(7)答弁の理由中「本件商標の使用の事実及び使用の証拠について」の項中「商品カタログ」(乙第6号証)について

「上記商品カタログは、本件商標にかかる『寝袋』がカタログに掲載されていた1994年当時に発行されたものではあるが、『寝袋』の品番・品名については当初のものから変更はなく、乙第3号証ないし乙第5号証において示されているとおりである」旨述べている。

請求人は、以下の理由によりこれを否認する。

当該カタログは、今から13年以前に発行されたものであり、「寝袋」の品番・品名について当初のものから変更されていないということについてこれを具体的に示す証拠はなく、認めることはできない。当該カタログと乙第3号証ないし乙第5号証とを対比してみると、当該カタログ第3頁左下の欄では「GOR.ダウンハガー」と記載されている(甲第1号証)のに対し、乙第3号証ないし乙第5号証の「出荷案内書(写)」では「GORE.ダウンハガー」と記載されており、両記号間には「E」の有無の点で一致していないから、「『寝袋』の品番・品名については当初のものから変更はなく」ということはできない。

すなわち、1994年当時に本件商標が使用されていたとしても、乙第3号証ないし乙第5号証の発行時点(2006年4月1日から2006年6月4日まで)では、当該商標が使用されていたことを証明することにはならない。

(8)答弁の理由中「本件商標の使用の事実及び使用の証拠について」の項中乙第7号証及び乙第8号証として被請求人の商品の販売店舗である「モンベルクラブ」の内部において「寝袋」を販売しているエリアの写真を提出し、かつ、乙第10号証及び乙第11号証で、エリアに展示されている本件商標にかかる商品の写真を提出し、「被請求人の商品の販売店舗におけるかかる使用は、商標法第2条第3項第2号に該当する」と述べている。

請求人は、以下の理由により、これを否認する。

乙第7号証ないし乙第11号証では、撮影場所、撮影年月日、撮影者等が何ら記載されていない。よって、これらを本件審判事件において使用を証する物件として認定できない。

(9)答弁の理由中「本件商標の使用の事実及び使用の証拠について」について

「被請求人及び通常使用権者が使用している商品『寝袋』は、請求に係る商品『寝袋』に含まれるものであることは明らかである。」と述べている。

しかし、請求人は、以下の理由によりこれを否認する。

乙第7号証及び乙第8号証は、登山用具が陳列されている店舗内の状況を示す写真であり、販売場所が登山用具店であることを示している。

また、乙第9号証及び乙第10号証は、その形態から、登山用の寝袋であることを示している。このことは、乙第9号証の右側に写っている棚に乗っている円筒状の物は、寝袋が収められている状態と推定されるが、その形態は、登山の際にザックの中に入れ又はザックの上の載せて携行する際の形状であるから、乙第9号証の商品は登山用具であることが確認できる。

また、被請求人提出に係る乙第6号証中第3頁左から3番目の欄には、「使用可能温度・−38°Cまで」、「#1221006・・・・¥370,000」(甲第1号証)と記載されている。

このような使用可能温度として酷寒の温度が示されていること及び価格が極めて高額であることから、高山のテントの中で使用する特殊用具であることが明らかである。

このような登山用の「寝袋」は、運動具の概念に属する物であり、昭和34年商品区分では第24類、国際分類第9版の商品区分では第20類、類似群24C01に属する商品である。

本件審判請求に係る商品である「寝具類」は、一般家庭又は一般の宿泊施設で使用され、一般の寝具店で販売される商品で、昭和34年商品区分では第17類、国際分類第9版の商品区分では第24類、類似群17C01に属する商品である。したがって、被請求人及び通常使用権者が使用していると主張している商品「寝袋」は、請求に係る商品「寝具類」に含まれないものであることは明らかである。

なお参考までに、「寝袋」を指定商品とする商標登録例の公報を甲第2号証として提出する。甲第2号証の登録商標は、「キャンプ用及び野外活動用寝袋」を指定商品とするところ、商品区分第20類の商品として商標登録されている。

この事実に鑑みても、「寝袋」は請求に係る商品たる「寝具類」ではない。

(10)以上述べたとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録日である平成19年10月1日前3年以内に、被請求人のみならず被請求人が使用権者であると主張する株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアによっても、その請求に係る指定商品中「寝袋」について使用されているものではない。

3 まとめ

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「寝具類」についての登録を取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のよう述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。

1 本件商標の権利者である「株式会社モンベル」及び同社の使用権者である「株式会社ネイチュアエンタープライズ」及び「株式会社ベルカディア」は、本件審判の請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品中「寝袋」について本件商標と社会通念上同一の商標を使用している事実がある。

したがって、本件商標は取消されるべきではない。

2 本件商標の使用者について

本件商標の使用者である株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアは、商標権者である被請求人の代表者がそれぞれ代表を務めるグループ会社であり(乙第1号証)、被請求人は、かかるグループ会社による本件商標の使用について使用許諾を与えている。

したがって、株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアが本件商標の使用権者である。

なお、被請求人と株式会社ネイチュアエンタープライズないし株式会社ベルカディアとの間で書面による使用許諾契約はないが、取引の経験則上、自社のグループ会社に自己の登録商標が付された商品を販売・取引させるにあたって敢えて書面で使用許諾契約を締結することはないのが通例であり、被請求人もこれに倣ったものである。また、そもそも使用許諾は、商標権者と使用権者の意思表示の合意によって成立し、契約自由の原則により何らの方式も必要としない以上、書面による使用許諾契約が存在しないことは、特に問題とならない。

3 本件商標の使用の事実及び使用の証拠について

本件商標の使用権者である株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアは、本件商標を付した「寝袋」を被請求人の商品の販売店舗である「モンベルクラブ」(乙第2号証)に卸している。

その事実は、以下の乙第3号証ないし乙第5号証より明らかである。

(1)乙第3号証「出荷案内書(控)」には、本件商標の使用者である株式会社ネイチュアエンタープライズが被請求人の商品の販売店舗である「モンベルクラブ 横浜みなとみらい店」宛てに、本件商標を使用した「寝袋」を出荷した旨が記載されている。ここで、出荷案内書の一番上段に記載の、「1221006」は本件商標を使用した「寝袋」の品番であり、「ダウンハガー」というのが品名であることは、下記の(4)で示すとおりである(乙第6号証)。出荷日は、2006年6月4日と記載されている。

つまり、乙第3号証は、「2006年6月4日」に本件商標の使用権者が本件商標を使用して「寝袋」を取引した事実を証明するものであり、かかる日付は、本件審判の請求の登録前3年以内のものである。

(2)乙第4号証「出荷案内書(控)」には、本件商標の使用権者である株式会社ネイチュアエンタープライズが被請求人の商品の販売店舗である「モンベルクラブ 天王寺MiO店」宛てに、本件商標を使用した「寝袋」を出荷した旨が記載されている。ここで、出荷案内書に記載の、「1221006」は本件商標を使用した「寝袋」の品番であり、「ダウンハガー」というのが品名であることは、下記の(4)で示すとおりである(乙第6号証)。出荷日は、2006年4月28日と記載されている。

つまり、乙第4号証(「乙第3号証」とあるが誤り)は、「2006年4月28日」に本件商標の使用権者が本件商標を使用して「寝袋」を取引した事実を証明するものであり、かかる日付は、本件審判の請求の登録前3年以内のものである。

(3)乙第5号証「出荷案内書(控)」には、本件商標の使用権者である株式会社ネイチュアエンタープライズが被請求人の商品の販売店舗である「モンベルクラブ 箕面店」宛てに、本件商標を使用した「寝袋」を出荷した旨が記載されている。ここで、出荷案内書の一番上段に記載の、「1221006」は本件商標を使用した「寝袋」の品番であり、「ダウンハガー」というのが品名であることは、下記の(4)で示すとおりである(乙第6号証)。出荷日は、2006年4月1日と記載されている。

つまり、乙第5号証(「乙第3号証」とあるが誤り)は、「2006年4月1日」に本件商標の使用権者が本件商標を使用して「寝袋」を取引した事実を証明するものであり、かかる日付は、本件審判の請求の登録前3年以内のものである。

(4)乙第6号証は、被請求人が販売する商品の「商品カタログ」である。かかるカタログに、本件商標「ZEROPOINT」を付した「寝袋」(スリーピングバッグ)が掲載されている。また、当該商品の品番が、「1221006」であることがわかる。本件商標「ZEROPOINT」を付した「寝袋」は、近年は、商品カタログには掲載されず、被請求人の商品の販売店舗において、ごく少量が置かれ販売されている程度であるが、本件商標が使用されている事実に変わりはない。上記商品カタログは、本件商標にかかる「寝袋」がカタログに掲載されていた1994年当時に発行されたものではあるが、「寝袋」の品番・品名については当初のものから変更はなく、乙第3号証ないし乙第5号証において示されているとおりであり、かかる点を証するため提出するものである。また、商品カタログの発行元は、被請求人自身であり、カタログ掲載の商品は、被請求人の商品の販売店舗において販売されていることについても現在も変わることはない。

(5)乙第7号証及び乙第8号証は、上述した、被請求人の商品の販売店舗である「モンベルクラブ」の内部の写真である。そして、乙第8号証は、店舗内のうち、「寝袋」を販売しているエリアを写したものである。そして、乙第10号証及び乙第11号証は、かかるエリアに展示されている本件商標にかかる商品を写したものである。被請求人の商品の販売店舗におけるかかる使用は、商標法第2条第3項第2号に該当するものである。

(6)上記商品「寝袋」に付された商標及び商品カタログ記載の商標は、「ZERO」「POINT」を二段に併記した態様からなるが、「ZERO」及び「POINT」の字体を同一にし、相互に密接不可分的に構成してなるものであるから、「ZEROPOINT」全体としての称呼・外観・観念を生じさせるものである。そして、商標として使用されている、「寝袋」に付された商標及び商品カタログ記載の商標は、本件商標と外観、称呼、観念のいずれの観点から見て、社会通念上同一の商標である。

(7)さらに、被請求人及び通常使用権者が使用している商品「寝袋」は、請求に係る商品「寝具類」に含まれるものであることは明らかである。

(8)以上より、本件商標と社会通念上同一の商標というべき「ZEROPOINT」を二段にしてなる商標が付された商品「寝袋」(スリーピンバッグ)が、品番「1221006」及び品名「ダウンハガー」として、本件審判の請求の登録前3年に使用されていたことが明らかである。

4 むすび

以上述べたとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録日である平成19年10月1日(「平成19年9月27日」とあるが誤り)前3年以内に、被請求人及び被請求人の使用権者である株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアによって、その請求に係る指定商品中「寝袋」について使用されていたものである。

第4 当審の判断

1 乙各号証によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証について

乙第1号証は、「モンベル|モンベルについて|会社概要」の表題のある被請求人のホームページの写しで、すべての頁(3頁)の右下に「2007/11/20」と表示されている。第1頁の前段部に「モンベルグループ」として、被請求人、株式会社ベルカディア、株式会社北陸モンベル及び株式会社ネイチュアエンタープライズ外が掲げられ、アウトドア用品の製造、卸、販売、等を手がける総合グループである旨記載されている。また、被請求人の創立が1975年8月1日と記載されている。

(2)乙第2号証について

乙第2号証は、「モンベル|店舗情報」の表題のある被請求人のホームページの写しで、第1枚目の左中段部に「2007/10/30 ウインターアウトドアキャンペーン11月1日〜」の記載、その右下角に「2007/11/20」の表示、第2枚目から第4枚目に「モンベルクラブショップ」として各地域(北海道から沖縄、海外)の「モンベルクラブ」関連の店舗が列記されているが、特に「寝袋」の販売に関しての記載は見当たらない。また、第2枚目から第4枚目の右下角に「2007/11/21」の表示がなされている。

(3)乙第3号証について

乙第3号証は、06年06月04日付けの「株式会社ネイチュアエンタープライズ」から「モンベルクラブ 横浜みなとみらい店」宛ての「出荷案内書(控)」で、下部に「6699260」の番号が表記されており、「ブランド」、「コード・品名・カラー」、「サイズ数量明細」、「合計数」、「上代」及び「摘要」の各欄が設けられ第1段目に左から「ブランド」の欄に「ZP」、「コード・品名・カラー」の欄に「1221006/*GORE.ダウンハガー BL」、「サイズ数量明細」の欄に「1」及び「合計数」の欄に「1」の各表示と数字が記載され、第2段目に左から「ブランド」の欄に「PB」、「コード・品名・カラー」の欄に「1521609/*MBA.SS.ダウンハガー #0 ロング BLRI」、「サイズ数量明細」の欄に「R/ZIP/1」及び「合計数」の欄に「1」の各表示と数字が記載されいる。

(4)乙第4号証について

乙第4号証は、06年04月28日付けの「株式会社ネイチュアエンタープライズ」から「モンベルクラブ 天王寺MiO店」宛ての「出荷案内書(控)」で、下部に「6088530」の番号が表記されており、「ブランド」、「コード・品名・カラー」、「サイズ数量明細」、「合計数」、「上代」及び「摘要」の各欄が設けられ第1段目に左から「ブランド」の欄に「ZP」、「コード・品名・カラー」の欄に「1221006/*GORE.ダウンハガー BL」、「サイズ数量明細」の欄に「1」、「合計数」の欄に「1」及び「摘要」の欄に「102」の各表示と数字が記載されいる。

(5)乙第5号証について

乙第5号証は、06年04月01日付けの「株式会社ベルカディア」から「モンベルクラブ 箕面店」宛ての「出荷案内書(控)」で、下部に「6699430」の番号が表記されており、「ブランド」、「コード・品名・カラー」、「サイズ数量明細」、「合計数」、「上代」及び「摘要」の各欄が設けられ第1段目に左から「ブランド」の欄に「ZP」、「コード・品名・カラー」の欄に「1221006/*GORE.ダウンハガー BL」、「サイズ数量明細」の欄に「1」及び「合計数」の欄に「1」の各表示と数字が記載され、第8段までの欄に各表示と数字が記載されている。

(6)乙第6号証ないし乙第11号証について

ア 乙第6号証は、表紙の上部左上に「SINCE1975/mont‐bell/1994 GEAR CATALOG」の表題のある被請求人の商品カタログで、表紙の右下角部に「ZERO」と「POINT」(「PO」の「O」の中は赤字で塗りつぶされている。以下、同じ。)を二段に併記した表示があり、さらに、5頁右上には、これらを一連に書した表示もあり、また、5頁左側の商品の写真の下に「GORE‐TEX Down Hugger/GOR.ダウンハガー」と大きく項目表示され、その下に「...世界中で年間最高三十個程度のスリーピングバックしか生産することができない大変貴重なダウンです。...」、中央部分に「...このダウンハガーは私達の理想を具現化したスリーピングバックとして、...」と記述され、また、右側に「使用可能温度・−38°Cまで」、「#1221006・・・・¥370,000」の各記述と数字が記載されている。

イ 乙第7号証及び乙第8号証は、前者の中央部に「mont‐bell」の表示が認められる被請求人の商品の販売店舗と思しき写真で、主として登山専門用品が写っており、乙第8号証に被請求人主張の商品「寝袋」と思しき商品が他の商品とともに写っており、乙第9号証はその「寝袋」の写真であり、乙第10号証及び乙第11号証はその「寝袋」に上記「ZERO」と「POINT」(「PO」の「O」の中は赤字で塗りつぶされている。)を二段に併記した表示の部分の拡大写真である。

2 以上よりすると、以下のとおりである。

(1)使用許諾契約について

被請求人は、株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアと書面による使用許諾契約を行っていないが、被請求人のグループ会社として株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアなどと事業を行っており(乙第1号証)、これらの株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアが「モンベルクラブ」の各店にアウトドア用品を出荷していることが認められる(乙第3号証ないし乙第5号証)。

そして、使用許諾は、商標権者と使用権者の意思表示の合意によって成立し、口頭による契約も認められると解されることを考慮すると、書面による使用許諾契約はなされなくても、商標権者である被請求人と株式会社ネイチュアエンタープライズ及び株式会社ベルカディアとの間には事実上の使用許諾がなされているというのが相当である。

(2)被請求人の使用している商標について

被請求人の使用しているとする商品「寝袋」については、乙第1号証ないし乙第5号証よりすると、上記1のとおり、「アウトドア用品の製造、卸、販売」(乙第1号証)、「ウインターアウトドアキャンペーン11月1日〜」(乙第2号証)、「1221006/*GORE.ダウンハガー BL」(乙第3号証)、「1221006/*GORE.ダウンハガー BL」(乙第4号証)、及び「1221006/*GORE.ダウンハガー BL」(乙第5号証)の各表示が記載されているが、該表示は商品としては「アウトドア用品」であり、また、商品のコード番号と「GORE.ダウンハガー」の表示が認められるが、具体的に「寝袋」についての商標とその販売に関しての記載は認められない。

そして、乙第6号証ないし乙第11号証よりすると、被請求人の主張する商品「寝袋」に使用しているとする商標は、「GORE‐TEX Down Hugger/GOR.ダウンハガー」、及び「ZERO」と「POINT」を二段に併記、あるいは、これを一連に書した商標が認められる。

(3)被請求人の使用している商品について

ところで、上記「ZERO」と「POINT」を二段に併記、あるいは、これを一連に書した商標が本件商標と社会通念上同一の範囲内か否かの点については、さておき、被請求人の使用しているとする商品「寝袋」についてみるに、乙第6号証は、被請求人の使用していると主張する商品「寝袋」写真の下に「GORE‐TEX Down Hugger/GOR.ダウンハガー」と大きく表示され、その下に「スリーピングバック」に関する商品説明記述とともに「使用可能温度・−38°Cまで」、「#1221006・・・・¥370,000」の各記述と数字が記載されており、また、乙第7号証ないし乙第11号証は、店舗内の状況を示す写真と、その拡大写真である。

そうすると、被請求人の使用していると主張する商品「寝袋」は、使用可能温度が−38°Cまでで、金額が¥370,000という極めて高価なものであり、通常の日常の家庭内で用いられる(あるいは軽度のキャンプで用いられる可能性も考えられる。)「寝具類」の範疇に属する「寝袋」ではなく、極めて特殊な登山専門の「スリーピングバック」(寝袋)というべきである。

なお、昭和55年3月31日改訂版「商品区分解説」の第17類の「寝具類」(寝台を除く。)には、「寝具に、それと構造が似ている『マットレス』『座ぶとん』『クッション』を加えた概念である。」と解説され、一方、昭和61年3月28日改訂第6版「『商品区分』に基づく類似商品審査基準〔改訂版〕」の第24類の「運動具」中の「その他の運動具」に「スリーピングバック」が掲げられており、この「スリーピングバック」は、第17類の「寝具類」には含まれていないものである。

してれみば、被請求人及び使用権者が使用していると主張している商品「寝袋」は、請求に係る商品「寝具類」に含まれないものというべきである。

3 以上のとおりであるから、仮に、上記「ZERO」と「POINT」を二段に併記した商標が本件商標と社会通念上同一の範囲内であるとしても、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品中「寝具類」について、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。

したがって、本件商標は、その指定商品中の「寝具類」についての登録は、商標法第50条により、取り消すべきものとする。

なお、被請求人は、平成20年6月9日付けで答弁書(乙第12号証ないし乙第20号証を添付。)を提出しているところ、当合議体は、その答弁の理由及び提出された各証拠を徴するも、上記判断を左右するに足らないと認め、審理再開する必要がないと判断した。

よって、結論のとおり審決する。

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